ジェレスタ87「 闇 の 風 、 降 臨 … ! ? 」
「な、なんで俺が……ここにいるんだよ…!」
「いやぁ…バレたからには仕方ないか」
つーか………どうして、どうして……、
「アホ毛がないんだよ!これは俺のチャーチペイントなんだぞ!?」
「チャームポイント、な~!」
「全く…こんな状態でそんな下らんことを…」
く、下らなくないもん!アホ毛がない俺なんて俺じゃないもん!アホ毛は正義なんだからな!!
「じゃあ、説明してやるよ。俺はその名の通り、鏡だ。心の闇を写す鏡。だから実体がない」
そっか、鏡で作り出した虚像にすぎないってことか。
「俺は心の闇を司る神だ!だが、封印され解放されたばかりで神としての力は実体がない今、全く無に等しい。…そこで俺は探したよ、俺の強大な力にも耐えられる人材を」
『それがご主人だったんですね…!』
「そうだ!だからこの姿はあくまで風雅遊矢の心の闇を写した虚像だ。風雅遊矢の体と力を手に入れた時、神としての力が甦る!」
なんじゃそりゃ……じゃあ俺は勝手に決められて、んで勝手に体奪われる危機に瀕してるのかよ!!全く意味分からないぜ!?
「でも、俺はな。バカみてえに体と力をいただこうとはしない。お前にも選択肢はあると思う訳なんだよ。…だからここは一つ交渉と行こうぜ?」
こ、…校長?なんだそれって言うか、さすがに真面目になんだそりゃ……。
「お前がお仲間を守るためにはまだまだ力が必要だろ?」
「……」
「睨むなってば…、んでまぁ、俺はお前の体と力が欲しい!ってことでだ、お前と俺が二つの人格として共存する!そうすればお互いに力を与え合い、平和に幸せにってな」
た、確かに鏡の言う通りではあるよな……。二人力を合わせられれば、神の五王にもきっと対抗できるはず…!
『ご主人!』
「!タスキ…?」
『惑わされちゃいけません。鏡の持つ闇は強すぎる、ご主人はもちろんのこと、闇を自在に使いこなす托都さんでさえ鏡の闇には敵わないでしょう…だから、ダメです!それにご主人と互いに助け合う仲間はいっぱいいるじゃないですか!バカなこと考えないでくださいよ!』
「…バカだけど、バカって言うな!あったり前だ!絶対負けないし、俺は俺の力でアイツらを倒す!」
俺にはアミもヒカルも托都も、仲間がいる!仲間との絆があれば負けるわけないんだぜ!
あー、なに悩んでたんだろ俺……。
「俺は、カードを一枚伏せてターンエンド!」
《手札:3》
「ふーん……ま、良いよ。タスキの戯言に付き合うなら構わないし、また、な」
なぁんか怖いんだよな…コイツ……。不気味というかなんというか?
「俺のターン、ドロー!!俺は魔法カード《虚像治癒》発動!ライフを1000ポイント回復し、《銀河眼の星屑竜》の攻撃力を半分にする…!」
《鏡のライフ:1700》《攻撃力:2000》
『《ミラー・オブ・ドロー》の効果を受けたモンスターは効果を発動できなくなる…』
「へえ~アストラル、知ってるんだ」
『この世に存在しているカードはできる限り記憶しているつもりだ』
これで《銀河眼の星屑竜》の攻撃力が半分になっちまった……。だけど、さっきの伏せカードは《逆境逆綸》……、ダメージを無効にして二倍のダメージを与える強力なカードだ。
「更に、永続魔法《鏡の呪印》を発動!このカードが存在する限り、お前の伏せカードは伏せて最初の俺のターンのエンドフェイズを終えない限り発動できない」
「なにっ!?」
「行け!!ファントム・ボイドドラゴンで《銀河眼の星屑竜》を攻撃!」
「くっ…!」
《遊矢のライフ:1800》
すげえ……俺の一つ二つ三つも上を行った実力と戦略…、この力……やっぱりすごい…。
「俺は、これでターンエンド!」
《手札:1》
これで《逆境逆綸》が使えるようになる、だけどこれに対して鏡が考えてないわけない。だから、この俺のターンで決着を……!!
