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「よし、準備できたっと」
「遊馬…本当に旅に出るの?」
「まぁな!」
「……そっか…でも!絶対毎日一回、メールか電話しなさいよ!」
「わ、分かったよ小鳥ぃ…!」
「約束…なんだからね」
「…んじゃあ行ってくる!いつか戻ってきたらカイトやシャークたちと…」
「分かってる!」
「………それと…遊矢、」
「えっ?」
「アイツにもよろしく言っといてくれよ」
「分かった!」
五年前の別れ、あれから一年経ってから遊馬との連絡はプツリと途切れた。カイトの捜査網にも引っ掛からず、旅に出てから五年の時が過ぎた。
私達は高校最後の一年、シャークと璃緒さんは大学生(と言ってもシャークは相変わらずだけど)、カイトはドロワさんと結婚してプロデュエル界で活躍してる。
そして、今の…五年後の夏……………。
~~~
ジェレスタ1「 運 命 の 出 逢 い 」
懐かしい景色、懐かしい顔、懐かしい世界が広がっていた。
星の丘で見た光景を忘れない。
そうだ、俺は………。
ーーーピピピピピピピピ……
「…………夢…?なんだってこんな夢……うぅえっ!?」
目覚まし時計を止めた瞬間思考停止。時計の針は8時20分を指してる。………まずい、
「遅刻だああぁぁぁああ!!!」
~~~
《さぁ!本日、デュエルモンスターズ世界大会決勝戦が行われます!前回優勝者でありながら、予選から勝ち抜いた今回の優勝候補、天城カイト選手はーーー》
「カイトってば、今回も優勝候補なんて…あれからもっと強くなったんだなぁ~…」
「うっおわぁぁああああああ!!!」
「ん?」
「遅刻!遅刻遅刻するぅぅぅ!!!」
朝飯食べてる余裕ねえよぉぉ!どうしよ!?あぁあどうしようぅう…!!
「遊矢おそーい!」
「小鳥姉さん!なんで起こしてくれないんだよ~!それにニュース!世界大会特集じゃん!あーもー!!」
「はいはい…」
カイトさんのインタビューだ!相変わらずかっけーぜ!
「そういえば…小鳥姉さん、時間平気?」
「えっ…ああーっ!遅刻するー!」
~~~
「「いってきまーす!」」
「二人とも行ってらっしゃい」
「じゃあ遊矢、私こっちだから」
「分かった!じゃあな!」
俺の名前は風雅遊矢!伝説のデュエリスト、九十九遊馬さんに憧れて遊馬さんみたいなデュエリストを目指す中学一年生だ!
今は父さんと母さんが海外赴任でいないから、従兄弟の小鳥姉さんの家にイソウロー…?つーかお世話になってるんだ。小鳥姉さんは遊馬さんの幼馴染みで、すっげえ羨ましい!いつか会わせてほしい!
でも、もっとすごいのはプロデュエリストのカイトさんとも知り合いってこと!
カイトさんは前年度世界大会で優勝してシード枠も獲得したのに、今年も日本予選から勝ち上がったすごい人なんだ!
「燃えてきたぜ…!俺もいつか世界大会出るぞーっ!!っぇあだっ!?」
「あっ…」
いっててて………誰かにぶつかった…?前見てなかったから俺が悪いよな…?
「いって…ごめんなさい…!」
「俺は大丈夫、怪我は……してなさそうだな。安心したぜ」
「え………あ、貴方は……」
赤と黒の髪、俺より少し大きい背と赤いジャケット。……もしかして……。
「余所見してたし、俺も悪いよなぁ~」
「い、いやそんなことは…!」
「お詫びと言ったらなんだけど…今は…これしかないかな」
デッキケースから一枚カードを取り出して俺に差し出した………ってはい!?
「カード!?もらって良いんですか!?」
「おう!お前から昔の俺と同じ感じがしたからさ。それに、お前ならこのカードを有意義に使ってくれると、このカードが信じてるんだ」
「カードが…信じてる……」
「そうだ!お前、名前は?」
「風雅…遊矢です…」
「……そっか、遊矢か……遊矢!」
「は、はい!」
な、なんだろ…。
「笑顔と信じる気持ちを忘れるな!かっとビングだぜ!遊矢!」
……行っちゃった。
かっとビング………挑戦心。笑顔と信じる気持ちを忘れない、か。
「………遊馬さん……」
「遊矢ぁ!!」
「ん?」
「早く来いよー!」
「遅刻しちゃうわよ!」
「分かった!今行くー!」
見間違えじゃなかったらあれって本物の九十九遊馬さんだよな?朝から遊馬さんに逢えた上にカードもらっちゃうなんて…嬉しい…!超ラッキーだぜ!
