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「おれのターン!ドロー!おれは《朝焼武者 霧切》を召喚!」
《ATK:1300/Level:3》

「霧切の効果!デッキからカードをドローして、そのカードがモンスターカードなら召喚条件を無視して特殊召喚する!」

「コイツも運試しか…!!」

先日戦ったムサシのデッキの特徴といえば、その8割は運が絡むと言って過言ではないほどのギャンブル要素が強いフィールド魔法《華園の城》。引いたカードがモンスターでなければ攻撃もままならないという強力でありながらその効果は互いに発生する。
要は師が師なら弟子も弟子。狩也は思わず唇を噛んだ。

「ドロー!!━━へへっ!引いたのは《朝焼武者 天下》だ!コイツを特殊召喚するぞ!」
《ATK:1000/Level:3》

「レベル3が2体!来るか!」

「おれはレベル3の天下と霧切でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

真っ白な武士たちは真っ白な光となり亜空へ消えて行く。
そして現れたのは、巨大な鎧武者。

「いざ尋常に!《羅刹武者 丑三》ッ!!」
《ATK:1500/Rank:3/ORU:2》

その身の周りに炎を漂わせた鎧武者は巨大なのにどこか霊的な存在に思わせる不気味さだ。

「へへっかかってこいよ!」

慶太は余裕がありそうだ。だが隣の狩也はやはり顔をしかめている。
彼の予想が正しければ、このモンスターもなにかしらの運が絡む効果を持っているはずだ。

「丑三!!まずはキングプロテアに攻撃だ!」

「やらせねえ!!罠発動!《茨の盾(ソーンシールド)》!!これでお前はバトルする時に1000のダメージを受けるぜ!」

「速攻魔法《すり抜け》発動!アンデット族モンスターが攻撃する時、罠発動を無効にして破壊する!」

「マジかよ!?」

まさにすり抜けといった感じに茨に覆われた巨大な盾を通り抜けてきた。本当に幽霊のようだ。
そのままの勢いで振りかぶった丑三の刀がキングプロテアを一刀両断、花は無惨に散りその衝撃波が慶太に襲いかかってくる。

「うぉぉっ!?っ…なんだこれマジなダメージかよ!?」
《Kariya&keita LP:400》

「まだまだ!!丑三の効果!オーバーレイユニットを1つ使い、デッキからカードをドローする!そのカードがモンスターカードだった時にもう一度バトルできる!」
《ORU:1》

「なんだって!?」

マリーゴールドの攻撃力は1000、一方丑三は1500。攻撃を受けたら二人の負けだ。

「さぁて…ドロー!!」

コタローのドローで息を飲む。
そして━━、

「おれが引いたのは━━モンスターカードだ!」

見せつけられた《朝焼武者 騎馬》。まごうことなきモンスターカードだ、間違いない。

「ヤバイぜこれ…!!」
「……」

「もう一回バトルだ!丑三でマリーゴールドを攻撃!!必殺霊斬ッ!!」

幽霊武者が可憐な天使に斬りかかる。
これを受けたら負け。しかし慶太には伏せカードはあろうと防ぐ手は持ち合わせていない。

こればかりは敗北か…と諦めかけた。

その時、

「フィールド魔法《星の楽園-コズミック・パライソ》の効果発動ッ!!」
「狩也!?」
「フィールド上にコスモ・メイカーと名の付くモンスターが存在しない時、このカードを破壊しこのターン受けるダメージを半分にする!!ッ!!」
《Kariya&Keita LP:150》

星の楽園は崩壊したが、その崩壊によって二人はなんとか守られた。
ライフは首の皮一枚繋がった状態。それでも狩也は慶太を守って攻撃をなんとか耐えて見せたのだ。

「倒しきれなかったぁ!?」

丑三の効果が発動できるのはモンスターが存在している時のみ。三度目の攻撃はない。

「狩也!ありがとう!!」
「礼は後でいいだろ!今はデュエルに集中だ!」

「くっそぉ…!!ルルン、次は頼むぞ!」
「もっちろんよ!あんな奴らボコボコにしてやるわ!」
「よっしゃ!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
《Hand:4》

次は狩也のターン。
伏せカードを恐れず挑み、あのモンスターを突破すれば勝利は見えてくる。
だがターンを終えてルルンのターンが回ってくれば、また装備魔法によるコンボが発動してしまう。

狩也はこのターンで決めなければならない。

そのプレッシャーがあの時のドローと重なり合いそうになり、手が震えた。
あの時の、次のないドローが、あの男の声が、胸をざわつかせて息がつまりそうで、なにもかもが遠く感じていた中で、声は彼の名を呼んだ。

「狩也ッ!!」
「…!慶太…?」
「ビビってもいい、でも気負うな。デュエルに負けたっていい、でも一人でそれを抱え込むな。お前には今、俺が付いてるんだからな!」

その言葉は心を何重にも覆う壁を壊して響く。

今の狩也には慶太がついている。これほど心強いことはない。
何度も突き放してきた友は、何度でもその手を取ろうとしてきた。ならば、それに答えずしてなにが"親友"か。

「…あぁ!やってやろう!慶太となら、負ける気がしない!!」
「ヘヘッ!そうこなくっちゃな!」
「でも、負けたらお前が遊矢に謝れよ?」
「…それは二人ですべきだよな?」
「ははっまぁ、確かにな」