「エンドフェイズに罠カード《シャイニング・バリアレイ》を発動!自分のフィールドにモンスターが存在せず、相手のフィールドに攻撃力2000以上のモンスターが存在している時、墓地のシンクロモンスターの効果を無効にし攻撃力を0することで特殊召喚する!」
《攻撃力:0》
「これで再び、遊矢のフィールドに《銀河眼の星屑竜》が……か」
「り…リン!?」
『…いつの間に…』
「嫌な気配を感じてな、今来たところだ」
だけど、これじゃ攻撃力は足りない。
だからこの力を使うぜ!
「俺は、俺の魂をオーバークロス!」
「……来るのか…!」
「雷光の空に輝く魂…!ライトニングスカイアーマード!!」
「……これが…ZEXALを越える力か…!!」
この状態じゃなきゃあのモンスターは召喚できない、やってやんよ!!
「俺のターン!ドロー!俺は《Ss-ベール・ノース》を召喚!更に《Ss-一閃のスターライト》!」
《攻撃力:0/レベル:4》《攻撃力:1900/レベル:4》
「レベル4のモンスターが二体……」
「レベル4のベール・ノースとスターライトでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!《Ss-水面のヴァルキリア》!」
《攻撃力:2400/ランク:4/ORU:2/チューナー》
よし!!これで、条件がすべて揃ったぜ!!
「レベル8の《銀河眼の星屑竜》に、ランク4の《Ss-水面のヴァルキリア》をチューニング!その銀河解き放ち、無限を越える時空(とき)を経て、流星を束に集結せよ!エクシーズシンクロ召喚!!舞い降りろ《銀河眼の流星龍》!」
《攻撃力:4500/ランク:12》
「エクシーズシンクロ召喚だと!?」
「そんな召喚法聞いたことないぞ……遊矢はどこまで、どこまで新たな進化を切り開くつもりなんだ…」
遊星さんの奇跡の光である「絆」、そして狩也と築いたライバルにして親友の「絆」が作り出した奇跡のモンスターだ。鏡が知らないのだって無理ないさ!
「《銀河眼の流星龍》でファントム・ボイドドラゴンに攻撃だ!」
『この攻撃が通れば遊矢の勝ち…だが』
「いっけえ遊矢!!」
「………」
「流星のギャラクシーミラージュ!!」
「っ……ぐあっ!!」
やったか!?
……よしっ!!これで遂に勝ったぜ!!
「くっそ……この程度で勝ったと………思ってんじゃねえ!!!」
《鏡のライフ:850》
「なっ!?なんでライフが残ってんだ!?」
「手札の《鏡写師》の効果だよ。墓地に送り、ライフを半分にすることで、破壊とダメージを無効にする」
「な……」
冗談抜きでマジかよ……信じらんねえ…このターンでライフを削りきれないなんて…。ため息が出るぜ…。
「所詮、お前の実力はその程度。俺の闇の力をお前の光の力は越えることなどできない!」
「く……ターンエンド……」
《手札:2》
「俺のターンドロー!…ここまでの力、やはり俺が選び出した力……最高だぜ!!」
「急になんだありゃ」
『テンションが上がるとこうなるのは昔からです』
………昔からなのか…。そういえばタスキと鏡の関係が気になるところだぜ…。
「その強さに敬意を表し、俺の切り札を紹介してやる。俺はファントム・ボイドドラゴンを素材として、マイナスダークエクシーズチェンジ!!」
『ご主人!来ます!』
「あぁ…!」
「一体のモンスターでオーバーレイネットワークを逆構築!現れろマイナスダークエクシーズ!幻影に眠る絶望の化身、闇の力を持ち希望の光を無に帰せ!《幻狂輝龍 アナイアレーション・ドラゴン》!」
《攻撃力:3800/ランク:-5/ORU:2》
あんな禍々しいカード初めて見た……、あれが闇なのか……。
「マイナスエクシーズの効果は、分かるな?」
《攻撃力:3500》
だけど、まだ《逆境逆綸》がある。効果が無効になっている今の状況でも勝つことは可能だ…!!
