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TRIGGER.002「図書室の魔術師 園舞緋式」
――ピピピピピピピピ…カシャ
「……………」
また、遅刻か。
あれから三日、登校路関係か知らないけど奴等とはたまに顔を合わせるけど今のところ実害はない。目を合わせた瞬間に逃げ出すようになった。
氷樫は……俺に付きまとってくる。それに乗じてか、俺が氷樫を助けたなんて噂が流れ始めた。
学校に一気に居づらくなって来た。やっぱあんなコトするようなモンじゃねえな。
「はーぁ……」
「おはよう、遊紗ちゃん」
「…なんで起こしてくれなかったんだよお婆ちゃん…」
「あら?今日は幅木に行くんじゃなかったのかい?休みをとっていたじゃないか」
……そっか、今日は10月3日だったか…。
幅木山まで行かなきゃいけなかったんだよな…呆れた、そんなことも忘れてたのかよ俺。
「…支度したら行く」
「分かったよ、いってらっしゃい」
~~~
「冴之馬社長、先日のエネルギー反応のまとめです」
「ご苦労」
「栞遊紗、14歳、初音学園中等部所属の少年です。彼はある事件以前幅木市に在住していたようですが、その時点でデュエル経験はなし、こちらに移ってからも大会参加経験はなしになっています」
つまり、彼はデュエル初心者ということか。
しかし気になるのは……、
「幅木市の事件とは?」
「四年前の―――」
「あぁ、分かった」
確かにあれは凄惨な事故だった。四年前の事故生放映を見て現場にも行ったことがあったが…忘れられんな。
「彼と同じエネルギー反応は今までありませんでした」
「天使か」
「ですが、デュエル終了後からは彼からの反応は正常に戻りました。天使と断定するにはまだ早いかと」
「…天使…、彼らの存在には未だ謎が多い。今後、栞遊紗のデュエルは全てリアルタイムでモニターをこちらへ回せ」
「畏まりました」
栞遊紗……、エンジェリング召喚のオリジナル……。
~~~
――――幅木市、八木村
「……」
バスが来ない。かれこれ2時間は待ってるのに。
こんな時間から歩いたら日が暮れちまうしとにかく待ってよう。いずれ来る、いずれな。
ここまでじゃなかったけど、本当に田舎だな。
四年前まではここに住んでたんだし。
「四年、前………」
そう、四年前の今日起きた、凄惨な事故。ここから少し離れた場所にある幅木山の土砂崩れで多くの罪無き人々が死んでいった事件。
俺は毎年あの場所に行っていた。忘れないために、助かってしまった懺悔のために。
「おぉ?なにしてんだお前さん」
「えっあ、いやバスを…」
「ここのバスなら半年前に廃止されたよ。誰も使わんかったからなぁ」
「そう、だったんだ…」
なら撤去とかしとけよ……分かりづらいなぁ。
「行き先はどこだい」
「……幅木山の土砂崩れ現場です…」
「幅木山の……、乗りな」
「でも…」
「俺も幅木山に用があるんでな、近くまで送っていくよ遊紗くん」
「…………えっ」
~~~
「えっ、じゃああのおじさん?」
「おうよ。思い出したか?」
大河内さん。幅木に住んでた頃、よく遊びに行っていた大工の棟梁だ。
小学校帰りにはいつもこの人の昼飯貰ってたっけ。
「俺も分からんかったんだが、大きくなっちまって…傷は大丈夫か」
「……、まぁ」
「…………佳恵さんは元気かね?」
「うん、元気だよ…でも、卒業したら、出ていく」
「……そうかい」
負担もなにもない、きっと世話になったらなった分だけわかれる時は辛くなる。
「人にはな、大事なモンをまもらにゃならんこともある」
「…?」
「遊紗くんも、いつか分かる」
大事なものを守る…か。
これ以上、守るものなんて…。
――――、
――――――、
「ねえねえお母さん!」
「あら?どうしたの遊紗」
「おれの妹、お名前なに?」
「そうねえ…」
「遊紗の時は、女の子っぽくしてしまったから次は男の子らしくしようかな」
「あら、そんな風に思っていたの?」
「ははっ!冗談だよ、冗談!」
「じゃあおれがお名前つけてもいーい?」
「どうしようかしら、…じゃあ家族で一文字ずつ出して決める?」
「面白いな!それ!」
「じゃあおれは「い」ー!」
「お父さんは「お」、かな」
「じゃあ私は「な」にしようかしら」
「いおなー!」
「いおな…いおなちゃんかぁ」
「かわいらしいわね!」
「はやくうまれてこーい!いおな~!」
「ふふっ…あと3ヵ月よ、もうちょっとだけ―――」
――ドサッ……
「あら?」
「…?」
「……!!崩れてくるぞ!!」
「そんなっ……!」
「ぁ…!お父さん!お母さん!!」
気付いた時には、病院のベッドの上だった。
備え付けられてるテレビでは連日土砂崩れの話題、そして――、
被害者数百名のうち、生き残って病院に搬送されたのは俺だけ。
被害者たちの遺族、マスコミは目が覚める前から押し掛けてきたらしい。特にマスコミは現場をリアルに知っているたった一人の人物である俺を一年以上追いかけ回してきた。
遺族から出た言葉は……、助かった人がいてよかった、とか、なんでお前だけ、とか。
今考えたら頭がどうかしてたとしか思えない。
10歳の子供を、あんなに攻め立てて、一時期は……確かに俺もおかしくなっていたかもしれない。
「疫病神だったんだあの子供は!!」
