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ジェレスタ92「 傷 だ ら け の 決 戦 遊 矢 V S ヒ カ ル 」
運命に身を任せてきたからアイツに初めて会ったことも特に気にも止めてなかった。というかまず興味はなかったし、二度も負けるまではアイツにライバル意識はなかった。最初負けた時は………まぁ負けたくなくてあんなこと言ったというか…。
「…負けたくなかったから……か」
嘘だな。負けたくないんじゃない、勝ちたい。遊矢に勝ちたかった、少なくとも一勝はしたからもう二勝はしたかった。…ま、今じゃあそれも叶わぬ夢になりそうだけど。
『あの状態の彼に勝つことは、勝つと言わないのですか?』
勝ちじゃない、アイツはあくまで遊矢の姿の別人だ。トルテには絶対に分からないだろうな。
『失礼な、でも良かったですわ!身の程はわきまえてるご様子で。その調子じゃ長くは持たない、もうすぐ私のものになるのですね!』
「…るっせえ」
『えっ?』
「言わなくても分かるんだろうが。俺にとってお前は邪魔でしかねえ…失せろ!」
『ッ…!!』
一時的にでも消さないとアイツの声が耳に痛い。そうじゃなくても視界がたまにふらつくってのに。
「一体この先どうすれば…?」
鏡…?自分の姿は写ってない、光が出ていないのに眩しい鏡の先には穴のようなものが見える。
多分こんな芸当はトルテじゃなくて鏡だ。誘いなのはわかるけど…行かないわけにはいかない。鏡は多分本気だ。それなら行ってデュエルに勝つ。
~~~
「なにっ!?鏡の迷宮が開いた!?」
「あぁ、覚えていたのか。あの話」
「まぁな…」
「全く、余計なことを…」
「クリス兄様ひどいー」
でも心配だ。アミたちももうすぐ駅前広場に来るだろうし、俺も行くか。
~~~
もうすぐ一番奥にたどり着く…と思う。入ってきた場所から見えたのは洞窟と城だったがどうやら洞窟に入ったようだった。
洞窟と言っても、中は迷路のような作りで全体は鏡で覆われたあまり気持ちいい世界ではない。
そろそろ道を抜ける、この先にはアイツがいるはずなんだけど。
「………来たか」
「…、待たせたな」
あっていた。遂にあの鏡と戦える、やっとだ。
「ようこそ!鏡の迷宮へ」
「鏡の迷宮?」
「単純な長い廊下なのに鏡のせいで迷路のように感じるから鏡の迷宮……こここそ、俺達の決着の地に相応しいと思ってな」
決着の地に相応しい……か。
確かに、こんな世界で果てるなら構わんな。どうせ勝っても負けても変わらないし。
「さぁって、最後のデュエルだ。質問一つなら聞いてやらなくないかな」
「聞くことは一つだ、お前の目的はなんだ!答えろ!」
「……俺は完全な神になる…それだけだ。そのためには闇の力が必要だった。光有るところに闇は有る、闇の神は闇を潜在的に強く持つ者が必要、その結果選ばれちゃったのが風雅遊矢なだけだ」
結果的にたまたま遊矢が選ばれた…ということなのか…?神になるためだなんてくだらねえこと抜かしやがって…!!
「そんなことのために遊矢の仲間を思う気持ちを利用したのか?!」
「そうだよ、それがどうした」
「貴様…!!どこまでもゲスということか…!」
「誠に比べたらゲスじゃねえよ、…と、話したら飽きてきちゃったし……俺とデュエルしたかったら最後の試練を受けてもらうぜ?」
最後の試練?…このタイミングでデュエルなら最悪だが、それ以外のようだな……。
「鏡の世界は俺の世界、すなわち俺が神だ。今から来るもの全てを避けきって見せろ。できたらデュエルしてやる、できなければ…死ぬぞ」
指が鳴るとちょうど玉座の真後ろにある二つの巨大な鏡が音をたてながら割れていく。もう片方も鳴ると落ちた鏡の破片がなんの原理かは分からないが浮いて矢のように無作為に飛び始めた。
「うわっ…」
かなり鋭角的、当たったら確かにただでは済まなそうだ。なら全て避けきるまで…!!
「はっ!!」
「おぉ~すごいすごい~今のとこ掠り傷一つないね~」
掠り傷は俺のプライドが許さん、当たるのもかするのは気分が悪い。…そんなこと考える暇もないけど。
「…(おかしい、体力切れを起こしてない…?本来なら体力は限界に達してるはず……)」
「いてっ…」
左頬が切れたか……。まぁせめてもの救いは俺に向かって飛んできていないこと。
「ッ!」
「あーれー?もうちょいで終わりだぜー?」
「くそっ!…!!」
後ろから来る!?
「(ダメだ…!避けきれない!)」
ーーードスッ!!
