「涙の跡が残ってるのに・・
そんなこと、できないでしょ?

何か・・あったの?
俺でいいなら、話・・聞くよ?」

「しょうくん・・・」


絡めた指をするっと解いて。
翔くんは僕の涙の跡を・・指で辿った。

だって・・・
翔くんが・・・・



翔くんの指の後を涙が追っていった。
言葉の代わりに・・涙が出るなんて。

翔くんのことになると、気持ちが抑えられなくなる。


「っ・・・・しょ・・くんが・・・
ぼく・・・きらわれちゃった・・って・・」

「なんで・・?なんでそんなこと、考えちゃった?」

「目・・合わせてくれないし。
話しかけてもくれない・・・
バカバカしくって・・呆れられたかな・・って」

「あ~えっと・・・」


考えこむように、黙りこんで。
唇に指を当てた。

答えに悩んでる時の翔くんのクセ。
口がむにむにと動いてて。

きっと昔の爪を噛む癖の名残・・なんだろうな。
って・・眺めながら思う。


答え・・・なんで悩んでるんだろう?