「どうして息子が死んであんな死人みたいな子供が生きてるのよ!」
「ねえキミ!事故に遭った時、どんなことしてたの?」
「キミの話が聞きたいんだ!ぜひスタジオに来てほしいなぁ!」
「体の傷の写真、撮っても良いかな?」
「お父さんとお母さんは、死んじゃったんだ。キミの妹も、みんな」
逃げ出した。現実逃避。
―――――――、
「…い、おな………」
「ほら!起きろ~!」
「…!」
「ここまでくりゃ、歩いてすぐだ。待っててやっから行ってきなさい」
「あ、ありがとうございます…」
いつの間にか寝てたのか…。しかも着いてたなんて…おじさんに迷惑かけちまったな。
「………」
一年ぶりに、戻ってきたんだな。
「…、ただいま」
ちょうど車が走っていたあの場所。今でも自分が乗っていた白い車が土砂で潰れてた。
「俺さ、デュエルモンスターズってカードゲーム始めたんだよ」
デュエルをして、人助けをした。………。
「…、」
誰かを助ければ、また助けなければならないときが来る。その時、助けられなかったことを考えたら、
「人助けなんて…無駄だよな」
だから、ここに置いていくから。俺の成長の証。
「さよなら、また来年来るからな」
成長はここで終わり、後は、止まるだけだ。
~~~
「ふぁ~~!疲れた!」
「なにもやっていないのにか」
「ご挨拶だな……なにもしてないわけじゃない。むしろお前が町に居る間、幽霊屋敷だなんだと言われて遊びに来たバカ達を撃退しているのは俺なんだからな!」
「お前はだんだんアイツに似てきたな…」
…そっか、似てきちゃうほどか。
そう言われる間はアイツのこと忘れてないんだよな、つまりは。
「外に出る云々の事についてなんだが…、提案がある」
「えっ?」
珍しく提案とか言い出すから、一体なにを考えてるんだこの狗は……。
「俺自身、お前がここにいるのは問題があると思う」
「…で?」
「この前来た中学生の、あそこに通う気はあるか?」
「…………はい?」
~~~
――キーンコーンカーンコーン
「ねえ見て、栞くんよ」
「後輩のこと助けたんでしょ?」
「アイツ意外と良いところあったんだなぁ」
「………」
憂鬱だ。周りの連中の声がうっとおしい。
「はぁ…」
「おい栞ぃ」
「氷樫のコト知らねー?」
「知ってるよな?なっ?」
「………」
ヘラヘラ笑いやがって、ふざけんなってーの!!
「クソッ!」
「あ、おい待てよ!」
ざけんな!どいつもこいつも一々俺に付きまとってくんじゃねえよ…!
「…!」
ここは……。
――バタン!
「…図書室か」
ここなら見つからずに居られるかも…一番奥に隠れてみるか。
「?」
ステンドグラス…?こんな場所に不釣り合いっつーか、なんというか。しかも窓じゃないし、ただの壁にこんな加工して…どういう意図が。
「っうぁ!?」
透けた!!?つか抜けた!!?
「…ぁえ…?」
「………おや、これまた随分と、小生意気そうなお客さんがやってきたな」
……人間、だよな…?
「アンタは……」
「俺?あれ、知らない?」
「知るかよ…」
「ふっ…園舞緋式、歴史が好きなただの変わり者だ」
……ただの変わり者ってつまり変わり者だよな?確かに、不思議な雰囲気は…するな。
「君、ここに来たということは…あのステンドガラスが見えるのか」
「見えるって…あんなでかかったら……それに、ここの本、図書室にあるわけない…古いものばっかり…?」
図書室なら、全て電子書籍…ここにあるのは、自分で読むものばかり、しかも紙質が明らかに違う。
「そうだ、秘密の部屋なんだから当然だろう?」
「秘密の…部屋?」
「その前に、自分の名を名乗ったらどうだ?俺だけなのはフェアじゃない」
「…栞遊紗」
「遊紗か、よろしく後輩」
…!制服…青ってことは三年生……先輩だったのか。
「ま、ゆっくりしていくといいよ。どうせ誰も来ないし」
そ、そうだ!ここは本当にどこなんだ!?秘密の部屋ってなんだ!?
「…まだ質問に答えてないです」
「おや、敬語も使えるのか、偉いな」
……非常にバカにされてる、なんだ、このイラつきは…。
「うーん…俺も詳しくは知らないからなぁ」
「ええっ!?」
「気にすることじゃないさ、誰も見えはしないから」
「……………」
なんだか、楽観的な人なんだな。今一つよくわかんねえ…。
「ところで、君は天使という種族を知っているかい?」
「…天使って神話とかに出てくる?迷信ですよね、アレ」
「実在するんだよ天使は」
なに言ってるんだこの人。そんな、神話に出てくるあんな意味わかんねえ翼が生えた全裸の子供が実在するとでも…。
「姿は神話と異なるだろう、でも、決めつけるのは君の悪い癖じゃないか?」
「なっ…!!」
「俺は変わってる、頭が柔軟とまでは言わないけど、だからこそ言うんだよ。君は…過去に辛いことはなかった?」
……コイツ……、ふざけんな…!
「誰が!!」
「分からないか、逃げてばかりじゃなにも始まらないんだよ。…知り合ったばっかりの俺に言われたら、おしまいかもしれないよ?」
「……そんなこと…」
「じきに君自身が話してくれる、だから、少し付き合ってくれないか?」
~~~
「いっただっきまーす!」
「…」
「ほら、食事の前にはちゃんと言わないと」
「ふんっ」
「…あー、嫌われたなこりゃ」
…コイツ、さっきまでの雰囲気と全然違うじゃねえか。普通のイイコチャンってやつ?