~~~
「リンさん!!」
「来たか…」
「なにかあったんですか?」
「説明は走りながらする、とにかく行くぞ!」
「は、はい!」
~~~
「ヒュ~…呆れたぜ、お前それでもデュエリストかよ」
「っ…あ…ぁ……」
足元が赤い、右腕の感覚が薄れていく。つかそもそも右腕貫通してる。
「デュエリストは腕が命。左にはデュエルディスクを、右にはカードを……それじゃあお前、カード持てないじゃん」
「腕はなくなってねえ…破片引き抜けば、使いモンになるだろ……」
抜いたら血が出るのは分かってる、ただ抜かなければ右腕が動かせない。刺さってんのは二本、内一本は貫通。
痛みは我慢しろ、叫び声を上げたら負けだ。
「いっ…!!…はぁ……ぁ…」
「へーいすごーい、引っこ抜いたな」
「…ッ…エンターテイメントじゃねえんだぞ」
ーーザシュッ!
「貫通してんのに、声一つあげず引っこ抜きやがった…化けモンじゃねえか」
痛くないわけがない、むしろこれから死ぬにしろデュエルするにしろ最悪。神経がどうとか血が溢れ出てるとか気にしたら終わりだぞこれ。
「化け物……か……おもしれえ!良いぜ、デュエルしてやるよ!」
「当然だ…!」
「ふっ…そんじゃあ行くぜ、お前も倒して今度こそ俺は人間界も手に入れる!」
「遊矢を取り戻す!遊矢も人間界もお前の好きなようにはさせない!Dシューター展開!」
「デュエルディスク、セット!」
「Dゲイザー、セット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
「フフッ…リカティナには後三回、攻撃が残っています」
《攻撃力:1600》
「あぁ、だが《ハーフショット・シールド》の効果で受けるダメージは半分。俺のライフは削りきれない!」
《托都のライフ:3200》
「果たしてそう言い切れるかしら…」
一体なんなんだ、アイツの余裕は…。それに加えてさっきの攻撃、それほどのダメージは受けていないのに全身に痛みが……。やはりダメージが現実になる世界…。
……もしや、これは罠なのか…?
デュエルを受けた時点で罠に嵌められていたということだとしたら……。
~~~
「先攻はもらうぜ、俺のターンドロー!」
「ここは…!?」
「…!みんな見て!」
「鏡……。あれは…!」
「ヒカル先輩……腕が…」
「いやぁぁ!!」
「雪那、大丈夫だ。多分…」
リンさんが全員連れてきたのか…、余計なことしやがって。
「後輩にンなグロテスクなモン見せたらダメじゃねえかよ~?」
「わかってるっつの…」
この連中ならほどいても文句もなにもない。母さんには悪いが、止血と傷口見せないために使うしかない。
ただ、人前でほどくのは嫌いだが。
袖を捲って見てみると想像以上にグロい。巻き付けとけば少しは止まるだろ。
「これで満足か」
「俺は知らねえよ、後輩に聞きやがれ」
「ふんっ…デュエルを続けるぞ」
使い物にならなくなったらただじゃおかねえからな…!!
「俺は《Ds-風車のフィール》を召喚!フィールは、自分フィールドにこいつしかいない時、手札からフィールを特殊召喚できる!」
《攻撃力:400/レベル:4》
「ダークソニッカー……」
「レベル4のフィール二体でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ《Ds-宵闇のブライトダークネス》!」
《攻撃力:2800/ランク:4/ORU:2》
ダークソニッカーか…アミの顔色から察するに嫌な予感しかしないが。
「ブライトダークネスの効果、1ターンに一度オーバーレイユニットを一つ使い、相手の手札を三枚まで除外し、攻撃力を1000ポイントアップする」
《攻撃力:3800/ORU:1》
「手札三枚を除外だと!」
「さぁ手札を捨てろよ」
墓地に送るならまだしも除外となると厄介だ…。しかも枚数は三枚、最初のターンのドローがあっても初期手札が三枚になるのは考えなければならないか…。
「おいおい手が震えてるぜ?そんなんでデュエルできんのかよ」
「うるせえ、これくらい……」
「フッ…俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド!」
《手札:3》
「俺のターン!…ッドロー!」
この手札なら…行ける…!遊矢、お前のカードを使うぜ!
「俺は《カオス・パージ ドラゴプス》を召喚!ドラゴプスは召喚に成功した時、手札からカオス・パージと名のつくモンスターを特殊召喚できる!俺は《カオス・パージ シールドライダー》を…特殊召喚…!!」
《攻撃力:1200/レベル:4》《攻撃力:100/レベル:4》
「レベル4が二体か…」
「レベルを変えるカードを持っているなら、ギャラクティック・カオスか」
「違うよ!あれはきっと…!」
そうだ、手札にレベルを変えるカードなんてない。だが変える必要もない。
「レベル4のドラゴプスとシールドライダーでオーバーレイ!エクシーズ召喚!《混沌火竜 フレアミラージュ》」
《攻撃力:2100/ランク:4/ORU:2》
「はぁ?フレアミラージュは自分フィールドに他のモンスターがいなきゃ雑魚同然だぜ?」
「フレアミラージュなら雑魚かもしれない、だがコイツが本命じゃねえ」
「なに?」
「俺は魔法カード《エクシーズ・エクストラ・チェンジ》を発動!」
このカードは、自分フィールドのモンスターエクシーズをエクストラデッキに戻し、同じランクのモンスターエクシーズを特殊召喚する。しかも、このカードがオーバーレイユニットになる効果もある。
「フレアミラージュをエクストラデッキに戻し、ランク4の《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》をエクシーズ召喚!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:1》
「なにっ…!?ホープ・オブ・ソードだと!?」
「やったぁ!ホープ・オブ・ソードだ!」
「しかし、何故わざわざ…」
「多分…」
コイツなら、きっと遊矢の心を取り戻してくれるはず…遊矢と共に数々の敵と戦ってきた、コイツなら…!!
