ジェレスタ84「 決 意 の 時 ヒ カ ル の 挑 戦 」
『ねえ見てよ!お前のせいでみんなみんないなくなっちゃったじゃぁん?』
『あ、まだいるか。でもさ、見て!遊矢クンだって、鏡ちゃんの力になっちゃうんだよ!』
『ちょおっと遅かったねえ!』
「やめろ…っ…!」
『自分の呪いがどうとか考えてるからだよねえ!自分のことばっかり、人間って、これだから汚いんだよ。あ、ヒカルちゃんは人間という前にすでに汚いよね、自尊心と自己愛の塊だしさ』
「違う!!」
『天城カイトを間違ってるとか言う前に自分を見直してみればぁ?あ、もう遅いか』
「っ、貴様!!」
『おおっとぉ?殴りかかるなんてひ~ど~い~』
「…!…うっ……!」
『はっ?泣いちゃった?ごめんごめん!あ、呪いが回っちゃったわっけ~?もうみんなダメだねえ!』
「きっ…さまぁっ…!」
『あ、忘れてたわ。まだ、全員じゃないかな?うん、じゃあね~。今からヒカルちゃんのご両親……潰してくるわ』
「なっ!!そんなこと…させるか!」
『じゃあ、止めてみなよ。悪夢の連鎖を』
~~~
「ーーっ!…夢……か?」
夢にしては妙に生々しい夢だったな……一体全体どういうことだ。
悪夢の連鎖……か、ヤツは物騒なロマンチストみたいだな。いや、そもそもヤツは何者だ…?見たことのないヤツだったが…。
…それより、アイツは「鏡」と言っていた。
確か遊矢がそんな名前のヤツの話をしていたような………。気のせいか…?
「学校で相談してみるか…」
「気を付けて」
「!…誰だ!」
「敵じゃないです、私はミコ、祭囃子ミコです」
あー、前に遊矢が話した………って、
「何時だと思ってやがる!てめえ不法侵入ってレベルじゃすまねえぞ!?」
「午前2時54分31秒です。騒がないでください、弟さんには聞かれてはいけない話ですし貴方も聞かれたくないでしょう?」
「ま…まぁ…話にもよるが」
コイツ…話の先が読めねえ……。一体なに考えてやがる……。
「貴方、このままでは死にますよ」
「妙に現実的じゃねえかよ……」
「怖くないのですか?それに死ぬのは肉体じゃない、心です」
「心……?」
「呪い、鏡の悪夢、…鏡の悪夢は遊矢くんにも降りかかる、いえ遊矢くんに関わった全てと言うべきかもしれません」
「遊矢……か」
アイツが一体なにしたからって神の五王やら話に出てくる野郎どもが狙ってやがるんだよ…。ま、俺が言えた義理じゃねえか、ついこの前まではアイツのカード狙ってたし。
にしたって辻褄合いすぎだろ…、五王の奴らが遊矢を狙うのは最悪の未来を変えるため、悪夢は遊矢に関わる全てに降りかかる。……まるで最初から約束されてるみてえだな…。
「遊矢くんの問題は貴方の問題が解決すれば解決する。後は貴方にしか決められない」
「無責任なヤツだな。忠告だけしてそれだけかよ」
「………迷いを断ちなさい、そうすれば道は開ける」
迷いを断つ……。迷い……。
「………天城カイトを、倒すこと…!」
~~~
『全く、ゼウラもポセイラも…なんてこと…!』
『バカな野郎どもだな、どうするアフロティア』
『私が行くわ。やらねばならないことがあるのよ』
『言っておく、風雅遊矢も朽祈ヒカルも俺の獲物だ、ドラゴン使いはあくまで俺だからな』
『ご勝手になさればいいわアポロス』
『………全く、わがままな女だ』
~~~
冬休み明け、どうして夏休みは長いのに冬休みは短いんだろう……物凄く疑問に思う。
ーーキーンコーンカーンコーン
「く~~っ!今日もデュエルタイムだぜ!」
『忙しいですね』
「さっきまで寝てたくせに?」
アミにはタスキが見えてないからいつも通りだろうけど……正直、ダブルパンチがいってえんだよ!!