むしろあの雰囲気はなんだったんだ…?思わず、言ってしまいそうになったというか…コイツの雰囲気に飲まれそうになった……。まるで、魔法使いの魔法みたいな…。
「俺は魔法使いなんかじゃない、」
「…口に出してたか……」
「いーや?カンだ、カン」
「なんだそれ」
「薄々君のことは分かってるんだ、でも、君が語るまでは口に出さない。当然だろう?それが人の信頼のカタチだ」
「………」
「ほら、笑顔だ。笑顔」
「…別に」
なにが信頼のカタチだよ、そんなん、俺には関係ないし。
「そんなの、にあわな―――」
「よお、お仲間引き連れて楽しそうだな」
「…!」
屋上入口の上に…人……?制服は先輩…だな。
「…やぁ、そっちこそいつも通りのぼっちじゃないか――凪鎖シュウ」
「凪鎖…シュウ?」
「はぁ?ぼっちじゃねえ、言ってんだろ。弱い人間ほど、よく群れるんだよ」
っ!!アイツ、なにか凶器か!?持ってる…!
「今日こそ、決着をつけさせてもらう!園舞緋式!!」
「………」
「あぶねえ!!」
「…!」
な、な、いきなり攻撃してくるとか…アイツ正気か!?あんなの刺さったら死ぬだろ…!
「庇うなんて危ないよ、下がって」
「ざけんじゃねえ、命がかかってんのは見れば分かんだよ。下がるのはアンタの方だ」
「遊紗……」
「というわけだ、凪鎖シュウ…だったか。相手は俺だ」
「…上等だ、結局見られたからには始末するつもりだったが…手間が省けそうだ」
……相手は凶器を持ってる…、不利なのは明らかに俺の方…なら、デュエルに持って――――あ、しまった…、デッキは……。
「っ~…よそ見してんじゃねえ!」
関係あるか!物理的に沈めてやれば良い話じゃねえか!!
「チッ…かわしたか」
「んなもん受けたら死ぬだろうがよ」
「よく分かってんじゃねえか、人間」
「…………」
アイツの凶器は大きい、降り下ろした瞬間、鳩尾に蹴りを入れる……完璧だ。
「次は外さねえ」
「おあいにくさま、次は俺が当てに行く」
「………」
要するに………、
「「(当たった方が負け―――!!)」」
「はい!そこまで!」
「…!」
誰だ?女子…?見慣れない制服だけど、高等部?
「ダメでしょ、学校で凶器振り回したりしたら。君も、暴力はいけないよ」
「…はぁ…」
なんか……口には出せない恐ろしさを感じる…女だからか?
「あ、自己紹介……。高等部二年生、今日から転入してきた灯櫂祈里です、よろしく………て、あれ?」
「空気読めねえ女だな」
「ホントないわー」
「ひ、ひどーい!お姉さんのが年上なんだからなー!」
……あれ?低い声……誰かに似てる。
「全く、そんなに喧嘩の続きがしたいならデュエルでしなさい!」
「…へえ、お前、デュエルもやるのか」
「えっ…いや、今日はデッキを………アンタ、」
「これでしょ、君のデッキ」
シルバーアイスが…帰ってきた……。
この人、どうやってこれを…風で飛ばされなかったのか…。
「…さて、デュエルだが…形式は選ばせてもらうぜ?」
「形式?」
「スタンディングデュエル、アクションデュエル、アリーナデュエル…三択で決められるんだよ」
「そうなのか」
スタンディングデュエルっていうのは普段やってるデュエルだよな?アクションデュエルってなんだよ、動くのか?
「…そうだな、アクションデュエルでデュエルだ!」
「はぁ!?」
緋式センパイもコイツもそこの女も、みんな読心術かなにか使えるのかよ……。
「要は体を動かしたいのかな?」
「バカみたいな理由で命を狙われるとは…」
「うるせえ、てめえの腕を試させてもらうぜ」
「上等だ。俺は栞遊紗、アンタを必ずぶっ倒す!!」
「そうか。じゃあ…遊紗、その口がいつまで叩けるか、楽しみにしててやるよ!」
~~~
「なぁなんの騒ぎだよ」
「なんだお前知らないのかよ」
「凪鎖先輩と栞くんがデュエルするらしいよ!」
「マジかよ~!」
「超やばそうじゃん」
………うわー…気持ち悪いくらい人が集まりやがった…。
「アクションフィールドか…どうしよう……!!よし、二人とも!準備できてる?」
「「もちろん!」」
「なら始めるよ!アクションフィールド・オン!《鏡の里》発動!」
アクションフィールド……緋式センパイが「とにかく動き回れ」とかなんとか言ってたけど、……大丈夫か?
考えてても仕方ねえ、要は勝てば良いんだろ、勝てば。
《Field set DUEL standby》
「いくぞ!」
「「デュエル!!」」
~~~
「アクションフィールドのセッティングを許可、場所は……初音学園です!」
「やはりか」
「冴之馬社長、いかがなさいますか?」
「映像をこちらに回せ、エンジェリング召喚は…この目で確認する」
~~~
「先手必勝、俺のターン!俺は《潮凪の魔術師 アクア》を召喚!」
《ATK:1300/level:3》
潮凪……自分の名字入ってんのな……。
「まずは様子見だ、ターンエンド。いくぞアクア!」
《hand:4》
「ちょっ…!!」
動き回るって、そういうことかよ!!
アクションフィールド内を駆け巡ってのデュエル、だからアクションデュエルか…おもしれえ…!!
「俺のターン、ドロー!」
動くなら素早いやつだよな、なら!
「俺は《Si-グランドフェンリル》を召喚!」
《ATK:1700/level:4》
「シルバーアイス……?」
「あんなん見たことねえ!」
「初めて見るカードだぁ!」
「…遊紗先輩…!」
「春子、秋子、なんの騒ぎ?」
「遅いよゆかり!」
「ほら知らない?うちのクラスの…」
「……栞くん?」
モンスターがこんな風に実体化を…!!よく見たら周りもリアルだし、すげえ……。
「よし、グランドフェンリルの効果発動!手札の魔法カードを一枚墓地に送り、相手モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで0にする!」
「チッ…!」
《ATK:0》
「行け!グランドフェンリルでアクアに攻撃!アイススマッシュ!」
攻撃力の差は1700!決まれば半分近く持っていける!