他愛もない会話、だがそれは狩也を落ち着かせるには十分だった。
指先をデッキトップに乗せ、目を閉じる。

このドローに絆を束ね、心を重ね合う。

「俺のターン、…ドローッ!!」

あまりに静かな一瞬、引いたカードは…。

「行くぞ!フィールド魔法《スターダスト・コロシアム》発動!!」

「あの時のフィールド魔法!」

最初のターンに手札に加えたフィールド魔法《スターダスト・コロシアム》が漸く発動し、公園は再び星が煌めく大空の中、旧き世界の闘技場の空間へ変貌した。

「《スターダスト・コロシアム》の効果!自分フィールドにモンスターが存在しない時、墓地のモンスターエクシーズ二体を攻撃力を0にし、効果を無効にして特殊召喚する!蘇れネヴラスカイ!キングプロテア!」
《ATK:0/ORU:0》

星の竜と花の女王がフィールドに舞い戻る。だが、ランクは7と5。これではレギオンエクシーズは行えない。

「魔法カード《星の瞬き》発動!キングプロテアをネヴラスカイと同じランクに変更する!」
《Rank:5→7》

「ランク7が2体!!」

「ランク7のネヴラスカイとキングプロテアをレギオンオーバーレイッ!!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!レギオンエクシーズチェンジ!!」

ランク7でのレギオンエクシーズ、しかしネヴラシエル・ドラゴンは召喚条件を満たしていない。
ならばなにが出てくるというのだろうか。

「大地に花咲き誇れ、空に星満ち輝け!その世界に今現れろ!《コスモ・メイカー ストレリチア・ドラゴンナイト》ッ!!」
《ATK:2600/Rank:7/ORU:2》

太陽を彷彿とさせる橙の花をあしらった冠を身に付けた騎士、そして彼が騎乗する星の翼の竜はネヴラスカイ・ドラゴン。
狩也と慶太のモンスターが一つになった姿は雄々しく力強い。

「ストレリチア・ドラゴンナイトは召喚成功時、相手モンスターの攻撃力を0にしこのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで倍にする!」
《ATK:0》
《ATK:5200》

「攻撃力が!!」

「バトル!!ストレリチア・ドラゴンナイトで《羅刹武者 丑三》を攻撃!!」

足りなかった分の攻撃力は効果で補填し、更には丑三の攻撃力をも下げた。
これが決まればダメージは5200で二人の勝利だ。

「させるかッ!罠《カラクリ幻想》発動!バトルする武者モンスターの攻撃力が相手より低い時、攻撃力を次のエンドフェイズまで入れ換える!!」

「そんな!!」
「これじゃあ返り討ちに…!」

しかも攻撃を中断しても、次ルルンのターンまで効果は続く。
狩也には手札がすでに残っていない。よって二人は逆転負けを食らってしまう。

しかしそうはさせない。高山慶太は、"相棒"が繋いだものを易々とは壊させはしない。

「カウンター罠《開花の時》!!モンスターの攻撃力が変化する効果が発動した時、全て無効にして攻撃力を元に戻すッ!」
「そのまま行け!!ストレリチア・ドラゴンナイト!!」

《ATK:2600》
《ATK:1500》

「うぐぅっ!!」
《Rurun&Kotaro LP:300》

慶太のファインプレーで丑三は破壊できたが、ライフが残った。
ルルンに怪しい笑みが溢れる。
何故ならば、手札には"三枚目のフロッグ"がすでにあるからだ。
これでコントロールを奪い取り、がら空きのフィールドにダイレクトアタックを決めてしまえば簡単に事は済む。

「さぁ!ターンエンドを━━!!」

「まだだッ!ストレリチア・ドラゴンナイトの効果発動!!モンスターを破壊した時、オーバーレイユニットを一つ使い攻撃力を半分にすることでもう一度バトルを行うッ!!」
《ATK:2600→1300/ORU:1》

「嘘…!!?」

竜の咆哮は大地を揺るがす、そして最後の攻撃の標的は定まった。

「これでトドメだッ!ストレリチア・ドラゴンナイトでダイレクトアタック!!」
「流星のブルームストリームッ!!」

「う、うそっ!?きゃあああッ!!」
「えっ!?ふごぇっ!?」
《Rurun&Kotaro LP:0》

花びらの集束体は星のごとき速さで容赦なくルルンとコタローを貫き、コタローはルルンに押しつぶされる。
それは同時に狩也と慶太の勝利であることも意味していた。

はぁはぁと息が上がった狩也はいまだに呆然としているが、慶太はお構いなしに彼に飛び付いた。

「やったな狩也!!」
「っおい!急にひっつくな気持ち悪い!」
「なんだよ~ホントは嬉しいんだろ?だろだろ~?」
「うるせえ…ンなわけねえだろ」

くっついてきた慶太をむりやり引き剥がす。

そして勝利したことでアミとレッカも解放されたらしく、アミは二人に駆け寄ってきた。

「狩也くん!慶太くん!」
「おっ!アミちゃん!」
「無事でよかった」
「二人とも、ありがとう!」
「いやいや~お礼なんて~!」
「顔に嬉しいって出てるぞ」
「えへへ…」