「まだ勝利を夢見てるなら、今それをぶっ壊してやるよ!アナイアレーション・ドラゴンの効果発動!オーバーレイユニットを全て使い、相手フィールドのカードを全て除外する!」
《ORU:0》
「除外…!?そんな、…そんなんって!!」
「夢ばっか見ても、所詮光の力はその程度。気づかないのかよ、俺は光の力に興味なんてない。俺がほしいのはお前の心の闇だ」
「心の闇……?」
「自分ではわからない部分で、闇は光を侵食していく。今はまだ、カオスだ。光が強すぎて闇は凌駕できない。だが、その闇が光を凌駕した時、絶望は形となってお前の仲間を襲う」
俺が……俺自身が仲間たちを……?
『ご主人!!惑わされてはいけません!アイツの言葉は…!』
「タスキはうるせえよ、ちょっと黙ってろ」
『なっ!これは……封印の鏡……!?』
「タスキ!!…これは…」
「預かっとけよ、リンお嬢様よ」
そんなのってないだろ……俺がみんなを壊すなんて……そんなの嘘……なんて言い切れる…?
だって、みんなの引き金は…俺に関わったみんなが……。
ーーー『お前に復讐する!だが、その前に、居場所を奪ったコイツに復讐する!』ーーー
ーーー『ヒカリ…ごめん、こんな兄貴で…本当に…』ーーー
みんなの不幸が俺のせいなら俺はどうすれば……!
「………ふん、行け!アナイアレーション・ドラゴンでダイレクトアタック!エターナル・ディサピアランス!!」
「うわあぁあああぁあ!!」
《遊矢のライフ:0》
《WIN:鏡》
「遊矢が…負けた…!?」
「………」
~~~
「っ……!……遊矢!」
夢……、じゃない…!
「あのバカ!!……?」
ペンダントがない……?一体誰がどこへ…?
「いや、今は…!」
~~~
負けた…?負けたのか、俺。
「くそっ!!」
「……」
「…鏡……」
「さっきも言ったが選択権をお前にある。俺と一つになるというなら、お前の心の闇を俺がいただく、そうすることでお互いの力を保つことができる。拒否するのなら、今の絶望に苦しみ、世界を滅ぼせばいい」
鏡の言う通りだ、鏡の力は強力。しかも鏡の闇の力が心の闇を除去してくれるなら、みんなを傷つけずに済む。
それなら………。
「分かったぜ、お前の力と俺の力!合わせて戦おう!」
「………あぁ…!手を握れ、お前は強くなる」
「あぁ!!」
「遊矢っ…!」
「ヒカル!?どうしてここに…っぐ!!」
『この光は…!?』
分かる、今なら闇の力が……。ただ言うとするなら、心がちょっと痛いってだけかな……タスキには悪いことしちゃったというか……?
「な、なぁ鏡?お前の闇は強いってタスキが言ってたけど、光が耐えきれるか…?」
「安心しろよ、耐えきれるとかなんとか言わなくていい。耐える必要なんてないから」
「は…?…っ!?」
なんだ!?急に闇の力が増大した!?
「わっかんねえのかよ。俺がお前の心の闇を吸収するってことは、つまり俺が持ってる闇が更に増大するってこと!頭が残念な遊矢には分からないだろうけど」
「それって…!」
「騙されたんだよお前!タスキが言ったろ?お前ごときが、俺の闇に耐えきれるわけねえんだよ!」
「て…めえ!っ、うわぁぁぁ!!」
「なにが起こっているんだ…!」
「分からない!だが、良からぬ事態なのは間違いない…」
「なぁあれ!!」
……………、これが、やっと力が手に入った……!
風雅遊矢の力を、俺が……手に入れたんだ!
