ジェレスタ88「 驚 異 の D s ! 遊 矢 V S 慶 太 絆 の デ ュ エ ル ! 」
深夜3時過ぎ。
「アミちゃん!リンさんに呼ばれたって!?」
「分からないの!でも早く来いって!」
リンさんが呼び出したり遊矢がドタキャンしたりしてよく分からないけど、何故か嫌な予感がする!!
だって、みんな呼ぶんだもん!きっと、何かあるに違いない!
「……来たか」
「リンさん、なんで俺たちを?」
「遊矢さんはどこですか~?」
「……遊矢の話だ、心して聞け」
リンさんの話によると、遊矢は今行方不明。
鏡って人とデュエルして負けて、騙された上に力も体も奪われたって………。
ヒカル先輩も、神の五王とのデュエルで傷を負って今は療養中だって。
「な、なんですかそれ……オカルトですか…」
「ただのオカルト話なわけないよ、袢太くん。きっと遊矢くんはホントに……」
「そんなのひどい…!」
「雪那……」
「どうせ、遊矢のことだ、自分でなんとかするさ!」
「慶太てめえ…!」
「喧嘩はダメだよ!」
みんなざわつくし、私も動揺してないわけじゃなかった。
でも泣いたらダメ、強くなきゃ、遊矢もいないし先輩もいない今みんなを守るのは私の役目なんだから…!!
「…お前らには遊矢を探す手伝いをしてほしい」
「本当に!?」
「でも、居場所が分からないのにどうすれば…」
「お前らの切り札を出せ、…大河は俺のカードを渡す」
「?なんで?」
「早くしろ、説明は後だ」
ラピスラズリ・バタフライドラゴンを取り出してみるけど……なにか意味があるのかなぁ……。
慶太くんはロゼッタ、敏也くんはネロファクス、雪那ちゃんはエターナルフローズン、袢太くんはリバーシアンブレーダー、狩也くんはプラネット・パラディンソード。……袢太くんってあんなカード持ってたっけ?
大河くんはリンさんから《アルテマ・セイバー》を受け取って……でも、大河くんはデュエルやってるのにどうして?
「大河以外は俺の前にカードを翳せ」
もう言われたままにカードを翳す、リンさんが右手を突き出した。そしたらカードが光を帯びて輝きだした。
リンさんが右手を下げると、光は止んだ。
「これで、ホープ・オブ・ソードを探せば、遊矢はきっと見つかる」
「ホープ・オブ・ソードを!?」
「俺が与えた力だ、精霊界に存在するモンスターの微弱な電波を与えた。今は輝いていないが、カードが輝きを見せたとき、それはモンスター同士が共鳴している証拠だ」
「でも、デュエルしていたら…」
「その通りだ、デュエルしている連中に空振る確率がある。じゃあこんな時間に呼び出したのは…何故だと思う」
そっか!今は夜中だから、デュエルしてる人なんていないし、町も寝静まってる!
「だから誰にも邪魔されずに遊矢を探せる!」
「そういうことだ、夜だから少々暗いが……問題ないだろう、あぁ女子は安心しろ、不審者が出ないように侍らせるから」
「「いらないです!」」
リンさんってばたまに変なこと言うから…雪那ちゃんは私が守るわよ!
とにかく、みんな解散して探し始めた。
ハートランドシティを4つに分けて、袢太くんは西を大河くんは南を私と雪那ちゃんは東を狩也くんは北をハートランド内を敏也くんが。一応デュエルシティも探すことになって慶太くんはそこに。
「ねえアミちゃん、」
「なに?」
「もしも遊矢くんが遊矢くんでなくなってたらどうしよう…」
「……雪那ちゃんは心配しなくて良いよ、その時は遊矢に一発お見舞いして、目を覚まさせ…雪那ちゃん?わぁぁ!?泣かないで?ゆ、遊矢に一発っていうのは…」
「そうじゃなくて!」
「えっ?」
「私怖いよ…遊矢くんはいつだって優しくて、ちょっとおバカだけど元気で……でも、もしそうじゃなくなっちゃったら…もう遊矢くんと居られない気がするの……そんなの嫌だよ…狩也くんがやっと戻ってきてくれて、みんな揃ったのに…!」
「雪那ちゃん……、大丈夫だから…絶対、遊矢はあの遊矢で帰ってくるから…その時まで、私が雪那ちゃんを守ってあげるから…だから泣かないで?泣きたいのは……私もなんだから…」
本当に、遊矢ったら…バカ。
~~~
「はぁ…はぁ…!」
遊矢、どこだ!どこにいるんだよ!
俺たちを置いてどっか行っちまうなんてバカみたいなことしやがって!!
雪那ちゃん泣いてたんだぞ!?お前は女の子を、それも幼馴染みを泣かせるようなバカじゃないだろ!?
俺は知ってる!遊矢…お前がどんな奴かってこと。
___数年前
「なぁアミちゃん!一緒に帰ろうぜ!」
「うん!でもちょっと待ってて」
あの時、アミちゃんが隣で爆睡してた遊矢を起こしたのがそもそもの出会いだった。
いや、正確には小等部で同じクラスに転入してきた時に「おかしな奴」とだけは思っていたけど。
「ん~なんだよアミ~」
「ほら起きて!帰るわよ!」
「まさかそいつも付いてくるのか?」
「ダメ?」
「いや、良いぜ!おいお前!一緒に帰るなら…」
「お前!デュエル強いのか?!」
遊矢が俺に対して発した最初の言葉はそれだった。
ホント、あの頃からデュエルバカだったんだなって今でも思ってる。
でもあの頃はお互いにまだ弱くて…弱かったんだ。
___
「!カードが、光ってる!」
しかもかなり強い光だ、きっと遊矢はこの近くにいる。
光を見ながら進んでいくと、地下への入り口にたどり着いた。遊矢はここにいる、絶対に連れ戻して張り手の一発くらいは食らわしてやる!
