ジェレスタ80「 伝 説 の 神  オ シ リ ス の 天 空 竜 、 降 臨 ! 」




「ゆ……遊戯さん!?」

ってよく考え直せ!…普通遊戯ってもう死んでるはずじゃ……。


「あれって武藤遊戯か!?」
「でもどうして…」

「私聞いたことあるの、」

「五年前に不思議な力を持つ女の子が居て、その子は未来や過去から色んな人を呼び出せたんだって!」 
「でも一年の時に転校したらしいね」

「まさかその子もいるんじゃない?」
「マジで!?」

明らかにそれリンさんだよな?じゃあ過去から呼び出したってことなのか。
周りに手を振りながらこっちに来て舞台に登ると遊戯さんはこっちにウィンクしてきた。久しぶりってことだと思う。

「遊矢とヒカルが元気そうで良かったぜ」

「あはは…どうも…」
「知り合いだったの?」
「前に言ったろ…」

にしても遊戯さんが舞台に上がってくるなんて…!こんなこと奇跡だぜ!
これに関してはリンさんのおかげだな。

「…、お前がドラゴンに命じ、決闘を申し込んだ遊戯だな」
「ふっ…その通り!俺が君の相手だ!」

リアルファイトかよ!!

「言っておくが、俺は槍で倒せない!俺とはデュエルで勝負だ!」

観客中から歓声が聞こえる、しかも外からたくさんの人たちがデュエルを見ようと入ってきた。
これが遊戯さんの人を惹き付ける力…!

「ゆう……違った…、…下がっていろ」
「お、おう」

もう名前呼ぶのもめんどくさそうだな…。

「行くぜ、遊戯さん…!」
「あぁ!」
「「デュエルディスク、セット!」」
「Dゲイザー、セット!」

《ARヴィジョン、リンク完了》

「「デュエル!」」


『一体どうなっているのですか…!』
『なんでやねぇぇん…!』


「俺の先攻、ドロー!俺は、《カオス・パージ ドラゴプス》を召喚!」
《攻撃力:1200/レベル:4》

「ドラゴプスは、召喚に成功した時!手札からカオス・パージ一体を特殊召喚できる!俺はレベル4の《カオス・パージ レジスタンス》を特殊召喚!」
《攻撃力:1500/レベル:4》

これでもうレベル4のモンスターが二体揃った、てことはエクシーズ召喚できる!

「更に!《カオス・パージ フェアリア》の効果発動!フィールドに二体以上「カオス」と名のつくモンスターがいるとき、特殊召喚できる!」
《攻撃力:1700/レベル:4》

「モンスターを一気に三体!さすがだぜ」

三体?見たことないような気がする…。
でも一体どんなカードなのかワクワクするぜ!!

「俺はレベル4のドラゴプス、レジスタンス、フェアリアでオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!《竜霊嬢 ドラグーン・スピリット》!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:3》

「へー、モンスターエクシーズって種類があるんだな」

「俺はこれで、ターンエンド」
《手札:3》

次は遂に遊戯さんのターンだぜ!!

「俺のターン!ドロー!」


「かっこいいー!!」
「武藤遊戯かっけー!」


「俺は、《古のルール》を発動!このカードによって、レベル5以上の通常モンスターを特殊召喚する!俺は当然、《ブラック・マジシャン》を特殊召喚だぜ!」
《攻撃力:2500/レベル:7》

「いきなりブラマジかよ…」

でも、《ブラック・マジシャン》の攻撃力はドラグーン・スピリットと同じだから戦闘では相討ち…。
ただ遊戯さんほどのデュエリストが無策で出すわけがない…!

「俺は、魔法カード《千本(サウザンド)ナイフ》を発動!俺のフィールドに《ブラック・マジシャン》がいれば、相手モンスター一体を破壊できる!破壊するのは当然ドラグーン・スピリットだ!」

「ドラグーン・スピリットの効果発動!このモンスターが破壊されるとき、オーバーレイユニットを1つ使い、破壊を無効にする!」
《ORU:2》

ということは、戦闘で相討ちを狙ってもドラグーン・スピリットの効果で《ブラック・マジシャン》だけが破壊されるってことなのか!


「うまいぜヒカル!」
『ご主人!劇の途中です!』
「あ…ははは…」


そりゃ忘れるのもしかたねーや…。

「ドラグーン・スピリットの更なる効果!使ったオーバーレイユニットがモンスターなら、攻撃力分相手モンスターの攻撃力を下げる!使ったオーバーレイユニットはドラゴプス、攻撃力は1200ポイントダウンだ!」

《攻撃力:2500→1300》
「うまいな、俺はカードを三枚伏せてターンエンドだ!」
《手札:0》

一気にカード三枚!?いや、あん中にとんでもないカードがあるってことなのか!