そういえば、まだ二人を紹介してないな。金髪ツインテールの方が孤鈴アミ、小学生時代からの幼馴染みでみんなのツッコミ役!アンテナみたいなアホ毛の方が高山慶太、もう一人の幼馴染みでデュエルは強いしよくデュエルしてる!
勝率は今のところ五分五分なんだけど、いつか必ず勝ち越してやるぜ!
ムリかもしれないけど、チャレンジし続ければできないことなんかないんだ!だから今日もらったこのカードも使って、絶対やってやるぜ!
やるしかないじゃん!
「かっとビングだぜ俺~!」
「ねえ、それって遊馬さんの口癖よね?」
「そうだぜ!実はさっき逢っちゃったんだよー!」
「うっそ!お前がか!?」
「信じらんない…」
「お前らなぁ……でもさ!俺はやっぱカイトさんたちよりも遊馬さんみたいになりたいんだよ!アミたちもそう思うだろっ?」
「うーん…私はカイトさんかなぁ」
「俺も、カイトさんみたいな人になりたいなぁ」
「ええー……」
確かにカイトさんの方が強いらしいしカッコいいけど…でもやっぱり俺は遊馬さんなんだよなぁ。みんなにも分かってほしいぜ。
~~~
ーーーキーンコーンカーンコーン
「今日の授業は終わりだ。下校か、デュエルか…テスト勉強に励むか、まぁ頑張れ。それでは号令!」
「起立、礼!さようならーっ!」
よしっ!今日も放課後デュエルタイムだぜっ!
「慶太!デュエルしようぜ!」
「もちろん!今日も俺が勝つからな!」
「上等だ!俺が必ず勝つ!」
昨日二連敗してるんだよ、絶対勝ち越してやっからな!
「全く、お前らは元気だな」
「ドロワ先生!ドロワ先生だってWDCのベスト8ですよね!カイトさんのオヨメサンだし、ってことはデュエルが強いってわけだ!」
俺達のクラスの担任、ドロワ先生。ドロワ先生はWDCでベスト8、しかもあのゴーシュ・ザ・スターマンのマネージャーをやったこともあるらしい!
一年前にカイトさんと結婚したらしくて、姉さんは結婚式に呼ばれたんだってさぁ~!羨ましいぜ!
「私はゴーシュより強くはない。それにカイトとは比べるまでもない差があるだろう」
「えー、でも俺達から見たらデュエル強いし、デュエルしましょーよー!」
「まぁいいだろう。会議まで時間があるから、その間だけなら」
「よっしゃ!」
「やったな遊矢!」
今日の放課後デュエルタイムは面白くなりそうだぜ!
「遊矢ーっ!早く行きましょー!」
「おーう!了解だぜ!」
~~~
「って、人すくなっ!!?」
デュエルスペースがガラガラだぜ。いつもの半分…いや、それ以下かも……。
「…あぁ、そういうことか。遊矢、こっちだ」
「…こっち?っええ!?」
なんつー人だかり!?なんじゃありゃ!!有名人でも来てるのかなぁ、でもそんな話聞いてないし……。
しっかし女子ばっかりだなぁ。
「はぁ…全く…」
「ドロワ先生?ってはぁぁ!?」
隙間から見えたのはどうも見覚えがある人、…はい?
「カイト様~!」
「今夜の決勝、とっても楽しみです!」
「私応援しにいきますわ!」
「あ、ありがとう…だが……そのだな…」
ほ、ほほほ本物!?本物の天城カイトさん!?遊馬さんに続いてカイトさんまで生で見れてる!?
「カイト…」
「…ドロワか…。悪いな、みんなまた後にしてくれ」
「はーい!」
「後でサインください!」
「わ、分かった…」
女の子にあんなたじたじなカイトさん初めて見たぜ。プロデュエリストに葉桜風織さんとのデュエルも見たけどそこまでじゃなかったし。
「相変わらずの人気だな、…イラつくものもあるが…」
「すまんな…」
「…カイトさんってドロワ先生相手だとこんななのね」
「さっきよりたじたじじゃんか、意外だぜ」
「世の中には恐妻家なんてのもあるらしいぜ」
「へー」
恐竜家って、ドロワ先生は恐竜だったんだ…。
「そっちの子供は生徒か?」
「あぁ。右から孤鈴アミ、高山慶太、風…」
「風雅遊矢ですっ!よろしくお願いします!」
「よろしく…元気がいいな」
「取り柄ですから!」
カイトさんに褒められた!よしっ!この調子で!!