~~~
「…!」
光が強くなり始めた?……方向はデュエルシティか…みんなを呼んだ方がいいかもしれないな……。
「慶太………」
所詮、離れ離れになった俺なんかよりもお前の方がよっぽど遊矢を分かってるんだろうな。
「狩也くん!」
「雪那、アミちゃん!」
「今光がデュエルシティの方向を…」
「分かってる、二人はデュエルシティに向かってくれ、俺はみんなを呼ぶから!」
「分かった!」
~~~
地下への階段を歩いてだいぶ経った。まさかこんなに長い階段なんて思わなかったからかなり疲れた。
こんな場所にいるなんてなに考えてるんだ?
「遊矢……」
___
「うわぁ!」
《遊矢のライフ:0》
「へっへーん!俺の勝ち~!」
「も、もう一回!もう一回デュエルだ!」
「何度やったって俺の勝ちに決まってんじゃん!」
「違う!諦めなきゃ絶対にいつか勝てるんだ!勝てるまで諦めない!やるしかないじゃん!」
___
遊矢は、あの日何度負けても立ち上がり、何度もデュエルした。
あの時の遊矢は……今よりずっと、純粋だった。
「…!あれは…」
一番下までたどり着いた。むちゃくちゃ眩しくて目が痛い。でもその先には…見覚えがある、あの姿。……多分、アーマード…グレンの時の。…黒い気がするけど。
「遊矢!!」
「…!お前は……」
「俺だ!慶太だよ!分かるだろ?」
「あぁ分かるさ、風雅遊矢の記憶が手に取るように分かる今ではな」
記憶……?分かるって……いや、分かるのは普通だ。でも、今ってなに……。
「ほう?リンお嬢様から聞かなかったか?」
「じゃあ本当に遊矢は……!」
「そうだよ、お前の言いたいことは分かるぜ?俺の…いや、風雅遊矢を取り戻しに来たんだろ?」
取り戻すために…遊矢を取り戻すって。
……ということは、アイツが鏡…ってことなのか……?もう頭ごっちゃごちゃでわけわかんねえよ!!
「……そうだよ、お前を倒して、遊矢を取り戻す!」
「ハッ!飲み込みが早いねえ、大方頭じゃ整理できてないから言われるがままって感じではあるが……まぁ良い、新しいデッキの試し切りと行こうじゃねえか」
確かに鏡って奴の言う通りだ、でももし遊矢がアイツのせいで苦しんでいるなら俺が取り戻す!
どんな奴でも絶対に倒して見せる!
「行くぜ!Dシューター、展開!!デュエルディスク、セット!」
「デュエルディスク、セット!ハァァアッ!!」
「Dゲイザーセット」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
「クソッ!!」
天城カイト、やっぱりアイツはどうしようもないクズだ。俺の知ってる通りのクズだった。
俺の体がなんだ、俺は死のうがなんだろうが、アイツを助け出すのが最優先じゃなかったのかよ。
所詮…俺の命なんか、あのバカの希望に比べたら小さいもんだっていうのに。
後30分……30分後に、運命は決まるんだ。
~~~
「先攻はもらうぜ!ドロー!」
「多分ここだと…!!」
「アミちゃん、あれって」
「遊矢…!?それに慶太くん!」
アミも雪那ちゃんも来ちゃったか……なら、尚更負けられないな!
「ギャラリーも来たか……(孤鈴アミは、精霊の力の持ち主か…?)」
「余所見すんな!行くぞ!俺は《鎖鳥の剣士 アルメリア》を召喚!」
《攻撃力:1600/レベル:4》
「……植物族デッキだったな」
まぁちょっと組み直して、赤薔薇を出すのはやめたんだけどな。……それと、
ーーー『慶太、これ持っとけ』
ーーー『このカードは…?』
ーーー『もしもの時の切り札になってくれるはずだ』
切り札を引き当てるまで、負けるわけにはいかない。
「俺は、アルメリアの効果発動!手札を公開し、相手に一枚を選択させデッキに戻す!」
今の俺の手札は《死者蘇生》、《鎖鳥の魔術師 カトレア》、《植物連鎖》、《グランブルウィッパー》、《鎖火鳥 アマリリス》の五枚。カトレアは鎖鳥と名の付くモンスターがバトルで破壊された時、特殊召喚できるモンスターだ。
《植物連鎖》があれば2100までの攻撃力には耐えられる、問題は選択するカードだけど。
「俺は、《鎖鳥の魔術師 カトレア》を選択」
「よし来た!デッキに戻した後、一枚ドローし、800ポイントのダメージを与える!」
「くっ…」
《鏡のライフ:3200》
「更にカードを二枚伏せてターンエンド!」
《手札:3》
「アミちゃん!」
「狩也くん!もうデュエルが…!」
「なんつーこった……」
俺の伏せたカードは《植物連鎖》と《リーフストリーム》。《リーフストリーム》は植物族モンスターが先頭で破壊された時、《リーフトークン》を破壊されたモンスターのレベルの数だけ特殊召喚できる。
「俺のターン、ドロー!!…それじゃあ、見せてやるよ、俺の新たなデッキの力を!」
「なに…あの禍々しい力……」
「アミちゃんは分かるの?」
「なんとなくだけど…」
一体なにが来るってんだ……!どんなカードが来ても負けないけど。
「俺は《Ds-インフィニティ・フェアリ》を召喚!」
《攻撃力:1000/レベル:4》
「だ……ダークソニッカー!?」
「スカイソニッカーじゃないの?!」
「Ssは光、Dsは闇っつーことか…」
さ、さすがに初めて見るカードだぜ……。今さら怯んだりしないけどな。
「インフィニティ・フェアリの効果!手札から同名カードを墓地に送り、相手の魔法・罠を二枚まで手札に戻す!」
「なにっ!?」
「二枚も手札に戻すなんて!」
「まだ終わりじゃない、速攻魔法《ダーク・スカイ・エントロピー》を発動!相手フィールドのカードが手札に戻った時、一枚につき500ポイントのダメージを与える!」
「っわぁ!!」
《慶太のライフ:3000》
いっててて……ARなのに、なんでこんな痛いんだよ……。もしかして遊矢もこんな痛みの中デュエルしてたのかな。
いやいや、そうに決まってる!なら、痛みにへこたれちゃいけないよな!!
