「これはね・・・」

翔くんが次に手にとったのは、ノート。
角のところなんか・・ボロボロ。
何が書いてあるか知らないけど・・
何回もページをめくったんだろう。
それだけ、何かを書き込んで。
何回も読み返して・・・ってノートなんだろう。

パラパラとページをめくりながら話しだす。


「これはね・・なんて言ったらいいのか・・
いわゆる夢ノートかな?」

「夢ノート?」

「嵐として活動しはじめても。
なかなかパッとしなくて。
後輩には追い抜かれる、頑張っても手応えがない。
そんな風に感じてた時期に書いてたノート。

こうなりたい、こんなことできるようになりたい。

翻って、じゃあ、今すべきことは?できることは?

って・・・書いてたノート。
今読むと・・ばかみたいなことばっかり書いてるけど」


「実現したことも・・ある?」

「あるよ!5大ドームのコンサートもそうだし。
国立でのライブとか。
海外でのコンサートとか!
冠番組とか!
今では・・この時の夢・・ほとんど叶ってるかも」


翔くんは表紙を撫でた。


「今でもね・・・初心、思い出すために、時々読み返してる。
若かった自分に出会って。
思い出すんだ。

あの時、頑張っても頑張っても・・頑張ったつもりでも・・
響かなかった、あの悔しさとか虚しさとか。

思い出せるんだ」


僕の日記と同じようなものなのかな。
泣き言も嫉妬も怒りも。
それこそ、自分の黒い感情全部、詰まってる・・・ような。