嫌じゃないけどアミには見えるくらいしてくれたって良いじゃねえのって思うよなー。
明日辺りリンさんに相談してみっかな……。
「んじゃ移動しようぜ遊矢!」
「おう!…あっ!」
今教室前通ったのって!
「ヒカル!」
「!よう、遊矢」
「良かったぁ!冬休み明けなんて来ないと思ってたからさ!」
「…」
「ヒカル?」
「あ、なんでもない。それより…」
「なぁなぁ!この後デュエルタイムなんだけど、今日は?」
「悪い、ちょっと用事」
「そっか…無茶すんなよ!」
ヒカルは忙しいなぁ……あれ?デジャヴ?
「………」
「…?なぁ、やっぱ調子悪いのか?」
「問題ない…少し悩み事があるだけだ」
「…なんかあったら、俺に言ってくれよ!解決できっかわかんねえけど、力になりてえから!」
「遊矢ー!早く早くー!」
「おっ!わりぃわりぃ!じゃあな!」
「あぁ、じゃあな(………遊矢…)」
~~~
行動を怪しまれないためとはいえ遊矢に遭遇するとは……、鏡とか言うヤツの話は聞けなかったし、結局なんにも成果はなかったか…。
とりあえず今はカイトのことに集中しなければ……。アイツを倒し、必ず迷いを断つ!
…今はそれしかないんだ。
「カイト!いるか!」
《オッ!オ前ハ生意気ポニーテール!》
「うるせえポンコツ。カイトはどこだ」
《カイト様ナラ奥ノ部屋デ、クリス様ト今後ノ相談中ダ!全クオ前ハ神出鬼没ナ上ニワガママナ奴ダ!》
「なんだと…?」
まさか…時間潰しとは言えカイトが作った劣化オボットにバカにされるとは思わなかったぜ……マジでぶっ壊してえコイツ……!
「なにか用か?」
「…!カイト、やっとかよ」
《カイト様ァ~~!助ケテクダサイィィ!踏ミ潰サレテシマイマス~!》
「ホントにうるせえ奴だ、黙ってろ!」
「カイト、」
「あぁ、大体分かってる。またデュエルか」
「そうだ!」
また………か、一体何回断られたか忘れたが……。以前はデュエルしていたっけか…、ほとんど覚えはねえが。
「何度断れば気が済む。貴様とデュエルする気はない」
「まぁ大体そう言うって確信はあったが…今はそれどころじゃない、だからっ!」
「!デュエルアンカー!?」
「なるほどな、さっき姉さんから借りていたのはこれだったのか」
カイトのところに行く前、ミナトさんに話をしてデュエルアンカーを借りていた。クリスがいるのはその時点でお見通しだったし、まぁ運が良かったのもあるがな。
「これでカイト、お前は俺とデュエルしなければならない!さぁどうする!」
「随分焦ってるな…だが、元々デュエルアンカーを使っていた俺が、デュエルアンカーをデュエル以外で解除する方法を知らないとでも思ったか、オービタル!」
《カ…カシコマリッ!》
オービタル…?そうか、デュエル以外でデュエルアンカーを解除する方法、デュエルアンカーそのもののシステムを破壊すること…!!
迂闊だった……カイト…いや、それよりオービタルの技術力はポンコツのわりにはやはり群を抜いてるな。
…破壊されたら多分腕に感電するか…?
「チッ!」
「ヒカル!一体何故そこまでする必要が…」
「待てクリス」
「カイト…」
「全く……そこまでデュエルしたいなら良いだろう」
「よし!なら今すぐ…」
「ただし条件がある」
条件…?まぁあのカイトが出すんだ、さっさと片付けてやる!
「クリスとデュエルしろ、勝てばデュエルしてやる。ただ…クリスがもしダイソン・スフィアを召喚したら、その次の1ターンで勝たなければデュエルはしない」
要はダイソン・スフィアが出てくる前に片付けろってことかよ……。妙にうざったらしい条件だな、呑まないわけないけど。
「分かった、それでいい」
「カイト、つまり私は勝てばいいんだな」
「そう言うことだな、後は早くダイソン・スフィアを出せ」
「了解だ」
…なんかナメられてる気がする…。
~~~
「いっけえエフェクトライダーでダイレクトアタック!」
《攻撃力:2800》
「罠発動!《魔法の筒》!!」
「げえっ!?うわああああ!」
《遊矢のライフ:0》
『まぁった負けちゃいましたね~』
「うるせええぇぇえ!」
ま、まさか雪那に連敗するなんて~…。アーマードは論外として基本全力でデュエルしてるのにぃ~!
