智くんが先に寝室に行ってしまったあと。
なんとなく足が向かなくて。
のろのろと髪を乾かしたり。
歯磨きしてみたり。

やらなければいけないことを、探して探して。
それもなくなって。
結局は、行かなきゃならない。



もう、寝てるかな?

ベッドの端にそっと腰をおろした。
智くんがなんにも反応しないから・・・
もう、眠ったんだな。って。
なんとなくホッとした。


起こさないように。
そっと潜り込んだ。
智くんに触れるか、触れないか。
微妙に隙間を開けた。

今まで、なかったこと。

なんだろう?なんで、自分があんなにショックを受けたのか。
自分でも不思議で。


智くんが鍛えていたことは、知ってた。
でも・・背もあるし、ウェイトもあるし。
俺も鍛えはじめたし・・・
なんとなく負けない、って思ってた。


寝てた、と思ってた、智くんがゴロン、と横を向いた。
そっちを向いたら、目が合った。

薄暗い中でも、こんなに近いから・・・
ちゃんと表情も見える。



「僕・・・・泊まらないほうがいい?」