「…!!アクションマジック《回避》!バトルを無効にする!」
「アクションマジック!?」
「俺がただ、闇雲に走り回ってるとでも思ったのかよ!アクションカードもアクションデュエルにおける勝利への鍵、そんなことも知らねえのか!」
アクションマジック…知らなかった……それに、この鏡張りのフィールドで本物のカードを見つけ出せるほどの視力があるのか……。
走り回りながらアクションカードを拾って味方につける、それならあの森の中に…!
「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
《hand:3》
《ATK:1300》
「アクションデュエルやったことなかったんだね、あの子」
「少しは教えてあげたけど、アクションカードについては…」
「結構意地悪なんだ…君」
俺が知らないデュエル…でも、さっきのアイツの話でだいぶ理解できた。もう驚いたりはしない!
「俺のターン!!俺はチューナーモンスター《水素の剣士 ウォーター》を召喚!」
《ATK:1500/level:4/tuner》
「チューナーモンスター!!」
「お前みたいな初心者にはコイツだけで十分だ!俺はレベル3のアクアにレベル4のウォーターをチューニング!」
あれがシンクロ召喚…!初めて見る気がする……。
「白波の剣士よ、風纏いて闇夜を裂け!シンクロ召喚!《白風の剣士 ダイヤモンド・ダスト》!」
《ATK:2300/level:7/Synchro》
「シンクロ使いなんだ、アイツ」
「まぁ…」
「シンクロモンスター…だが…!」
森の中なら、時間は稼げる!早く…!!
「時間稼ぎのつもりか……、ダイヤモンド・ダストでグランドフェンリルを攻撃!アクアフォースショット!」
どこか、アクションカードは…!!
「(あった…!!)よし、アクションマジック《バーストブレイク》!戦闘による破壊とダメージを無効にし、相手モンスター一体を破壊する!」
「なるほど、うまいな。だがこっちにもあるんだよ、アクションマジック《ミラー・バリア》発動!カード効果による破壊を無効にする!」
さっき発動してから移動する時にまた手札に加えてたのか……てことはアイツ、アクションデュエルに手慣れてる…!
「俺が無効にしたのは破壊だけ、攻撃は確かに無効にされた。だがな、ダイヤモンド・ダストの効果発動!相手にバトルダメージが与えられなかったターン、もう一度攻撃することができる!」
「なに!?」
「さぁバトルだ!ダイヤモンド・ダストでグランドフェンリルに攻撃!!」
アクションカード……!またどこかに落ちてないのかよ…!
「!うぁぁっ!」
《Yusa life:3400》
「強い…」
「さすが凪鎖先輩よね!!」
「栞くん初心者なんでしょ?」
「勝てないよねー!」
強い…攻撃が失敗したらまた攻撃してくるモンスターか、厄介だな……。でも、
「罠発動《シルバーアイス・サーチ》!バトルによって【Si-】と名のつくモンスターが破壊された時、デッキからレベル4以下の【Si-】を手札に加える。俺が手札に加えるのは《Si-閃光のアマテラス》だ」
「また聞いたことのないカードか」
アイツがシンクロを使うなら、俺だって使ってやるよ。俺だけの召喚方法―――エンジェリング召喚を――!!
「まだまだ、勝負はここからだ!!」
3話へ続く
==================
【あとがき】
今回の一言、「権現坂「えっ」」
アクションデュエル難しいですね!!慣れたら簡単になりそうだけど。多分動きは現在形で説明するより過去形で説明した方がいい。
色々と詰め込みすぎた、多分遊紗は緋式に対して第一印象最低だと思われる。シュウもだけど。特に過去を詮索してくる奴はとことん嫌うんだろうなぁ……みたいな感じです。
祈里ちゃん……一体どんな女の子なんだ……女の子?前提としてまず女の子なの?(錯乱)多分女の子じゃないかな?(KONAMI感)
何気にチラッと托都いたけどまぁ気にすんな。
Museより先に更新とかなに考えてんだ聖桜とか言われそう、ごめんね、思い付いたら書くから。普段思い付かなかったら放置だし。気にしたらすでに負けてる。
アクションデュエルはとりあえず難しいとだけ報告な!
次回!!白銀VS白凪!!激戦化する二人の戦いに運命は大きく動き出す…!
シンクロ召喚を操るシュウに対し、エンジェリング召喚で対抗する遊紗。激しいデュエルの中、二つの野望が目を覚ます……。
【予告】
シュウが操るシンクロ召喚、そして不馴れなアクションデュエルルールに悪戦苦闘する遊紗はエンジェリング召喚を成功させ、反撃に出る。
激しいデュエルの最中、ユートリアコーポレーション、そして双璧を成すもう1つの野望が目を覚まし、運命は大きく動き始める。
白銀と白凪のデュエル、その先には衝撃の結末が待っていた…。
次回!第3話「交差する白き光」
【本日のカード紹介】
《白風の剣士 ダイヤモンド・ダスト》
読み→シラカゼノケンシ ---
ATK:2300/DEF:2000/level:7/水属性/戦士族/シンクロ
①チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上。
②このモンスターが攻撃したターンのバトルフェイズ時、相手プレイヤーにダメージを与えられなかった場合、もう一度攻撃を行うことができる。
③このモンスターが墓地に送られた時、デッキから戦士族モンスターを1体手札に加えることができる。
『作者からのコメント!』
シュウの使うシンクロモンスターです!
再度攻撃やデッキからの戦士族サーチなど、汎用シンクロでならわりと活躍できそうなやつ?
次回コイツがどんな活躍を見せるのか、皆さんお楽しみに!!