狩也も雪那も強すぎだぜ……。
そう言えば大河とデュエルしたことないような…でも確かデュエルしてるよな、アイツ。覚えじゃ、前にマイナスエクシーズ持ち相手にしてた気がするし。
「なぁ、大河はデュエルしないのか?」
「僕?」
「デュエルしようぜ!なっ?」
「今日デッキ忘れちゃって~ごめんね!」
「またかぁ…ま、いつかデュエルしような!」
大河もきっといいデュエリストなんだ!今から楽しみだぜ!!
「………?」
…みんなと楽しくできてるはずなのに……なんだろう、この胸騒ぎ……。
「……ヒカル…」
~~~
「行くぞ!クリス!」
「臨むところだ…!」
クリスとのデュエルは…多分二回目か…?
とにかく倒してみせる!
「Dシューター、展開!」
「デュエルディスク、セット!」
「Dゲイザー、セット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
「先攻はもらう!私のターン、ドロー!私は手札の《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》を墓地に送り、《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》を特殊召喚!」
《攻撃力:900/レベル:9》
名前が長い……というか、もうレベル9のモンスターかよ…!
「更に私は、《死者蘇生》を発動!蘇らせるのは《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》だ!」
レベル9のモンスターが2体……もう来るのかよ…!無茶苦茶じゃねえか!
「私はレベル9の《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ《天蓋星ダイソン・スフィア》!」
《攻撃力:2800/ランク:9/ORU:2》
「1ターン目でダイソン・スフィア………」
要するにワンターンキル、それも本当に1ターンでライフ4000を削りきれってことか。
「私はカードを二枚伏せ、ターンエンドだ」
《手札:1》
「ダイソン・スフィア………」
《ワズカ1ターンデ召喚シタノデス!アノ生意気ポニーテールガ勝テルワケナイノデス!》
「黙ってろ、オービタル」
《カ…カシコマリィ…》
「俺のターン!ドロー!」
ダイソン・スフィアの攻撃力は2800。オーバーレイユニットがある状態では攻撃は通らない、逆にオーバーレイユニットがなければ補充してくる…。
手札には《創星の銀河翼》があるけど、まずはオーバーレイユニットをなんとかしなきゃいけない…ダイソン・スフィアの効果は墓地にオーバーレイユニットにできるモンスターが2体以上いなければいけない…か。なら、一体を除外できれば…!
「私は、永続罠《スキル・トラップ・スキル》を発動!私が君のターンのスタンバイフェイズに手札を一枚捨てることで、君が召喚・特殊召喚したモンスターは効果を発動できない!私は手札の《太陽風帆船》だ」
「なにっ!?」
ギャラクシー・カオスの効果が発動できなきゃ…このデュエル、鬼に等しいぞ…?
「俺は《聖火の宝札》を発動!手札の光属性モンスター一体を墓地に送り、カードを二枚ドローする!」
来た…!これなら道は開ける!……かもしれない。
「速攻魔法《強制解放》を発動!ダイソン・スフィアのオーバーレイユニットを全て墓地に送る!」
《ORU:0》
「そして、《カオス・パージ レヴァン》を召喚!」
《攻撃力:800/レベル:4》
「墓地に光属性モンスターがいれば、レベルを倍にし、2体分のエクシーズ素材になる強力なモンスター…だが、効果が発動できなければ意味はない!」
「それはどうかな」
「なにっ?」
「永続魔法《ウィキッド・ファントム》を発動!発動コストとして、デッキから闇属性モンスター三体を除外する。これによって俺のモンスターの効果発動は、魔法カードの発動効果となる」
「うまいわね」
《ミ、ミナト様!イツノ間ニ?》
「さっき来たばかりよ」
《ニシテモアノ《ウィキッド・ファントム》ノ効果ハドウイウ?》
「《ウィキッド・ファントム》は、モンスター効果を、元々その効果を持つモンスターや周りのモンスターを対象とした魔法カードの効果になる」
「つまり《ウィキッド・ファントム》がある限り、モンスター効果の無効は無駄になるということよ」
分かりにくいし使いづらいカードではあるが、《スキルドレイン》とかのカードで効果が使えなくなったときには役立つかな…ただコストが痛い…。
だが今はこれで良い!