「あの!俺とデュエルしてください!」
「なっ…!」
「ちょっ!?抜け駆け禁止だぞ遊矢!」
「そもそもカイトさんが遊矢なんか相手になるわけないじゃない」
「なぁ~!!うるせえ!やってみなきゃ分かんないだろ!」
デュエルの結果を決め付けるなんて一番やっちゃ行けないことだぜ?最後の最後まで、ライフが0になるまで結果なんか分かんないんだからさ!
「…似ているな」
「へ?」
「……なんでもない、良いだろう。デュエルを受けてやる」
「!やったぁ~!よろしくお願いします!」
ホントにデュエルできるなんて…嬉しい…!
カイトさんの方が絶対強いんだし、負けるかもしれないけど…いいや、勝たなきゃ世界大会で優勝するなんてできないんだ!
全力で戦ってやる!
「行きますよ!」
「来い!デュエルモード、フォトンチェンジ!」
「Dシューター展開!!デュエルディスク、セット!Dゲイザーセット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「デュエル!!」
《ライフ:4000》
始まっちゃった~~~カイトさんと初デュエルだぁぁ……。
(※ルールは2014年3月21日から行使されたルール以前のルールを使用しているため、LSにおいて先攻ドロー廃止フィールド魔法の共存はありません)
「先攻はもらう!俺のターン、ドロー!俺はフィールド魔法《光子圧力界(フォトンプレッシャーワールド)》を発動!」
「う、宇宙!?」
「うわぁ~息ができねえ~!!」
「慶太くんったら、これはARよ」
「分かってるさ~…」
……後ろの茶番は放っておこう。
「更に《フォトン・クラッシャー》を召喚!」
《攻撃力:2000/レベル:4》
「《光子圧力界》の効果により、フォトンモンスターが召喚・特殊召喚された時、フォトンモンスターをプレイしていないプレイヤーはレベル×100のダメージを受ける!」
「《フォトン・クラッシャー》のレベルは4だから…」
「400のダメージだ!」
「うぇっ!?うあっ」
《遊矢のライフ:3600》
先攻は最初のターンに攻撃できない、だけど効果ダメージは与えられる。いきなりライフを減らしに来るなんてな。
しかも、俺のデッキにフォトンモンスターなんていないから、俺ばっかがダメージを受けることになる。つかカイトさん以外がフォトンモンスター使ってるの見たことないような?
「ならっ!俺だって頑張っちゃうぞー!」
「威勢が良いな、カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
《手札:3》
「俺のターン!ドロー!俺は《Ss(スカイソニッカー)-疾風のカーツ》を召喚!」
《攻撃力:1400/レベル:4》
「カーツの召喚に成功した時、デッキからSsと名のつくレベル4以下のモンスターを一体だけ手札に加える!そして手札に加えた《Ss-シュートブレイブ》はSsの効果で手札に加えれた時、特殊召喚できる!」
《攻撃力:1600/レベル:4》
レベル4のモンスターが二体!どれにしよーかなぁ…………よしっ!やっぱり、カイトさんと戦うならマイフェイバリットカードだぜ!
「俺はレベル4のカーツとシュートブレイブでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!吹き荒れろ!《Ss-エア・ストリームソード》!」
《攻撃力:2100/ランク:4/ORU:2》
「やったあ!遊矢がエクシーズ召喚に成功よ!」
「いつもより荒ぶってるなぁ…」
エクシーズ召喚は同じレベルのモンスター二体以上(場合によっては属性とかも)で行う召喚法。
そしてこいつが俺の切り札にして一番好きなカード!父さんからもらった一番最初のカードなんだぜ!
これで《フォトン・クラッシャー》の攻撃力を越えた!たった100だけど、攻撃力2000以上のモンスターをフィールドには残せないからな!
「まずは先制攻撃だ!エア・ストリームソードで《フォトン・クラッシャー》を攻撃!ウィンドストリーム!」
「ちょ!遊矢タンマ!」
「えっ?アミ?」
「罠(トラップ)発動《光子化(フォトナイズ)》!これにより、《フォトン・クラッシャー》への攻撃は無効。更に、エア・ストリームソードの攻撃力を次の自分のエンドフェイズまで《フォトン・クラッシャー》に加える!」
《攻撃力:4100》
「こ、こここ攻撃力4100ぅ!?」
ダイレクトアタックでライフ削りきれるじゃんか!
「もー!だからタンマって言ったのに…ちょっとは罠を警戒しなさいよ…」
「それに先制攻撃は遊矢が食らっただろー?」
「う…うっせー!ほ、ほら…相手の罠を残しとくのはあ、危ないし…?」
「声が震えてるわよ」
「震えてないからな!俺はこれでターンエンドだ!」
《手札:5》
大丈夫だしー!!計算済みだしー!!