「俺は《Ds-ワンダー・スラッシャー》を特殊召喚!このモンスターは自分の手札が自分を含めず三枚以下の場合、特殊召喚できる」
《攻撃力:1900/レベル:4》
「レベル4のモンスターが二体……」
「レベル4のインフィニティ・フェアリとワンダー・スラッシャーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!闇に落ちた聖なる力、この世に渦巻く混沌より現れよ!《Ds-宵闇のブライトダークネス》!」
《攻撃力:2800/ランク:4/ORU:2》
宵闇のブライトダークネス…!!あれが今の遊矢…いや、鏡の切り札…。
未知のカードだけど、負けるわけにはいかないんだ!絶対にコイツは倒して遊矢を取り戻すんだ!
「良い顔だぜ慶太くんよ。仲間を救うために強大な敵に立ち向かう主人公属性ってかよ、笑わせるぜ」
「それを言うならお姫様を助ける王子様だぜ」
「どっちにしてもお前に待つのは絶望と闇だけだ、抗えない運命に散れ!ブライトダークネスの効果発動!1ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、相手の手札を三枚除外!攻撃力を1000ポイントアップする!」
《攻撃力:3800/ORU:1》
「攻撃力をアップさせて、相手の手札を削るだと!?」
「ハンデスデッキ……しかも除外と来ましたか…」
除外したのはさっきの二枚と《グランブルウィッパー》。《死者蘇生》にするのは痛いし、アマリリスは残しておきたい。だから無難なのはこの三枚だと思ってる。
「行けっ!ブライトダークネスでアルメリアに攻撃!シュヴァルツソウルブラスト!!」
「っっ…うわぁぁぁぁああぁ!!!」
《慶太のライフ:800》
「慶太くん!!」
「慶太!!」
「遊矢くん!なんでこんなことするの!?もうやめて!」
「……ふーん、記憶によれば友人方皆様か……。残念だけどよ、お前らが知ってる風雅遊矢の魂は死んだんだよ」
「そんなの嘘だ!遊矢さんは!」
「じゃあ、風雅遊矢はお仲間をこうやってズタボロにしてやれる人間か?マジありえねえな」
「んなわけ……ねえじゃん…!!」
「慶太、お前…」
「立ち上がった!!」
「遊矢は、人を傷つける奴じゃない……でも…簡単に諦めて死ぬ奴でもない…!」
そうだ、遊矢はいつだってどんな困難にも最後はへこたれず、前に向かって進んでた。
それに、仲間を傷つけない仲間思いな奴だ。
俺はそれを知ってる。諦めが悪いのも、なんでも。
___
「いっけえ!エア・ストリームソードでダイレクトアタック!」
「負けたぁ!」
《慶太のライフ:0》
「どーだ!諦めないで勝ったぜ!」
「でも俺は11勝したぜ!」
「うっせー!諦めないで、一回でも勝ったらけんしょーなんだよ!」
「それを言うなら勲章よ、遊矢」
「アミまでぇ…」
諦め悪いバカだって思ってたけど、逆にそれが俺の心になにか火を付けたんだと思う。
「なぁ遊矢!お前は俺のライバルだ!」
「ライバル?違う、仲間だ!」
「仲間?」
「デュエルを楽しんで分かりあったんだ!だから仲間!友達だ!」
___
遊矢らしい言葉だ、デュエルは楽しんで分かり合うもの。だから俺はみんなの前ではなんでも楽しんで、笑顔を振り撒くようにした。
このデュエルだって楽しみ抜いてんでもって遊矢も助ける!痛くなんかない!痛みなんて笑ってごまかせば良い!
「ヘヘッ、ライフが尽きなきゃ絶対に負けないぜ」
「チッ…カードを一枚伏せ、ターンエンド」
《手札:1》
よしっ!だんだん痛みが引いてきたぜ!
チャラ男を装うのも……辛いもんがあるんだぜ。
「俺のターン、ドロー!…!」
来た!俺の切り札、遊矢を助けるための最大のカード。
「俺は魔法カード《死者蘇生》を発動!蘇れアルメリア!更に《鎖火鳥 アマリリス》を通常召喚!」
《攻撃力:1400/レベル:4》
「レベル4のモンスターが二体!!」
「来るぜ!」
「レベル4のアルメリアとアマリリスでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ《鎖鳥の霊獣 ロゼっタ》!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》
これだけじゃ終わらない!終わってなんかいられない!
「俺は、《RUM-輝水晶進化(クリスタルエボリューション)》を発動!」
「ランクアップマジックだと!?」
「慶太くんがどうして!?」
「………」
「このカードは自分フィールドのモンスターエクシーズをランクアップさせ、シャイニングモンスターエクシーズに進化させる」
「シャイニングモンスターエクシーズ…」
「俺はランク4のロゼッタでオーバーレイ!一体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!シャイニングエクシーズチェンジ!悠久の時を越え、封印されし薔薇庭園の主よ、我が呼び掛けに答え蘇れ!《SX-鎖薔薇の女神 フリージア》!」
《攻撃力:3000/ランク:5/ORU:3》
シャイニングエクシーズは、召喚時のオーバーレイユニットの数だけ攻撃力を500ポイントアップできる。そして相手モンスターエクシーズはオーバーレイユニットを全てデッキに戻される。
《攻撃力:4500》《ORU:0》
「クソ…!」
「フリージアの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手モンスター一体の攻撃力を0にして効果を無効にする。更に相手の手札を一枚デッキに戻す!」
「これで効果は無効…更に攻撃力も…」
《攻撃力:0》
「フリージアでブライトダークネスに攻撃!これが仲間の絆の力だ!サンシャインローズソリューション!」
「ぐっ………!!(これが……奴らの絆…)」
これで、これで遊矢を助け出せた!リンさんが渡してくれたこのカードの力で…!
