「しょう・・くん・・?」

キッチンからリビングへ入ると、翔くんの顔が一気に明るくなって。


「智くん!」

昨日の勢いのままで、僕に近づいてきて。
思わず、ビクっとした。
昨夜・・無理やり・・・って・・思い出して。

怖い。
一瞬でも、そんな風に感じた自分が嫌だ。



「え?智くん?どうしたの?」

「ん・・・なんでもない。昨夜、よく眠れた?」

「眠れた・・・けど、帰ってきた記憶が全然なくて。
で・・・えっと・・・つかぬことをお伺いするんですけども・・・
俺・・・智くんと・・シタ・・んだよね?」



僕は、翔くんが褒めてくれる、最高の笑顔を作った。



つもりだったのに。


「智くん?なに?なんで泣くの?
俺が昨夜のこと、忘れちゃってるから?」


自分でも、分からない。
ツラかったのかも?
翔くんの気持ちが全然感じられないまま、抱かれて。

それが・・すごい嫌だったんだって・・・
痛みよりも、もっと・・苦しかったんだって・・・

今、気づいた。