「翔くん、大丈夫?」




映画がクランクアップした途端、ドラマのあれこれがやってくる。
同時に夏のチャリティ番組のいろいろも。



寝る時間を惜しんで、下準備もする。
休日があったって、休日じゃない。
自分が知らないことを知るため。
知ってることをもっと深めるため。
翔くんは仕事のために見えない努力することを嫌がらない。
そんな翔くんを僕は尊敬してる。


でも・・・ホントは・・心配も大きい。
自分の体を大事にすることを、忘れてしまうことがあるから。
元気でいられることが、この仕事の基本だと、僕は思ってる。

だから・・・もうちょっと・・ほんのちょっと。
自分の体を大事にして欲しい。



今夜も、リビングでパソコンの横に突っ伏して寝てる。
まだ、夜には肌寒いのに。






「翔くん、風邪ひくから。
ベッド、行こうよ?」

軽く揺さぶると目を覚ます。
パソコンの操作は僕にはわからないから。
そのまま蓋を閉じて。

翔くんをベッドまで連れて行く。
ちょっとだけ寝ぼけてる翔くんは素直に僕に手を引かれる。


「もっと体、大事にして」

そう、声をかけてベッドに寝かせる。
翔くんはベッドに入ると、逆に僕の手を引く。



「智くん、どこいくの?
智くんがベッドに誘ってくれたんだよ・・・ね?」




僕も翔くんに素直に手を引かれる。