「ホープ・オブ・ソードの効果発動!1ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、相手モンスター一体の攻撃力1000ポイントにつき攻撃力を800ポイントアップする!」
ブライトダークネスの攻撃力は3800、よって攻撃力は2400ポイントアップする。
《攻撃力:4900/ORU:0》
「攻撃力4900……くっ…!(なんだ…胸を締め付けるような痛みが…!風雅遊矢の魂がホープ・オブ・ソードに応えているとでも言うのか…!?)」
「遊矢!!」
「な…なに…っ?」
「そこに居るんだろ!お前の心はまだ生きてるんだろ!?」
「バカなこと…そんなわけ…ぐあぁっ!」
「お前が戦い続けたこの絆のカードで必ずお前を取り戻す!行け!ホープ・オブ・ソード!シューティングスターブレード!!」
「ブライトダークネス!!うわっ!」
「戻ってこい!!遊矢!」
「っ!!ヒカル…!」
…!やったか!?
「……」
《遊矢のライフ:2900》
「遊矢!」
「…ヒカル…、あれ…俺なにしてんだ…」
「やったわ!」
「よしっ!すっげえ!」
「訳わかんねえし…なぁどうなってんだよ!」
「話は後だ!帰ろう!」
「…おう!!」
やったんだ…、これでやっと終わったか……。
「っ…うわぁぁぁぁぁ!!」
「なんだ!?」
「くっそ……何故だ、どうしてお前の意識が!」
「えっ…」
「仲間の絆で魂が蘇ったか…不完全消滅だったのか…いいや、そんなことはどうでもいい!」
なんなんだ…?遊矢はどうなったんだ…!?
「おい、遊矢…」
「ヒカル!!気を付けろ!デュエルは続いてる、そいつも鏡だ!」
「なに…!」
「死に損ないどもに…俺の邪魔をされて溜まるかぁぁぁ!!」
ひどい風だな……。遊矢は、やはりデュエルで勝つしかないか…。
「俺はこれでターンエンドだ。攻撃力は元に戻る」
《手札:0》《攻撃力:2500》
だんだん腕が動かなくなってきやがった…視界もぼやけてるし。早めに決着つけねえと…。
今、手札も伏せカードもないが、墓地のシールドライダーは除外することでバトルフェイズを終了させられる。
ホープ・オブ・ソードがいれば、きっと遊矢は戻ってくる、守り抜くんだ。
「俺のターン!永続罠《闇夜の蘇生術》を発動!手札のDs一体を墓地に送り、Dsのモンスターエクシーズを蘇らせる!復活しろブライトダークネス!」
《ORU:0》
「攻撃力は確かに上だが、その程度じゃ痛くも痒くもねえ!」
「ならデュエルを終わらせる間もなく葬り去るまでだ!俺はブライトダークネスをマイナスダークエクシーズチェンジ!一体のモンスターでオーバーレイネットワークを逆構築!現れろマイナスダークエクシーズ!絶望の化身を取り込みし絶望そのものよ、闇の風に従い、全てを虚無に変えろ!《Ds-深淵のドミネイトダークネス》!」
《攻撃力:3200/ランク:-4/ORU:1》
《攻撃力:1500》
攻撃力3200か…だがシールドライダーがいる限り、バトルフェイズはスキップできる。
「ドミネイトダークネスの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手の手札か墓地のモンスターをすべて除外する!」
《ORU:0》
「なんだと!?」
「当然除外するのは墓地のモンスターだ!」
これでシールドライダーは除外され、1700のダメージ……。
「希望も絆も奇跡も、全てを俺が破壊する!行けドミネイトダークネスでホープ・オブ・ソードを攻撃!ホープテイント!」
「ホープ・オブ・ソード!!っうあぁああぁぁ!!」
《ヒカルのライフ:2300》
ーーパキッ
「希望、砕け散れ…!」
ーーピキッ
赤い破片……、命……か。
「立ち上がれ、朽祈ヒカル」
「ヒカル先輩!!」
「どうして立ち上がれないの…?」
「…!…心層の貝殻が…半分欠けてる…?」
「リンさん……?」
立ち上がれるなら立ち上がってる。だけど体が動いてくれない…!力が抜けてく……つか血が止まらねえ…マジで死ぬんじゃ…?
意識が……………
~~~
「ぅ………ぁ…?」
ここは一体どこなんだ…?確か、デュエルの途中で…。
「お目覚めですか?」
「…お前は……!トルテ!?」
…!体が動かない!?いや、あの時の黒い糸が腕に…!……右腕の血が止まってる…?夢の世界か…?