「カオス・パージは闇属性としても光属性としても扱うモンスター……なるほど、うまいな」
「俺はレヴァンの効果を《ウィキッド・ファントム》の効果で発動!レベルを倍にして、2体分のエクシーズ素材にする!」
《レベル:8》
「レベル8のレヴァン2体分でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!時空を駆ける天馬を操る者よ、大空を裂いて現れろ!《天馬星士 ヴィーナス・ソード》!」
《攻撃力:2800/ランク:8/ORU:1》
問題はあの伏せカード……、攻撃を防ぐカードか…《スキル・トラップ・スキル》を守るカードか…それによっては勝敗が決まる…!
「私は永続罠《モノポール・チェーン》を発動!私のフィールドにダイソン・スフィアがいる時、君のモンスターは攻撃できない!」
これだ!攻撃できなくなる効果が、コイツの使いどころ、《スキル・トラップ・スキル》を守る効果なら発動できなかった!
「魔法カード《アサルト・レイン》発動!自分のフィールドのモンスターに対し、攻撃を行えなくするカードが発動したとき、その効果を無効にする!」
「なんだと!?」
「そしてヴィーナス・ソードの効果発動!オーバーレイユニットを全て使い、更に相手の除外されたカードが自分の除外されたカードより少ない時、相手モンスターを全て除外し、攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
《ORU:0》
攻撃力が高いというか、そもそもモンスターはダイソン・スフィアの一体のみ。これでヴィーナス・ソードの攻撃が決まれば、俺の勝ちだ!!
「くっ……!!」
《クリスのライフ:1200》
「トドメだ!ヴィーナス・ソードでクリスにダイレクトアタック!」
「ーーー…!!」
ーードオォォオオオン!!!
「!?」
「なんだ!?」
「なにが起こっている!」
《空間ニ異常ナエネルギーノ発生ヲ確認!》
「異常なエネルギー!?」
《空間に以上発生、ARヴィジョンを解除します》
一体なにがどういうことなんだ…?!
『………』
「あれは…」
……仮面……?いや、それよりアイツは……?
「貴様、何者だ!」
『……私は、アフロティア。神の五王が一人ーーー…、私は貴方達にデュエルを挑みに来ましたわ』
85話に続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「ずっと俺のターン!」。
ヒカルくんデッキ回る回る。というより引きが神がかってる!ビックリ!
さあて、本格的に鏡編に入りますよ…冒頭から誠がウザい。そして伏線張りすぎて回収が辛い、もうかなり前から言ってるけどかなり辛い。回収してないといけないフラグを回収してない気がする。無念。
オービタルの扱いがひどいね、まぁこんなもんだろうとは考えてるけども……。ミナトさんも修羅場になるの分かっててデュエルアンカーを貸してあげちゃう鬼な人。さすがはクリスの嫁よ、カイトには先越されたけど(結婚的な意味で)。
案外女性カード多い気がするヒカル、というか、コンセプトが迷子。《ウィキッド・ファントム》は許さない、まさにコンマイ語。
次回!ライフが削れない!神の五王のBBA紅一点・アフロティアの戦術はヒカルを大きく上回る!?
ただのアフロティア無双大会が始まるよ!
そしてヒカルにも大きな変化が訪れる……が、全部トルテさんが悪い。
俺の精神が安定しないからヒカルくんはマジで死ぬと思ったけどそうでもないよ、死にかけるけど。
遊矢の鏡ちゃん初遭遇まで後二話よ!!慶太くんがイケメンな話ももうちょいです、托都の意外な部分が判明するのももうちょいです。
さて、頑張ろうか。
【予告】
デュエル中に現れた五王の一人「アフロティア」とヒカルのデュエルが始まった。
カイトとデュエルするために全力で戦うヒカルだが、まるでヒカルの戦略を知り尽くしてるかのようなアフロティアの一枚上手な戦法に苦戦することとなる。
そしてヒカルの最大の切り札である逆転のアルテミスギャラクシーが何故か発動しなくなり…!?