「くっ……」
『……あれは、何者だ…』
「凄い力だ…今まで手に入れたどんな力よりも…!最高だ!」
「遊矢…?」
おっ、と、ギャラリーの連中……知らないのは二人だけだがご挨拶しなきゃダメだっけ。
「俺は鏡…。そして…、次はお前だ、朽祈ヒカル…!」
「なに…?」
「どういうことだ!」
「風雅遊矢を仲間と思うなら、俺を倒してみろ。じゃあな」
「消えた…?」
「奴が、鏡なのか?」
「遊矢はアイツに騙されてたってことかよ…」
~~~
「くそっ!」
「やぁ鏡ちゃん、おかえり~。目標達成したのにあんまりご機嫌はよろしくないね」
「まだやることはあるから…、鏡の世界の入り口を開けなきゃならない…」
「そっか。大変だね、でももったいないことしたねえ。あそこでヒカルちゃんを仕留めたら、遊矢ちゃんの力をすぐ手に入れられたのに」
「天下のゲス野郎様はわかんねえのかよ、より良い絶望のためには時間をかけなきゃなんねえ。だから、朽祈ヒカルにも言ったろ?…次はお前だ、ってな」
「えげつないねえ鏡ちゃんは…風雅遊矢を欺いて、しかも心の闇をあそこまで広げることに成功しちゃうなんて、今思い出しても腹いてええ!!」
「ふん、笑ってろよ」
…まさか自分でやったとはいえかなりの闇だ……扱うのには、時間がかかるか……。
ま、扱いこなせるようになれば、逆に奴への絶望の煽りくらいにはなると考えてみればいいかな…。
~~~
「カイト何故だ!何故遊矢を探したらいけないんだ!」
「何度も言わせるな、お前はアフロティアとのデュエルで本当なら瀕死になっててもおかしくないんだぞ。その体に無理をさせるわけにはいかない、諦めろ」
「嫌だ!」
「ヒカルもほんっとうに諦め悪いな…」
『君もだろう』
「ひでーな」
「往生際が悪い奴だ、それに遊矢を探しだしたところでお前になにができる。それになんの犠牲もなしに遊矢を取り戻せると?」
「っ…」
俺になにもできない……だと…!?
ーーバチッ!!
「あら~…」
『……』
「ひ、ヒカル…暴力は…」
「……、なにをする」
「カイト…やっぱりお前は、人でなしのクズだ!俺は誰の犠牲も出さずに遊矢を探し、取り戻す!アンタとは違う!」
「…バカが……、とにかくここから出ることは許さん、警備員もいる。脱走するような姿があればどんな手段にも出るからな」
本当に、最低な奴…。
「ヒカル、」
「リンさん…?」
「明日の朝5時、アーチャーが来たら脱出して来い。遊矢を救出できなければアーチャーが来ると思え。分かったな」
「…分かりました」
~~~
「さぁってと、始めるようか…、鏡の世界を、開く!!」
88へ続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「暴力はいけませんwwwwwwww」。
ヒカルくんの張り手は俺も食らいたい。カイトそこ代われ。
未だにちゃんと効果発動してない流星龍はスルーしろ。
はい、遊矢堕ちました。騙されるところが遊馬っぽい。修羅場フェイズなくてよかったね、修羅場あったらヒカルも堕ちてた。
こっからが長いんですよ、鏡編は!!慶太くんやらどうでもいいとこでトルテのデュエルとか、誠とか、なによりも例のあの子とか闇落ち合戦とかが長い。記念すべき100話のメインキャラとなれるキャラクターは誰になるのかも注目です。
そしてここからはMuse-SONGの伏線にもなります、見逃せない!!
次回!!慶太と遊矢、二人の出会いに隠されたデュエルの秘密。
遊矢を取り戻すため、仲間たちが出動!!
リンの力を受けたカードに導かれ、遊矢の力を手に入れた鏡と慶太が全力のデュエルでぶつかりあいます!!
【予告】
遊矢が鏡によって姿を消したことをリンから聞いたアミたちは遊矢がいるだろう場所を探し始めた。
遂に居場所を突き止めた慶太は親友として、仲間として、遊矢の力を手に入れた鏡にデュエルを仕掛ける。
遊矢の戦法を知り尽くす慶太は力の限り全力でデュエルするも遊矢の心の闇が作り出したDsが慶太に襲いかかる!
