「もしも・・・・雨がこのまま、一週間降り続いて。
大洪水で、世界が滅びるって言われたら・・
今から、一週間、何して過ごしますか?」

淡々としていた。
面白がって、喩え話をしているだけでもなく。
ただ、オレの気持ちを試したいだけでもなく。

だから、かえって、なんと返していいのか、わからなくて。

逆に聞き返した。


「カズなら、一週間、どう過ごす?」

「そうですね・・・」

ちょっと、考えるように、視線落として。
神様みたいに外界を眺めた。
雨がそのまま川みたいになっている道を見下ろした。

それからまた、今度は、視線を上げた。
何かを思い出してるみたいに空を見上げた。
救いを求める哀れな人間みたいに。

全てを諦めているような目をして。


「ワタシは・・・何もしません。
いつもと同じ一週間ですよ。

仕事があるなら、仕事して。
食べ物がなくなったら買いに行って。
それができなければ、ゲームします」


何を見てるのか、分からない。
窓に置いた手の形に、痕が残る。


窓が冷えてるから?
後ろから、その手に自分の手を重ねた。

やっぱり・・・
指の先が冷たくなってて。
窓から引き離して、握りこんだ。
カズの小さめの手は、それでも、ちょっとだけ、オレの手に余るから。
指先を中に入れた。