次回!第85話「アルテミスギャラクシー発動不可…!?」
『ねえ見てよ!お前のせいでみんなみんないなくなっちゃったじゃぁん?』
『あ、まだいるか。でもさ、見て!遊矢クンだって、鏡ちゃんの力になっちゃうんだよ!』
『ちょおっと遅かったねえ!』
「やめろ…っ…!」
『自分の呪いがどうとか考えてるからだよねえ!自分のことばっかり、人間って、これだから汚いんだよ。あ、ヒカルちゃんは人間という前にすでに汚いよね、自尊心と自己愛の塊だしさ』
「違う!!」
『天城カイトを間違ってるとか言う前に自分を見直してみればぁ?あ、もう遅いか』
「っ、貴様!!」
『おおっとぉ?殴りかかるなんてひ~ど~い~』
「…!…うっ……!」
『はっ?泣いちゃった?ごめんごめん!あ、呪いが回っちゃったわっけ~?もうみんなダメだねえ!』
「きっ…さまぁっ…!」
『あ、忘れてたわ。まだ、全員じゃないかな?うん、じゃあね~。今からヒカルちゃんのご両親……潰してくるわ』
「なっ!!そんなこと…させるか!」
『じゃあ、止めてみなよ。悪夢の連鎖を』
~~~
「ーーっ!…夢……か?」
夢にしては妙に生々しい夢だったな……一体全体どういうことだ。
悪夢の連鎖……か、ヤツは物騒なロマンチストみたいだな。いや、そもそもヤツは何者だ…?見たことのないヤツだったが…。
…それより、アイツは「鏡」と言っていた。
確か遊矢がそんな名前のヤツの話をしていたような………。気のせいか…?
「学校で相談してみるか…」
「気を付けて」
「!…誰だ!」
「敵じゃないです、私はミコ、祭囃子ミコです」
あー、前に遊矢が話した………って、
「何時だと思ってやがる!てめえ不法侵入ってレベルじゃすまねえぞ!?」
「午前2時54分31秒です。騒がないでください、弟さんには聞かれてはいけない話ですし貴方も聞かれたくないでしょう?」
「ま…まぁ…話にもよるが」
コイツ…話の先が読めねえ……。一体なに考えてやがる……。
「貴方、このままでは死にますよ」
「妙に現実的じゃねえかよ……」
「怖くないのですか?それに死ぬのは肉体じゃない、心です」
「心……?」
「呪い、鏡の悪夢、…鏡の悪夢は遊矢くんにも降りかかる、いえ遊矢くんに関わった全てと言うべきかもしれません」
「遊矢……か」
アイツが一体なにしたからって神の五王やら話に出てくる野郎どもが狙ってやがるんだよ…。ま、俺が言えた義理じゃねえか、ついこの前まではアイツのカード狙ってたし。
にしたって辻褄合いすぎだろ…、五王の奴らが遊矢を狙うのは最悪の未来を変えるため、悪夢は遊矢に関わる全てに降りかかる。……まるで最初から約束されてるみてえだな…。
「遊矢くんの問題は貴方の問題が解決すれば解決する。後は貴方にしか決められない」
「無責任なヤツだな。忠告だけしてそれだけかよ」
「………迷いを断ちなさい、そうすれば道は開ける」
迷いを断つ……。迷い……。
「………天城カイトを、倒すこと…!」
~~~
『全く、ゼウラもポセイラも…なんてこと…!』
『バカな野郎どもだな、どうするアフロティア』
『私が行くわ。やらねばならないことがあるのよ』
『言っておく、風雅遊矢も朽祈ヒカルも俺の獲物だ、ドラゴン使いはあくまで俺だからな』
『ご勝手になさればいいわアポロス』
『………全く、わがままな女だ』
~~~
冬休み明け、どうして夏休みは長いのに冬休みは短いんだろう……物凄く疑問に思う。
ーーキーンコーンカーンコーン
「く~~っ!今日もデュエルタイムだぜ!」
『忙しいですね』
「さっきまで寝てたくせに?」
アミにはタスキが見えてないからいつも通りだろうけど……正直、ダブルパンチがいってえんだよ!!