「「やったぁ!!」」
「いや、まだ終わってないよ」
「えっ」
「付け上がんなよ…、言ったよな?ライフは尽きなきゃ負けねえんだよ!」
《鏡のライフ:100》
「!?」
なんで……削りきったはずだろ!?
「罠カード《ソウル・イン・パワー》を発動していた。このカードは、自分フィールドのモンスターの攻撃力が変化して0の場合、攻撃力を元々の攻撃力の半分にし、破壊を無効にする」
《攻撃力:1400》
「バカな…」
「さぁ、ターンは終わりか?」
「くっ…ターンエンドだ」
《手札:0》《攻撃力:3000》
でもまだ大丈夫、アマリリスはオーバーレイユニットの状態で攻撃された時、取り除くことでバトルを終了させられる。
まだ勝てる!希望は捨てちゃダメだ!
「ドロー。俺はブライトダークネスをマイナスダークエクシーズチェンジ!一体のモンスターでオーバーレイネットワークを逆構築!現れろマイナスダークエクシーズ!」
「うわっ!」
「なんなの!?この風!」
「きゃぁぁ!」
「絶望の化身を取り込みし絶望そのものよ、闇の風に従い、全てを虚無に変えろ!《Ds-深淵のドミネイトダークネス》!」
《攻撃力:3200/ランク:-4/ORU:1》
《攻撃力:2000/ORU:0》
そうか、マイナスエクシーズの効果で攻撃力もオーバーレイユニットも奪われる……。それじゃあ、なす術はないじゃないか!!
「ドミネイトダークネスを出したのがオーバーレイユニットの除去のためだけとか、やっぱ雑魚だわ、お前」
「なっ!!…諦めない!希望は捨てない!負けたとしても、遊矢に俺の声が届くまで!」
「ならそのお粗末な脳ミソに刻み込め、これがお前と風雅遊矢の差だ」
遊矢との……差…。
「ドミネイトダークネスで、フリージアに攻撃。ホープテイント!!」
「っ!うわぁぁぁぁ!!」
《慶太のライフ:0》
《WIN:鏡》
「「慶太くん!!」」
「慶太!」
「……君は、何者なんだい、鏡くん」
「貴様こそ。人間の力を感じない、天領大河………まぁいい…この素晴らしい力を試せただけで悪くは……ぁっ!?」
「なに?」
「何が起こってんだ」
「クッ……(まさか風雅遊矢の意識が……!?)…絆に反応しているのか…」
……鏡の奴、なにかあったのかな……。
「慶太!大丈夫か…?」
「あっはは…負けちゃった…」
「なんで……笑ってられんだよ、バカ…」
「絆…バカな……こんな奴らの…」
「鏡!!!」
「…?岸岬……狩也……」
「今すぐ俺とデュエルしろ!遊矢を返せ!」
「狩也くんダメ!狩也くんまで怪我してしまう……」
「雪那…」
「懸命だな、雪那に助けられたな、狩也くん。…じゃあな」
「待て!!鏡!」
負けちゃったし、今さら身体中痛いや。遊矢に現実見せつけられちゃったなぁ~。実力差ってやつかな。
…ちょっと寝よう…きっと覚めたときには遊矢が目の前にいるはずだから。
「みんな、頼むぜ…」
「慶太くん!」
「慶太!」
「早く、早く病院に連れていこう!」
~~~
「申し訳ありません!カイト様!」
「もういい」
「ですが……」
「構わん」
リンの策略か……、まさか壁ぶち破って脱出させるなんてな…アーチャーめ。
一体何を考えているんだ……。
~~~
「ぐっ…!」
「おかえり、大丈夫かい?鏡の世界開通にデュエルまでして」
「違う!!」
「うわお!」
「……悪い、虫の居所が悪くてな。少し休む…後は頼む」
「うん、分かったよ」
鏡ちゃんが機嫌悪い理由は分かる。
それの解決のために俺は動く……いや、今回は俺自身のため?
朽祈ヒカルを倒し、むしろ手に入れる…!絶望を与え服従させる……!
「楽しみにしてるよ、神としても、俺自身としても」
89話へ続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「ショタ遊矢が純粋すぎてヤバい」。
ショタロリウッヒョォォォォォイ!!!三人のショタロリ描かなきゃだね。
新デッキこと、Dsがウザい(確信)
あと鏡のキャラが安定しないからなんとかしてくれ。誠みたいに安定を求めている。
そして慶太の若干のチャラ男は笑顔でいることで楽しくしていたかったから。一人の時は泣いてたりすることが多い。そしてしばらく戦線離脱。狩也が激おこぷんぷん丸。
地味にヒカルが病み始めた、壁を凹ませるヒカルの力はホントヤバい。最近暴力的になってる。リアルファイト強いけど。
誠が地味にフラグ発言とか危ない発言をかましたけど誠は本気です。
次回!ヒカルのトラウマ大会が始動!!
リンに脱出させられ、リンの隠れ家であるホテル(WDCでのトロン一家の家)に連れてこられたヒカルは遂にあのペンダントの真の姿を知る!
そして現れた誠の目的とは…?
【予告】
ハートランドから脱走したヒカルはアーチャーに連れていかれ、リンの隠れ家にやってきていた。
ヒカルは自身の宝物である心層の貝殻と呼ばれたペンダントを本物にするための結界に行き、そこでリンから聞いたペンダントに秘められた驚くべき力を知る。
しかしヒカルの遊矢捜索と儀式を邪魔するべく鏡の親友を名乗る「誠」が現れ、デュエルを仕掛けられる。
次回!第89話「鏡の親友」
深夜3時過ぎ。
「アミちゃん!リンさんに呼ばれたって!?」
「分からないの!でも早く来いって!」
リンさんが呼び出したり遊矢がドタキャンしたりしてよく分からないけど、何故か嫌な予感がする!!
