ホテルの人がケーキのローソクに火を着けた。
相葉くんはまだ気付かない。

らんが席から立って、相葉くんに近寄った。

「まさきパパ。こっち来て」

相葉くんの手を引っ張って、ケーキのところまで連れて行く。
ケーキには、らんが描いた相葉くんの似顔絵がプリントされてる。


「え?え?これ・・何??」
「まさきパパ、おたんじょうびおめでとう」

手をクイっと引っ張って、相葉くんをしゃがませた。
頬に手を当てて、ほっぺにチュっと。
この時とばかりにスマホで写真を撮る僕たち。


「ローソクけして!」

薄暗く照明が落とされた部屋。
ケーキのローソクの炎で見る相葉くんの顔は・・・
なんか泣きそうに見えた。


「らん!ありがとっ!」

らんを抱っこすると、相葉くんはケーキをらんと見てる。


「くふふ・・・らんはどこらへんが食べたい?」

「いちごのとこが食べたい!
まさきパパは?」

「雅紀パパはねぇ。らんが描いてくれたパパの顔のとこ!」

「え?そこ、いちごないよ?」

「いちごは、全部らんにあげる!
パパは・・・絵のところだけでいいんだ。
らん・・ありがとね」

らんは、もう一度、相葉くんのほっぺにチュっとした。



「まさきパパ!だいすき!」


きっと、らんのその言葉が一番の誕生日プレゼントになったに違いない。


僕たちもそれぞれプレゼント渡したんだけど・・・
らんのその言葉聞いたときの顔の方が・・絶対!
嬉しそうだった!




END