翔くんの隣から立ち上がって。
楽屋から出ようとした。




でも、翔くんに手を引っ張られた。
振り向いたら、焦ったような顔の翔くん。


「智くん?何・・・考えてるの!?」

それはいつもの翔くんで。
僕の翔くんだった。


大きな目を瞠った翔くん。
僕の好きな顔。

ふと・・気づいた。
翔くんが僕を見る時に瞠る目と。
彼女の大きな目。
印象が似てる。

もしかして・・あの目で翔くんと同じように見てたのかも。



「翔くん・・・」

ちょっと・・安心できて。
腰を浮かせた翔くんの隣にまた、腰をおろした。

翔くんも僕のすぐ隣に腰をおろす。


「僕ね・・・翔くんのこと・・・
忘れそうになってた・・・・・」

翔くんの肩に頭を乗せると。
その途端に襲ってきた眠気。

ずっと・・・ちゃんと眠れてなかった分が、一気に襲ってきたみたいで・・

体が、自然と自分の楽な体勢を探す。
腰を前に、ギリギリまでずらして。
ソファーの背もたれと、翔くんの肩の間に頭を突っ込んで。

翔くんが何か、話しかけているのは、気づいてたけど・・
返事も出来ないまま。


眠ってた。