だって、みんな呼ぶんだもん!きっと、何かあるに違いない!
「……来たか」
「リンさん、なんで俺たちを?」
「遊矢さんはどこですか~?」
「……遊矢の話だ、心して聞け」
リンさんの話によると、遊矢は今行方不明。
鏡って人とデュエルして負けて、騙された上に力も体も奪われたって………。
ヒカル先輩も、神の五王とのデュエルで傷を負って今は療養中だって。
「な、なんですかそれ……オカルトですか…」
「ただのオカルト話なわけないよ、袢太くん。きっと遊矢くんはホントに……」
「そんなのひどい…!」
「雪那……」
「どうせ、遊矢のことだ、自分でなんとかするさ!」
「慶太てめえ…!」
「喧嘩はダメだよ!」
みんなざわつくし、私も動揺してないわけじゃなかった。
でも泣いたらダメ、強くなきゃ、遊矢もいないし先輩もいない今みんなを守るのは私の役目なんだから…!!
「…お前らには遊矢を探す手伝いをしてほしい」
「本当に!?」
「でも、居場所が分からないのにどうすれば…」
「お前らの切り札を出せ、…大河は俺のカードを渡す」
「?なんで?」
「早くしろ、説明は後だ」
ラピスラズリ・バタフライドラゴンを取り出してみるけど……なにか意味があるのかなぁ……。
慶太くんはロゼッタ、敏也くんはネロファクス、雪那ちゃんはエターナルフローズン、袢太くんはリバーシアンブレーダー、狩也くんはプラネット・パラディンソード。……袢太くんってあんなカード持ってたっけ?
大河くんはリンさんから《アルテマ・セイバー》を受け取って……でも、大河くんはデュエルやってるのにどうして?
「大河以外は俺の前にカードを翳せ」
もう言われたままにカードを翳す、リンさんが右手を突き出した。そしたらカードが光を帯びて輝きだした。
リンさんが右手を下げると、光は止んだ。
「これで、ホープ・オブ・ソードを探せば、遊矢はきっと見つかる」
「ホープ・オブ・ソードを!?」
「俺が与えた力だ、精霊界に存在するモンスターの微弱な電波を与えた。今は輝いていないが、カードが輝きを見せたとき、それはモンスター同士が共鳴している証拠だ」
「でも、デュエルしていたら…」
「その通りだ、デュエルしている連中に空振る確率がある。じゃあこんな時間に呼び出したのは…何故だと思う」
そっか!今は夜中だから、デュエルしてる人なんていないし、町も寝静まってる!
「だから誰にも邪魔されずに遊矢を探せる!」
「そういうことだ、夜だから少々暗いが……問題ないだろう、あぁ女子は安心しろ、不審者が出ないように侍らせるから」
「「いらないです!」」
リンさんってばたまに変なこと言うから…雪那ちゃんは私が守るわよ!
とにかく、みんな解散して探し始めた。
ハートランドシティを4つに分けて、袢太くんは西を大河くんは南を私と雪那ちゃんは東を狩也くんは北をハートランド内を敏也くんが。一応デュエルシティも探すことになって慶太くんはそこに。
「ねえアミちゃん、」
「なに?」
「もしも遊矢くんが遊矢くんでなくなってたらどうしよう…」
「……雪那ちゃんは心配しなくて良いよ、その時は遊矢に一発お見舞いして、目を覚まさせ…雪那ちゃん?わぁぁ!?泣かないで?ゆ、遊矢に一発っていうのは…」
「そうじゃなくて!」
「えっ?」
「私怖いよ…遊矢くんはいつだって優しくて、ちょっとおバカだけど元気で……でも、もしそうじゃなくなっちゃったら…もう遊矢くんと居られない気がするの……そんなの嫌だよ…狩也くんがやっと戻ってきてくれて、みんな揃ったのに…!」
「雪那ちゃん……、大丈夫だから…絶対、遊矢はあの遊矢で帰ってくるから…その時まで、私が雪那ちゃんを守ってあげるから…だから泣かないで?泣きたいのは……私もなんだから…」
本当に、遊矢ったら…バカ。
~~~
「はぁ…はぁ…!」
遊矢、どこだ!どこにいるんだよ!
俺たちを置いてどっか行っちまうなんてバカみたいなことしやがって!!
雪那ちゃん泣いてたんだぞ!?お前は女の子を、それも幼馴染みを泣かせるようなバカじゃないだろ!?
俺は知ってる!遊矢…お前がどんな奴かってこと。
___数年前
「なぁアミちゃん!一緒に帰ろうぜ!」
「うん!でもちょっと待ってて」
あの時、アミちゃんが隣で爆睡してた遊矢を起こしたのがそもそもの出会いだった。
いや、正確には小等部で同じクラスに転入してきた時に「おかしな奴」とだけは思っていたけど。
「ん~なんだよアミ~」
「ほら起きて!帰るわよ!」
「まさかそいつも付いてくるのか?」
「ダメ?」
「いや、良いぜ!おいお前!一緒に帰るなら…」
「お前!デュエル強いのか?!」
遊矢が俺に対して発した最初の言葉はそれだった。
ホント、あの頃からデュエルバカだったんだなって今でも思ってる。
でもあの頃はお互いにまだ弱くて…弱かったんだ。
___
「!カードが、光ってる!」
しかもかなり強い光だ、きっと遊矢はこの近くにいる。
光を見ながら進んでいくと、地下への入り口にたどり着いた。遊矢はここにいる、絶対に連れ戻して張り手の一発くらいは食らわしてやる!