「なんのつもりだ、夢なら消えろ!」
「夢…、ここは夢かもしれない現実です。貴方の心の世界なのだから」
「消えないなら放せ!俺は今…」
「デュエルをしている。だけども、ここまでのダメージで貴方の意識は失われている…。だから現れたのですわ」
だから現れた……?
「今、貴方はなにかしら手を打たなければ死ぬし、生きていても彼に勝つことはできない」
「そんなことやってみなきゃ分からないだろ」
「いいえ、勝つことは不可能。ヌメロンコードに刻まれた運命を変えることはできない」
「ヌメロンコード…」
カイトが言っていた、全てのものの過去現在未来を決めるカード…それがヌメロンコード…。
「ですが、私はヌメロンコードに干渉されない力があるのですわ」
「それがどうした」
「以前から言っている通り、私は貴方を手に入れる…もし私のものになるのなら、その力を与えてもよくってよ?」
「誰が貴様の力なんか!!」
いくらヌメロンコードに干渉されなかったとしてもコイツの罠に嵌まるも同然。絶対に力なんて借りたらいけないんだ…!
「仲間を全て救えるなら…?」
「全て…?」
「貴女方の仲間、いえ、どうかは実際はどうか存じませんが…彼も今、命を懸けたデュエルをしているのですわ」
指が鳴った瞬間現れた映像……どういうことだ…!?
「托都…トルテも…!?」
「あれは私の本体ですわ、今ここにいるのは精神体ですから。…もしNOと言うなら皆さんまとめて死んでしまうけれど…どうされます?」
~~~
「四回目の攻撃ですわ!リカティナ!」
「うわぁぁぁああ!!!」
《托都のライフ:800》
「あらあら…少々やり過ぎてしまったかしら?血、出てますわよ」
「…血だと…」
ーーー『痛いよ!殴らないでよ!』
「くそっ…余計なこと思い出した…」
これだから血は嫌いなんだよ……だが、攻撃は耐えきった。とにかく罠なのだとしたら、次のターンで決着をつけなければ。
「ふふ…私は速攻魔法《転換人形》を発動!このカードは相手フィールドのモンスター一体を《マリオネットトークン》に変える」
「これで五回目の攻撃が可能になる…これを隠していたのか!」
「そう!クリスタルエンゲーラを《マリオネットトークン》に変え、リカティナは五回目の攻撃を行う!」
~~~
「さぁ、あまり時間は残されてなくてよ?」
今ここで拒否したら全員仲良く死ぬってことかよ…托都は若干なにか感付いてるが…それがなんなのか分かってるか…。……だが、俺が一時でも奴の力を借りれれば、全員きっと助かる。……俺はどうなるか分からないけど。
《とどめよ!リカティナで《マリオネットトークン》に攻撃!》
「…!やめろ!!」
「あら、どうされました?」
「………分かった…、力貸せよ…」
「ふふっ…良いでしょう」
多分、俺は俺じゃなくなってしまうから…後はアイツらに任せた。全てが終わったら、必ずみんなの元に連れ戻してくれよ、遊矢。
「ようこそ、私のおにんぎょさん」
~~~
全然動かない…。本当に大丈夫なの…?
「チッ…この程度かよ」
「この程度って…なに言ってるのよ!!このままじゃヒカル先輩死んじゃうんだよ!?」
「どっちにしたって死ぬ運命だろーがよ、だから……!?」
「なに?」
「……立ち上がった…?」
でも違う、なにかが違う……。
「蒼眼……まさか、トルテ・マスカローズか…!!」
「あれは…」
本当にヒカル先輩なの…!?
93話へ続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「つまりどういうことだってばよ」。
うん、俺にも分からん。公式も絶賛混乱中です。どうしろと言うんだ。
補足すると托都は捨てられた直後に裏路地の方々に喧嘩売られた上にフルボッコ食らって大流血したから血が嫌い、トラウマ。ただし現在頭から血が出てる一番嫌な状況。
ヒカルのペンダントこと心層の貝殻は半分ないどころか次回壊れかける、ヒカル死ぬのかお前。あと喘ぐなし。
ググったんだけど予想してた以上に貫通ってグロいね。今更すぎてヤバイけど。
つか編集画面が変わったから短いかなぁ……短かったら次回以降善処します。
次回!!闇の戦い!記憶を巡り、世界に戻れ!
遂にヒカルの闇の力が発動!!闇の混沌の力と闇の風の力によるデュエルが開幕!そしてヒカルの意識はどこへ……。
托都はどうなるか…そして再び闇に消えた遊矢は…?
