何も、答えられずにいたら・・
智くんが起き上がった。


「帰るね。ごめん。

自分が撮影終わって、休みがあるからって、押しかけて。
迷惑だったよね?

泊まっていってくれる?って言ってくれて。
それだけでも嬉しかったよ」

暗い中、ベッドから出ようとしてる。
ちゃんと智くんの顔が見たくって。
違うんだ!って、ちゃんと話しなくちゃって。
灯りを付けようとリモコンを探した。


「このままでいいから!」

智くんの鋭い声が俺に刺さった。
手に触れたリモコンが払われて。
手の先から飛んでいった。


「どうしたの?智くん?」

「迷惑・・・・だったんでしょ?
浮かれてた・・自分がバカみたい・・・」

「違うって!迷惑なんて・・思ったことないし!
泊まってほしいって、心の底から思ってる!

「僕が寝てて・・翔くん、ホッとしてたでしょ?
なかなか来なかったのも・・・先に眠らせるためなんじゃないの?

翔くんが忙しい時期に入ったって・・・知ってるから・・
僕・・ちゃんと待てるから。
大丈夫・・・だよ?そんな心配しなくても」


そんなこと言ってても。
声がなんとなく震えて・・・湿ってる。