※深夜0時~5時までのコメントや読者登録はマナー違反です。おやめください。
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TRIGGER.002「図書室の魔術師 園舞緋式」
――ピピピピピピピピ…カシャ
「……………」
また、遅刻か。
あれから三日、登校路関係か知らないけど奴等とはたまに顔を合わせるけど今のところ実害はない。目を合わせた瞬間に逃げ出すようになった。
氷樫は……俺に付きまとってくる。それに乗じてか、俺が氷樫を助けたなんて噂が流れ始めた。
学校に一気に居づらくなって来た。やっぱあんなコトするようなモンじゃねえな。
「はーぁ……」
「おはよう、遊紗ちゃん」
「…なんで起こしてくれなかったんだよお婆ちゃん…」
「あら?今日は幅木に行くんじゃなかったのかい?休みをとっていたじゃないか」
……そっか、今日は10月3日だったか…。
幅木山まで行かなきゃいけなかったんだよな…呆れた、そんなことも忘れてたのかよ俺。
「…支度したら行く」
「分かったよ、いってらっしゃい」
~~~
「冴之馬社長、先日のエネルギー反応のまとめです」
「ご苦労」
「栞遊紗、14歳、初音学園中等部所属の少年です。彼はある事件以前幅木市に在住していたようですが、その時点でデュエル経験はなし、こちらに移ってからも大会参加経験はなしになっています」
つまり、彼はデュエル初心者ということか。
しかし気になるのは……、
「幅木市の事件とは?」
「四年前の―――」
「あぁ、分かった」
確かにあれは凄惨な事故だった。四年前の事故生放映を見て現場にも行ったことがあったが…忘れられんな。
「彼と同じエネルギー反応は今までありませんでした」
「天使か」
「ですが、デュエル終了後からは彼からの反応は正常に戻りました。天使と断定するにはまだ早いかと」
「…天使…、彼らの存在には未だ謎が多い。今後、栞遊紗のデュエルは全てリアルタイムでモニターをこちらへ回せ」
「畏まりました」
栞遊紗……、エンジェリング召喚のオリジナル……。
~~~
――――幅木市、八木村
「……」
バスが来ない。かれこれ2時間は待ってるのに。
こんな時間から歩いたら日が暮れちまうしとにかく待ってよう。いずれ来る、いずれな。
ここまでじゃなかったけど、本当に田舎だな。
四年前まではここに住んでたんだし。
「四年、前………」
そう、四年前の今日起きた、凄惨な事故。ここから少し離れた場所にある幅木山の土砂崩れで多くの罪無き人々が死んでいった事件。
俺は毎年あの場所に行っていた。忘れないために、助かってしまった懺悔のために。
「おぉ?なにしてんだお前さん」
「えっあ、いやバスを…」
「ここのバスなら半年前に廃止されたよ。誰も使わんかったからなぁ」
「そう、だったんだ…」
なら撤去とかしとけよ……分かりづらいなぁ。
「行き先はどこだい」
「……幅木山の土砂崩れ現場です…」
「幅木山の……、乗りな」
「でも…」
「俺も幅木山に用があるんでな、近くまで送っていくよ遊紗くん」
「…………えっ」
~~~
「えっ、じゃああのおじさん?」
「おうよ。思い出したか?」
大河内さん。幅木に住んでた頃、よく遊びに行っていた大工の棟梁だ。
小学校帰りにはいつもこの人の昼飯貰ってたっけ。
「俺も分からんかったんだが、大きくなっちまって…傷は大丈夫か」
「……、まぁ」
「…………佳恵さんは元気かね?」
「うん、元気だよ…でも、卒業したら、出ていく」
「……そうかい」
負担もなにもない、きっと世話になったらなった分だけわかれる時は辛くなる。
「人にはな、大事なモンをまもらにゃならんこともある」
「…?」
「遊紗くんも、いつか分かる」
大事なものを守る…か。
これ以上、守るものなんて…。
――――、
――――――、
「ねえねえお母さん!」
「あら?どうしたの遊紗」
「おれの妹、お名前なに?」
「そうねえ…」
「遊紗の時は、女の子っぽくしてしまったから次は男の子らしくしようかな」
「あら、そんな風に思っていたの?」
「ははっ!冗談だよ、冗談!」
「じゃあおれがお名前つけてもいーい?」
「どうしようかしら、…じゃあ家族で一文字ずつ出して決める?」
「面白いな!それ!」
「じゃあおれは「い」ー!」
「お父さんは「お」、かな」
「じゃあ私は「な」にしようかしら」
「いおなー!」
「いおな…いおなちゃんかぁ」
「かわいらしいわね!」
「はやくうまれてこーい!いおな~!」
「ふふっ…あと3ヵ月よ、もうちょっとだけ―――」
――ドサッ……
「あら?」
「…?」
「……!!崩れてくるぞ!!」
「そんなっ……!」
「ぁ…!お父さん!お母さん!!」
気付いた時には、病院のベッドの上だった。
備え付けられてるテレビでは連日土砂崩れの話題、そして――、
被害者数百名のうち、生き残って病院に搬送されたのは俺だけ。
被害者たちの遺族、マスコミは目が覚める前から押し掛けてきたらしい。特にマスコミは現場をリアルに知っているたった一人の人物である俺を一年以上追いかけ回してきた。
遺族から出た言葉は……、助かった人がいてよかった、とか、なんでお前だけ、とか。
今考えたら頭がどうかしてたとしか思えない。
10歳の子供を、あんなに攻め立てて、一時期は……確かに俺もおかしくなっていたかもしれない。