「遊矢ー伏せカードはー?」
「あ…」
し、しまった……焦って忘れてた…。
焦るとプレイングミスするのが悪いところって小鳥姉さんも言ってたなぁ。注意してるつもりなんだけど。
「俺のターン!行くぞ!《フォトン・クラッシャー》でエア・ストリームソードを攻撃!」
「エア・ストリームソードの効果発動!1ターンに一度、オーバーレイユニットを1つ使い、戦闘破壊を無効!そしてバトルで受けるダメージを半分にする!うわぁぁああっ!」
《遊矢のライフ:2600》《ORU:1》
「いってて……」
やっぱ1000もダメージ受けると破壊力抜群だぜ…。ARデュエルってリンジョーカン?とかあるし吹っ飛んで怪我したりするけど、デュエルが終われば傷はなくなるから。ただし痛いっちゃ痛い。
「フッ…本当のデュエルはここからだぞ」
「へへっ望むところです!まだカイトさんのエースモンスターも見てないんだ!こんなところで終われるわけないです!」
「ならば見せてやる、俺の魂を!俺は《フォトン・クラッシャー》に装備魔法《フォトン・スピア》を装備!《フォトン・スピア》を装備した《フォトン・クラッシャー》は一体で二体分のリリース素材になる」
攻撃力2000以上のモンスターが二体分!ついに来るのか…カイトさんのエースモンスターが!
「攻撃力4100の《フォトン・クラッシャー》二体分をリリース!闇に輝く銀河よ、希望の光となりて、我が僕に宿れ!光の化身此処に降臨!現れよ《銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズフォトンドラゴン)》!!」
《攻撃力:3000/レベル:8》
「あれが……銀河眼(ギャラクシーアイズ)…!」
初めて生で見たかも……あれ?WDC以来かなぁ…?
「《光子圧力界》の効果で銀河眼のレベル分、つまり800のダメージだ!」
「ぐっ!」
《遊矢のライフ:1800》
「遊矢のライフが2000を切ったわ!」
「……」
「カイトさんすっげ…まだライフが減ってないぜ…」
さすがにヤバイよな、ライフ1800ってさ。しかもカイトさんのライフ4000のままだし…。
いやいや!!ダメだ!ライフが削れないからって弱気になっちゃダメだ!しっかりしないと!勝てないなんて決め付けちゃダメだ!
ここで見事な逆転勝利を決めるんだ!!
「おもしれえ…!やるしかないじゃん…!!」
「良い目だ遊矢!本当のデュエルを始めるぞ!」
「はい!必ず俺は、カイトさんに勝ちますから!」
2話へ続く
====================
【あとがき】
今回の一言、「二代目ラッキーおじさん(18)」。
この人やっぱり遊戯さんっぽいよ。書いててそう思った。
さて、Rewrite版第一話いかがだったでしょうか?
今回Rewriteを決めた理由は、ARC-V放送開始だからというのもありますが、やはり新しい読者層を作るためだと思っています。
今までの読者の皆様にも新しく書き直した一話を見てほしいですがARC-Vからファンになった方やツイキャスを通して知った方に、「ファン作品でもここまでのものが書けるんだ」ということを知ってほしかったのが一番ですね。
本編は今三期です。一期二期を読み返すのが面倒な方は是非こちらのRewrite版を読んでいただければと思います。
今までの読者皆様も約二年経って、書き直されたこちらで是非LSを振り返ってください。
次回!!風の戦士、今こそ光の戦士となれ!これが新たな時代の星!ジェレスタエクシーズだ!!
カイトのエースモンスター・銀河眼に対抗し、遊矢は逆転勝利を狙い遊馬からのプレゼント、新たなカードを呼び出す!
【予告】
憧れのカイトとのデュエルでカイトの強力なエースモンスター《銀河眼の光子竜》とプレイングによって更に追い詰められる遊矢。
絶対に諦めない心で勝利を目指す遊矢は遊馬からもらった新たなカードでカイトに挑む!
新たな時代の星と風は遊矢に勝利をもたらすのか…!?
