おかえり 

僕が翔くんに真っ先に言いたかった。
でも、日本に戻ってきて、そのまま仕事行ったから・・

きっと、他の誰かに言われてるだろうな。



そう思って、電話をかけた。
繋がった電話に一言目に

「おかえり」


会えないのは、リオにいても、東京にいても同じなのに。
同じ日付の同じ時間帯にいる。

それだけで・・近く感じる。




「ただいま」

飛行機の中での会話より、声も近い。



「待ってて」

今、翔くんと僕に必要なのはそれだけ。
マンションの前で降ろしてもらって。
そのままこっそり、タクシーを拾う。



あと、ホンの数分。


鍵を開けたら、部屋の中はもう明るかった。
靴を蹴飛ばすように脱ぎ捨てて。
駆け込んだ。

飛びつくように翔くんに抱きついて。
勢いがあったのはそこまで。



「おかえりなさい。
無事で・・・・よかった」