「疫病神だったんだあの子供は!!」
「どうして息子が死んであんな死人みたいな子供が生きてるのよ!」
「ねえキミ!事故に遭った時、どんなことしてたの?」
「キミの話が聞きたいんだ!ぜひスタジオに来てほしいなぁ!」
「体の傷の写真、撮っても良いかな?」
「お父さんとお母さんは、死んじゃったんだ。キミの妹も、みんな」
逃げ出した。現実逃避。
―――――――、
「…い、おな………」
「ほら!起きろ~!」
「…!」
「ここまでくりゃ、歩いてすぐだ。待っててやっから行ってきなさい」
「あ、ありがとうございます…」
いつの間にか寝てたのか…。しかも着いてたなんて…おじさんに迷惑かけちまったな。
「………」
一年ぶりに、戻ってきたんだな。
「…、ただいま」
ちょうど車が走っていたあの場所。今でも自分が乗っていた白い車が土砂で潰れてた。
「俺さ、デュエルモンスターズってカードゲーム始めたんだよ」
デュエルをして、人助けをした。………。
「…、」
誰かを助ければ、また助けなければならないときが来る。その時、助けられなかったことを考えたら、
「人助けなんて…無駄だよな」
だから、ここに置いていくから。俺の成長の証。
「さよなら、また来年来るからな」
成長はここで終わり、後は、止まるだけだ。
~~~
「ふぁ~~!疲れた!」
「なにもやっていないのにか」
「ご挨拶だな……なにもしてないわけじゃない。むしろお前が町に居る間、幽霊屋敷だなんだと言われて遊びに来たバカ達を撃退しているのは俺なんだからな!」
「お前はだんだんアイツに似てきたな…」
…そっか、似てきちゃうほどか。
そう言われる間はアイツのこと忘れてないんだよな、つまりは。
「外に出る云々の事についてなんだが…、提案がある」
「えっ?」
珍しく提案とか言い出すから、一体なにを考えてるんだこの狗は……。
「俺自身、お前がここにいるのは問題があると思う」
「…で?」
「この前来た中学生の、あそこに通う気はあるか?」
「…………はい?」
~~~
――キーンコーンカーンコーン
「ねえ見て、栞くんよ」
「後輩のこと助けたんでしょ?」
「アイツ意外と良いところあったんだなぁ」
「………」
憂鬱だ。周りの連中の声がうっとおしい。
「はぁ…」
「おい栞ぃ」
「氷樫のコト知らねー?」
「知ってるよな?なっ?」
「………」
ヘラヘラ笑いやがって、ふざけんなってーの!!
「クソッ!」
「あ、おい待てよ!」
ざけんな!どいつもこいつも一々俺に付きまとってくんじゃねえよ…!
「…!」
ここは……。
――バタン!
「…図書室か」
ここなら見つからずに居られるかも…一番奥に隠れてみるか。
「?」
ステンドグラス…?こんな場所に不釣り合いっつーか、なんというか。しかも窓じゃないし、ただの壁にこんな加工して…どういう意図が。
「っうぁ!?」
透けた!!?つか抜けた!!?
「…ぁえ…?」
「………おや、これまた随分と、小生意気そうなお客さんがやってきたな」
……人間、だよな…?
「アンタは……」
「俺?あれ、知らない?」
「知るかよ…」
「ふっ…園舞緋式、歴史が好きなただの変わり者だ」
……ただの変わり者ってつまり変わり者だよな?確かに、不思議な雰囲気は…するな。
「君、ここに来たということは…あのステンドガラスが見えるのか」
「見えるって…あんなでかかったら……それに、ここの本、図書室にあるわけない…古いものばっかり…?」
図書室なら、全て電子書籍…ここにあるのは、自分で読むものばかり、しかも紙質が明らかに違う。
「そうだ、秘密の部屋なんだから当然だろう?」
「秘密の…部屋?」
「その前に、自分の名を名乗ったらどうだ?俺だけなのはフェアじゃない」
「…栞遊紗」
「遊紗か、よろしく後輩」
…!制服…青ってことは三年生……先輩だったのか。
「ま、ゆっくりしていくといいよ。どうせ誰も来ないし」
そ、そうだ!ここは本当にどこなんだ!?秘密の部屋ってなんだ!?
「…まだ質問に答えてないです」
「おや、敬語も使えるのか、偉いな」
……非常にバカにされてる、なんだ、このイラつきは…。
「うーん…俺も詳しくは知らないからなぁ」
「ええっ!?」
「気にすることじゃないさ、誰も見えはしないから」
「……………」
なんだか、楽観的な人なんだな。今一つよくわかんねえ…。
「ところで、君は天使という種族を知っているかい?」
「…天使って神話とかに出てくる?迷信ですよね、アレ」
「実在するんだよ天使は」
なに言ってるんだこの人。そんな、神話に出てくるあんな意味わかんねえ翼が生えた全裸の子供が実在するとでも…。
「姿は神話と異なるだろう、でも、決めつけるのは君の悪い癖じゃないか?」
「なっ…!!」
「俺は変わってる、頭が柔軟とまでは言わないけど、だからこそ言うんだよ。君は…過去に辛いことはなかった?」
……コイツ……、ふざけんな…!
「誰が!!」
「分からないか、逃げてばかりじゃなにも始まらないんだよ。…知り合ったばっかりの俺に言われたら、おしまいかもしれないよ?」
「……そんなこと…」
「じきに君自身が話してくれる、だから、少し付き合ってくれないか?」
~~~
「いっただっきまーす!」
「…」
「ほら、食事の前にはちゃんと言わないと」
「ふんっ」
「…あー、嫌われたなこりゃ」
…コイツ、さっきまでの雰囲気と全然違うじゃねえか。普通のイイコチャンってやつ?
