「なんですか?これは?」


怖い顔した翔くんに、そこに座んなさい、って言われて。
指差されたところに腰を下ろした。

目の前にポン、と僕が表紙の雑誌を置かれて。
硬い声で翔くんに言われた。



「なに・・って、雑誌?」
「それは見れば分かります」

めったにない丁寧な言葉使いがやけに怖くて。
翔くんが求める答えが分からなくて、黙り込んだ。


「・・・・・・・」
「なんで・・何も言わないの?なんか、やましいことでもあるの?

やましいことってなんだよ?
どの人に撮ってもらった写真だかも忘れちゃってるのに?
どの人にも、ただ、写真撮ってもらっただけだし。


「もしかして、カメラマンに何かされた?
それとも、彼のライフワークの写真、この前に撮られたとか?」

あ〜これ、彼の撮影した写真なのか。
こんな顔したんだ・・・僕。


「何も・・なかったよ。
ライフワークの写真は・・こないだ、翔くんにも話したことだけ」

「じゃ・・・何考えてたら、こんな顔になる?」


”昨夜のセ ッ ク ス のこと思い出して”

顔が一瞬のうちに熱くなった。


「何・・って・・・」

「ほら!その顔!なんか、あったんでしょ?
それ、思い出すだけで、そんなヤラシイ顔になるんだから!!」

「何もないよ!ただ・・・ただね・・・・翔くんのこと思い出して、撮ってもらったの」

「俺・・・?」

「そう!翔くんの指とか・・・口唇・・とか・・・あと・・・」


ますます顔が熱くなる。


「あと・・・あと・・何?」

ズルい顔した翔くんが、僕のすぐ横に座った。
低くて脅すような声が、耳元で聴こえる。



「あと・・・・翔くんの・・・・」


答えはさすがに恥ずかしくって言えなかった。
その代わり、ソコにそっと、手を這わして・・・・







それ、が、僕の中を動くのを思い出してたなんて・・・
翔くんにだって言えない。