6月16日午後の阪急貸切公演を見てきました。
いつものように、何の予習もなく。
小説も読まず、初演も知らず、今回の公演を1回きりの観劇の感想です。
ポスター地味で。
お話も第二次世界大戦前のパリという不穏な時代で。
一体どんな公演なのかなあと、どちらかといえば、それほど期待に胸を膨らませて、という感じではなかったのですが。
よかったです。
とても。
番手とか関係なく、私は単純にお芝居として見てましたので、素直にいい作品だと思いました。
轟さんは18年?ぶりの再演だそうですね。
真彩ちゃんとは結構な年齢差が明らかにあるように見えましたが、この年齢差があることがよかったと思いました。
轟さんラヴィックの年齢設定はわかりませんが、若い役ではなく、中年の盛りぐらいではないですか?
この年齢を重ねた設定が、ラヴィックの落ち着き、キャリアへの自信、あきらめ、戸惑い、抑えられない恋愛、嫉妬などの感情に深みを与えていて、結果として悲劇性を強めていたように感じました。
若い娘との恋愛も、翻弄されることも、自分の感情がどうにもならないことも、共感できるというか、想像できます。
真彩ちゃんの奔放なキャラクターも秀逸。
嫌味にならないところは本人の持味なんでしょうか。誰にでもできる役ではありませんね。
あの時代背景で、若い女性一人で生きるんだから、あれくらいでいい。
今の世相が狭量すぎるのだと私は思っています。
だいもんは二人を見守る役で、ちょっと耐える役どころではありましたが、誠実で信頼できる友人でした。
登場人物の多くは不安で先が見えない中、ラヴィックとボリスの友情に心が温かくなりました。
あとは、
シュナイダー
フランソワーズ
ハイメ
ローゼンフェルト
アンリ
が印象に残っています。
脚本のすばらしさに加えて、謝先生の演出もすごくよかったと思います。
私のこれまでの凱旋門のイメージは、フランスを代表する観光名所ということぐらい。
でも、この公演を見た後は、凱旋門を眺めていたであろう人々にまで思いをはせることができそうです。
個人の力ではどうにもならない時代でも、それぞれの人生を懸命に生きた人々のことを。
そうそう、オープニングの舞台装置も素敵だった。
アールデコのおおきなドアにほのかに光が差し込むシーン。
一気に舞台の世界に引き込まれました。
思い返しても(忘れてることも多いけど)
心に残る、とてもいい公演でした。