~~~
「…!」
光が強くなり始めた?……方向はデュエルシティか…みんなを呼んだ方がいいかもしれないな……。
「慶太………」
所詮、離れ離れになった俺なんかよりもお前の方がよっぽど遊矢を分かってるんだろうな。
「狩也くん!」
「雪那、アミちゃん!」
「今光がデュエルシティの方向を…」
「分かってる、二人はデュエルシティに向かってくれ、俺はみんなを呼ぶから!」
「分かった!」
~~~
地下への階段を歩いてだいぶ経った。まさかこんなに長い階段なんて思わなかったからかなり疲れた。
こんな場所にいるなんてなに考えてるんだ?
「遊矢……」
___
「うわぁ!」
《遊矢のライフ:0》
「へっへーん!俺の勝ち~!」
「も、もう一回!もう一回デュエルだ!」
「何度やったって俺の勝ちに決まってんじゃん!」
「違う!諦めなきゃ絶対にいつか勝てるんだ!勝てるまで諦めない!やるしかないじゃん!」
___
遊矢は、あの日何度負けても立ち上がり、何度もデュエルした。
あの時の遊矢は……今よりずっと、純粋だった。
「…!あれは…」
一番下までたどり着いた。むちゃくちゃ眩しくて目が痛い。でもその先には…見覚えがある、あの姿。……多分、アーマード…グレンの時の。…黒い気がするけど。
「遊矢!!」
「…!お前は……」
「俺だ!慶太だよ!分かるだろ?」
「あぁ分かるさ、風雅遊矢の記憶が手に取るように分かる今ではな」
記憶……?分かるって……いや、分かるのは普通だ。でも、今ってなに……。
「ほう?リンお嬢様から聞かなかったか?」
「じゃあ本当に遊矢は……!」
「そうだよ、お前の言いたいことは分かるぜ?俺の…いや、風雅遊矢を取り戻しに来たんだろ?」
取り戻すために…遊矢を取り戻すって。
……ということは、アイツが鏡…ってことなのか……?もう頭ごっちゃごちゃでわけわかんねえよ!!
「……そうだよ、お前を倒して、遊矢を取り戻す!」
「ハッ!飲み込みが早いねえ、大方頭じゃ整理できてないから言われるがままって感じではあるが……まぁ良い、新しいデッキの試し切りと行こうじゃねえか」
確かに鏡って奴の言う通りだ、でももし遊矢がアイツのせいで苦しんでいるなら俺が取り戻す!
どんな奴でも絶対に倒して見せる!
「行くぜ!Dシューター、展開!!デュエルディスク、セット!」
「デュエルディスク、セット!ハァァアッ!!」
「Dゲイザーセット」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
「クソッ!!」
天城カイト、やっぱりアイツはどうしようもないクズだ。俺の知ってる通りのクズだった。
俺の体がなんだ、俺は死のうがなんだろうが、アイツを助け出すのが最優先じゃなかったのかよ。
所詮…俺の命なんか、あのバカの希望に比べたら小さいもんだっていうのに。
後30分……30分後に、運命は決まるんだ。
~~~
「先攻はもらうぜ!ドロー!」
「多分ここだと…!!」
「アミちゃん、あれって」
「遊矢…!?それに慶太くん!」
アミも雪那ちゃんも来ちゃったか……なら、尚更負けられないな!
「ギャラリーも来たか……(孤鈴アミは、精霊の力の持ち主か…?)」
「余所見すんな!行くぞ!俺は《鎖鳥の剣士 アルメリア》を召喚!」
《攻撃力:1600/レベル:4》
「……植物族デッキだったな」
まぁちょっと組み直して、赤薔薇を出すのはやめたんだけどな。……それと、
ーーー『慶太、これ持っとけ』
ーーー『このカードは…?』
ーーー『もしもの時の切り札になってくれるはずだ』
切り札を引き当てるまで、負けるわけにはいかない。
「俺は、アルメリアの効果発動!手札を公開し、相手に一枚を選択させデッキに戻す!」
今の俺の手札は《死者蘇生》、《鎖鳥の魔術師 カトレア》、《植物連鎖》、《グランブルウィッパー》、《鎖火鳥 アマリリス》の五枚。カトレアは鎖鳥と名の付くモンスターがバトルで破壊された時、特殊召喚できるモンスターだ。
《植物連鎖》があれば2100までの攻撃力には耐えられる、問題は選択するカードだけど。
「俺は、《鎖鳥の魔術師 カトレア》を選択」
「よし来た!デッキに戻した後、一枚ドローし、800ポイントのダメージを与える!」
「くっ…」
《鏡のライフ:3200》
「更にカードを二枚伏せてターンエンド!」
《手札:3》
「アミちゃん!」
「狩也くん!もうデュエルが…!」
「なんつーこった……」
俺の伏せたカードは《植物連鎖》と《リーフストリーム》。《リーフストリーム》は植物族モンスターが先頭で破壊された時、《リーフトークン》を破壊されたモンスターのレベルの数だけ特殊召喚できる。
「俺のターン、ドロー!!…それじゃあ、見せてやるよ、俺の新たなデッキの力を!」
「なに…あの禍々しい力……」
「アミちゃんは分かるの?」
「なんとなくだけど…」
一体なにが来るってんだ……!どんなカードが来ても負けないけど。
「俺は《Ds-インフィニティ・フェアリ》を召喚!」
《攻撃力:1000/レベル:4》
「だ……ダークソニッカー!?」
「スカイソニッカーじゃないの?!」
「Ssは光、Dsは闇っつーことか…」
さ、さすがに初めて見るカードだぜ……。今さら怯んだりしないけどな。
「インフィニティ・フェアリの効果!手札から同名カードを墓地に送り、相手の魔法・罠を二枚まで手札に戻す!」
「なにっ!?」
「二枚も手札に戻すなんて!」
「まだ終わりじゃない、速攻魔法《ダーク・スカイ・エントロピー》を発動!相手フィールドのカードが手札に戻った時、一枚につき500ポイントのダメージを与える!」
「っわぁ!!」
《慶太のライフ:3000》
いっててて……ARなのに、なんでこんな痛いんだよ……。もしかして遊矢もこんな痛みの中デュエルしてたのかな。
いやいや、そうに決まってる!なら、痛みにへこたれちゃいけないよな!!
