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ジェレスタ98「 銀 幕 の 世 界 へ ! 捕 ら わ れ た 絆 の 力 」
ーーーー朝。
「転入生の朽祈アリスです!よろしくお願いします!」
「彼女は朽祈の従兄弟だそうだ、仲良くしてやってくれ」
はぁ……。なんでわざわざ転入手続きまでしなきゃならねえんだか……。しかもなにが悲しくてアイツが従兄弟なんだよ。こんな似てるわけあるかっつの。
「やってらんねえ…」
大体、やっと学校復帰なのに……。
ーーーー放課後
「ねえ、アリスちゃんってどんな子なのかなぁ」
「ヒカルくんに聞くのが一番早い気がするけど~…」
「もう帰っちゃったし…」
~~~
「っく~~!デュエルタイムだぜ!」
「お疲れさま、随分元気じゃない!」
そりゃあ久々の学校だし、今日からヒカルも復帰だって言ってたから楽しみでしょうがなくて~!!
…!あの紫二人は…!
ヒカル、もしかしてリボン変えた?…そりゃいくら母さんからの貰い物でも血塗れのなんか使えないよな……。赤みがかったオレンジみたいに見える。
「アリスー!ヒカルー!デュエルしようぜー!」
「…!おおっと、遊矢じゃありませんかー!」
「…先帰る」
「ええーっ!?お兄ちゃんどうしてー?」
二人ともなに話してるのかな…?ちょっと声かけに行ってみようかな!
「二人とも、デュエ…あっ…ヒカルごめん…」
「気にすんな」
そうだった……ヒカルはまだデュエルどころか日常生活で右腕使えないんだよな…、曲げたりできないって言ってたよな。
無神経なこと言っちゃって怒ってるかな…?
「僕も今日は帰るね、一応居候だしヒカリくんの面倒見なきゃ」
「そっか」
「アリス、帰るぞ」
「はいはい!」
「あのさヒカル!」
「…?」
「明日、10時に駅前広場集合な!見るだけで良いから来てくれよ!俺、強くなりたいから、アドバイスしてくれ!」
………ダメならいいけど…でも、絆の相棒ってきっと一緒にいること大事だと思うんだ。だめならいいけど…!
「もちろん構わないぜ、ただしデュエルはしないからな」
「…!ありがと!」
「じゃあ、また明日な」
「じゃあね~」
……………、
「やったぁ!!」
「良かったね!遊矢!」
『良かったですね!』
「あぁ!みんなも明日、10時に集合だぜ!」
楽しみだぜ!ヒカルって休日は中々約束しても会ってくれないから、ワクワクする!…多分すっげえ厳しいだろうけど。
~~~
ああ、こんな薄汚れた世界、消えちゃえば良いのに。つまんないよ、こんなところ。
「それもこれもヒカルちゃんのせいだ…!」
鏡ちゃんは新手のエクススパイラルに倒され、今は肉体を失ってこの世界に留まれなくなった……俺は神の五王どもに追放されて姿を変える力を失った!!
こんな最悪なことが連続してたまるもんか!
それもこれも全部ぜえんぶヒカルちゃんのせいだ!!
どうしたら苦しむ…?どうやってアイツに復讐する?…俺は知ってるはずだよ…。
「……風雅遊矢に……決まってる…!」
~~~次の日
「意外じゃないかな、」
「なにが?」
「お兄ちゃんは断る気がしたからさ」
前までならそうしてた。遊矢の誘いは総スルー間違いなし、つか関わりたくなかったし。でも、一緒に居たいというか……?
あー!嘘、訂正!絆の相棒になるって宣言したからにはアイツがなにしでかすか分からないんだから見てやらねーとってだけだ!なに考えてんだ……俺…。
アリスの正体やらトルテのことやら考えなきゃなんねえのに、頭回らねえ……。
「…?」
「どうしたんだい?」
「アリス、先行ってろ」
「なんで?」
「とにかく…マズいモン見つけたから、遊矢に伝えといて!」
「ええぇえ!?…もー、分かったよー」
今の人影、俺の推測が当たっていたらまずいことになる!……いや、むしろすでに最悪なことになってるか…。
誠が生きてるって時点で、最悪。
「しかし…、こんなとこに居るのか?」
後を追ってはみたが、こんな廃ビルに行くものか?
