「智くんは、智くん・・で。
俺の中に智くんは、一人しか、いないから」


「じゃあ・・・なんで、僕のこと、見ててくれないの?
僕が・・・抱かれてる時にまで・・なんで・・
サトシに嫉妬しなきゃいけないの・・・

なんで・・・なんでなの・・?
翔くん・・教えてよ。

僕のところに・・・ちゃんと、戻ってきてよ」



自分の感情を、めったに人にぶつけることがない人で。
俺にだって、めったに見せてもらえない。
それなのに・・・これほど、直接的にぶつけてくるなんて。

ようやく、俺に回された腕は・・震えていて。
拒否・・されてるわけじゃなくって・・
目が合わなかったのは・・智くんが、怖がっていたから。
そんなことに、ようやく、気づいて。

俺がしなきゃいけないのは、智くんを安心させて。
智くんが俺にとって、唯一無二の存在だって、分かってもらうことだって・・・
いまさら・・気づいた。




「俺には、智くんだけだよ。
どこにも、行ってない。
ずっと、俺は智くんだけ・・見てる。
目で追ってるのが、違ったとしても。
心が追ってるのは、智くんだけだから。

ごめん。
不安にさせて。

俺の気持ちは智くんの上にだけあって。
他には、行ってない。

今夜は、このまま、ずっと、抱いてるから。
智くんが、もういいって言うまで」