次回!第2話「呼び覚ませ希望!風の星 ホープ・オブ・ソード!」
【おまけ】
遊矢「今回の紹介は《Ss-エア・ストリームソード》!戦闘破壊を無効にしてダメージを半分にする効果を持ってるぜ!」
ヒカル「正直俺からは強いように見えないんだが…」
遊矢「甘いなぁ~!風の流れを変えて守るから吹っ飛ばされた時痛くない!」
ヒカル「なるほど、それは画期的だな」
遊矢「後、そんときオナラしても掻き消されて臭わないってことだぜ!」
ヒカル「へ…へー……」
※深夜0時~5時までのコメントや読者登録はマナー違反です。おやめください。
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「よし、準備できたっと」
「遊馬…本当に旅に出るの?」
「まぁな!」
「……そっか…でも!絶対毎日一回、メールか電話しなさいよ!」
「わ、分かったよ小鳥ぃ…!」
「約束…なんだからね」
「…んじゃあ行ってくる!いつか戻ってきたらカイトやシャークたちと…」
「分かってる!」
「………それと…遊矢、」
「えっ?」
「アイツにもよろしく言っといてくれよ」
「分かった!」
五年前の別れ、あれから一年経ってから遊馬との連絡はプツリと途切れた。カイトの捜査網にも引っ掛からず、旅に出てから五年の時が過ぎた。
私達は高校最後の一年、シャークと璃緒さんは大学生(と言ってもシャークは相変わらずだけど)、カイトはドロワさんと結婚してプロデュエル界で活躍してる。
そして、今の…五年後の夏……………。
~~~
ジェレスタ1「 運 命 の 出 逢 い 」
懐かしい景色、懐かしい顔、懐かしい世界が広がっていた。
星の丘で見た光景を忘れない。
そうだ、俺は………。
ーーーピピピピピピピピ……
「…………夢…?なんだってこんな夢……うぅえっ!?」
目覚まし時計を止めた瞬間思考停止。時計の針は8時20分を指してる。………まずい、
「遅刻だああぁぁぁああ!!!」
~~~
《さぁ!本日、デュエルモンスターズ世界大会決勝戦が行われます!前回優勝者でありながら、予選から勝ち抜いた今回の優勝候補、天城カイト選手はーーー》
「カイトってば、今回も優勝候補なんて…あれからもっと強くなったんだなぁ~…」
「うっおわぁぁああああああ!!!」
「ん?」
「遅刻!遅刻遅刻するぅぅぅ!!!」
朝飯食べてる余裕ねえよぉぉ!どうしよ!?あぁあどうしようぅう…!!
「遊矢おそーい!」
「小鳥姉さん!なんで起こしてくれないんだよ~!それにニュース!世界大会特集じゃん!あーもー!!」
「はいはい…」
カイトさんのインタビューだ!相変わらずかっけーぜ!
「そういえば…小鳥姉さん、時間平気?」
「えっ…ああーっ!遅刻するー!」
~~~
「「いってきまーす!」」
「二人とも行ってらっしゃい」
「じゃあ遊矢、私こっちだから」
「分かった!じゃあな!」
俺の名前は風雅遊矢!伝説のデュエリスト、九十九遊馬さんに憧れて遊馬さんみたいなデュエリストを目指す中学一年生だ!
今は父さんと母さんが海外赴任でいないから、従兄弟の小鳥姉さんの家にイソウロー…?つーかお世話になってるんだ。小鳥姉さんは遊馬さんの幼馴染みで、すっげえ羨ましい!いつか会わせてほしい!
でも、もっとすごいのはプロデュエリストのカイトさんとも知り合いってこと!
カイトさんは前年度世界大会で優勝してシード枠も獲得したのに、今年も日本予選から勝ち上がったすごい人なんだ!
「燃えてきたぜ…!俺もいつか世界大会出るぞーっ!!っぇあだっ!?」
「あっ…」
いっててて………誰かにぶつかった…?前見てなかったから俺が悪いよな…?
「いって…ごめんなさい…!」
「俺は大丈夫、怪我は……してなさそうだな。安心したぜ」
「え………あ、貴方は……」
赤と黒の髪、俺より少し大きい背と赤いジャケット。……もしかして……。
「余所見してたし、俺も悪いよなぁ~」
「い、いやそんなことは…!」
「お詫びと言ったらなんだけど…今は…これしかないかな」
デッキケースから一枚カードを取り出して俺に差し出した………ってはい!?
「カード!?もらって良いんですか!?」
「おう!お前から昔の俺と同じ感じがしたからさ。それに、お前ならこのカードを有意義に使ってくれると、このカードが信じてるんだ」
「カードが…信じてる……」
「そうだ!お前、名前は?」
「風雅…遊矢です…」
「……そっか、遊矢か……遊矢!」
「は、はい!」
な、なんだろ…。
「笑顔と信じる気持ちを忘れるな!かっとビングだぜ!遊矢!」
……行っちゃった。
かっとビング………挑戦心。笑顔と信じる気持ちを忘れない、か。
「………遊馬さん……」
「遊矢ぁ!!」
「ん?」
「早く来いよー!」
「遅刻しちゃうわよ!」
「分かった!今行くー!」
見間違えじゃなかったらあれって本物の九十九遊馬さんだよな?朝から遊馬さんに逢えた上にカードもらっちゃうなんて…嬉しい…!超ラッキーだぜ!