入っていったし、行ってみなければ分からないが……嫌な予感がする……。遊矢を待つと逃げられるかもしれないし、行くか。
それからのことはその時考える!
「………いた」
階段上ってすぐいた、つかなんだこの誘導されてた感は…。
「…!来たね」
「やっぱ気付いてたのか」
「当然じゃないか、だってここまで連れてきたのは紛れもなく俺なんだから」
あーやっぱりか、そりゃそうだが。
「貴様が生きてることには特に言うことはないが…なにを企んでやがる」
「そうだねえ~…復讐…かなぁ!」
「誰に対して?」
「そりゃあ……君しかいないよ、ヒカルちゃん」
俺しか……って意味わかんねえ、奴に俺はなにかしたか?特になにもしてない気がする…。
「俺達の計画台無しにした君を俺は絶対許さない!」
「訳がわからねえ!大体世界滅ぼそうって計画、阻止するに決まってんだろ!バカが」
「くぅぅ……!!い、良いよ許してあげる、今日は君に用はないんだし」
「じゃあ誰に!?」
「風雅遊矢ちゃんだよ」
遊矢に………、もしや鏡を探しだして遊矢をまた鏡にするつもりじゃ…!
「遊矢には指一本触れさせるわけにはいかない!」
「そっか、でもヒカルちゃんはデュエルできないでしょ?」
確かに……、Dシューターすら持ってきてない……。だが、腕なんて使わなくても、蹴りあげてやれば…!
「君はあくまでも囮だよ、黙って眠っててね」
「……!」
後ろ……!?
ーーードスッ
~~~
「遅い……」
『遅くないですよ、待ち合わせまで20分以上ありますよ』
そうだけど……アミやリンさんは来てるし、ヒカルは早そうだし……。
「遊矢、心配だな」
「はい……元気にはなったけど…」
「間違いなく心の中には鏡の闇が残ってる、不安だな」
ま、気長に待てばいっか!って…あの紫の髪は……。
「アリス!?」
「遊矢ー!」
「一人なのか?」
「いや、ホントはお兄ちゃんもいたんだけど、どっか行っちゃって…」
どっかって……嫌な予感はするけど…ヒカルならきっと大丈夫って、信じたい……信じたいけど…。不安だ、皇の鍵…教えてくれよ……。
ーー「遊矢……」
「…!」
今、どこから聞こえた…!?ヒカルの声…?
ーー「早く……!」
「どこに…!?」
ーー「鏡の……城…」
鏡の城にいるってことか…!
「みんな早く行くぞ!」
「どこに!?」
「いいから!付いてきて!」
俺は場所を知ってる…!鏡の城がどこにあるのか、その入り口も。
なにがあったか分からないけど、待っててくれ!ヒカル…!
~~~
「………んっ……」
腕痛い……、どっちかっつーと無理矢理動かしたような感覚で痛いというより辛い…。全身がピリピリするし…なんなんだ…?茨…?
「…体が…っ、動かない…?!なんだよこれ…!」
「起きたぁ?」
「誠…まさか貴様の仕業か!」
「言ったじゃん、君はあくまで囮なの!」
まんまと誘導されて人質扱いかよ……一生の不覚…。
「ふざけんじゃねえ!大体、遊矢がここを知るわけが……まさか…!」
「そのまさかだよ」
遊矢に宿っていた鏡の記憶は遊矢の記憶、この場所を知っている。そして心層の貝殻は俺自身になにかがあればそれを知らせる……。だとしたら遊矢がここに来ないわけはない…!!
「くそっ…俺が招いた結果かよ…」
「ふふーん、俺の姿を見ただけで追っ掛けてくるなんて、わざわざ風雅遊矢を襲撃する手間が省けたよ」
「何故遊矢なんだ!復讐なら、俺とデュエルすれば良いだろ!」
「それだけじゃダメなんだよ。鏡ちゃんと俺の絆は絶たれたのに君らの絆が壊されないなんて理不尽すぎる……理不尽すぎるんだ!!」
理不尽だって……?あんな絆が、絶たれないのが理不尽…!?
