ようやく・・夢の中から、戻ってきた?
俺のことを呼ぶ、口調が変わって。
それでも・・・声の震えは、収まらない。


「しょう・・くん・・・だって・・・僕のこと・・

僕じゃなくて・・・サトシ見てた。
腕の中にいたのは、僕なのに・・サトシばっかり見てて。

僕・・・サトシになりたい。
翔くんに、見てもらえるなら・・追ってもらえるなら・・

・・・・サトシになりたい」


「俺が好きなのは、智くんだから。
そんなこと、言わないで」


「好きって・・言ってくれてても・・・
見てもらえる・・追ってもらえるのは、僕じゃない。

サトシになった方が・・ずっと・・

翔くんの心の中・・サトシがいるんでしょ?
僕が・・いなくなるくらい。
サトシが・・大きいんでしょ?」




夢からは・・戻って来られたようだけど。
まだ、俺の元には、戻ってきていなくって。

それどころか、永久に俺の元からいなくなってしまうかも・・・
そんな危うい感じの智くんになっていて。

いくら、智くんを見ていても。
目が合わない。
合わせてもらえない。
合いそうになると、スッと逸らされて。
心の内を見せてもらえない。

・・・拒否されてる。