イベントが終わって。
後輩グループ、スタッフ含めた打ち上げも終わった。


その帰り。
オレとカズは、自分たちで帰るから・・って、送りを断った。

カズが、なんとなく・・早く二人きりになりたそうだったから。


タクシーがいないか、チラチラと車の流れを見ながら、家に向かって、歩く。





「・・・おーのさん。手・・繋ぎたい」

ポツン、と、カズの口から出た言葉。
あ・・やっぱり。

イベントの時は、茶化してたのに。



「ほら。手、出して」

カズに手を差し出す。
指先が触れそうなところで、止められたカズの手。

なに、躊躇してるんだか・・

カズの手を取り、指も絡めて、キュっと握った。


「カズ、疲れてない?

大丈夫ならさ・・・このまま、デートしてこうか?」




たまたま見つけた小さな公園に入って、ブランコに揺られてみたり。
いつもと違うコンビニに寄って、おいしそうなパン、買ってみたり。



いつもは、通らない、歩かない、知らない道。


カズと二人で、歩くんだったら、きっとどんな道でも、デートコースになるから。
迷子だって、デートの醍醐味。

家の周りで1時間歩きまわって、迷子になっても、最終的にタクシー拾えばなんとかなるし。




オレの言葉に俯いたカズは、嬉しそうに、返事した。