「俺は《Ds-ワンダー・スラッシャー》を特殊召喚!このモンスターは自分の手札が自分を含めず三枚以下の場合、特殊召喚できる」
《攻撃力:1900/レベル:4》
「レベル4のモンスターが二体……」
「レベル4のインフィニティ・フェアリとワンダー・スラッシャーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!闇に落ちた聖なる力、この世に渦巻く混沌より現れよ!《Ds-宵闇のブライトダークネス》!」
《攻撃力:2800/ランク:4/ORU:2》
宵闇のブライトダークネス…!!あれが今の遊矢…いや、鏡の切り札…。
未知のカードだけど、負けるわけにはいかないんだ!絶対にコイツは倒して遊矢を取り戻すんだ!
「良い顔だぜ慶太くんよ。仲間を救うために強大な敵に立ち向かう主人公属性ってかよ、笑わせるぜ」
「それを言うならお姫様を助ける王子様だぜ」
「どっちにしてもお前に待つのは絶望と闇だけだ、抗えない運命に散れ!ブライトダークネスの効果発動!1ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、相手の手札を三枚除外!攻撃力を1000ポイントアップする!」
《攻撃力:3800/ORU:1》
「攻撃力をアップさせて、相手の手札を削るだと!?」
「ハンデスデッキ……しかも除外と来ましたか…」
除外したのはさっきの二枚と《グランブルウィッパー》。《死者蘇生》にするのは痛いし、アマリリスは残しておきたい。だから無難なのはこの三枚だと思ってる。
「行けっ!ブライトダークネスでアルメリアに攻撃!シュヴァルツソウルブラスト!!」
「っっ…うわぁぁぁぁああぁ!!!」
《慶太のライフ:800》
「慶太くん!!」
「慶太!!」
「遊矢くん!なんでこんなことするの!?もうやめて!」
「……ふーん、記憶によれば友人方皆様か……。残念だけどよ、お前らが知ってる風雅遊矢の魂は死んだんだよ」
「そんなの嘘だ!遊矢さんは!」
「じゃあ、風雅遊矢はお仲間をこうやってズタボロにしてやれる人間か?マジありえねえな」
「んなわけ……ねえじゃん…!!」
「慶太、お前…」
「立ち上がった!!」
「遊矢は、人を傷つける奴じゃない……でも…簡単に諦めて死ぬ奴でもない…!」
そうだ、遊矢はいつだってどんな困難にも最後はへこたれず、前に向かって進んでた。
それに、仲間を傷つけない仲間思いな奴だ。
俺はそれを知ってる。諦めが悪いのも、なんでも。
___
「いっけえ!エア・ストリームソードでダイレクトアタック!」
「負けたぁ!」
《慶太のライフ:0》
「どーだ!諦めないで勝ったぜ!」
「でも俺は11勝したぜ!」
「うっせー!諦めないで、一回でも勝ったらけんしょーなんだよ!」
「それを言うなら勲章よ、遊矢」
「アミまでぇ…」
諦め悪いバカだって思ってたけど、逆にそれが俺の心になにか火を付けたんだと思う。
「なぁ遊矢!お前は俺のライバルだ!」
「ライバル?違う、仲間だ!」
「仲間?」
「デュエルを楽しんで分かりあったんだ!だから仲間!友達だ!」
___
遊矢らしい言葉だ、デュエルは楽しんで分かり合うもの。だから俺はみんなの前ではなんでも楽しんで、笑顔を振り撒くようにした。
このデュエルだって楽しみ抜いてんでもって遊矢も助ける!痛くなんかない!痛みなんて笑ってごまかせば良い!
「ヘヘッ、ライフが尽きなきゃ絶対に負けないぜ」
「チッ…カードを一枚伏せ、ターンエンド」
《手札:1》
よしっ!だんだん痛みが引いてきたぜ!
チャラ男を装うのも……辛いもんがあるんだぜ。
「俺のターン、ドロー!…!」
来た!俺の切り札、遊矢を助けるための最大のカード。
「俺は魔法カード《死者蘇生》を発動!蘇れアルメリア!更に《鎖火鳥 アマリリス》を通常召喚!」
《攻撃力:1400/レベル:4》
「レベル4のモンスターが二体!!」
「来るぜ!」
「レベル4のアルメリアとアマリリスでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ《鎖鳥の霊獣 ロゼっタ》!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》
これだけじゃ終わらない!終わってなんかいられない!
「俺は、《RUM-輝水晶進化(クリスタルエボリューション)》を発動!」
「ランクアップマジックだと!?」
「慶太くんがどうして!?」
「………」
「このカードは自分フィールドのモンスターエクシーズをランクアップさせ、シャイニングモンスターエクシーズに進化させる」
「シャイニングモンスターエクシーズ…」
「俺はランク4のロゼッタでオーバーレイ!一体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!シャイニングエクシーズチェンジ!悠久の時を越え、封印されし薔薇庭園の主よ、我が呼び掛けに答え蘇れ!《SX-鎖薔薇の女神 フリージア》!」
《攻撃力:3000/ランク:5/ORU:3》
シャイニングエクシーズは、召喚時のオーバーレイユニットの数だけ攻撃力を500ポイントアップできる。そして相手モンスターエクシーズはオーバーレイユニットを全てデッキに戻される。
《攻撃力:4500》《ORU:0》
「クソ…!」
「フリージアの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手モンスター一体の攻撃力を0にして効果を無効にする。更に相手の手札を一枚デッキに戻す!」
「これで効果は無効…更に攻撃力も…」
《攻撃力:0》
「フリージアでブライトダークネスに攻撃!これが仲間の絆の力だ!サンシャインローズソリューション!」
「ぐっ………!!(これが……奴らの絆…)」
これで、これで遊矢を助け出せた!リンさんが渡してくれたこのカードの力で…!
