二人が存在していた時代から、あのDVDがうちにあったわけではない。
1000年もの間、データが残っているわけはない。
残っていたのはコピーにコピーを重ねた結果だ。
それを保存しておかなければ。という・・ある意味。
義務のようなものだったのかもしれない。
デジタルのデータはコピーしても、データは劣化しない。
ただ、ちょっとしたコピーミスで、データが無意味になることがある。
あの程度のミスだけで、残っていたことが奇跡だ。

記録媒体がディスクから、別のものに置き換わった。
それが、きっと、コピーされなくなった理由。
できなくなった・・のだろう。
それから、宝物のように箱にしっかりとしまわれたままになった。


あの箱を調べなおしてみた。
しっかりと乾燥剤まで入った防水防湿のしっかりとした箱だった。

誰が、数々のディスクを保存しはじめたのか?
我が家の先祖であることは間違いない。

私は中に入っていたあるものをハンディに記録した。
これの持ち主がきっと保存しはじめた当人だろう。



実体化させたそれを私は最期の年20△△年の櫻井さんに見せた。


「これ・・・・あなたの大切なもの・・ですよね?」

「どうして・・・これを君が?」

「うちの物置にあった箱に保管してあったものです。
他にも数多くの映像資料が残されていました。
あなたが・・・残した本人・・・ですよね?」

「そうだ・・俺が・・・甥に頼んだ。
大切に・・保管しておいて欲しい・・と」


櫻井さんは、顔を上げると、私を見た。


「君は・・・誰なんだ?」

「私は櫻井晶。
おそらく・・・・その甥の子孫です」