眠ってはいるけれど、周囲の状況は把握している。
自分の部屋、っていう安心できる空間ではあるけれど。
カズ、という異質な存在があるから。
身に深く染み付いている警戒心は解けない。

カズが適当に選んだ服を着て。
オイラの方を意識を向けた。
警戒心が強くなる。

カズが近づいてきて。
また、警戒心が強くなって。

警戒するべき相手ではない、と分かっているのに。



フワっと・・
ほんの少しの風も、布団の重さも感じさせないように。
きっと、起こさないようにっていう気遣いなんだろう。
布団を掛けてくれた。

自分だって・・疲れきってるはずなのに。

そんな小さなことからも、カズの本性が分かる。

でも・・暑い。
布団を蹴飛ばして、足を出して。
腕も出して、躰を伸ばす。


カズも眠いんだろう・・
恥ずかしそうな声がして。
そっと、捲られた布団の中に入ってきた。

ちょっと離れていたのが、ちょっとずつ近づいて・・・
オイラの躰にカズの額が押し付けられたとき。



カズの意識が流れ込んできて。
その途端に無意識の警戒心は霧散して。


深い眠りに入り込んだ。