サトシが学齢期になった。
戸籍と住民票がないから、公立の小学校には入学できない。
保育所で一緒に過ごしていた子たちが、入学するのを聞いていたからか?
「僕も学校にいくんでしょ?!!」
顧客だった人物に手を回してもらい・・・
私立の学校に通えることになった。
いつか、サトシが体当たりした准くんも同じ学校だった。
入学式には俺が出席した。
桜の花びらが風で散っているのを見て。
目を輝かせて見ていた。
その日、帰ってすぐに桜の樹の絵を描いていた。
学校には楽しそうに通っているようだ。
学校の教師から時々、サトシの学校生活の様子を報告してもらう。
智くんと同じだった。
学習面では興味のないことには、身が入らない。
夢中になると、他のことが目に入らず、怪我をすることもあった。
ダメと言われても、そんな制止は効かない。
かえって、試してみたくなるようだった。
智くんも小さい頃から怪我が多かった記憶がある。
今でも、傷痕があちこちにある。
智くんと過ごせる時間も安定している。
サトシの通学時間も考えると7時頃から17時頃までは一緒に過ごせる。
目についた傷跡一つ一つ。
その履歴を聴いてみた。
今さら何?と、不思議そうな顔をしながら話してくれる。
これは鉄棒から落っこちたときの。
これは・・階段から落ちたんだっけ?
これは自転車のタイヤに足つっこんだ。
缶詰の蓋を握って切れた痕。
サトシもそんな風に傷跡が増えていくんだろうか?