「俺のターン!ドロー!…、俺は装備魔法《エクシーズの宝冠》をドラグーン・スピリットに装備。このカードは装備したモンスターエクシーズのランクをレベルに変更し、一体で二体分のエクシーズ素材にできる」


「これを出したってことは、」
『アレを出すということだな』
「でもお兄ちゃんのモンスターのレベルは足りないよ?」
「おそらく…まだなにかあるのだろうな」


モンスターエクシーズをモンスターエクシーズにするっていう戦略…遊戯さんの知らないデュエルをすることで勝つってことか。

「更に、魔法カード《解放充填》を発動!モンスターエクシーズ一体を選択し、選択したモンスターのオーバーレイユニットを墓地に送り、ランクを1つにつき二つ上げる!俺はドラグーン・スピリットを選択し、二つのオーバーレイユニットを墓地に送りランクを四つ上げる!」
《レベル:4→8》


「なるほど!」
「ランクは《エクシーズの宝冠》でレベルになるから、レベル8になるのね!」


しかもレベル8が二体分だ!
さぁ盛り上がってきたぁ!!

「楽しくなってきたな…!」
『そうだね、もう一人の僕!』

「レベル8となったドラグーン・スピリット二体分でオーバーレイ!二体分のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!」
《攻撃力:3000/ランク:8/ORU:1》

「そして!!ギャラクティック・カオスを、ギャラクティックエクシーズチェンジ!」

来るか!アルテミスギャラクシー以外でのエースモンスター!

「混沌の銀河よ、今こそその光を糧として、闇の力を解放しろ!《ギャラクシー・カオス・ドラゴン》!!」
《攻撃力:4000/ランク:8/ORU:2》

「それが君のエースモンスターか!」

「そうだ!ギャラクシー・カオスの効果発動!一ターンに一度、オーバーレイユニットを1つ使い、このモンスター以外のモンスターの攻撃力を0にする!カオスグラビテーション!」
《ORU:1》

《攻撃力:0》
「《ブラック・マジシャン》!!」

これで攻撃が当たれば遊戯さんのライフは0!!ヒカルの勝ちだぜ!

「このままじゃライフが…」

「まだ終わりじゃない!魔法カード《黄金の輝き-アヴァロンプリベント-》を発動!このターンの終わりに破壊する代わりに、エクストラデッキからランダムに召喚条件を無視してモンスターを特殊召喚する!」

「そうはさせない!罠カード《精霊の鏡》を発動!君のアヴァロンプリベントは、この鏡に封印させてもらうぜ」

「くっ…!」

追撃は許さないな、さすがにそんな負けられないってことなんだな…!

「だが、これで終わりだ!ギャラクシー・カオスで《ブラック・マジシャン》を攻撃!」

「罠発動!《魔法の筒》!」
「なにっ!」
「ダメージ4000を受けてもらうぜ!」

「速攻魔法《混沌の聖槍(カオスジャベリン)》を発動!このターン発生したダメージを無効にし、お互いに発生したダメージの半分のダメージを受ける!」
《ヒカルのライフ:2000》

「っぐ!!」
《遊戯のライフ:2000》

今のところ互角……、にしてもヒカルはすげえぜ!伝説のデュエリスト相手にこんな勝負するんだから!

「これで、ターンエンド!」
《手札:0》

「俺のターン、ドロー!魔法カード《天よりの宝札》を発動!互いのプレイヤーは手札が6枚になるようドローする」

ヒカルも遊戯さんも手札が六枚に……。

「魔法カード《融合》!手札から、キング・ジャック・クィーンの絵札の三銃士を融合!融合召喚!《アルカナ ナイトジョーカー》!!」
《攻撃力:3800/レベル:9》

「三銃士を融合…、だが、ギャラクシー・カオスの方が攻撃力は上だ!」

「それはどうかな?」
「な…」

「俺は《精霊の鏡》に封印されたアヴァロンプリベントの効果を発動するぜ!融合デッキからランダムにモンスターを特殊召喚だ!」

そうか!!アヴァロンプリベントの効果は召喚条件を無視しての特殊召喚!どんなモンスターでもエンドフェイズまで呼び出せるのか!

