リアルな夢だな、と、思ってた。
今まで、夢の中で同じようなことをしても、全然、違ってたから。

触れられたトコロがアツくなる感覚とか。
ふとした時に、強く香る翔くんの汗のニオイとか。
耳元で囁かれるときに、触れる、吐息とか。
繋 が った時の、圧迫感。
それが少しずつ、キ モチよさに変わっていく感じとか。
絶 頂 を迎 え たときの、感じとか。

何より・・大好きだよ。
って、言われた時の、耳に残る声とか。


自分のココロの中に、フシギな満足感があって。
夢から覚めた時の、喪失感がなくて。


昨日までだったら・・時間があれば、すぐに、薬に手を伸ばしてた。
今は、そんな必要がないほどに、満たされていて。


喉の奥がひきつれた感じがして。
自分が水分を欲しがってることに、気がついた。
水を飲みに行こうと、立ち上がろうとしたら・・
下半身の重苦しさを感じた。
覚えがある、重苦しさで。

昨夜のことは・・・・夢じゃ・・なかったの??


でも・・翔くんの姿はなくて。
いないのに・・
なぜだか、そのことに虚しさを感じることはなかった。


力が入らない、足を必死に動かして、リビングに行った。
翔くんのバッグが置いてあった。


やっぱり・・夢じゃなかった・・・の?


満たされた感じは・・翔くんが、いてくれたから・・なの・・?



その時、玄関で鍵を開ける音がした。
リビングのドアが開くと、翔くんがいて。


・・・そこで・・自分の愚かさに気がついた。

「あ・・・翔・・くん・・ごめん・・ワガママいって・・ごめんなさい。
忙しいのに・・僕が・・引き止めちゃったんだよね?」

翔くんの顔が見られなかった。
どんな顔して、僕のこと・・見てるのか。
知るのが怖くて。

ただ、立ちすくんでいたら。
近づいてきた翔くんが、フワッと、抱きしめてくれて。


「智くん・・・ごめん。
連絡・・したら、会いたくなって・・仕事ができなくなりそうだった。
話したら、離れられなくなって。
目があったら、抱きしめちゃいそうで。
智くんなら、わかってくれるだろうって・・甘えてた。
ごめん。
俺も・・会いたかった。
毎晩のように、夢に見てたよ」


翔くんも・・同じように・・思っててくれてたの?
力が抜けて・・立っていられなくなった。

「大丈夫?昨夜・・かなり・・無理したから・・」
ソファーに座らせてくれた。

昨日・・のこと・・
どこまでが夢?
どこからが現実?