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ジェレスタ94「 奇 跡 の 旋 風 再 び ! 銀 河 旋 風 降 臨 ! 」





「…!まさか……」

自分自身の手で、呪いを解いた……!?信じられない…。

「やはり、彼は……」


~~~


「俺は、カードを一枚伏せてターンエンド」
《手札:3》《攻撃力:3200》

手札は三枚、逆転は可能だが……奇跡の光が反応しない…まだなにか足りないのか…?
つか、忘れた頃に腕が痛んできやがった。記憶の世界では嘘みたいに傷がなかったってのに、随分ご都合主義だな。
だが心層の貝殻は完全に治ってる。ということは死なない……?デュエルで負ければ話は別だが、負けることは決してない、絶対に勝つ!

「俺のターン、ドロー!魔法カード《絆の方舟》発動!墓地のホープ・オブ・ソードとジャベリン・パージャーをエクストラデッキに戻し、その合計ランク以下のモンスターエクシーズを特殊召喚する!現れろランク8《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!」
《攻撃力:4000/ランク:8/ORU:0》

「攻撃力4000か、マズイ…」

奴の残りライフは800、これで終わりだ!

「行けっ!ギャラクシー・カオスでドミネイトダークネスを攻撃!ヴァーミリオンストリーム!」

「永続罠《漆黒の障壁》!手札を一枚捨てることで、バトルを無効にする」

なるほど、単純に考えれば奴はドローも考えて三回攻撃から守ることができる…タチの悪いカードだな。

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド!」
《手札:1》

「とりあえず、奴の思い通りにはならなかったってことか。確かにこれなら俺の助力はいらないな」
「あぁ、そうだな」
「二人の会話の内容が理解できねえ…」
「理解しなくて良い、関係ない話だ」

ダメージは与えられなかったが、ライフはまだ1200残ってる。ギャラクシー・カオスにオーバーレイユニットがないのは不安要素だが……。

「まさかここまで追い込まれるなんて…」
「俺がいない間に何があったかは知らないが、お前は所詮その程度の力!諦めて遊矢を返せ!」
「その程度………だと…!?………認めない、」
「?」
「認めない認めない認めない!!俺が最強だ!!俺が神になって、世界を変えるんだ!!こんな腐りきった世界を…!!」

「急にどうしたの…?」
「世界を変えるってなに、どういうこと?」
「わ、わかんねえけど」

急になにかが変わった、世界を変える…?奴の目的がわかってきたのは良いことだが、理由が読めない。支配して、好き勝手に世界を使う訳じゃないのか…?

「その夢をこんなところで絶たれて堪るか!俺の最強の力を持って、お前らを全員ぶっ潰す!!」

「う、わっ!」

「きゃぁぁ!!」
「なんて風だ…!吸い込まれるみたいな…」
「あれが闇のアーマードの力か!」

さっき以上にひどい風だぜ…最強の力…か。

「俺のターン、ドロー!!俺はドミネイトダークネスを素材に、ダークスパイラルエクシーズチェンジ!!」

「更なるエクシーズチェンジ!?」

「破滅を司る真なる闇、輪廻を断ち、闇を拡散せよ!《Ds-絶望のディストラクションダークネス》!!」
《攻撃力:5000/ライフ:-10/ORU:1》

あれが真の力……なんつーオーラ…。

「ダークスパイラルエクシーズチェンジの効果で、相手フィールドの全てのモンスターを破壊する!」

「なんだと!?」

まずい、このままだと効果ダメージが…!

「手札の《ユニットチャージャー》の効果発動!自分フィールドのオーバーレイユニットのないモンスターエクシーズのオーバーレイユニットとなる!うっ!」
《ORU:1》

「効果ダメージを凌いだわ!」
「ギャラクシー・カオスの弱点を知ってる先輩だからこそできる戦法だな」

だが、フィールドにモンスターがいなくなったことは最悪だ。

「だが、ディストラクションダークネスの効果!オーバーレイユニットを一つ使い、相手のライフを半分にする!」

「っ!!」
《ヒカルのライフ:600》

「これで終わりだ!!ディストラクションダークネスでダイレクトアタック!!消え去れぇぇ!!」

「っ…うぁぁああぁああ!!!」

ーーードォォォォン!!!

「やったか…」

「そんな…」
「いや、……まだだよ」
「えっ?」

あぶねえところだった……だが、

「な……ギャラクティック・ヒグス…だと…!?」

《攻撃力:4500》
「俺は……まだ…終わってない……!!」
《ヒカルのライフ:100》

「俺は罠カード《銀河の思い出(ギャラクシーメモリアル)》を発動していた…このカードは…ダイレクトアタックを受けた時、エクストラデッキからギャラクシーかギャラクティックと名の付くモンスターを特殊召喚し、攻撃対象を特殊召喚されたモンスターにする……この効果で、ギャラクティック・ヒグスを呼び出したんだよ」

「ば……かな…!?」

「更にギャラクティック・ヒグスの効果、バトルで破壊された時、墓地からギャラクシー・カオスを特殊召喚する…!蘇れ《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!」
《攻撃力:4000/ORU:0》

ライフを残せたとか言う問題じゃねえ……体が痛い…、死んでしまうんじゃないかってくらい。
気を強く持て…!遊矢を取り戻すために、まだ倒れるわけにはいかない…!

「まだくだらねえ希望なんかを…!俺は永続魔法《闇誘いの呪縛》を発動!相手モンスターが特殊召喚された時、そのモンスターに装備し、攻撃力を0にし、効果を無効をする!」

《攻撃力:0》
「……」