「ヒカルが大切にしてる遊矢を苦しめれば君も苦しい、二人が仲間でなければ傷付かなかったのにって思うようになる!」
「そんなことのために…!!」
「そんなことってなにさ、俺達は世界を変えられたんだ!!君のせいで…君のせいでこの腐った世界は続くんだ…!」
……鏡と同じことを…腐ったこの世界を変える、というのが目的なのか…?だが、なぜそんなよ目的を…?
「この世界を変えるため、君らには消えてもらう…!」
「っ!?あぁあぁぁ!!」
なんだ!?棘に体に食い込んでる…のか…!?
「……ぁ…くっ…な、にを…っ!」
「あぁーごめんねー、加減がまだできなくて。この部屋見ての通り……いや、暗くて見えないから見せてあげる」
今、茨の棘が巨大化した…?…体はともかく右腕が……使えなくなったら誰の責任にしなきゃなんねえんだよ…。
「…なんだここ……」
「鏡の城は真実を映す魔境…つまり、この鏡の城の真実の姿さ」
外から見てもこんな風じゃなかった…。じゃあ俺が見たのは鏡の城が映していた偽物でこれが本当の姿…。
下は水で、誠は足首辺りまで浸かってる…全面は鏡じゃなくて氷か…?見た途端に背中が冷たく感じてきた……。
しかしなにより不気味なのは…この部屋全体に張り巡らされた茨…、薄暗くて見辛かったがやはり全身に…、…腕が妙に痛いのはこういうことかよ。
「驚いた?だけど、これからが本番だよ…」
「…遊矢!」
しまった…すっかり頭から抜けていたが、どうにかして遊矢を来させないようにしなければ…!もしかしたら貝殻の力でまたなんとか……。
「(頼む遊矢…!今すぐ来るのやめろ…!)」
~~~
ーー「頼む遊矢…!今すぐ来るのやめろ…!」
「…!」
また声が…鏡の城への扉が近いのか…!
デュエルシティの地下までもう少し…鏡の時、慶太とデュエルした場所……。
ここから強いエネルギーを感じる…、ここのはず…。
「………」
「あれって!」
「鏡の世界への入り口…こんなところに開いてたのか…」
だけど出口は鏡の迷宮じゃない…、多分鏡の城へ直行だ…。
「リンさん、アミを頼みます」
「どうして!?私も…」
「分かった」
「リンさんも!!」
『入り口は崩れかけてます、私も残って入り口を今の状態で固定します』
「頼むぜ」
これで戻ってくる時、なんとかなるはず。
「んじゃ行ってくるぜ!」
「遊矢!」
「ん?」
「何も言わずに行かないで…!私達に、ちゃんと遊矢のしようとしてること、教えてほしいの!遊矢が…離れていかないように…」
……友達に目的とか教えないのには訳がある。余計なことに巻き込みたくない、傷付けたくないから。
でも、少しずつ離れていく感覚には気づいてたし分かってた。みんなが知らないことをコソコソやるなんて嫌だった、でも危険に巻き込まないようにって思えば……思えば………、
「良かったのに……」
『ご主人…泣いてるんですか……?』
「ううん!泣くかっての!」
「遊矢?」
「ちょっくら、友達助けに行ってくる!」
それだけ言って飛び込んだ。アミがどう思ったか確かめるのは帰ってからになるけど。
大丈夫、大丈夫だから。
「満足したか?」
「…はい」
「良かったよ、遊矢自身も本当の意味で心を開いてくれて」
「私もそう思います(だから…早くヒカル先輩連れて帰ってきてよね、バカ)」
~~~
記憶にある鏡の城と全然違う…これってあの赤髪の奴…確か誠だっけ…アイツが言ってた真実の姿なのか?
足元水浸しだぜ……木の根っこみたいなコレ乗ったら濡れないって…手遅れか。
あの部屋から根っこ出てる……よしっ!!
「ヒカルーーっ!!」
「!ゆ、遊矢…!?」
「来た…!」
なっ…!なんつー場所だよ、ここ…。足場が水浸しで気持ち悪いのはどうでもいい!……ヒカル…あんな傷だらけで…。
「バカ野郎!どうしてここに来た!」
「仲間だから、絆の相棒だから来たんだよ!」
「そんなこと今は気にする必要なんかないだろ!今すぐ逃げろ!」
「嫌だ!もうなにも失いたくない!」
ここで逃げたら今度こそ大切なものを失うことになる…!そんなの嫌だ!
