俺がどうしても見つけられなかった智くんのサイン部分は・・
智くんの日記帳に挟み込まれていた。

破り捨てたけど、自分の気持ちは変わってないから、って。
智くんが持ち帰って保管してあった。


俺たちは二人でそれを貼り付けて。
ビリビリに破けた契約書は再生した。


「やっぱり・・・もう一回、新しいの作る?」

複雑そうな顔して、智くんが俺に尋ねた。
そんなこと言うけど、作ろうって言ったら、嫌がりそう。
いや・・新しいのは作って、このビリビリのを自分用に、って確保しそうか。


「作ってもいいけど・・
このビリビリに破った痕も、貼り付けた痕も・・
全部、俺たちがたどってきた道なんだから。
そのまま、とっておきたい、って俺は思うけど。
智くんはどう?
新しくて、全く傷がない方がいい?」

「僕も・・このままがいい。
僕の早とちりでこんなになっちゃって。
ちゃんと落ち着いて考えれば、収録が先だって分かったのに。
一回、落ち着いて考えろ!っていう、反省の意味も込めて。
このままにしたい・・な」

「うん・・じゃ・・
裏に新しくサイン入れようか?
貼り付けたテープの上から」

俺たちは油性ペンで、サインをした。



どれだけ、バラバラになっても。
何回、喧嘩したりしても。
やっぱり二人は離れられない・・離れない。

そんな気持ちを込めて。



智くんも・・同じように考えてくれていればいいな。
そう思いながら。






END