嫌じゃないけどアミには見えるくらいしてくれたって良いじゃねえのって思うよなー。
明日辺りリンさんに相談してみっかな……。
「んじゃ移動しようぜ遊矢!」
「おう!…あっ!」
今教室前通ったのって!
「ヒカル!」
「!よう、遊矢」
「良かったぁ!冬休み明けなんて来ないと思ってたからさ!」
「…」
「ヒカル?」
「あ、なんでもない。それより…」
「なぁなぁ!この後デュエルタイムなんだけど、今日は?」
「悪い、ちょっと用事」
「そっか…無茶すんなよ!」
ヒカルは忙しいなぁ……あれ?デジャヴ?
「………」
「…?なぁ、やっぱ調子悪いのか?」
「問題ない…少し悩み事があるだけだ」
「…なんかあったら、俺に言ってくれよ!解決できっかわかんねえけど、力になりてえから!」
「遊矢ー!早く早くー!」
「おっ!わりぃわりぃ!じゃあな!」
「あぁ、じゃあな(………遊矢…)」
~~~
行動を怪しまれないためとはいえ遊矢に遭遇するとは……、鏡とか言うヤツの話は聞けなかったし、結局なんにも成果はなかったか…。
とりあえず今はカイトのことに集中しなければ……。アイツを倒し、必ず迷いを断つ!
…今はそれしかないんだ。
「カイト!いるか!」
《オッ!オ前ハ生意気ポニーテール!》
「うるせえポンコツ。カイトはどこだ」
《カイト様ナラ奥ノ部屋デ、クリス様ト今後ノ相談中ダ!全クオ前ハ神出鬼没ナ上ニワガママナ奴ダ!》
「なんだと…?」
まさか…時間潰しとは言えカイトが作った劣化オボットにバカにされるとは思わなかったぜ……マジでぶっ壊してえコイツ……!
「なにか用か?」
「…!カイト、やっとかよ」
《カイト様ァ~~!助ケテクダサイィィ!踏ミ潰サレテシマイマス~!》
「ホントにうるせえ奴だ、黙ってろ!」
「カイト、」
「あぁ、大体分かってる。またデュエルか」
「そうだ!」
また………か、一体何回断られたか忘れたが……。以前はデュエルしていたっけか…、ほとんど覚えはねえが。
「何度断れば気が済む。貴様とデュエルする気はない」
「まぁ大体そう言うって確信はあったが…今はそれどころじゃない、だからっ!」
「!デュエルアンカー!?」
「なるほどな、さっき姉さんから借りていたのはこれだったのか」
カイトのところに行く前、ミナトさんに話をしてデュエルアンカーを借りていた。クリスがいるのはその時点でお見通しだったし、まぁ運が良かったのもあるがな。
「これでカイト、お前は俺とデュエルしなければならない!さぁどうする!」
「随分焦ってるな…だが、元々デュエルアンカーを使っていた俺が、デュエルアンカーをデュエル以外で解除する方法を知らないとでも思ったか、オービタル!」
《カ…カシコマリッ!》
オービタル…?そうか、デュエル以外でデュエルアンカーを解除する方法、デュエルアンカーそのもののシステムを破壊すること…!!
迂闊だった……カイト…いや、それよりオービタルの技術力はポンコツのわりにはやはり群を抜いてるな。
…破壊されたら多分腕に感電するか…?
「チッ!」
「ヒカル!一体何故そこまでする必要が…」
「待てクリス」
「カイト…」
「全く……そこまでデュエルしたいなら良いだろう」
「よし!なら今すぐ…」
「ただし条件がある」
条件…?まぁあのカイトが出すんだ、さっさと片付けてやる!
「クリスとデュエルしろ、勝てばデュエルしてやる。ただ…クリスがもしダイソン・スフィアを召喚したら、その次の1ターンで勝たなければデュエルはしない」
要はダイソン・スフィアが出てくる前に片付けろってことかよ……。妙にうざったらしい条件だな、呑まないわけないけど。
「分かった、それでいい」
「カイト、つまり私は勝てばいいんだな」
「そう言うことだな、後は早くダイソン・スフィアを出せ」
「了解だ」
…なんかナメられてる気がする…。
~~~
「いっけえエフェクトライダーでダイレクトアタック!」
《攻撃力:2800》
「罠発動!《魔法の筒》!!」
「げえっ!?うわああああ!」
《遊矢のライフ:0》
『まぁった負けちゃいましたね~』
「うるせええぇぇえ!」
ま、まさか雪那に連敗するなんて~…。アーマードは論外として基本全力でデュエルしてるのにぃ~!