【予告】
重傷の怪我とトルテの力による追い打ちによって闇の力を手にしたヒカルは今までにないような強力な力で遊矢を追い詰める。
一方、記憶の世界に閉じ込められた本物のヒカルの意識は記憶が封じ込められた鏡を巡り、出口を探していた。完全にトルテに意識を奪われたわけではないことを知ったヒカルは記憶と意識を消される前に脱出しようと試み、そこである人物と会う。
次回!第93話「記憶の世界へ 絆の奇跡」
※深夜0時~5時までのコメントや読者登録はマナー違反です。おやめください。
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ジェレスタ92「 傷 だ ら け の 決 戦 遊 矢 V S ヒ カ ル 」
運命に身を任せてきたからアイツに初めて会ったことも特に気にも止めてなかった。というかまず興味はなかったし、二度も負けるまではアイツにライバル意識はなかった。最初負けた時は………まぁ負けたくなくてあんなこと言ったというか…。
「…負けたくなかったから……か」
嘘だな。負けたくないんじゃない、勝ちたい。遊矢に勝ちたかった、少なくとも一勝はしたからもう二勝はしたかった。…ま、今じゃあそれも叶わぬ夢になりそうだけど。
『あの状態の彼に勝つことは、勝つと言わないのですか?』
勝ちじゃない、アイツはあくまで遊矢の姿の別人だ。トルテには絶対に分からないだろうな。
『失礼な、でも良かったですわ!身の程はわきまえてるご様子で。その調子じゃ長くは持たない、もうすぐ私のものになるのですね!』
「…るっせえ」
『えっ?』
「言わなくても分かるんだろうが。俺にとってお前は邪魔でしかねえ…失せろ!」
『ッ…!!』
一時的にでも消さないとアイツの声が耳に痛い。そうじゃなくても視界がたまにふらつくってのに。
「一体この先どうすれば…?」
鏡…?自分の姿は写ってない、光が出ていないのに眩しい鏡の先には穴のようなものが見える。
多分こんな芸当はトルテじゃなくて鏡だ。誘いなのはわかるけど…行かないわけにはいかない。鏡は多分本気だ。それなら行ってデュエルに勝つ。
~~~
「なにっ!?鏡の迷宮が開いた!?」
「あぁ、覚えていたのか。あの話」
「まぁな…」
「全く、余計なことを…」
「クリス兄様ひどいー」
でも心配だ。アミたちももうすぐ駅前広場に来るだろうし、俺も行くか。
~~~
もうすぐ一番奥にたどり着く…と思う。入ってきた場所から見えたのは洞窟と城だったがどうやら洞窟に入ったようだった。
洞窟と言っても、中は迷路のような作りで全体は鏡で覆われたあまり気持ちいい世界ではない。
そろそろ道を抜ける、この先にはアイツがいるはずなんだけど。
「………来たか」
「…、待たせたな」
あっていた。遂にあの鏡と戦える、やっとだ。
「ようこそ!鏡の迷宮へ」
「鏡の迷宮?」
「単純な長い廊下なのに鏡のせいで迷路のように感じるから鏡の迷宮……こここそ、俺達の決着の地に相応しいと思ってな」
決着の地に相応しい……か。
確かに、こんな世界で果てるなら構わんな。どうせ勝っても負けても変わらないし。
「さぁって、最後のデュエルだ。質問一つなら聞いてやらなくないかな」
「聞くことは一つだ、お前の目的はなんだ!答えろ!」
「……俺は完全な神になる…それだけだ。そのためには闇の力が必要だった。光有るところに闇は有る、闇の神は闇を潜在的に強く持つ者が必要、その結果選ばれちゃったのが風雅遊矢なだけだ」
結果的にたまたま遊矢が選ばれた…ということなのか…?神になるためだなんてくだらねえこと抜かしやがって…!!
「そんなことのために遊矢の仲間を思う気持ちを利用したのか?!」
「そうだよ、それがどうした」
「貴様…!!どこまでもゲスということか…!」
「誠に比べたらゲスじゃねえよ、…と、話したら飽きてきちゃったし……俺とデュエルしたかったら最後の試練を受けてもらうぜ?」
最後の試練?…このタイミングでデュエルなら最悪だが、それ以外のようだな……。
「鏡の世界は俺の世界、すなわち俺が神だ。今から来るもの全てを避けきって見せろ。できたらデュエルしてやる、できなければ…死ぬぞ」
指が鳴るとちょうど玉座の真後ろにある二つの巨大な鏡が音をたてながら割れていく。もう片方も鳴ると落ちた鏡の破片がなんの原理かは分からないが浮いて矢のように無作為に飛び始めた。
「うわっ…」
かなり鋭角的、当たったら確かにただでは済まなそうだ。なら全て避けきるまで…!!
「はっ!!」
「おぉ~すごいすごい~今のとこ掠り傷一つないね~」
掠り傷は俺のプライドが許さん、当たるのもかするのは気分が悪い。…そんなこと考える暇もないけど。
「…(おかしい、体力切れを起こしてない…?本来なら体力は限界に達してるはず……)」
「いてっ…」
左頬が切れたか……。まぁせめてもの救いは俺に向かって飛んできていないこと。
「ッ!」
「あーれー?もうちょいで終わりだぜー?」
「くそっ!…!!」
後ろから来る!?
「(ダメだ…!避けきれない!)」
ーーードスッ!!