次回!第88話「驚異のDs(ダークソニッカー)!遊矢VS慶太 絆のデュエル!」
「な、なんで俺が……ここにいるんだよ…!」
「いやぁ…バレたからには仕方ないか」
つーか………どうして、どうして……、
「アホ毛がないんだよ!これは俺のチャーチペイントなんだぞ!?」
「チャームポイント、な~!」
「全く…こんな状態でそんな下らんことを…」
く、下らなくないもん!アホ毛がない俺なんて俺じゃないもん!アホ毛は正義なんだからな!!
「じゃあ、説明してやるよ。俺はその名の通り、鏡だ。心の闇を写す鏡。だから実体がない」
そっか、鏡で作り出した虚像にすぎないってことか。
「俺は心の闇を司る神だ!だが、封印され解放されたばかりで神としての力は実体がない今、全く無に等しい。…そこで俺は探したよ、俺の強大な力にも耐えられる人材を」
『それがご主人だったんですね…!』
「そうだ!だからこの姿はあくまで風雅遊矢の心の闇を写した虚像だ。風雅遊矢の体と力を手に入れた時、神としての力が甦る!」
なんじゃそりゃ……じゃあ俺は勝手に決められて、んで勝手に体奪われる危機に瀕してるのかよ!!全く意味分からないぜ!?
「でも、俺はな。バカみてえに体と力をいただこうとはしない。お前にも選択肢はあると思う訳なんだよ。…だからここは一つ交渉と行こうぜ?」
こ、…校長?なんだそれって言うか、さすがに真面目になんだそりゃ……。
「お前がお仲間を守るためにはまだまだ力が必要だろ?」
「……」
「睨むなってば…、んでまぁ、俺はお前の体と力が欲しい!ってことでだ、お前と俺が二つの人格として共存する!そうすればお互いに力を与え合い、平和に幸せにってな」
た、確かに鏡の言う通りではあるよな……。二人力を合わせられれば、神の五王にもきっと対抗できるはず…!
『ご主人!』
「!タスキ…?」
『惑わされちゃいけません。鏡の持つ闇は強すぎる、ご主人はもちろんのこと、闇を自在に使いこなす托都さんでさえ鏡の闇には敵わないでしょう…だから、ダメです!それにご主人と互いに助け合う仲間はいっぱいいるじゃないですか!バカなこと考えないでくださいよ!』
「…バカだけど、バカって言うな!あったり前だ!絶対負けないし、俺は俺の力でアイツらを倒す!」
俺にはアミもヒカルも托都も、仲間がいる!仲間との絆があれば負けるわけないんだぜ!
あー、なに悩んでたんだろ俺……。
「俺は、カードを一枚伏せてターンエンド!」
《手札:3》
「ふーん……ま、良いよ。タスキの戯言に付き合うなら構わないし、また、な」
なぁんか怖いんだよな…コイツ……。不気味というかなんというか?
「俺のターン、ドロー!!俺は魔法カード《虚像治癒》発動!ライフを1000ポイント回復し、《銀河眼の星屑竜》の攻撃力を半分にする…!」
《鏡のライフ:1700》《攻撃力:2000》
『《ミラー・オブ・ドロー》の効果を受けたモンスターは効果を発動できなくなる…』
「へえ~アストラル、知ってるんだ」
『この世に存在しているカードはできる限り記憶しているつもりだ』
これで《銀河眼の星屑竜》の攻撃力が半分になっちまった……。だけど、さっきの伏せカードは《逆境逆綸》……、ダメージを無効にして二倍のダメージを与える強力なカードだ。
「更に、永続魔法《鏡の呪印》を発動!このカードが存在する限り、お前の伏せカードは伏せて最初の俺のターンのエンドフェイズを終えない限り発動できない」
「なにっ!?」
「行け!!ファントム・ボイドドラゴンで《銀河眼の星屑竜》を攻撃!」
「くっ…!」
《遊矢のライフ:1800》
すげえ……俺の一つ二つ三つも上を行った実力と戦略…、この力……やっぱりすごい…。
「俺は、これでターンエンド!」
《手札:1》
これで《逆境逆綸》が使えるようになる、だけどこれに対して鏡が考えてないわけない。だから、この俺のターンで決着を……!!