「さぁ現れろ!《究極竜騎士(マスターオブドラゴンナイト)》!!」
《攻撃力:5000/レベル:12》

「このタイミングで《究極竜騎士》を呼び出すだと!?」

なんて運だ…!恐ろしいぜ……。

「まずは《究極竜騎士》でギャラクシー・カオスに攻撃!」

「っ!!」
《ヒカルのライフ:1000》

「最後の攻撃だ!《アルカナ ナイトジョーカー》でダイレクトアタック!!」


「受けるダメージは3800!」
「ヒカル!!」
『だから劇中ですってば…』


「手札から、《マロンクリボー》の、効果発動!手札の光属性モンスターを墓地に送り、守備表示で特殊召喚できる!手札から《カオス・パージ サイキッカー》を墓地に送り特殊召喚!!」
《守備力:200/レベル:1》

ダメージは免れたけどライフとフィールドを考えたらヒカルの方が不利に決まってる。いくら《究極竜騎士》がエンドフェイズにいなくなっても《アルカナ ナイトジョーカー》がいる。

「俺はターンを終了するぜ。アヴァロンプリベントの効果で《究極竜騎士》は墓地に送る」
《手札:2》

「くっ……(さっきまで有利だったはず、なのに今はむしろ逆転されてる…、マズイ…)」


「……、頑張れ!!勝て!絶対に!」
「遊矢く……あっ」
「ふふっ、そうね!頑張ってください!」
「負けるなんて思ってませんから!」


「お前ら…」
「楽しいな、デュエルはこうでなきゃな!そうだろみんな!」

デュエルを見てる人たちに声をかける、みんな声を飛ばして歓声を送る。これが伝説のデュエリストの力だと思うと、すっげえぜ!!

「…たりめーだ、負けるわけないだろ!例え相手が遊戯さんだろうが!!」

「そうだ!まだまだ策はあるだろう?!」

「当然!俺のターン、ドロー!……!!」

なにか引いた!?

「魔法カード《天使の舞-エンジェルロンド》を発動!墓地のモンスターを二体除外することで、手札からレベル6以上の天使族モンスター一体を特殊召喚する!俺は墓地の《マロンクリボー》とレジスタンスを除外!さぁ行くぜ!」

「来い!どんなモンスターだろうと守りきる!」

「おいメガネ!!」
《は、はい!?》
「お前のカード、借りるぞ」
《…当然構いません!思う存分どうぞ!》

「現れろ!!戦いの女神、《アテナ》!」
《攻撃力:2600/レベル:7》


「おお!!」
『もしかして、これって狙ってたんですかね!』


「俺にはまだ通常召喚が残ってる、俺は《カオス・パージ シャインスパーク》を通常召喚!」
《攻撃力:1800/レベル:4》

《アテナ》の効果で天使族モンスターが召喚されたら600のダメージ!これで勝ちを狙ってるって訳か!

《遊戯のライフ:1400》
「くっ!」

「《アテナ》のもう1つの効果発動!俺のフィールドの《アテナ》以外の天使族モンスターを墓地に送り、《アテナ》以外の天使族モンスターを墓地から特殊召喚できる!シャインスパークを墓地に送り、フェアリアを特殊召喚!これにより再び効果が発動!」

《遊戯のライフ:800》

あと二回!攻撃力が足りないなら効果でってこと!強い…!

「更に、墓地のシャインスパークの効果発動!フィールドに「カオス・パージ」と名のつくモンスターがいるとき、墓地から特殊召喚できる!蘇れ!シャインスパーク!」

「ぐぁあっ!!」
《遊戯のライフ:200》

あと一回!しかもレベル4のモンスターが二体だ!!

「レベル4のフェアリアとシャインスパークでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚、現れろ《混沌火竜 フレアミラージュ》!」
《攻撃力:2100/ランク:4/ORU:2》

「だがそいつはドラゴン族、《アテナ》の効果は発動しない!」

「その通り!だけど、フレアミラージュの効果!一ターンに一度、オーバーレイユニットを1つ使うことで自分フィールドのモンスターをフレアミラージュの装備カードにすることができる!俺は《アテナ》をフレアミラージュに装備し、《アテナ》分攻撃力をアップする!」
《攻撃力:4700/ORU:1》

これで《アルカナ ナイトジョーカー》の攻撃力を越えた!!遊戯さんの残りライフは200、だからこの攻撃で決まりだぜ!