狩也も雪那も強すぎだぜ……。
そう言えば大河とデュエルしたことないような…でも確かデュエルしてるよな、アイツ。覚えじゃ、前にマイナスエクシーズ持ち相手にしてた気がするし。
「なぁ、大河はデュエルしないのか?」
「僕?」
「デュエルしようぜ!なっ?」
「今日デッキ忘れちゃって~ごめんね!」
「またかぁ…ま、いつかデュエルしような!」
大河もきっといいデュエリストなんだ!今から楽しみだぜ!!
「………?」
…みんなと楽しくできてるはずなのに……なんだろう、この胸騒ぎ……。
「……ヒカル…」
~~~
「行くぞ!クリス!」
「臨むところだ…!」
クリスとのデュエルは…多分二回目か…?
とにかく倒してみせる!
「Dシューター、展開!」
「デュエルディスク、セット!」
「Dゲイザー、セット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
「先攻はもらう!私のターン、ドロー!私は手札の《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》を墓地に送り、《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》を特殊召喚!」
《攻撃力:900/レベル:9》
名前が長い……というか、もうレベル9のモンスターかよ…!
「更に私は、《死者蘇生》を発動!蘇らせるのは《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》だ!」
レベル9のモンスターが2体……もう来るのかよ…!無茶苦茶じゃねえか!
「私はレベル9の《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ《天蓋星ダイソン・スフィア》!」
《攻撃力:2800/ランク:9/ORU:2》
「1ターン目でダイソン・スフィア………」
要するにワンターンキル、それも本当に1ターンでライフ4000を削りきれってことか。
「私はカードを二枚伏せ、ターンエンドだ」
《手札:1》
「ダイソン・スフィア………」
《ワズカ1ターンデ召喚シタノデス!アノ生意気ポニーテールガ勝テルワケナイノデス!》
「黙ってろ、オービタル」
《カ…カシコマリィ…》
「俺のターン!ドロー!」
ダイソン・スフィアの攻撃力は2800。オーバーレイユニットがある状態では攻撃は通らない、逆にオーバーレイユニットがなければ補充してくる…。
手札には《創星の銀河翼》があるけど、まずはオーバーレイユニットをなんとかしなきゃいけない…ダイソン・スフィアの効果は墓地にオーバーレイユニットにできるモンスターが2体以上いなければいけない…か。なら、一体を除外できれば…!
「私は、永続罠《スキル・トラップ・スキル》を発動!私が君のターンのスタンバイフェイズに手札を一枚捨てることで、君が召喚・特殊召喚したモンスターは効果を発動できない!私は手札の《太陽風帆船》だ」
「なにっ!?」
ギャラクシー・カオスの効果が発動できなきゃ…このデュエル、鬼に等しいぞ…?
「俺は《聖火の宝札》を発動!手札の光属性モンスター一体を墓地に送り、カードを二枚ドローする!」
来た…!これなら道は開ける!……かもしれない。
「速攻魔法《強制解放》を発動!ダイソン・スフィアのオーバーレイユニットを全て墓地に送る!」
《ORU:0》
「そして、《カオス・パージ レヴァン》を召喚!」
《攻撃力:800/レベル:4》
「墓地に光属性モンスターがいれば、レベルを倍にし、2体分のエクシーズ素材になる強力なモンスター…だが、効果が発動できなければ意味はない!」
「それはどうかな」
「なにっ?」
「永続魔法《ウィキッド・ファントム》を発動!発動コストとして、デッキから闇属性モンスター三体を除外する。これによって俺のモンスターの効果発動は、魔法カードの発動効果となる」
「うまいわね」
《ミ、ミナト様!イツノ間ニ?》
「さっき来たばかりよ」
《ニシテモアノ《ウィキッド・ファントム》ノ効果ハドウイウ?》
「《ウィキッド・ファントム》は、モンスター効果を、元々その効果を持つモンスターや周りのモンスターを対象とした魔法カードの効果になる」
「つまり《ウィキッド・ファントム》がある限り、モンスター効果の無効は無駄になるということよ」
分かりにくいし使いづらいカードではあるが、《スキルドレイン》とかのカードで効果が使えなくなったときには役立つかな…ただコストが痛い…。
だが今はこれで良い!