「エンドフェイズに罠カード《シャイニング・バリアレイ》を発動!自分のフィールドにモンスターが存在せず、相手のフィールドに攻撃力2000以上のモンスターが存在している時、墓地のシンクロモンスターの効果を無効にし攻撃力を0することで特殊召喚する!」
《攻撃力:0》
「これで再び、遊矢のフィールドに《銀河眼の星屑竜》が……か」
「り…リン!?」
『…いつの間に…』
「嫌な気配を感じてな、今来たところだ」
だけど、これじゃ攻撃力は足りない。
だからこの力を使うぜ!
「俺は、俺の魂をオーバークロス!」
「……来るのか…!」
「雷光の空に輝く魂…!ライトニングスカイアーマード!!」
「……これが…ZEXALを越える力か…!!」
この状態じゃなきゃあのモンスターは召喚できない、やってやんよ!!
「俺のターン!ドロー!俺は《Ss-ベール・ノース》を召喚!更に《Ss-一閃のスターライト》!」
《攻撃力:0/レベル:4》《攻撃力:1900/レベル:4》
「レベル4のモンスターが二体……」
「レベル4のベール・ノースとスターライトでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!《Ss-水面のヴァルキリア》!」
《攻撃力:2400/ランク:4/ORU:2/チューナー》
よし!!これで、条件がすべて揃ったぜ!!
「レベル8の《銀河眼の星屑竜》に、ランク4の《Ss-水面のヴァルキリア》をチューニング!その銀河解き放ち、無限を越える時空(とき)を経て、流星を束に集結せよ!エクシーズシンクロ召喚!!舞い降りろ《銀河眼の流星龍》!」
《攻撃力:4500/ランク:12》
「エクシーズシンクロ召喚だと!?」
「そんな召喚法聞いたことないぞ……遊矢はどこまで、どこまで新たな進化を切り開くつもりなんだ…」
遊星さんの奇跡の光である「絆」、そして狩也と築いたライバルにして親友の「絆」が作り出した奇跡のモンスターだ。鏡が知らないのだって無理ないさ!
「《銀河眼の流星龍》でファントム・ボイドドラゴンに攻撃だ!」
『この攻撃が通れば遊矢の勝ち…だが』
「いっけえ遊矢!!」
「………」
「流星のギャラクシーミラージュ!!」
「っ……ぐあっ!!」
やったか!?
……よしっ!!これで遂に勝ったぜ!!
「くっそ……この程度で勝ったと………思ってんじゃねえ!!!」
《鏡のライフ:850》
「なっ!?なんでライフが残ってんだ!?」
「手札の《鏡写師》の効果だよ。墓地に送り、ライフを半分にすることで、破壊とダメージを無効にする」
「な……」
冗談抜きでマジかよ……信じらんねえ…このターンでライフを削りきれないなんて…。ため息が出るぜ…。
「所詮、お前の実力はその程度。俺の闇の力をお前の光の力は越えることなどできない!」
「く……ターンエンド……」
《手札:2》
「俺のターンドロー!…ここまでの力、やはり俺が選び出した力……最高だぜ!!」
「急になんだありゃ」
『テンションが上がるとこうなるのは昔からです』
………昔からなのか…。そういえばタスキと鏡の関係が気になるところだぜ…。
「その強さに敬意を表し、俺の切り札を紹介してやる。俺はファントム・ボイドドラゴンを素材として、マイナスダークエクシーズチェンジ!!」
『ご主人!来ます!』
「あぁ…!」
「一体のモンスターでオーバーレイネットワークを逆構築!現れろマイナスダークエクシーズ!幻影に眠る絶望の化身、闇の力を持ち希望の光を無に帰せ!《幻狂輝龍 アナイアレーション・ドラゴン》!」
《攻撃力:3800/ランク:-5/ORU:2》
あんな禍々しいカード初めて見た……、あれが闇なのか……。
「マイナスエクシーズの効果は、分かるな?」
《攻撃力:3500》
だけど、まだ《逆境逆綸》がある。効果が無効になっている今の状況でも勝つことは可能だ…!!