「攻撃力は0、オーバーレイユニットも0!効果も無効!これで希望はなくなった!勝てる見込みもない、絶望的だな。ターンエンド」
《手札:2》

「確かに、攻撃しても手札が二枚もある…」
「《漆黒の障壁》で攻撃は無効化されるのか」

攻撃力は0だし、大体5000もあるし、無効化以前の問題だ。
だが諦めるわけにはいかない、なんとしても!

「ちなみに、ディストラクションダークネスはバトルフェイズ中、相手のカード効果は受けない……無意味な希望は振りかざすもんじゃねえよ、今ならサレンダーも認めるぜ」

「無意味かどうかを決めるのは、お前じゃない…」

「…ん?」

「希望が無意味か決めるのは、結果を見てからだ!なにも分からないうちから決めることはできない!」

「はぁ!?見るもなにも結果なんて分かってんだろ?バカかてめえは!」

「…そうだな、遊矢にいつの間にかあてられてバカになったのかもな」

バカになってもいいじゃないか、仲間といられる喜びには変えられないものだってあるんだ。

「遊矢…ねえ。ならまた闇の力に手を出すか?仲間を守るために強大な力に手を出すか!」

「俺は勘違いしていた!強大な力を手に入れることを…」

自分の心、魂、意思が求めた真に手に入れるべき力こそ、俺の思う強大な力。
そうだ。俺はまた強大な力を手に入れようとしてる。でも今度は間違えない…!闇の力じゃない、これは"自分自身で創り出す力"だ!!

「俺は、大切なものを守りたい!そのための力を、創り上げる!」

だから応えろ!奇跡の光!
俺の大切なものは、仲間を守る力、そのものだ!

「っ!?なんだこの輝きは!」

「なんなの!?」
「まさか、奇跡の光が応えたのか…」

「俺のターン!俺は銀河の奇跡でオーバークロス!」

これが、遊矢が俺に与えてくれた、全てを守る力。そしてこれが、俺の奇跡だ!

「光輝く銀河の奇跡、エクススパイラルギャラクシー!」

「あれが……」
「綺麗…」

「奇跡の……力だと…!?」

「未来を拓く希望の力よ、この切り札と共に闇を切り裂け!エクススパイラルドロー!」

「たった一枚の手札でなにができる!!希望を捨てろ!絶望しろ!」

「俺はギャラクシー・カオスをエクススパイラルエクシーズチェンジ!銀河を照らす眩き光、絶望を消し去り、運命の起源となりて世界を変えろ!降臨せよ、希望の光!《フェイトルーツ・ギャラクシー・ドラゴン》!」
《攻撃力:4500/ランク:9/ORU:1》

フェイトルーツ……俺の新たな切り札、運命と銀河の起源を持つ、最強のドラゴン…!

「フェイトルーツ・ギャラクシー……だと!?だが、攻撃力は4500!!今さら何をしても遅いんだよ!」
「それはどうかな?」
「なにっ!?」
「装備魔法《ギャラクティック・ユニオン》を発動!自分フィールドのギャラクシーモンスターの攻撃力が、相手のモンスターより下回ってる時、エクストラデッキのモンスターエクシーズを墓地に送り、その攻撃力を得る!墓地に送るのは、ホープ・オブ・ソード!」
《攻撃力:8000》

「攻撃力…8000…!?だが、《漆黒の障壁》がある!」

越えてみせる…!あの壁だって、越える…!

「フェイトルーツの効果、フェイトルーツにオーバーレイユニットがある限り、相手は手札からカードを墓地に送れず、バトルフェイズ中の相手の全てのカード効果の発動を無効にする」

「オーバーレイユニットは……1つ…」

「これで全部無効にしたわ!」
「すごいよ先輩!」

「行け!!フェイトルーツでディストラクションダークネスを攻撃!」

「!!」

「これが希望の力だ!ギャラクシースパイラルストリーム!!」

「バカな…!俺が、負けるだと…!?っあぁああああぁあ!!!」
《鏡のライフ:0》

《WIN:朽祈ヒカル》

「………やった…」
「やったぁ!!ヒカル先輩が勝ったぁ!」

勝ったのか、俺は……。

「フッ……ハハ…」

「…鏡……もう終わりだ」

「終わり…?勘違いするなよ……世界を闇が覆う時、再び俺は現れる…それまでお前らが生きていれば良いが……な」

闇が覆う、時……?

「ッ…!ぐ、ぁっ………」

「…!」

姿が戻ったからすぐ分かった、今のアイツは鏡じゃない、遊矢に戻ったんだ。

「遊矢!」
「よし、…ヌメロンコードの未来を変えるなんて無茶しやがって…」

「遊矢……ぁっ……?!」

解いた瞬間、体が重くて痛くて、視界が開けない。

ーーー「今、姿も声も分かるのに触れることもできないなんて…!」

あ……、そうだ…。ここまで来たのに、やっと会えたのに。

また、遠くなるのか。


「ヒカル!!」

「……」
「…フフッ」

「ま、…誠……!?」

「やぁ、君は呪龍……アドルインか」

「なぜ貴様がここに…鏡に消されたんじゃないのか…!ヒカルになにかしたのか!?」

「勘違いしないでよ、ヒカルちゃんは寝てるだけ。俺は何にもしてない。それに、鏡ちゃんは消したフリをして負けた時の保険を掛けていたんだよ」

「保険だと…」

「俺は必ず、朽祈ヒカルに復讐する。今は宣戦布告に来ただけだよ」

「ならヒカルを返せ、お前には一秒でも抱えてほしくない」
「あ、アドルイン…お前な…」

「いいよ、ほら」

「……、いつか倒す…!」

「やれるものならね……」

「……消えたか、アドルイン!ヒカルは?」
「本当に寝てるだけ……でもないか、酷い怪我に高熱だな、どんだけムリさせたんだよ」
「えっと………!破片…!?」
「崩れ始めてるのか…!」
「アドルイン、脱出までヒカルはもちそうか…?」
「…なんとかすれば、な」
「了解。アミ!」

「はい!」
「遊矢は無事だぜ!」

「ここは崩れる、脱出するぞ!」

「えっ!?」
「遊矢は俺と大河が連れてく」
「任せてよ!」
「お兄ちゃん、だいじょぶ?」
「まぁな」

「よし、行くぞ!ついてこい!!」