むしろあの雰囲気はなんだったんだ…?思わず、言ってしまいそうになったというか…コイツの雰囲気に飲まれそうになった……。まるで、魔法使いの魔法みたいな…。
「俺は魔法使いなんかじゃない、」
「…口に出してたか……」
「いーや?カンだ、カン」
「なんだそれ」
「薄々君のことは分かってるんだ、でも、君が語るまでは口に出さない。当然だろう?それが人の信頼のカタチだ」
「………」
「ほら、笑顔だ。笑顔」
「…別に」
なにが信頼のカタチだよ、そんなん、俺には関係ないし。
「そんなの、にあわな―――」
「よお、お仲間引き連れて楽しそうだな」
「…!」
屋上入口の上に…人……?制服は先輩…だな。
「…やぁ、そっちこそいつも通りのぼっちじゃないか――凪鎖シュウ」
「凪鎖…シュウ?」
「はぁ?ぼっちじゃねえ、言ってんだろ。弱い人間ほど、よく群れるんだよ」
っ!!アイツ、なにか凶器か!?持ってる…!
「今日こそ、決着をつけさせてもらう!園舞緋式!!」
「………」
「あぶねえ!!」
「…!」
な、な、いきなり攻撃してくるとか…アイツ正気か!?あんなの刺さったら死ぬだろ…!
「庇うなんて危ないよ、下がって」
「ざけんじゃねえ、命がかかってんのは見れば分かんだよ。下がるのはアンタの方だ」
「遊紗……」
「というわけだ、凪鎖シュウ…だったか。相手は俺だ」
「…上等だ、結局見られたからには始末するつもりだったが…手間が省けそうだ」
……相手は凶器を持ってる…、不利なのは明らかに俺の方…なら、デュエルに持って――――あ、しまった…、デッキは……。
「っ~…よそ見してんじゃねえ!」
関係あるか!物理的に沈めてやれば良い話じゃねえか!!
「チッ…かわしたか」
「んなもん受けたら死ぬだろうがよ」
「よく分かってんじゃねえか、人間」
「…………」
アイツの凶器は大きい、降り下ろした瞬間、鳩尾に蹴りを入れる……完璧だ。
「次は外さねえ」
「おあいにくさま、次は俺が当てに行く」
「………」
要するに………、
「「(当たった方が負け―――!!)」」
「はい!そこまで!」
「…!」
誰だ?女子…?見慣れない制服だけど、高等部?
「ダメでしょ、学校で凶器振り回したりしたら。君も、暴力はいけないよ」
「…はぁ…」
なんか……口には出せない恐ろしさを感じる…女だからか?
「あ、自己紹介……。高等部二年生、今日から転入してきた灯櫂祈里です、よろしく………て、あれ?」
「空気読めねえ女だな」
「ホントないわー」
「ひ、ひどーい!お姉さんのが年上なんだからなー!」
……あれ?低い声……誰かに似てる。
「全く、そんなに喧嘩の続きがしたいならデュエルでしなさい!」
「…へえ、お前、デュエルもやるのか」
「えっ…いや、今日はデッキを………アンタ、」
「これでしょ、君のデッキ」
シルバーアイスが…帰ってきた……。
この人、どうやってこれを…風で飛ばされなかったのか…。
「…さて、デュエルだが…形式は選ばせてもらうぜ?」
「形式?」
「スタンディングデュエル、アクションデュエル、アリーナデュエル…三択で決められるんだよ」
「そうなのか」
スタンディングデュエルっていうのは普段やってるデュエルだよな?アクションデュエルってなんだよ、動くのか?
「…そうだな、アクションデュエルでデュエルだ!」
「はぁ!?」
緋式センパイもコイツもそこの女も、みんな読心術かなにか使えるのかよ……。
「要は体を動かしたいのかな?」
「バカみたいな理由で命を狙われるとは…」
「うるせえ、てめえの腕を試させてもらうぜ」
「上等だ。俺は栞遊紗、アンタを必ずぶっ倒す!!」
「そうか。じゃあ…遊紗、その口がいつまで叩けるか、楽しみにしててやるよ!」
~~~
「なぁなんの騒ぎだよ」
「なんだお前知らないのかよ」
「凪鎖先輩と栞くんがデュエルするらしいよ!」
「マジかよ~!」
「超やばそうじゃん」
………うわー…気持ち悪いくらい人が集まりやがった…。
「アクションフィールドか…どうしよう……!!よし、二人とも!準備できてる?」
「「もちろん!」」
「なら始めるよ!アクションフィールド・オン!《鏡の里》発動!」
アクションフィールド……緋式センパイが「とにかく動き回れ」とかなんとか言ってたけど、……大丈夫か?
考えてても仕方ねえ、要は勝てば良いんだろ、勝てば。
《Field set DUEL standby》
「いくぞ!」
「「デュエル!!」」
~~~
「アクションフィールドのセッティングを許可、場所は……初音学園です!」
「やはりか」
「冴之馬社長、いかがなさいますか?」
「映像をこちらに回せ、エンジェリング召喚は…この目で確認する」
~~~
「先手必勝、俺のターン!俺は《潮凪の魔術師 アクア》を召喚!」
《ATK:1300/level:3》
潮凪……自分の名字入ってんのな……。
「まずは様子見だ、ターンエンド。いくぞアクア!」
《hand:4》
「ちょっ…!!」
動き回るって、そういうことかよ!!
アクションフィールド内を駆け巡ってのデュエル、だからアクションデュエルか…おもしれえ…!!
「俺のターン、ドロー!」
動くなら素早いやつだよな、なら!
「俺は《Si-グランドフェンリル》を召喚!」
《ATK:1700/level:4》
「シルバーアイス……?」
「あんなん見たことねえ!」
「初めて見るカードだぁ!」
「…遊紗先輩…!」
「春子、秋子、なんの騒ぎ?」
「遅いよゆかり!」
「ほら知らない?うちのクラスの…」
「……栞くん?」
モンスターがこんな風に実体化を…!!よく見たら周りもリアルだし、すげえ……。
「よし、グランドフェンリルの効果発動!手札の魔法カードを一枚墓地に送り、相手モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで0にする!」
「チッ…!」
《ATK:0》
「行け!グランドフェンリルでアクアに攻撃!アイススマッシュ!」
攻撃力の差は1700!決まれば半分近く持っていける!
