二人で、オートロックを解除して、マンションに入る。
部屋までが・・遠く感じる。
二人とも、一言も発しなくて。



二人きりになれる空間に入って。





「翔くん・・・声・・聴かせて・・・・聴きたかった」


機械越しじゃなく、電波を通してじゃなく。
体温感じながら。
声と一緒に漏らされる、息を感じながら。

耳元で聴こえた、智くんの声。







「智くん・・・メール、ありがとう。嬉しかった」


ニュースを読む時とも違う、バラエティで笑ってる時とも違う。
僕だけが聴ける、声。
囁き声に近くて。
回された腕の力強さを感じながら。

耳の近くで聴こえる翔くんの声。
もっと・・・聴きたくて。




「翔くん・・・もっと・・・声・・聴かせて・・」