~~~


「……来たか」


「うわっ!」
「きゃっ?!」
「また空の上かよ!」
「くっ…!《アルテマ・バルーン》!」

な、なんとかバルーンで着地できた……。良かった…。

「カイト、来てたのか」
「あぁ、救護班が要ると思ってな。遊矢は?」
「怪我はあんまりないし、特にない。それよりも重症患者がいるから」
「重症患者…?」

リンさんたち、なに話してるんだろう。救護の人もいるし、なんか嫌な空気……。

「っ……!ぁ、れ…」
「遊矢!目が覚めたのね!」
「……アミ……みんな……」
「無事で良かったよ!」
「………慶太たちは……?」

慶太くん………、もしかして遊矢は覚えてないの…?

「あのね、慶太くんは…」
「…………!」

「アドルイン、平気そうか?」
「分かんないな……一応力を使ってなんとかしてるけど…」
「この様子じゃ、腕が使い物にならなくなりそうだな…」

「ヒカル……!?」
「遊矢…?あ、あれはその…!」
「…………思い出した…」
「えっ?なにを…?」
「俺……、みんなを守る力で……みんなを傷つけた…のか…」
「違うよ遊矢!遊矢は……」

遊矢は、騙されていただけなのに、遊矢の意思じゃなかったのに……。どうして遊矢が傷つかなきゃいけないの…!?

「とにかく、こっちで連れていく。遊矢は頼むぞ」
「あぁ」

「待ってくれよ!!」

「!目が覚めたのか」
「大丈夫だよな?目、覚めるよな…?!」
「…分からん」
「そんな……」

ーーー「戻ってきたら教えてやる」

「大切なもの………教えてくれるって言ってたのに…」

言葉が出ない……遊矢、………。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」






95話へ続く


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【あとがき】


今回の一言、「主役交代のお知らせ」。
やっと主役が遊矢に戻ってきました、ただメンタルがヤバイ。

ヒカルがやっとエクススパイラル覚醒しました!遊矢と違ってヒカルはエクススパイラルが残ります、解放するほどでもない小さな光ですから。ただ新たな力を創り出した代償は大きいんですが…。
そして安心と信頼の誠死ね!!ファァァァァック!!!再登場にも関わらず相変わらずウザい、というか色々おかしい。主に行動が。
ただ、アドルインくんいつ実体化したの!?神出鬼没すぎるよ!!アドルインの利点はリンがいなくても人間体として実体化してくること、マジカッコいいですわ。

次回!!遊矢の魂を呼び起こせ!風は復活するのか…!?
托都が遊矢の魂に火を付けるためデュエルを申し込む。心がボロボロの遊矢がとった行動は…!?そして鏡編は衝撃の展開へ!
久しぶりに某鮫も登場!更に、未来から彼女も現れる…!


【予告】
腕の怪我と極度の疲労で目を覚まさないヒカルを見た遊矢は「仲間を守る力で仲間を傷つけた」と言い深く傷ついてしまう。
一方、トルテとのデュエルで傷を負った托都はハートランドで凌牙と会い、遊馬を立ち直らせたという話を聞く。
そして話を聞いた托都は驚愕の方法で遊矢にデュエル申し込むのだが…?
次回!第95話「蘇れ光の風!遊矢VS托都」