<ちょっと、買い物に行ってくる>


置き手紙は残してきたから。
すこしは時間が稼げるはず。



流しのタクシーを拾った。
行き先はホテル。


いざという時のために、調べておいた。


翔くんが僕の家に来る、って言った時のための、避難場所。
こんなに早く使うことになるとは、思ってなかったけど。



いつまで・・・逃げられるかな?
逃げてる僕を、追いかけてくれるのかな・・?
分からないけど。

それで翔くんが追いかけてこなくなったら・・・・
そこで、全てが終わる。



スマホの電源落として。
翔くんからの連絡が入らないようにした。



ごめんね。
翔くん。

僕に全ての非があって。
だから、待ってて、なんて言えなくて。

理由を言わないまま。
いつまで、翔くんは側にいてくれるだろう?

理由を話したら・・・・僕がしてたことを、翔くんが知ることになる。



翔くんは・・・僕のこと、軽蔑するだろう。

そして・・・・僕から離れて行くに決まってる。
謝ることはできても、許しを乞うなんて、しちゃいけないって、分かってる。
離れていくのが怖くて・・・・何も言えない。

翔くんが何もかも知っても、許してくれて。
前と変わらず、側にいてくれるかもしれない。
でも、それは・・翔くんを縛ることになりそうで・・・
そんなことはしちゃいけない・・とも・・・思う。



僕は卑怯で。狡い。
また、翔くんに全部、決めさせてる。