「もう仲間割れかい?早いね」
「…誠………」
「良いね…今の鏡ちゃんと同じ姿、同じ声…でも…鏡ちゃんを取り戻すために、倒す!」
倒す…か…だけど、負けるわけにはいかない…!
「ヒカルを返してもらうぜ、そして…俺は二度と鏡になんてならない!同じ過ちは繰り返さない!」
「遊矢……」
「いい意気込みだね、でもそれがいつまで続くか…楽しみだ」
必ず勝つ…!ヒカルが俺にしたように、俺の体がどうにかなっちまったとしても必ず勝つんだ!!
「Dシューター、展開!」
「デュエルディスク、セット」
「Dゲイザーセット!」
「「デュエル!」」
99話へ続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「冒頭からクライマックス」
アリスちゃん回にやれば良かったんじゃね?とかはないわよ、伏線だから。
ヒカルが最近喘いでばっかですけど……なんなんだこの違和感は。さすが四期のヒロインなだけあるぜ。安心してね、四期は基本的に可愛いだけだから。
誠がまさかの大復活、それはこれから始まる二話連続デュエルで明らかになります。誠は鏡大好きだけど、それは彼らの過去にも関係しているらしく……運命は残酷だと教えてくれるかなとか思います、一体どうなるかはお楽しみに。
遊矢のメンタルがだんだん強くなり始めた、これが三期最後の辺りになると凄いことになる。ただ遊馬は越えられない壁。
次回!!デュエルで待ち受けていた罠、そして誠の壮絶な過去が明かされる…!
何故世界を変えなければならなくなったのか、何故闇の力に手を染めたのか……誠と鏡、彼らに隠された秘密が明らかになる…。
【予告】
鏡の城で遂にデュエルが始まった。
誠は鏡の友として、神・ポセイラとして最強の力を使い遊矢を苦しめ、卑劣な罠で二人を追い詰めていく。
遊矢も負けずに切り札であるエクススパイラルのカードを繰り出すのだが……。
次回!第99話「狂気の深海神 ネプチューン・ポセイドン降臨」
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ジェレスタ98「 銀 幕 の 世 界 へ ! 捕 ら わ れ た 絆 の 力 」
ーーーー朝。
「転入生の朽祈アリスです!よろしくお願いします!」
「彼女は朽祈の従兄弟だそうだ、仲良くしてやってくれ」
はぁ……。なんでわざわざ転入手続きまでしなきゃならねえんだか……。しかもなにが悲しくてアイツが従兄弟なんだよ。こんな似てるわけあるかっつの。
「やってらんねえ…」
大体、やっと学校復帰なのに……。
ーーーー放課後
「ねえ、アリスちゃんってどんな子なのかなぁ」
「ヒカルくんに聞くのが一番早い気がするけど~…」
「もう帰っちゃったし…」
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「っく~~!デュエルタイムだぜ!」
「お疲れさま、随分元気じゃない!」
そりゃあ久々の学校だし、今日からヒカルも復帰だって言ってたから楽しみでしょうがなくて~!!
…!あの紫二人は…!
ヒカル、もしかしてリボン変えた?…そりゃいくら母さんからの貰い物でも血塗れのなんか使えないよな……。赤みがかったオレンジみたいに見える。
「アリスー!ヒカルー!デュエルしようぜー!」
「…!おおっと、遊矢じゃありませんかー!」
「…先帰る」
「ええーっ!?お兄ちゃんどうしてー?」
二人ともなに話してるのかな…?ちょっと声かけに行ってみようかな!
「二人とも、デュエ…あっ…ヒカルごめん…」
「気にすんな」
そうだった……ヒカルはまだデュエルどころか日常生活で右腕使えないんだよな…、曲げたりできないって言ってたよな。
無神経なこと言っちゃって怒ってるかな…?
「僕も今日は帰るね、一応居候だしヒカリくんの面倒見なきゃ」
「そっか」
「アリス、帰るぞ」
「はいはい!」
「あのさヒカル!」
「…?」
「明日、10時に駅前広場集合な!見るだけで良いから来てくれよ!俺、強くなりたいから、アドバイスしてくれ!」
………ダメならいいけど…でも、絆の相棒ってきっと一緒にいること大事だと思うんだ。だめならいいけど…!
