灯りがいきなりついた。
電気が復旧したみたいで。

エアコンが勢い良く働き始めた。
ベッドの上に、強い風が吹いてきて。
汗をかいている体が、急に冷える。


「寒っ!カズ、布団入るぞ!」


灯りを落としてなかったから、自分たちの醜態がハッキリと、見えて。



「おーのさん・・・・シャワーしてから、入りませんか?
このままじゃ、ワタシ・・安眠できませんから」

体中、いろんなものでベタベタで。
・・・確かに・・・シーツがベチャベチャになって・・・
寝心地が・・悪くなるだろうな。



「じゃ・・方舟から、降りて。
シャワー行くか?
カズ・・・歩ける?」

カズは、顔を真っ赤にした。

「平気ですってば!」

言葉は強気なのに。
ベッドから、下りて歩いて行こうとしたら、力が入らなくて。
立ち上がることもできない。


「ほら、無理すんなって」

カズを抱き上げて。
バスルームまで、連れて行く。



体も、気持ちもさっぱりさせて。
ベッドに戻る。


方舟の幻はすっかり消えて。
カズとオレはシーツに潜り込んだ。


部屋にベッドは二つあったけれど。
眠るために使ったのは、一つだけだった。





END