そういえば、まだ二人を紹介してないな。金髪ツインテールの方が孤鈴アミ、小学生時代からの幼馴染みでみんなのツッコミ役!アンテナみたいなアホ毛の方が高山慶太、もう一人の幼馴染みでデュエルは強いしよくデュエルしてる!
勝率は今のところ五分五分なんだけど、いつか必ず勝ち越してやるぜ!
ムリかもしれないけど、チャレンジし続ければできないことなんかないんだ!だから今日もらったこのカードも使って、絶対やってやるぜ!
やるしかないじゃん!
「かっとビングだぜ俺~!」
「ねえ、それって遊馬さんの口癖よね?」
「そうだぜ!実はさっき逢っちゃったんだよー!」
「うっそ!お前がか!?」
「信じらんない…」
「お前らなぁ……でもさ!俺はやっぱカイトさんたちよりも遊馬さんみたいになりたいんだよ!アミたちもそう思うだろっ?」
「うーん…私はカイトさんかなぁ」
「俺も、カイトさんみたいな人になりたいなぁ」
「ええー……」
確かにカイトさんの方が強いらしいしカッコいいけど…でもやっぱり俺は遊馬さんなんだよなぁ。みんなにも分かってほしいぜ。
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ーーーキーンコーンカーンコーン
「今日の授業は終わりだ。下校か、デュエルか…テスト勉強に励むか、まぁ頑張れ。それでは号令!」
「起立、礼!さようならーっ!」
よしっ!今日も放課後デュエルタイムだぜっ!
「慶太!デュエルしようぜ!」
「もちろん!今日も俺が勝つからな!」
「上等だ!俺が必ず勝つ!」
昨日二連敗してるんだよ、絶対勝ち越してやっからな!
「全く、お前らは元気だな」
「ドロワ先生!ドロワ先生だってWDCのベスト8ですよね!カイトさんのオヨメサンだし、ってことはデュエルが強いってわけだ!」
俺達のクラスの担任、ドロワ先生。ドロワ先生はWDCでベスト8、しかもあのゴーシュ・ザ・スターマンのマネージャーをやったこともあるらしい!
一年前にカイトさんと結婚したらしくて、姉さんは結婚式に呼ばれたんだってさぁ~!羨ましいぜ!
「私はゴーシュより強くはない。それにカイトとは比べるまでもない差があるだろう」
「えー、でも俺達から見たらデュエル強いし、デュエルしましょーよー!」
「まぁいいだろう。会議まで時間があるから、その間だけなら」
「よっしゃ!」
「やったな遊矢!」
今日の放課後デュエルタイムは面白くなりそうだぜ!
「遊矢ーっ!早く行きましょー!」
「おーう!了解だぜ!」
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「って、人すくなっ!!?」
デュエルスペースがガラガラだぜ。いつもの半分…いや、それ以下かも……。
「…あぁ、そういうことか。遊矢、こっちだ」
「…こっち?っええ!?」
なんつー人だかり!?なんじゃありゃ!!有名人でも来てるのかなぁ、でもそんな話聞いてないし……。
しっかし女子ばっかりだなぁ。
「はぁ…全く…」
「ドロワ先生?ってはぁぁ!?」
隙間から見えたのはどうも見覚えがある人、…はい?
「カイト様~!」
「今夜の決勝、とっても楽しみです!」
「私応援しにいきますわ!」
「あ、ありがとう…だが……そのだな…」
ほ、ほほほ本物!?本物の天城カイトさん!?遊馬さんに続いてカイトさんまで生で見れてる!?
「カイト…」
「…ドロワか…。悪いな、みんなまた後にしてくれ」
「はーい!」
「後でサインください!」
「わ、分かった…」
女の子にあんなたじたじなカイトさん初めて見たぜ。プロデュエリストに葉桜風織さんとのデュエルも見たけどそこまでじゃなかったし。
「相変わらずの人気だな、…イラつくものもあるが…」
「すまんな…」
「…カイトさんってドロワ先生相手だとこんななのね」
「さっきよりたじたじじゃんか、意外だぜ」
「世の中には恐妻家なんてのもあるらしいぜ」
「へー」
恐竜家って、ドロワ先生は恐竜だったんだ…。
「そっちの子供は生徒か?」
「あぁ。右から孤鈴アミ、高山慶太、風…」
「風雅遊矢ですっ!よろしくお願いします!」
「よろしく…元気がいいな」
「取り柄ですから!」
カイトさんに褒められた!よしっ!この調子で!!
