この突然の軌道修正の本質は庶民の所謂エリート層への反発を逆手にとって利用したものだ。EUならばユーロクラット、日本であれば昨今流行りの財務省叩きである。世の中、初めから持つものと持たざるものに分かれているが、 問題は極一部の者達が自動的に勝ち上がるシステムになるよう築かれていたことだ。それが資本主義、自由経済という名のブロック経済だ。
近年、極限的な格差の実態が露わとなってきた事で立ち上がる群衆を統制する動きに出ているように思える。それがデマやフェイクニュースを利用したポピュリズム政治の実体である。EU官僚や財務省が世界を支配しているとは到底思えないが、移民による文明の衝突、実質賃金の低下、税負担、社会保障削減、雇用や将来への不安などによる不満が鬱屈した人々の反発の矛先として向けられているのだ。
危険思想が蔓延しはじめた世界を俯瞰すれば、ここ日本においてポピュリズムを追従することは賢い選択ではない。感情に訴えかけるだけで本質が改善されないカルト的ポピュリズム政治では、自らこの国を分断し、様々積み上げたものを一からやり直さなければならないほど破壊するのみである。そのような事態に陥れば、その先の世界では民主主義は否定され完璧に管理された監視社会が待ち受けているだろう。苦難の時代であっても先を急がず、現状を見据えて確実に綻びを修復していく事が正しい道であることは言うまでもないのだが、日本政府への信用が揺らいでいる今、MMTなどという経済ポピュリズムも蔓延り出しており、この行く先は私たちの示す選択が大きく運命を分けるだろう。
「人々は、真っ赤な嘘でも、繰り返し聞かされると、それを信じるようになる。嘘を長い間繰り返せば、人々はその嘘が政治的、経済的にもたらす結果に気づかなくなる。したがって政府にとっては、政府の主張に反する事実を抑圧することに全力を注ぐべきだ。真実は、政府にとって最大の敵である」
-ヨーゼフ・ゲッペルス-
ゲッペルスはナチスの宣伝大臣であったが、この洗脳を防ぐ方法はたった一つである。既にネットが重要な情報源である事は事実だが、多くに欠けているのはリテラシーである。常識を基点として、得た情報を鵜呑みにせず、あくまでも考えや知識の一つとして捉え、自ら確認する事が重要だ。今は情報の摂取法が簡易すぎて、確認に費やす時間を疎かにしている。それがSNSの落とし穴であり、事実そっちのけで共感により感情を揺さぶり、人々のリテラシーの低さにつけ込むという現代流プロパガンダの温床となっている。