「…!!アクションマジック《回避》!バトルを無効にする!」
「アクションマジック!?」
「俺がただ、闇雲に走り回ってるとでも思ったのかよ!アクションカードもアクションデュエルにおける勝利への鍵、そんなことも知らねえのか!」
アクションマジック…知らなかった……それに、この鏡張りのフィールドで本物のカードを見つけ出せるほどの視力があるのか……。
走り回りながらアクションカードを拾って味方につける、それならあの森の中に…!
「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
《hand:3》
《ATK:1300》
「アクションデュエルやったことなかったんだね、あの子」
「少しは教えてあげたけど、アクションカードについては…」
「結構意地悪なんだ…君」
俺が知らないデュエル…でも、さっきのアイツの話でだいぶ理解できた。もう驚いたりはしない!
「俺のターン!!俺はチューナーモンスター《水素の剣士 ウォーター》を召喚!」
《ATK:1500/level:4/tuner》
「チューナーモンスター!!」
「お前みたいな初心者にはコイツだけで十分だ!俺はレベル3のアクアにレベル4のウォーターをチューニング!」
あれがシンクロ召喚…!初めて見る気がする……。
「白波の剣士よ、風纏いて闇夜を裂け!シンクロ召喚!《白風の剣士 ダイヤモンド・ダスト》!」
《ATK:2300/level:7/Synchro》
「シンクロ使いなんだ、アイツ」
「まぁ…」
「シンクロモンスター…だが…!」
森の中なら、時間は稼げる!早く…!!
「時間稼ぎのつもりか……、ダイヤモンド・ダストでグランドフェンリルを攻撃!アクアフォースショット!」
どこか、アクションカードは…!!
「(あった…!!)よし、アクションマジック《バーストブレイク》!戦闘による破壊とダメージを無効にし、相手モンスター一体を破壊する!」
「なるほど、うまいな。だがこっちにもあるんだよ、アクションマジック《ミラー・バリア》発動!カード効果による破壊を無効にする!」
さっき発動してから移動する時にまた手札に加えてたのか……てことはアイツ、アクションデュエルに手慣れてる…!
「俺が無効にしたのは破壊だけ、攻撃は確かに無効にされた。だがな、ダイヤモンド・ダストの効果発動!相手にバトルダメージが与えられなかったターン、もう一度攻撃することができる!」
「なに!?」
「さぁバトルだ!ダイヤモンド・ダストでグランドフェンリルに攻撃!!」
アクションカード……!またどこかに落ちてないのかよ…!
「!うぁぁっ!」
《Yusa life:3400》
「強い…」
「さすが凪鎖先輩よね!!」
「栞くん初心者なんでしょ?」
「勝てないよねー!」
強い…攻撃が失敗したらまた攻撃してくるモンスターか、厄介だな……。でも、
「罠発動《シルバーアイス・サーチ》!バトルによって【Si-】と名のつくモンスターが破壊された時、デッキからレベル4以下の【Si-】を手札に加える。俺が手札に加えるのは《Si-閃光のアマテラス》だ」
「また聞いたことのないカードか」
アイツがシンクロを使うなら、俺だって使ってやるよ。俺だけの召喚方法―――エンジェリング召喚を――!!
「まだまだ、勝負はここからだ!!」
3話へ続く
==================
【あとがき】
今回の一言、「権現坂「えっ」」
アクションデュエル難しいですね!!慣れたら簡単になりそうだけど。多分動きは現在形で説明するより過去形で説明した方がいい。
色々と詰め込みすぎた、多分遊紗は緋式に対して第一印象最低だと思われる。シュウもだけど。特に過去を詮索してくる奴はとことん嫌うんだろうなぁ……みたいな感じです。
祈里ちゃん……一体どんな女の子なんだ……女の子?前提としてまず女の子なの?(錯乱)多分女の子じゃないかな?(KONAMI感)
何気にチラッと托都いたけどまぁ気にすんな。
Museより先に更新とかなに考えてんだ聖桜とか言われそう、ごめんね、思い付いたら書くから。普段思い付かなかったら放置だし。気にしたらすでに負けてる。
アクションデュエルはとりあえず難しいとだけ報告な!
次回!!白銀VS白凪!!激戦化する二人の戦いに運命は大きく動き出す…!
シンクロ召喚を操るシュウに対し、エンジェリング召喚で対抗する遊紗。激しいデュエルの中、二つの野望が目を覚ます……。
【予告】
シュウが操るシンクロ召喚、そして不馴れなアクションデュエルルールに悪戦苦闘する遊紗はエンジェリング召喚を成功させ、反撃に出る。
激しいデュエルの最中、ユートリアコーポレーション、そして双璧を成すもう1つの野望が目を覚まし、運命は大きく動き始める。
白銀と白凪のデュエル、その先には衝撃の結末が待っていた…。
次回!第3話「交差する白き光」
【本日のカード紹介】
《白風の剣士 ダイヤモンド・ダスト》
読み→シラカゼノケンシ ---
ATK:2300/DEF:2000/level:7/水属性/戦士族/シンクロ
①チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上。
②このモンスターが攻撃したターンのバトルフェイズ時、相手プレイヤーにダメージを与えられなかった場合、もう一度攻撃を行うことができる。
③このモンスターが墓地に送られた時、デッキから戦士族モンスターを1体手札に加えることができる。
『作者からのコメント!』
シュウの使うシンクロモンスターです!
再度攻撃やデッキからの戦士族サーチなど、汎用シンクロでならわりと活躍できそうなやつ?
次回コイツがどんな活躍を見せるのか、皆さんお楽しみに!!