「あの!俺とデュエルしてください!」
「なっ…!」
「ちょっ!?抜け駆け禁止だぞ遊矢!」
「そもそもカイトさんが遊矢なんか相手になるわけないじゃない」
「なぁ~!!うるせえ!やってみなきゃ分かんないだろ!」
デュエルの結果を決め付けるなんて一番やっちゃ行けないことだぜ?最後の最後まで、ライフが0になるまで結果なんか分かんないんだからさ!
「…似ているな」
「へ?」
「……なんでもない、良いだろう。デュエルを受けてやる」
「!やったぁ~!よろしくお願いします!」
ホントにデュエルできるなんて…嬉しい…!
カイトさんの方が絶対強いんだし、負けるかもしれないけど…いいや、勝たなきゃ世界大会で優勝するなんてできないんだ!
全力で戦ってやる!
「行きますよ!」
「来い!デュエルモード、フォトンチェンジ!」
「Dシューター展開!!デュエルディスク、セット!Dゲイザーセット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「デュエル!!」
《ライフ:4000》
始まっちゃった~~~カイトさんと初デュエルだぁぁ……。
(※ルールは2014年3月21日から行使されたルール以前のルールを使用しているため、LSにおいて先攻ドロー廃止フィールド魔法の共存はありません)
「先攻はもらう!俺のターン、ドロー!俺はフィールド魔法《光子圧力界(フォトンプレッシャーワールド)》を発動!」
「う、宇宙!?」
「うわぁ~息ができねえ~!!」
「慶太くんったら、これはARよ」
「分かってるさ~…」
……後ろの茶番は放っておこう。
「更に《フォトン・クラッシャー》を召喚!」
《攻撃力:2000/レベル:4》
「《光子圧力界》の効果により、フォトンモンスターが召喚・特殊召喚された時、フォトンモンスターをプレイしていないプレイヤーはレベル×100のダメージを受ける!」
「《フォトン・クラッシャー》のレベルは4だから…」
「400のダメージだ!」
「うぇっ!?うあっ」
《遊矢のライフ:3600》
先攻は最初のターンに攻撃できない、だけど効果ダメージは与えられる。いきなりライフを減らしに来るなんてな。
しかも、俺のデッキにフォトンモンスターなんていないから、俺ばっかがダメージを受けることになる。つかカイトさん以外がフォトンモンスター使ってるの見たことないような?
「ならっ!俺だって頑張っちゃうぞー!」
「威勢が良いな、カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
《手札:3》
「俺のターン!ドロー!俺は《Ss(スカイソニッカー)-疾風のカーツ》を召喚!」
《攻撃力:1400/レベル:4》
「カーツの召喚に成功した時、デッキからSsと名のつくレベル4以下のモンスターを一体だけ手札に加える!そして手札に加えた《Ss-シュートブレイブ》はSsの効果で手札に加えれた時、特殊召喚できる!」
《攻撃力:1600/レベル:4》
レベル4のモンスターが二体!どれにしよーかなぁ…………よしっ!やっぱり、カイトさんと戦うならマイフェイバリットカードだぜ!
「俺はレベル4のカーツとシュートブレイブでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!吹き荒れろ!《Ss-エア・ストリームソード》!」
《攻撃力:2100/ランク:4/ORU:2》
「やったあ!遊矢がエクシーズ召喚に成功よ!」
「いつもより荒ぶってるなぁ…」
エクシーズ召喚は同じレベルのモンスター二体以上(場合によっては属性とかも)で行う召喚法。
そしてこいつが俺の切り札にして一番好きなカード!父さんからもらった一番最初のカードなんだぜ!
これで《フォトン・クラッシャー》の攻撃力を越えた!たった100だけど、攻撃力2000以上のモンスターをフィールドには残せないからな!
「まずは先制攻撃だ!エア・ストリームソードで《フォトン・クラッシャー》を攻撃!ウィンドストリーム!」
「ちょ!遊矢タンマ!」
「えっ?アミ?」
「罠(トラップ)発動《光子化(フォトナイズ)》!これにより、《フォトン・クラッシャー》への攻撃は無効。更に、エア・ストリームソードの攻撃力を次の自分のエンドフェイズまで《フォトン・クラッシャー》に加える!」
《攻撃力:4100》
「こ、こここ攻撃力4100ぅ!?」
ダイレクトアタックでライフ削りきれるじゃんか!
「もー!だからタンマって言ったのに…ちょっとは罠を警戒しなさいよ…」
「それに先制攻撃は遊矢が食らっただろー?」
「う…うっせー!ほ、ほら…相手の罠を残しとくのはあ、危ないし…?」
「声が震えてるわよ」
「震えてないからな!俺はこれでターンエンドだ!」
《手札:5》
大丈夫だしー!!計算済みだしー!!