~~~
「リンさん!!」
「来たか…」
「なにかあったんですか?」
「説明は走りながらする、とにかく行くぞ!」
「は、はい!」
~~~
「ヒュ~…呆れたぜ、お前それでもデュエリストかよ」
「っ…あ…ぁ……」
足元が赤い、右腕の感覚が薄れていく。つかそもそも右腕貫通してる。
「デュエリストは腕が命。左にはデュエルディスクを、右にはカードを……それじゃあお前、カード持てないじゃん」
「腕はなくなってねえ…破片引き抜けば、使いモンになるだろ……」
抜いたら血が出るのは分かってる、ただ抜かなければ右腕が動かせない。刺さってんのは二本、内一本は貫通。
痛みは我慢しろ、叫び声を上げたら負けだ。
「いっ…!!…はぁ……ぁ…」
「へーいすごーい、引っこ抜いたな」
「…ッ…エンターテイメントじゃねえんだぞ」
ーーザシュッ!
「貫通してんのに、声一つあげず引っこ抜きやがった…化けモンじゃねえか」
痛くないわけがない、むしろこれから死ぬにしろデュエルするにしろ最悪。神経がどうとか血が溢れ出てるとか気にしたら終わりだぞこれ。
「化け物……か……おもしれえ!良いぜ、デュエルしてやるよ!」
「当然だ…!」
「ふっ…そんじゃあ行くぜ、お前も倒して今度こそ俺は人間界も手に入れる!」
「遊矢を取り戻す!遊矢も人間界もお前の好きなようにはさせない!Dシューター展開!」
「デュエルディスク、セット!」
「Dゲイザー、セット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
「フフッ…リカティナには後三回、攻撃が残っています」
《攻撃力:1600》
「あぁ、だが《ハーフショット・シールド》の効果で受けるダメージは半分。俺のライフは削りきれない!」
《托都のライフ:3200》
「果たしてそう言い切れるかしら…」
一体なんなんだ、アイツの余裕は…。それに加えてさっきの攻撃、それほどのダメージは受けていないのに全身に痛みが……。やはりダメージが現実になる世界…。
……もしや、これは罠なのか…?
デュエルを受けた時点で罠に嵌められていたということだとしたら……。
~~~
「先攻はもらうぜ、俺のターンドロー!」
「ここは…!?」
「…!みんな見て!」
「鏡……。あれは…!」
「ヒカル先輩……腕が…」
「いやぁぁ!!」
「雪那、大丈夫だ。多分…」
リンさんが全員連れてきたのか…、余計なことしやがって。
「後輩にンなグロテスクなモン見せたらダメじゃねえかよ~?」
「わかってるっつの…」
この連中ならほどいても文句もなにもない。母さんには悪いが、止血と傷口見せないために使うしかない。
ただ、人前でほどくのは嫌いだが。
袖を捲って見てみると想像以上にグロい。巻き付けとけば少しは止まるだろ。
「これで満足か」
「俺は知らねえよ、後輩に聞きやがれ」
「ふんっ…デュエルを続けるぞ」
使い物にならなくなったらただじゃおかねえからな…!!
「俺は《Ds-風車のフィール》を召喚!フィールは、自分フィールドにこいつしかいない時、手札からフィールを特殊召喚できる!」
《攻撃力:400/レベル:4》
「ダークソニッカー……」
「レベル4のフィール二体でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ《Ds-宵闇のブライトダークネス》!」
《攻撃力:2800/ランク:4/ORU:2》
ダークソニッカーか…アミの顔色から察するに嫌な予感しかしないが。
「ブライトダークネスの効果、1ターンに一度オーバーレイユニットを一つ使い、相手の手札を三枚まで除外し、攻撃力を1000ポイントアップする」
《攻撃力:3800/ORU:1》
「手札三枚を除外だと!」
「さぁ手札を捨てろよ」
墓地に送るならまだしも除外となると厄介だ…。しかも枚数は三枚、最初のターンのドローがあっても初期手札が三枚になるのは考えなければならないか…。
「おいおい手が震えてるぜ?そんなんでデュエルできんのかよ」
「うるせえ、これくらい……」
「フッ…俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド!」
《手札:3》
「俺のターン!…ッドロー!」
この手札なら…行ける…!遊矢、お前のカードを使うぜ!
「俺は《カオス・パージ ドラゴプス》を召喚!ドラゴプスは召喚に成功した時、手札からカオス・パージと名のつくモンスターを特殊召喚できる!俺は《カオス・パージ シールドライダー》を…特殊召喚…!!」
《攻撃力:1200/レベル:4》《攻撃力:100/レベル:4》
「レベル4が二体か…」
「レベルを変えるカードを持っているなら、ギャラクティック・カオスか」
「違うよ!あれはきっと…!」
そうだ、手札にレベルを変えるカードなんてない。だが変える必要もない。
「レベル4のドラゴプスとシールドライダーでオーバーレイ!エクシーズ召喚!《混沌火竜 フレアミラージュ》」
《攻撃力:2100/ランク:4/ORU:2》
「はぁ?フレアミラージュは自分フィールドに他のモンスターがいなきゃ雑魚同然だぜ?」
「フレアミラージュなら雑魚かもしれない、だがコイツが本命じゃねえ」
「なに?」
「俺は魔法カード《エクシーズ・エクストラ・チェンジ》を発動!」
このカードは、自分フィールドのモンスターエクシーズをエクストラデッキに戻し、同じランクのモンスターエクシーズを特殊召喚する。しかも、このカードがオーバーレイユニットになる効果もある。
「フレアミラージュをエクストラデッキに戻し、ランク4の《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》をエクシーズ召喚!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:1》
「なにっ…!?ホープ・オブ・ソードだと!?」
「やったぁ!ホープ・オブ・ソードだ!」
「しかし、何故わざわざ…」
「多分…」
コイツなら、きっと遊矢の心を取り戻してくれるはず…遊矢と共に数々の敵と戦ってきた、コイツなら…!!