「カオス・パージは闇属性としても光属性としても扱うモンスター……なるほど、うまいな」
「俺はレヴァンの効果を《ウィキッド・ファントム》の効果で発動!レベルを倍にして、2体分のエクシーズ素材にする!」
《レベル:8》
「レベル8のレヴァン2体分でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!時空を駆ける天馬を操る者よ、大空を裂いて現れろ!《天馬星士 ヴィーナス・ソード》!」
《攻撃力:2800/ランク:8/ORU:1》
問題はあの伏せカード……、攻撃を防ぐカードか…《スキル・トラップ・スキル》を守るカードか…それによっては勝敗が決まる…!
「私は永続罠《モノポール・チェーン》を発動!私のフィールドにダイソン・スフィアがいる時、君のモンスターは攻撃できない!」
これだ!攻撃できなくなる効果が、コイツの使いどころ、《スキル・トラップ・スキル》を守る効果なら発動できなかった!
「魔法カード《アサルト・レイン》発動!自分のフィールドのモンスターに対し、攻撃を行えなくするカードが発動したとき、その効果を無効にする!」
「なんだと!?」
「そしてヴィーナス・ソードの効果発動!オーバーレイユニットを全て使い、更に相手の除外されたカードが自分の除外されたカードより少ない時、相手モンスターを全て除外し、攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
《ORU:0》
攻撃力が高いというか、そもそもモンスターはダイソン・スフィアの一体のみ。これでヴィーナス・ソードの攻撃が決まれば、俺の勝ちだ!!
「くっ……!!」
《クリスのライフ:1200》
「トドメだ!ヴィーナス・ソードでクリスにダイレクトアタック!」
「ーーー…!!」
ーードオォォオオオン!!!
「!?」
「なんだ!?」
「なにが起こっている!」
《空間ニ異常ナエネルギーノ発生ヲ確認!》
「異常なエネルギー!?」
《空間に以上発生、ARヴィジョンを解除します》
一体なにがどういうことなんだ…?!
『………』
「あれは…」
……仮面……?いや、それよりアイツは……?
「貴様、何者だ!」
『……私は、アフロティア。神の五王が一人ーーー…、私は貴方達にデュエルを挑みに来ましたわ』
85話に続く
=====================
【あとがき】
今回の一言、「ずっと俺のターン!」。
ヒカルくんデッキ回る回る。というより引きが神がかってる!ビックリ!
さあて、本格的に鏡編に入りますよ…冒頭から誠がウザい。そして伏線張りすぎて回収が辛い、もうかなり前から言ってるけどかなり辛い。回収してないといけないフラグを回収してない気がする。無念。
オービタルの扱いがひどいね、まぁこんなもんだろうとは考えてるけども……。ミナトさんも修羅場になるの分かっててデュエルアンカーを貸してあげちゃう鬼な人。さすがはクリスの嫁よ、カイトには先越されたけど(結婚的な意味で)。
案外女性カード多い気がするヒカル、というか、コンセプトが迷子。《ウィキッド・ファントム》は許さない、まさにコンマイ語。
次回!ライフが削れない!神の五王の
ただのアフロティア無双大会が始まるよ!
そしてヒカルにも大きな変化が訪れる……が、全部トルテさんが悪い。
俺の精神が安定しないからヒカルくんはマジで死ぬと思ったけどそうでもないよ、死にかけるけど。
遊矢の鏡ちゃん初遭遇まで後二話よ!!慶太くんがイケメンな話ももうちょいです、托都の意外な部分が判明するのももうちょいです。
さて、頑張ろうか。
【予告】
デュエル中に現れた五王の一人「アフロティア」とヒカルのデュエルが始まった。
カイトとデュエルするために全力で戦うヒカルだが、まるでヒカルの戦略を知り尽くしてるかのようなアフロティアの一枚上手な戦法に苦戦することとなる。
そしてヒカルの最大の切り札である逆転のアルテミスギャラクシーが何故か発動しなくなり…!?
次回!第85話「アルテミスギャラクシー発動不可…!?」