「遊矢ー伏せカードはー?」
「あ…」
し、しまった……焦って忘れてた…。
焦るとプレイングミスするのが悪いところって小鳥姉さんも言ってたなぁ。注意してるつもりなんだけど。
「俺のターン!行くぞ!《フォトン・クラッシャー》でエア・ストリームソードを攻撃!」
「エア・ストリームソードの効果発動!1ターンに一度、オーバーレイユニットを1つ使い、戦闘破壊を無効!そしてバトルで受けるダメージを半分にする!うわぁぁああっ!」
《遊矢のライフ:2600》《ORU:1》
「いってて……」
やっぱ1000もダメージ受けると破壊力抜群だぜ…。ARデュエルってリンジョーカン?とかあるし吹っ飛んで怪我したりするけど、デュエルが終われば傷はなくなるから。ただし痛いっちゃ痛い。
「フッ…本当のデュエルはここからだぞ」
「へへっ望むところです!まだカイトさんのエースモンスターも見てないんだ!こんなところで終われるわけないです!」
「ならば見せてやる、俺の魂を!俺は《フォトン・クラッシャー》に装備魔法《フォトン・スピア》を装備!《フォトン・スピア》を装備した《フォトン・クラッシャー》は一体で二体分のリリース素材になる」
攻撃力2000以上のモンスターが二体分!ついに来るのか…カイトさんのエースモンスターが!
「攻撃力4100の《フォトン・クラッシャー》二体分をリリース!闇に輝く銀河よ、希望の光となりて、我が僕に宿れ!光の化身此処に降臨!現れよ《銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズフォトンドラゴン)》!!」
《攻撃力:3000/レベル:8》
「あれが……銀河眼(ギャラクシーアイズ)…!」
初めて生で見たかも……あれ?WDC以来かなぁ…?
「《光子圧力界》の効果で銀河眼のレベル分、つまり800のダメージだ!」
「ぐっ!」
《遊矢のライフ:1800》
「遊矢のライフが2000を切ったわ!」
「……」
「カイトさんすっげ…まだライフが減ってないぜ…」
さすがにヤバイよな、ライフ1800ってさ。しかもカイトさんのライフ4000のままだし…。
いやいや!!ダメだ!ライフが削れないからって弱気になっちゃダメだ!しっかりしないと!勝てないなんて決め付けちゃダメだ!
ここで見事な逆転勝利を決めるんだ!!
「おもしれえ…!やるしかないじゃん…!!」
「良い目だ遊矢!本当のデュエルを始めるぞ!」
「はい!必ず俺は、カイトさんに勝ちますから!」
2話へ続く
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【あとがき】
今回の一言、「二代目ラッキーおじさん(18)」。
この人やっぱり遊戯さんっぽいよ。書いててそう思った。
さて、Rewrite版第一話いかがだったでしょうか?
今回Rewriteを決めた理由は、ARC-V放送開始だからというのもありますが、やはり新しい読者層を作るためだと思っています。
今までの読者の皆様にも新しく書き直した一話を見てほしいですがARC-Vからファンになった方やツイキャスを通して知った方に、「ファン作品でもここまでのものが書けるんだ」ということを知ってほしかったのが一番ですね。
本編は今三期です。一期二期を読み返すのが面倒な方は是非こちらのRewrite版を読んでいただければと思います。
今までの読者皆様も約二年経って、書き直されたこちらで是非LSを振り返ってください。
次回!!風の戦士、今こそ光の戦士となれ!これが新たな時代の星!ジェレスタエクシーズだ!!
カイトのエースモンスター・銀河眼に対抗し、遊矢は逆転勝利を狙い遊馬からのプレゼント、新たなカードを呼び出す!
【予告】
憧れのカイトとのデュエルでカイトの強力なエースモンスター《銀河眼の光子竜》とプレイングによって更に追い詰められる遊矢。
絶対に諦めない心で勝利を目指す遊矢は遊馬からもらった新たなカードでカイトに挑む!
新たな時代の星と風は遊矢に勝利をもたらすのか…!?
次回!第2話「呼び覚ませ希望!風の星 ホープ・オブ・ソード!」
【おまけ】
遊矢「今回の紹介は《Ss-エア・ストリームソード》!戦闘破壊を無効にしてダメージを半分にする効果を持ってるぜ!」
ヒカル「正直俺からは強いように見えないんだが…」
遊矢「甘いなぁ~!風の流れを変えて守るから吹っ飛ばされた時痛くない!」
ヒカル「なるほど、それは画期的だな」
遊矢「後、そんときオナラしても掻き消されて臭わないってことだぜ!」
ヒカル「へ…へー……」