「もちろん構わないぜ、ただしデュエルはしないからな」
「…!ありがと!」
「じゃあ、また明日な」
「じゃあね~」
……………、
「やったぁ!!」
「良かったね!遊矢!」
『良かったですね!』
「あぁ!みんなも明日、10時に集合だぜ!」
楽しみだぜ!ヒカルって休日は中々約束しても会ってくれないから、ワクワクする!…多分すっげえ厳しいだろうけど。
~~~
ああ、こんな薄汚れた世界、消えちゃえば良いのに。つまんないよ、こんなところ。
「それもこれもヒカルちゃんのせいだ…!」
鏡ちゃんは新手のエクススパイラルに倒され、今は肉体を失ってこの世界に留まれなくなった……俺は神の五王どもに追放されて姿を変える力を失った!!
こんな最悪なことが連続してたまるもんか!
それもこれも全部ぜえんぶヒカルちゃんのせいだ!!
どうしたら苦しむ…?どうやってアイツに復讐する?…俺は知ってるはずだよ…。
「……風雅遊矢に……決まってる…!」
~~~次の日
「意外じゃないかな、」
「なにが?」
「お兄ちゃんは断る気がしたからさ」
前までならそうしてた。遊矢の誘いは総スルー間違いなし、つか関わりたくなかったし。でも、一緒に居たいというか……?
あー!嘘、訂正!絆の相棒になるって宣言したからにはアイツがなにしでかすか分からないんだから見てやらねーとってだけだ!なに考えてんだ……俺…。
アリスの正体やらトルテのことやら考えなきゃなんねえのに、頭回らねえ……。
「…?」
「どうしたんだい?」
「アリス、先行ってろ」
「なんで?」
「とにかく…マズいモン見つけたから、遊矢に伝えといて!」
「ええぇえ!?…もー、分かったよー」
今の人影、俺の推測が当たっていたらまずいことになる!……いや、むしろすでに最悪なことになってるか…。
誠が生きてるって時点で、最悪。
「しかし…、こんなとこに居るのか?」
後を追ってはみたが、こんな廃ビルに行くものか?
入っていったし、行ってみなければ分からないが……嫌な予感がする……。遊矢を待つと逃げられるかもしれないし、行くか。
それからのことはその時考える!
「………いた」
階段上ってすぐいた、つかなんだこの誘導されてた感は…。
「…!来たね」
「やっぱ気付いてたのか」
「当然じゃないか、だってここまで連れてきたのは紛れもなく俺なんだから」
あーやっぱりか、そりゃそうだが。
「貴様が生きてることには特に言うことはないが…なにを企んでやがる」
「そうだねえ~…復讐…かなぁ!」
「誰に対して?」
「そりゃあ……君しかいないよ、ヒカルちゃん」
俺しか……って意味わかんねえ、奴に俺はなにかしたか?特になにもしてない気がする…。
「俺達の計画台無しにした君を俺は絶対許さない!」
「訳がわからねえ!大体世界滅ぼそうって計画、阻止するに決まってんだろ!バカが」
「くぅぅ……!!い、良いよ許してあげる、今日は君に用はないんだし」
「じゃあ誰に!?」
「風雅遊矢ちゃんだよ」
遊矢に………、もしや鏡を探しだして遊矢をまた鏡にするつもりじゃ…!
「遊矢には指一本触れさせるわけにはいかない!」
「そっか、でもヒカルちゃんはデュエルできないでしょ?」
確かに……、Dシューターすら持ってきてない……。だが、腕なんて使わなくても、蹴りあげてやれば…!
「君はあくまでも囮だよ、黙って眠っててね」
「……!」
後ろ……!?
ーーードスッ
~~~
「遅い……」
『遅くないですよ、待ち合わせまで20分以上ありますよ』
そうだけど……アミやリンさんは来てるし、ヒカルは早そうだし……。
「遊矢、心配だな」
「はい……元気にはなったけど…」
「間違いなく心の中には鏡の闇が残ってる、不安だな」
ま、気長に待てばいっか!って…あの紫の髪は……。
「アリス!?」
「遊矢ー!」
「一人なのか?」
「いや、ホントはお兄ちゃんもいたんだけど、どっか行っちゃって…」
どっかって……嫌な予感はするけど…ヒカルならきっと大丈夫って、信じたい……信じたいけど…。不安だ、皇の鍵…教えてくれよ……。
ーー「遊矢……」
「…!」
今、どこから聞こえた…!?ヒカルの声…?
