二、三日前から雨が降り続いていました・・。
普通ならば幼稚園へ通っている年になった奈々子でしたが、通うお金がないため母親から教育を受けていました。
父親が帰ってこなくなってからというもの、生活の糧に、焼き物の色付けの仕事を請けて飢えをしのぐ生活を続けていましたが、貧しいながらも、幸せな毎日を奈々子は送っていました。
それは蒸し暑い夏の日の出来事です。数日間連続で降った雨も止んだのも束の間、夕方から再び激しい雨となりました・・。
母親は何やら感じるものがあるのでしょうか?夜になると、何やら落ち着きません。
奈々子と八重子は母親のそばで、いつものようにあや取りをして遊んでいました。
ドンっという音が聞こえたかと思うと、家が大きく揺れました。
母親は娘たちを抱え外へ出ようとした時、裏山の方からのすごい泥水が家の中の家族を襲ってきました。
「鉄砲水」。
家ごと押し流され、逃げる暇もなくアッというまにあたりは真っ暗になりました。