「まだ勝利を夢見てるなら、今それをぶっ壊してやるよ!アナイアレーション・ドラゴンの効果発動!オーバーレイユニットを全て使い、相手フィールドのカードを全て除外する!」
《ORU:0》
「除外…!?そんな、…そんなんって!!」
「夢ばっか見ても、所詮光の力はその程度。気づかないのかよ、俺は光の力に興味なんてない。俺がほしいのはお前の心の闇だ」
「心の闇……?」
「自分ではわからない部分で、闇は光を侵食していく。今はまだ、カオスだ。光が強すぎて闇は凌駕できない。だが、その闇が光を凌駕した時、絶望は形となってお前の仲間を襲う」
俺が……俺自身が仲間たちを……?
『ご主人!!惑わされてはいけません!アイツの言葉は…!』
「タスキはうるせえよ、ちょっと黙ってろ」
『なっ!これは……封印の鏡……!?』
「タスキ!!…これは…」
「預かっとけよ、リンお嬢様よ」
そんなのってないだろ……俺がみんなを壊すなんて……そんなの嘘……なんて言い切れる…?
だって、みんなの引き金は…俺に関わったみんなが……。
ーーー『お前に復讐する!だが、その前に、居場所を奪ったコイツに復讐する!』ーーー
ーーー『ヒカリ…ごめん、こんな兄貴で…本当に…』ーーー
みんなの不幸が俺のせいなら俺はどうすれば……!
「………ふん、行け!アナイアレーション・ドラゴンでダイレクトアタック!エターナル・ディサピアランス!!」
「うわあぁあああぁあ!!」
《遊矢のライフ:0》
《WIN:鏡》
「遊矢が…負けた…!?」
「………」
~~~
「っ……!……遊矢!」
夢……、じゃない…!
「あのバカ!!……?」
ペンダントがない……?一体誰がどこへ…?
「いや、今は…!」
~~~
負けた…?負けたのか、俺。
「くそっ!!」
「……」
「…鏡……」
「さっきも言ったが選択権をお前にある。俺と一つになるというなら、お前の心の闇を俺がいただく、そうすることでお互いの力を保つことができる。拒否するのなら、今の絶望に苦しみ、世界を滅ぼせばいい」
鏡の言う通りだ、鏡の力は強力。しかも鏡の闇の力が心の闇を除去してくれるなら、みんなを傷つけずに済む。
それなら………。
「分かったぜ、お前の力と俺の力!合わせて戦おう!」
「………あぁ…!手を握れ、お前は強くなる」
「あぁ!!」
「遊矢っ…!」
「ヒカル!?どうしてここに…っぐ!!」
『この光は…!?』
分かる、今なら闇の力が……。ただ言うとするなら、心がちょっと痛いってだけかな……タスキには悪いことしちゃったというか……?
「な、なぁ鏡?お前の闇は強いってタスキが言ってたけど、光が耐えきれるか…?」
「安心しろよ、耐えきれるとかなんとか言わなくていい。耐える必要なんてないから」
「は…?…っ!?」
なんだ!?急に闇の力が増大した!?
「わっかんねえのかよ。俺がお前の心の闇を吸収するってことは、つまり俺が持ってる闇が更に増大するってこと!頭が残念な遊矢には分からないだろうけど」
「それって…!」
「騙されたんだよお前!タスキが言ったろ?お前ごときが、俺の闇に耐えきれるわけねえんだよ!」
「て…めえ!っ、うわぁぁぁ!!」
「なにが起こっているんだ…!」
「分からない!だが、良からぬ事態なのは間違いない…」
「なぁあれ!!」
……………、これが、やっと力が手に入った……!
風雅遊矢の力を、俺が……手に入れたんだ!