ーー「早く……!」
「どこに…!?」
ーー「鏡の……城…」
鏡の城にいるってことか…!
「みんな早く行くぞ!」
「どこに!?」
「いいから!付いてきて!」
俺は場所を知ってる…!鏡の城がどこにあるのか、その入り口も。
なにがあったか分からないけど、待っててくれ!ヒカル…!
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「………んっ……」
腕痛い……、どっちかっつーと無理矢理動かしたような感覚で痛いというより辛い…。全身がピリピリするし…なんなんだ…?茨…?
「…体が…っ、動かない…?!なんだよこれ…!」
「起きたぁ?」
「誠…まさか貴様の仕業か!」
「言ったじゃん、君はあくまで囮なの!」
まんまと誘導されて人質扱いかよ……一生の不覚…。
「ふざけんじゃねえ!大体、遊矢がここを知るわけが……まさか…!」
「そのまさかだよ」
遊矢に宿っていた鏡の記憶は遊矢の記憶、この場所を知っている。そして心層の貝殻は俺自身になにかがあればそれを知らせる……。だとしたら遊矢がここに来ないわけはない…!!
「くそっ…俺が招いた結果かよ…」
「ふふーん、俺の姿を見ただけで追っ掛けてくるなんて、わざわざ風雅遊矢を襲撃する手間が省けたよ」
「何故遊矢なんだ!復讐なら、俺とデュエルすれば良いだろ!」
「それだけじゃダメなんだよ。鏡ちゃんと俺の絆は絶たれたのに君らの絆が壊されないなんて理不尽すぎる……理不尽すぎるんだ!!」
理不尽だって……?あんな絆が、絶たれないのが理不尽…!?
「ヒカルが大切にしてる遊矢を苦しめれば君も苦しい、二人が仲間でなければ傷付かなかったのにって思うようになる!」
「そんなことのために…!!」
「そんなことってなにさ、俺達は世界を変えられたんだ!!君のせいで…君のせいでこの腐った世界は続くんだ…!」
……鏡と同じことを…腐ったこの世界を変える、というのが目的なのか…?だが、なぜそんなよ目的を…?
「この世界を変えるため、君らには消えてもらう…!」
「っ!?あぁあぁぁ!!」
なんだ!?棘に体に食い込んでる…のか…!?
「……ぁ…くっ…な、にを…っ!」
「あぁーごめんねー、加減がまだできなくて。この部屋見ての通り……いや、暗くて見えないから見せてあげる」
今、茨の棘が巨大化した…?…体はともかく右腕が……使えなくなったら誰の責任にしなきゃなんねえんだよ…。
「…なんだここ……」
「鏡の城は真実を映す魔境…つまり、この鏡の城の真実の姿さ」
外から見てもこんな風じゃなかった…。じゃあ俺が見たのは鏡の城が映していた偽物でこれが本当の姿…。
下は水で、誠は足首辺りまで浸かってる…全面は鏡じゃなくて氷か…?見た途端に背中が冷たく感じてきた……。
しかしなにより不気味なのは…この部屋全体に張り巡らされた茨…、薄暗くて見辛かったがやはり全身に…、…腕が妙に痛いのはこういうことかよ。
「驚いた?だけど、これからが本番だよ…」
「…遊矢!」
しまった…すっかり頭から抜けていたが、どうにかして遊矢を来させないようにしなければ…!もしかしたら貝殻の力でまたなんとか……。
「(頼む遊矢…!今すぐ来るのやめろ…!)」
~~~
ーー「頼む遊矢…!今すぐ来るのやめろ…!」
「…!」
また声が…鏡の城への扉が近いのか…!
