辛島美登里さんのサイレント・イヴをオマージュしたSSです。
曲と一緒に…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気怠げにベットから起き上がり、タバコを吸う背中を
ぼんやりとした意識の中で眺める。
夜はめっきり寒くなった。自分の身体に布団を引き寄せる。
「…ねぇ、」
クリスマスって、どうする?
この一言が、口に出せない。
なぜなら、答えがわかりきってるから。
「ん、何?」
「…、今度はいつ会える?」
ふぅっ、と煙を吐く。
「そうだな。再来週の木曜は?」
ーークリスマスの2日前、ね。
「うん、わかった。」
うん、わかってる。わかってた。
暗黙で決まってる、ニ週に一度の感覚。
いつもだったら、その日がクリスマスに重なるはずなのに…。
タバコの火を消して、彼がベットの中に戻ってくる。
「…、怒ってる?」
ズルい。
そんな顔で、ズルい。
「…、怒ってなんかないよ。」
ギュッと強く抱きしめられる。
「ゴメンな…。」
この人が、ズルいことなんてとっくの昔から知ってる。
それでも、離れられられないのは、彼以上にズルくて汚い、自分のせいだ。
「わかってる。」
目の前のこの人が、堪らなく好きだ。
でもそれと同じくらい、
温かいこの体温から離れられない自分が堪らなく嫌いだ。
この関係にゴールは無い。
ーーそう全部、わかってる。
薄暗い感情と一緒に、彼を抱きしめかえした。
**********
約束の木曜日の夜。
時間より早く着いた私は、ウィンドウショッピングで時間を潰す。
子供の頃、あんなに輝いていたはずの街イルミネーションは、大人になるにつれ寒々しく見える。
感性まで濁ってきたのかと、がっかりする。
待ち合わせ場所の大きなクリスマスツリー。
家族、恋人達。
私以外の誰もが幸せそうな顔に見える。
「パパ、ママみてー!雪がふってるよ!」
「さぁ、寒くなってきたしはやくお家に帰ろう。」
「そうね、クリスマスツリーの準備をしなきゃ。」
目の前を小さな女の子と若い夫婦が横切る。
女の子の母親は、自分と同じくらいの年齢だろうか。
彼女には、暖かで大切な帰る場所がある。
ーーー私は…?
ニ日後の二度目のクリスマス、彼は隣にいない。
「…、なにやってるんだろう…。」
ボソッと呟いたつもりだったのに、声は想像以上に震えていた。
頬に当たる風が酷く冷たい。
感覚の無い指先で、彼の番号をタップする。
『もしもし。悪い、今仕事が終わった。これから、』
「ごめん……、もうやめよっか。
彼女さん、大事にしなきゃ駄目だよ…?」
『…、は?ちょ、おいッ!』
真っ白な雪が、スマホの画面に落ちてじんわりと溶けていく。
好きな人の名前が映っている画面と一緒に
しばらくそれを眺めていた。
曲と一緒に…。
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気怠げにベットから起き上がり、タバコを吸う背中を
ぼんやりとした意識の中で眺める。
夜はめっきり寒くなった。自分の身体に布団を引き寄せる。
「…ねぇ、」
クリスマスって、どうする?
この一言が、口に出せない。
なぜなら、答えがわかりきってるから。
「ん、何?」
「…、今度はいつ会える?」
ふぅっ、と煙を吐く。
「そうだな。再来週の木曜は?」
ーークリスマスの2日前、ね。
「うん、わかった。」
うん、わかってる。わかってた。
暗黙で決まってる、ニ週に一度の感覚。
いつもだったら、その日がクリスマスに重なるはずなのに…。
タバコの火を消して、彼がベットの中に戻ってくる。
「…、怒ってる?」
ズルい。
そんな顔で、ズルい。
「…、怒ってなんかないよ。」
ギュッと強く抱きしめられる。
「ゴメンな…。」
この人が、ズルいことなんてとっくの昔から知ってる。
それでも、離れられられないのは、彼以上にズルくて汚い、自分のせいだ。
「わかってる。」
目の前のこの人が、堪らなく好きだ。
でもそれと同じくらい、
温かいこの体温から離れられない自分が堪らなく嫌いだ。
この関係にゴールは無い。
ーーそう全部、わかってる。
薄暗い感情と一緒に、彼を抱きしめかえした。
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約束の木曜日の夜。
時間より早く着いた私は、ウィンドウショッピングで時間を潰す。
子供の頃、あんなに輝いていたはずの街イルミネーションは、大人になるにつれ寒々しく見える。
感性まで濁ってきたのかと、がっかりする。
待ち合わせ場所の大きなクリスマスツリー。
家族、恋人達。
私以外の誰もが幸せそうな顔に見える。
「パパ、ママみてー!雪がふってるよ!」
「さぁ、寒くなってきたしはやくお家に帰ろう。」
「そうね、クリスマスツリーの準備をしなきゃ。」
目の前を小さな女の子と若い夫婦が横切る。
女の子の母親は、自分と同じくらいの年齢だろうか。
彼女には、暖かで大切な帰る場所がある。
ーーー私は…?
ニ日後の二度目のクリスマス、彼は隣にいない。
「…、なにやってるんだろう…。」
ボソッと呟いたつもりだったのに、声は想像以上に震えていた。
頬に当たる風が酷く冷たい。
感覚の無い指先で、彼の番号をタップする。
『もしもし。悪い、今仕事が終わった。これから、』
「ごめん……、もうやめよっか。
彼女さん、大事にしなきゃ駄目だよ…?」
『…、は?ちょ、おいッ!』
真っ白な雪が、スマホの画面に落ちてじんわりと溶けていく。
好きな人の名前が映っている画面と一緒に
しばらくそれを眺めていた。