ともあれアミは無事だ、これで遊矢に土下座するような案件はない…だろう。きっと。

「い、ったぁーい」
「ルルン…重い…」
「まぁ失礼!レディーに重いだなんて」
「どいてくれ~」

攻撃を受けた時に尻餅をついたルルンがお尻を擦りながらコタローを下敷きにしていたらしい、下から呻くようなコタローの声が響き、ルルンはそれに対して猛抗議している。
そんな二人に少女は近づいてきた。

「ルルン、コタロー」

「…あぁら?裏切り者が、なにか用?」

「教えてもらいます。アダムとイヴはなにを企んでいるのですか。私には…神への復讐だけとは思えません」

リコードイミテーションの目的━━。
原罪を浄化し、神へ復讐すること。そのために人間を犠牲にして復讐の概念神まで用意した。
だが本当にそれだけか?彼らは神に抗うだけしか考えていないのか?そんなはずはない、なにか裏があるに違いない。
レッカは昔からそう感じていた。

「…さぁ…?でも、今にスゴイことが起きちゃうかも…?」

「スゴイ…?」

「ま、自力で考えてみなよ」

そう言い残してルルンはコタローごと消滅した。おそらく帰投したのだろう。

レッカは拳を固める。

"スゴイことが起きちゃう"

それらはきっと、世界になんらかの災厄を引き起こすのだろうと思いながら。


~~~


目が覚める。

あの悪夢も覚める。

全てが始まり、そして終わる。

━━歯車は動き出す。

「……托都は…」
「!遊矢、目が覚めたのか!」
「…アイツは、どこにいるんですか」
「……それは」

リンには言えない。しかし遊矢には解っていた。

なにもかも。

命を蝕む呪いも、消えた托都の行方も、白い男の正体も、全て眠りの中で知った。

「俺は…行かなきゃ、ならない」
「…死んでもか」
「いいや死ぬもんか」

エメラルドの輝きは眠る前よりも力強く、その先の"白き復讐"を見つめている。

「二人と一緒に帰ってくるんだ、絶対に。だから━━」

死は目の前だとしても、彼にはやらねばならない。彼しかできない。

「俺は、托都と戦う」

その宣言は、今はまだ届かない。





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【あとがき】

今回の一言「主人公補正の勝利」
主人公補正が強い方が勝つ(勝った)。そういうとこだぞ狩也。
所謂ギャンブルデッキにむちゃくちゃなくらい弱い狩也だけど普通のデュエリスト慶太が一緒になることで相殺している感。どっちにせよ攻められすぎである。

ルルンのデッキは「魔法人形」と書いてリリカルパペット。魔法でリリカルとか某監理局の白い悪魔かよ。
でもその実態はウザい&ウザい。ハマれば勝てるけど無効化されると為す術ないとかいう周りのチートに比べたらたしかに大したことないロマンデッキ感は否めない。ムサシは運命力の勝利
続いてコタローはムサシと同じ武者デッキ。ただこちらはモンスターが直接ギャンブルかましてくる模様。相手は巻き込まないとはいえこれには幸運値激低の狩也も激おこである。
ようやっと狩也と慶太も遊矢とヒカルみたく二人のモンスターをレギオンエクシーズしてくれたぜ!!俺とお前でオーバーレイ!(違う)
フィールド魔法がメインのデッキだったっけ?ってくらい狩也のコスモ・メイカー専用フィールド魔法が増える増える。まぁ全部狩也が創ったカードだから仕方ない。
遊矢が!!!喋った!!!!ホント出番ねえなお前!!なお次回も出番はない模様。
次回はヒカルが復活!!(2話ぶり)立ちはだかるのは…!?

次回ッ!!罠が潜む毒のフィールドでデュエル開始ッ!
ヴァイスの手により復活したヒカルは彼の手引きで城からの脱出を試みる。しかしそこに現れたのは原罪のイヴ。
彼女が張り巡らせた罠が潜むデュエルフィールドで命がけのデュエルが始まる━━!!

【予告】
未来を封じたのは完全な勝利。
これ以上ない絶望に侵された世界に明日を見出だせと、あの日失った誰かの声がした。
「立ち上がれ」
その言葉はメッセージ、彼方の先に見据えた平穏のための切り札。
記憶が途切れて霞んでも、忘れられないモノがそこにある。
第10話「白い狂気に渦巻く光(みらい)」


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ついに次回は第10話…物語も折り返しってところだな

くぁ~~!!すっごく楽しみだな!狩也!!

なにが?

そりゃあもう!俺達こっからも大活躍だろ?あー楽しみだ!

言っとくがお前のデュエルは今回で終わりだぞ

…えっ?