デュエルシティの地下までもう少し…鏡の時、慶太とデュエルした場所……。
ここから強いエネルギーを感じる…、ここのはず…。
「………」
「あれって!」
「鏡の世界への入り口…こんなところに開いてたのか…」
だけど出口は鏡の迷宮じゃない…、多分鏡の城へ直行だ…。
「リンさん、アミを頼みます」
「どうして!?私も…」
「分かった」
「リンさんも!!」
『入り口は崩れかけてます、私も残って入り口を今の状態で固定します』
「頼むぜ」
これで戻ってくる時、なんとかなるはず。
「んじゃ行ってくるぜ!」
「遊矢!」
「ん?」
「何も言わずに行かないで…!私達に、ちゃんと遊矢のしようとしてること、教えてほしいの!遊矢が…離れていかないように…」
……友達に目的とか教えないのには訳がある。余計なことに巻き込みたくない、傷付けたくないから。
でも、少しずつ離れていく感覚には気づいてたし分かってた。みんなが知らないことをコソコソやるなんて嫌だった、でも危険に巻き込まないようにって思えば……思えば………、
「良かったのに……」
『ご主人…泣いてるんですか……?』
「ううん!泣くかっての!」
「遊矢?」
「ちょっくら、友達助けに行ってくる!」
それだけ言って飛び込んだ。アミがどう思ったか確かめるのは帰ってからになるけど。
大丈夫、大丈夫だから。
「満足したか?」
「…はい」
「良かったよ、遊矢自身も本当の意味で心を開いてくれて」
「私もそう思います(だから…早くヒカル先輩連れて帰ってきてよね、バカ)」
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記憶にある鏡の城と全然違う…これってあの赤髪の奴…確か誠だっけ…アイツが言ってた真実の姿なのか?
足元水浸しだぜ……木の根っこみたいなコレ乗ったら濡れないって…手遅れか。
あの部屋から根っこ出てる……よしっ!!
「ヒカルーーっ!!」
「!ゆ、遊矢…!?」
「来た…!」
なっ…!なんつー場所だよ、ここ…。足場が水浸しで気持ち悪いのはどうでもいい!……ヒカル…あんな傷だらけで…。
「バカ野郎!どうしてここに来た!」
「仲間だから、絆の相棒だから来たんだよ!」
「そんなこと今は気にする必要なんかないだろ!今すぐ逃げろ!」
「嫌だ!もうなにも失いたくない!」
ここで逃げたら今度こそ大切なものを失うことになる…!そんなの嫌だ!
「もう仲間割れかい?早いね」
「…誠………」
「良いね…今の鏡ちゃんと同じ姿、同じ声…でも…鏡ちゃんを取り戻すために、倒す!」
倒す…か…だけど、負けるわけにはいかない…!
「ヒカルを返してもらうぜ、そして…俺は二度と鏡になんてならない!同じ過ちは繰り返さない!」
「遊矢……」
「いい意気込みだね、でもそれがいつまで続くか…楽しみだ」
必ず勝つ…!ヒカルが俺にしたように、俺の体がどうにかなっちまったとしても必ず勝つんだ!!
「Dシューター、展開!」
「デュエルディスク、セット」
「Dゲイザーセット!」
「「デュエル!」」
99話へ続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「冒頭からクライマックス」
アリスちゃん回にやれば良かったんじゃね?とかはないわよ、伏線だから。
ヒカルが最近喘いでばっかですけど……なんなんだこの違和感は。さすが四期のヒロインなだけあるぜ。安心してね、四期は基本的に可愛いだけだから。
誠がまさかの大復活、それはこれから始まる二話連続デュエルで明らかになります。誠は鏡大好きだけど、それは彼らの過去にも関係しているらしく……運命は残酷だと教えてくれるかなとか思います、一体どうなるかはお楽しみに。
遊矢のメンタルがだんだん強くなり始めた、これが三期最後の辺りになると凄いことになる。ただ遊馬は越えられない壁。
次回!!デュエルで待ち受けていた罠、そして誠の壮絶な過去が明かされる…!
何故世界を変えなければならなくなったのか、何故闇の力に手を染めたのか……誠と鏡、彼らに隠された秘密が明らかになる…。
【予告】
鏡の城で遂にデュエルが始まった。
誠は鏡の友として、神・ポセイラとして最強の力を使い遊矢を苦しめ、卑劣な罠で二人を追い詰めていく。
遊矢も負けずに切り札であるエクススパイラルのカードを繰り出すのだが……。
次回!第99話「狂気の深海神 ネプチューン・ポセイドン降臨」