「ホープ・オブ・ソードの効果発動!1ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、相手モンスター一体の攻撃力1000ポイントにつき攻撃力を800ポイントアップする!」
ブライトダークネスの攻撃力は3800、よって攻撃力は2400ポイントアップする。
《攻撃力:4900/ORU:0》
「攻撃力4900……くっ…!(なんだ…胸を締め付けるような痛みが…!風雅遊矢の魂がホープ・オブ・ソードに応えているとでも言うのか…!?)」
「遊矢!!」
「な…なに…っ?」
「そこに居るんだろ!お前の心はまだ生きてるんだろ!?」
「バカなこと…そんなわけ…ぐあぁっ!」
「お前が戦い続けたこの絆のカードで必ずお前を取り戻す!行け!ホープ・オブ・ソード!シューティングスターブレード!!」
「ブライトダークネス!!うわっ!」
「戻ってこい!!遊矢!」
「っ!!ヒカル…!」
…!やったか!?
「……」
《遊矢のライフ:2900》
「遊矢!」
「…ヒカル…、あれ…俺なにしてんだ…」
「やったわ!」
「よしっ!すっげえ!」
「訳わかんねえし…なぁどうなってんだよ!」
「話は後だ!帰ろう!」
「…おう!!」
やったんだ…、これでやっと終わったか……。
「っ…うわぁぁぁぁぁ!!」
「なんだ!?」
「くっそ……何故だ、どうしてお前の意識が!」
「えっ…」
「仲間の絆で魂が蘇ったか…不完全消滅だったのか…いいや、そんなことはどうでもいい!」
なんなんだ…?遊矢はどうなったんだ…!?
「おい、遊矢…」
「ヒカル!!気を付けろ!デュエルは続いてる、そいつも鏡だ!」
「なに…!」
「死に損ないどもに…俺の邪魔をされて溜まるかぁぁぁ!!」
ひどい風だな……。遊矢は、やはりデュエルで勝つしかないか…。
「俺はこれでターンエンドだ。攻撃力は元に戻る」
《手札:0》《攻撃力:2500》
だんだん腕が動かなくなってきやがった…視界もぼやけてるし。早めに決着つけねえと…。
今、手札も伏せカードもないが、墓地のシールドライダーは除外することでバトルフェイズを終了させられる。
ホープ・オブ・ソードがいれば、きっと遊矢は戻ってくる、守り抜くんだ。
「俺のターン!永続罠《闇夜の蘇生術》を発動!手札のDs一体を墓地に送り、Dsのモンスターエクシーズを蘇らせる!復活しろブライトダークネス!」
《ORU:0》
「攻撃力は確かに上だが、その程度じゃ痛くも痒くもねえ!」
「ならデュエルを終わらせる間もなく葬り去るまでだ!俺はブライトダークネスをマイナスダークエクシーズチェンジ!一体のモンスターでオーバーレイネットワークを逆構築!現れろマイナスダークエクシーズ!絶望の化身を取り込みし絶望そのものよ、闇の風に従い、全てを虚無に変えろ!《Ds-深淵のドミネイトダークネス》!」
《攻撃力:3200/ランク:-4/ORU:1》
《攻撃力:1500》
攻撃力3200か…だがシールドライダーがいる限り、バトルフェイズはスキップできる。
「ドミネイトダークネスの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手の手札か墓地のモンスターをすべて除外する!」
《ORU:0》
「なんだと!?」
「当然除外するのは墓地のモンスターだ!」
これでシールドライダーは除外され、1700のダメージ……。
「希望も絆も奇跡も、全てを俺が破壊する!行けドミネイトダークネスでホープ・オブ・ソードを攻撃!ホープテイント!」
「ホープ・オブ・ソード!!っうあぁああぁぁ!!」
《ヒカルのライフ:2300》
ーーパキッ
「希望、砕け散れ…!」
ーーピキッ
赤い破片……、命……か。
「立ち上がれ、朽祈ヒカル」
「ヒカル先輩!!」
「どうして立ち上がれないの…?」
「…!…心層の貝殻が…半分欠けてる…?」
「リンさん……?」
立ち上がれるなら立ち上がってる。だけど体が動いてくれない…!力が抜けてく……つか血が止まらねえ…マジで死ぬんじゃ…?
意識が……………
~~~
「ぅ………ぁ…?」
ここは一体どこなんだ…?確か、デュエルの途中で…。
「お目覚めですか?」
「…お前は……!トルテ!?」
…!体が動かない!?いや、あの時の黒い糸が腕に…!……右腕の血が止まってる…?夢の世界か…?