「行け!フレアミラージュで《アルカナ ナイトジョーカー》に攻撃!フレイムソードストーム!!」

「速攻魔法!《融合解除》!《アルカナ ナイトジョーカー》の融合を解除し、絵札の三銃士を特殊召喚!」
《攻撃力:1600/レベル:4》《攻撃力:1500/レベル:4》《攻撃力:1900/レベル:5》

「なんだと!!」

このタイミングで《融合解除》なんて…。

「俺はこれで、ターンエンド…!」

「俺のターン、ドロー!………、このデュエル、俺の勝ちだ!」
「フレアミラージュの攻撃力は4600、勝てるわけが……」
「君のその力が、俺の中で最強の力を呼び起こした」
「最強の……まさか…!!」

「そう!『神』の力だ!!俺は絵札の三銃士を生け贄に捧げる!!」

ヒカルが神を呼び起こしたって………、遊戯さんの使う神のカードは…!あのカードなのか!?

「降臨しろ!!《オシリスの天空竜》!!」
《攻撃力:2000/レベル:10》

なんだ…攻撃力が2000ならヒカルは大丈夫!!心配要らねえ!

「攻撃力は手札の数、つまり…!」

「もう一枚の《天よりの宝札》だと!?」

《攻撃力:6000》
「これで、攻撃力云々はなくなった!」

しかも神に対して魔法・罠は使えない…!!

「っ…!」

「楽しかったぜ、このデュエル!とどめだ!超電導波サンダー・フォース!!」

「(これが…本物の神…っ)……っうぁああぁあ!!」
《ヒカルのライフ:0》

《WIN:武藤遊戯》

負けちまった……。


「良いデュエルだった…」
「物語的にはどうなるのかしら?」
「王女様と霊使いの運命は…?」


「ふう…」
『やったね、もう一人の僕!』
「(あぁ!)」

起き上がったヒカルの前に遊戯さんがやって来る、そっか!まだ劇は終わっていないんだ!……忘れてたわけじゃねえからな!
遊戯さんは止まった後、上からヒカルに手を伸ばした。

「君の素晴らしいデュエル、見事だった!」
「だが、負けは負けだ…」
「その力を生かして、これからもみんなを守っていくんだ」

手を取ったヒカルを立ち上がらせてそう言った後、ウィンクで俺達を呼び出す。
行って良いかな。

「…?で?」
「こんなデュエルができたなら、もう劇もなにもないな!みんなそう思うだろ?!」


「サイコーだったぜ!」
『素晴らしいデュエルだった…武藤遊戯とデュエルしてみたいものだ』


凄い拍手…、隣で袢太がわけわかんないこと言いながら号泣してるし。


『はぁ……引き揚げましょう』
『そうだな』
『……人間のデュエルながら、素晴らしかったです』


《こうして強大な敵であった遊戯さんに認められ、みんなで楽しく過ごし始めたのでした!なのですよ!》


「面白かったわ!」

「確かに!」
「遊戯さんのデュエル最高!」
「面白かったー!」

「どう?お兄ちゃん」
「……悪くはないデュエルだった(ただ…)」


最後は劇じゃなかったけど、みんなが楽しかったなら俺はそれで構わないさ!


~~~


「ええっ!?ヒカルの頼み!?リンさん…それはどういう…」

「ああ。文化祭の演劇が決まってからマイナスエクシーズを持つデュエリストに毎日デュエルを仕掛けられてるからなんとかしてほしいってことでな」
「だからと言って武藤遊戯を呼ぶとは思わなかったぜ…」
「にしても、だ。成功してよかったな」
「サンキューです!」

そしてありがとうございました。遊戯さん。


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【あとがき】


今回の一言、「個人的神回」。
遊矢VS遊星も個人的にはいいデュエルだったんですが良いですよね、こんなデュエル回も。

久々にガチデュエル書いたせいで疲れた上に長く書いたから重くなってしまった(主に里奈氏のスマホが)。
遊戯さんはあの後普通に帰りました。書けたら後日談も書く予定なんで、そこでね。
《アテナ》はワンキルデッキがあるらしいのでそれにビックリしつつアニメ版《天よりの宝札》にチートを感じた。そして最後の最後にオシリス登場。アニメ版が強すぎる。

次回!!みんなお久し振り!主人公のデュエルだよ!
魅力と楽しさを失った托都のデュエルにそれらを取り戻せ!しかしそれには深い訳があるらしい……。
要するに燃え尽き症候群ですね分かります。


【予告】
最近の托都のデュエルから魅力や楽しさが感じられず、一人思い悩む遊矢。
以前カイトにも似たようなことがあったと言う遊馬に相談し、托都とデュエルすることを決めるも托都に断られてしまう。
なんとか托都とデュエルを始めるもワンターンキルだけを狙って攻撃してくる。以前との違いに困惑する遊矢、しかし托都の戦法にはとある理由があるらしく…?
次回!第81話「吹き荒べ風の力!シルフィード・ネオ!!」