夢の通い路 31

ジュンさんが事務所に戻ったからか。
引っ越しもほぼ、終わったんだろう？といらしたようで。


まだ、細かいものは片付け終わってないけど。
生活はすぐにでもできるようになっていて。

今夜から、ここで寝泊まりすることになる。


「結界張るから。
塩と水、準備して」


白磁の小皿に塩を盛って。杯に水を張る。


白い正絹の敷布を広げた上にそれを置くと。
センセーは左手で印を結んで、呪を唱え始めた。


ほんの一瞬。
視界が揺らいだ。



センセーは何事もなかったように印を解いた。


「結界張ったけど・・・・この後の強化はニノがやるんだぞ。
ほっとくと、弱くなっていくから」

頷いた。
今はまだ、センセーのお力を借りないと、自分の身すら守れない。



バサっと装束の裾と袖を払って、センセーが座った。
真面目な・・陰陽師としての顔をしているから。
センセーに倣って、座った。


「ほんとは・・ニノに言ってないことがある」


深刻な顔をして。
なのに・・こっちを向いてくださらないから。
不安が生まれる。