「なんのつもりだ、夢なら消えろ!」
「夢…、ここは夢かもしれない現実です。貴方の心の世界なのだから」
「消えないなら放せ!俺は今…」
「デュエルをしている。だけども、ここまでのダメージで貴方の意識は失われている…。だから現れたのですわ」
だから現れた……?
「今、貴方はなにかしら手を打たなければ死ぬし、生きていても彼に勝つことはできない」
「そんなことやってみなきゃ分からないだろ」
「いいえ、勝つことは不可能。ヌメロンコードに刻まれた運命を変えることはできない」
「ヌメロンコード…」
カイトが言っていた、全てのものの過去現在未来を決めるカード…それがヌメロンコード…。
「ですが、私はヌメロンコードに干渉されない力があるのですわ」
「それがどうした」
「以前から言っている通り、私は貴方を手に入れる…もし私のものになるのなら、その力を与えてもよくってよ?」
「誰が貴様の力なんか!!」
いくらヌメロンコードに干渉されなかったとしてもコイツの罠に嵌まるも同然。絶対に力なんて借りたらいけないんだ…!
「仲間を全て救えるなら…?」
「全て…?」
「貴女方の仲間、いえ、どうかは実際はどうか存じませんが…彼も今、命を懸けたデュエルをしているのですわ」
指が鳴った瞬間現れた映像……どういうことだ…!?
「托都…トルテも…!?」
「あれは私の本体ですわ、今ここにいるのは精神体ですから。…もしNOと言うなら皆さんまとめて死んでしまうけれど…どうされます?」
~~~
「四回目の攻撃ですわ!リカティナ!」
「うわぁぁぁああ!!!」
《托都のライフ:800》
「あらあら…少々やり過ぎてしまったかしら?血、出てますわよ」
「…血だと…」
ーーー『痛いよ!殴らないでよ!』
「くそっ…余計なこと思い出した…」
これだから血は嫌いなんだよ……だが、攻撃は耐えきった。とにかく罠なのだとしたら、次のターンで決着をつけなければ。
「ふふ…私は速攻魔法《転換人形》を発動!このカードは相手フィールドのモンスター一体を《マリオネットトークン》に変える」
「これで五回目の攻撃が可能になる…これを隠していたのか!」
「そう!クリスタルエンゲーラを《マリオネットトークン》に変え、リカティナは五回目の攻撃を行う!」
~~~
「さぁ、あまり時間は残されてなくてよ?」
今ここで拒否したら全員仲良く死ぬってことかよ…托都は若干なにか感付いてるが…それがなんなのか分かってるか…。……だが、俺が一時でも奴の力を借りれれば、全員きっと助かる。……俺はどうなるか分からないけど。
《とどめよ!リカティナで《マリオネットトークン》に攻撃!》
「…!やめろ!!」
「あら、どうされました?」
「………分かった…、力貸せよ…」
「ふふっ…良いでしょう」
多分、俺は俺じゃなくなってしまうから…後はアイツらに任せた。全てが終わったら、必ずみんなの元に連れ戻してくれよ、遊矢。
「ようこそ、私のおにんぎょさん」
~~~
全然動かない…。本当に大丈夫なの…?
「チッ…この程度かよ」
「この程度って…なに言ってるのよ!!このままじゃヒカル先輩死んじゃうんだよ!?」
「どっちにしたって死ぬ運命だろーがよ、だから……!?」
「なに?」
「……立ち上がった…?」
でも違う、なにかが違う……。
「蒼眼……まさか、トルテ・マスカローズか…!!」
「あれは…」
本当にヒカル先輩なの…!?
93話へ続く
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【あとがき】
今回の一言、「つまりどういうことだってばよ」。
うん、俺にも分からん。公式も絶賛混乱中です。どうしろと言うんだ。
補足すると托都は捨てられた直後に裏路地の方々に喧嘩売られた上にフルボッコ食らって大流血したから血が嫌い、トラウマ。ただし現在頭から血が出てる一番嫌な状況。
ヒカルのペンダントこと心層の貝殻は半分ないどころか次回壊れかける、ヒカル死ぬのかお前。あと喘ぐなし。
ググったんだけど予想してた以上に貫通ってグロいね。今更すぎてヤバイけど。
つか編集画面が変わったから短いかなぁ……短かったら次回以降善処します。
次回!!闇の戦い!記憶を巡り、世界に戻れ!
遂にヒカルの闇の力が発動!!闇の混沌の力と闇の風の力によるデュエルが開幕!そしてヒカルの意識はどこへ……。
托都はどうなるか…そして再び闇に消えた遊矢は…?
【予告】
重傷の怪我とトルテの力による追い打ちによって闇の力を手にしたヒカルは今までにないような強力な力で遊矢を追い詰める。
一方、記憶の世界に閉じ込められた本物のヒカルの意識は記憶が封じ込められた鏡を巡り、出口を探していた。完全にトルテに意識を奪われたわけではないことを知ったヒカルは記憶と意識を消される前に脱出しようと試み、そこである人物と会う。
次回!第93話「記憶の世界へ 絆の奇跡」