「「やったぁ!!」」
「いや、まだ終わってないよ」
「えっ」
「付け上がんなよ…、言ったよな?ライフは尽きなきゃ負けねえんだよ!」
《鏡のライフ:100》
「!?」
なんで……削りきったはずだろ!?
「罠カード《ソウル・イン・パワー》を発動していた。このカードは、自分フィールドのモンスターの攻撃力が変化して0の場合、攻撃力を元々の攻撃力の半分にし、破壊を無効にする」
《攻撃力:1400》
「バカな…」
「さぁ、ターンは終わりか?」
「くっ…ターンエンドだ」
《手札:0》《攻撃力:3000》
でもまだ大丈夫、アマリリスはオーバーレイユニットの状態で攻撃された時、取り除くことでバトルを終了させられる。
まだ勝てる!希望は捨てちゃダメだ!
「ドロー。俺はブライトダークネスをマイナスダークエクシーズチェンジ!一体のモンスターでオーバーレイネットワークを逆構築!現れろマイナスダークエクシーズ!」
「うわっ!」
「なんなの!?この風!」
「きゃぁぁ!」
「絶望の化身を取り込みし絶望そのものよ、闇の風に従い、全てを虚無に変えろ!《Ds-深淵のドミネイトダークネス》!」
《攻撃力:3200/ランク:-4/ORU:1》
《攻撃力:2000/ORU:0》
そうか、マイナスエクシーズの効果で攻撃力もオーバーレイユニットも奪われる……。それじゃあ、なす術はないじゃないか!!
「ドミネイトダークネスを出したのがオーバーレイユニットの除去のためだけとか、やっぱ雑魚だわ、お前」
「なっ!!…諦めない!希望は捨てない!負けたとしても、遊矢に俺の声が届くまで!」
「ならそのお粗末な脳ミソに刻み込め、これがお前と風雅遊矢の差だ」
遊矢との……差…。
「ドミネイトダークネスで、フリージアに攻撃。ホープテイント!!」
「っ!うわぁぁぁぁ!!」
《慶太のライフ:0》
《WIN:鏡》
「「慶太くん!!」」
「慶太!」
「……君は、何者なんだい、鏡くん」
「貴様こそ。人間の力を感じない、天領大河………まぁいい…この素晴らしい力を試せただけで悪くは……ぁっ!?」
「なに?」
「何が起こってんだ」
「クッ……(まさか風雅遊矢の意識が……!?)…絆に反応しているのか…」
……鏡の奴、なにかあったのかな……。
「慶太!大丈夫か…?」
「あっはは…負けちゃった…」
「なんで……笑ってられんだよ、バカ…」
「絆…バカな……こんな奴らの…」
「鏡!!!」
「…?岸岬……狩也……」
「今すぐ俺とデュエルしろ!遊矢を返せ!」
「狩也くんダメ!狩也くんまで怪我してしまう……」
「雪那…」
「懸命だな、雪那に助けられたな、狩也くん。…じゃあな」
「待て!!鏡!」
負けちゃったし、今さら身体中痛いや。遊矢に現実見せつけられちゃったなぁ~。実力差ってやつかな。
…ちょっと寝よう…きっと覚めたときには遊矢が目の前にいるはずだから。
「みんな、頼むぜ…」
「慶太くん!」
「慶太!」
「早く、早く病院に連れていこう!」
~~~
「申し訳ありません!カイト様!」
「もういい」
「ですが……」
「構わん」
リンの策略か……、まさか壁ぶち破って脱出させるなんてな…アーチャーめ。
一体何を考えているんだ……。
~~~
「ぐっ…!」
「おかえり、大丈夫かい?鏡の世界開通にデュエルまでして」
「違う!!」
「うわお!」
「……悪い、虫の居所が悪くてな。少し休む…後は頼む」
「うん、分かったよ」
鏡ちゃんが機嫌悪い理由は分かる。
それの解決のために俺は動く……いや、今回は俺自身のため?
朽祈ヒカルを倒し、むしろ手に入れる…!絶望を与え服従させる……!
「楽しみにしてるよ、神としても、俺自身としても」
89話へ続く
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【あとがき】
今回の一言、「ショタ遊矢が純粋すぎてヤバい」。
ショタロリウッヒョォォォォォイ!!!三人のショタロリ描かなきゃだね。
新デッキこと、Dsがウザい(確信)
あと鏡のキャラが安定しないからなんとかしてくれ。誠みたいに安定を求めている。
そして慶太の若干のチャラ男は笑顔でいることで楽しくしていたかったから。一人の時は泣いてたりすることが多い。そしてしばらく戦線離脱。狩也が激おこぷんぷん丸。
地味にヒカルが病み始めた、壁を凹ませるヒカルの力はホントヤバい。最近暴力的になってる。リアルファイト強いけど。
誠が地味にフラグ発言とか危ない発言をかましたけど誠は本気です。
次回!ヒカルのトラウマ大会が始動!!
リンに脱出させられ、リンの隠れ家であるホテル(WDCでのトロン一家の家)に連れてこられたヒカルは遂にあのペンダントの真の姿を知る!
そして現れた誠の目的とは…?
【予告】
ハートランドから脱走したヒカルはアーチャーに連れていかれ、リンの隠れ家にやってきていた。
ヒカルは自身の宝物である心層の貝殻と呼ばれたペンダントを本物にするための結界に行き、そこでリンから聞いたペンダントに秘められた驚くべき力を知る。
しかしヒカルの遊矢捜索と儀式を邪魔するべく鏡の親友を名乗る「誠」が現れ、デュエルを仕掛けられる。
次回!第89話「鏡の親友」