「くっ……」
『……あれは、何者だ…』
「凄い力だ…今まで手に入れたどんな力よりも…!最高だ!」
「遊矢…?」
おっ、と、ギャラリーの連中……知らないのは二人だけだがご挨拶しなきゃダメだっけ。
「俺は鏡…。そして…、次はお前だ、朽祈ヒカル…!」
「なに…?」
「どういうことだ!」
「風雅遊矢を仲間と思うなら、俺を倒してみろ。じゃあな」
「消えた…?」
「奴が、鏡なのか?」
「遊矢はアイツに騙されてたってことかよ…」
~~~
「くそっ!」
「やぁ鏡ちゃん、おかえり~。目標達成したのにあんまりご機嫌はよろしくないね」
「まだやることはあるから…、鏡の世界の入り口を開けなきゃならない…」
「そっか。大変だね、でももったいないことしたねえ。あそこでヒカルちゃんを仕留めたら、遊矢ちゃんの力をすぐ手に入れられたのに」
「天下のゲス野郎様はわかんねえのかよ、より良い絶望のためには時間をかけなきゃなんねえ。だから、朽祈ヒカルにも言ったろ?…次はお前だ、ってな」
「えげつないねえ鏡ちゃんは…風雅遊矢を欺いて、しかも心の闇をあそこまで広げることに成功しちゃうなんて、今思い出しても腹いてええ!!」
「ふん、笑ってろよ」
…まさか自分でやったとはいえかなりの闇だ……扱うのには、時間がかかるか……。
ま、扱いこなせるようになれば、逆に奴への絶望の煽りくらいにはなると考えてみればいいかな…。
~~~
「カイト何故だ!何故遊矢を探したらいけないんだ!」
「何度も言わせるな、お前はアフロティアとのデュエルで本当なら瀕死になっててもおかしくないんだぞ。その体に無理をさせるわけにはいかない、諦めろ」
「嫌だ!」
「ヒカルもほんっとうに諦め悪いな…」
『君もだろう』
「ひでーな」
「往生際が悪い奴だ、それに遊矢を探しだしたところでお前になにができる。それになんの犠牲もなしに遊矢を取り戻せると?」
「っ…」
俺になにもできない……だと…!?
ーーバチッ!!
「あら~…」
『……』
「ひ、ヒカル…暴力は…」
「……、なにをする」
「カイト…やっぱりお前は、人でなしのクズだ!俺は誰の犠牲も出さずに遊矢を探し、取り戻す!アンタとは違う!」
「…バカが……、とにかくここから出ることは許さん、警備員もいる。脱走するような姿があればどんな手段にも出るからな」
本当に、最低な奴…。
「ヒカル、」
「リンさん…?」
「明日の朝5時、アーチャーが来たら脱出して来い。遊矢を救出できなければアーチャーが来ると思え。分かったな」
「…分かりました」
~~~
「さぁってと、始めるようか…、鏡の世界を、開く!!」
88へ続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「暴力はいけませんwwwwwwww」。
ヒカルくんの張り手は俺も食らいたい。カイトそこ代われ。
はい、遊矢堕ちました。騙されるところが遊馬っぽい。修羅場フェイズなくてよかったね、修羅場あったらヒカルも堕ちてた。
こっからが長いんですよ、鏡編は!!慶太くんやらどうでもいいとこでトルテのデュエルとか、誠とか、なによりも例のあの子とか闇落ち合戦とかが長い。記念すべき100話のメインキャラとなれるキャラクターは誰になるのかも注目です。
そしてここからはMuse-SONGの伏線にもなります、見逃せない!!
次回!!慶太と遊矢、二人の出会いに隠されたデュエルの秘密。
遊矢を取り戻すため、仲間たちが出動!!
リンの力を受けたカードに導かれ、遊矢の力を手に入れた鏡と慶太が全力のデュエルでぶつかりあいます!!
【予告】
遊矢が鏡によって姿を消したことをリンから聞いたアミたちは遊矢がいるだろう場所を探し始めた。
遂に居場所を突き止めた慶太は親友として、仲間として、遊矢の力を手に入れた鏡にデュエルを仕掛ける。
遊矢の戦法を知り尽くす慶太は力の限り全力でデュエルするも遊矢の心の闇が作り出したDsが慶太に襲いかかる!
次回!第88話「驚異のDs(ダークソニッカー)!遊矢VS慶太 絆のデュエル!」