ジェレスタ76「真 実 を 告 げ る 鏡 ! 玉 藻 の 巫 女 現 る !」


※話数が75話目になっていましたが正確には76話目です、申し訳ありませんでした。


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今日はちょうど学校が休み。アミとも遊ぶ約束もしてないし特にやる事もない。

・・・実はあの後放浪癖の強い托都は町の外に行ってしまった。そこがお父さんに似てるのかな?托海とも相当似てるし容姿はお母さん似なんだろうなぁ・・・。

いや、托都ってあぁ見えて実は腕に絞め技決めたりする人だからなぁ・・・サブミッション怖いですはい。


なんたって今日はデュエル広場も週に1度の点検中だった。ARがしっかり作動するかの。

そういう日にあわせて何故かカードショップも休みだし、どこも行くあてねえなー・・・。


―――「今度私の神社にいらっしゃい、ちょっとした話があるわ」―――


ミコさんのそんな話を一瞬思い出してみた。ちょっとした話って?

気になった、またよからぬ予言かもしれない、それでも言ってみるしかないと思ったから。


あの時ミコさんは、俺にいつか全てを捨てる時が来るって言っていた。家族も絆も未来もなにもかもを捨てる時が来るって。

それがどういうことか、未だに分かってない。でも言っていたのはそれだけじゃない、それが起こるのは近い未来だって。そんな遠くもない、すぐ近くの未来にって。


その未来が俺になにをするのかは分からない、ただ今はそれを考えることしかできないんだ。



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「あいっかわらず・・・・ここの石階段は長いなぁ・・・」


前に登った時は本当に死ぬかと思った、本当にヒキニートのリンさんに上れる理由がなんなのか未だに分からない。


「ミコさーん!いますかー?」


返事はない、前は掃除してたんだけど今日はすっきりしていてもう掃除が終わってたみたいだ。神社の中に入るのは忍びないし・・・。

とりあえず辺りを探してみることにしよっかな?


この神社、見た目で分かるんだけど森で囲まれた場所だ、基本的に森の中に入るなんてことはないと思う。しかも夜になったら迷いそうなくらい暗い森だ。

周りを探すけど居そうにない、・・・たった1つを除いて。


「・・・道?」


そう、神社の裏にある小さな獣道。そこを静かに進んでいく。

1番奥に進むとそこには祠が1つ、ポツーンと建っていた。誰が作ったかわからないけどとにかく開いている。


「・・・?鏡、だよな」


随分古めかしい鏡が収納されていて、1つはビリビリに破かれたような鏡でもう使い物になりそうにない。もう1つは埃1つなくて新品のように見えるけど古い円状の鏡。

ミコさんが割ったなんてなさそうだし、こんなところで鏡が割れるとは思わない、じゃあ一体誰が・・・・。


『そこのお方!ちょぉっと待ったぁ!!』

「!?」


一瞬誰かの声が聞こえた、というか聞こえたよな!?今なんか聞こえたぞおい!!


『お気づきになられています?ご主人様?』

「うっうええああああああ!??」


浮いてる!?というか誰だコイツ!巫女とは思えないし・・・というか幽霊だよな・・・これって幽霊だよな?幽霊じゃなかったらデュエルモンスターズの精霊か・・・なにかか?


「お前、誰?!」

『私でしょうか?私は、こちらの神社で巫女をやらせていただいているのですが・・・・あら?ここはどこでしょう?あら~?』


コイツ、・・・なんか関わったらいけないような奴と関わった気分になるよな・・・。


「ここは北条神社から通じてた道の奥だけど・・・」

『では向こうに北条神社があるんですね?さすがはご主人様!頼りになるぅ~!』

「あの・・・ご主人って?」

『?貴方、私のご主人様ですよ?分かりません?』

「分かるかッ!!」


どうなってんだ!?俺リンさんと違うぞ!?リンさんが間違って俺と契約させちゃったとかなのか!?あのうっかリン!!あとで覚えてろよ!

とにかく今は俺がご主人様じゃないって分からせないとなんかヤバい気がする!


「あ、あのさぁ?人違いじゃないか?」

『私は人違いでも魂がイケメンならなんでもよろしいんですよ?』


だ、ダメだコイツ―――!!!確実に離れる気がしねえ!!


「――・・・もうこの際何でもいいけどさ、アンタ何者?」

『私ですか?歩きながらの説明でよければ簡単に説明いたしましょう』

「あぁ、頼む」


とりあえず北条神社に向かって進みだす。どうやらあの鏡はその人の持ち主らしくて何故か持たされた。


曰く、平安時代に天照大神という神に宿っていた神の一部であり妖狐である玉藻の前だとか。・・・・なるほど、分からん。とりあえずリンさんの言う英霊とか神様っていう枠っぽいけど。


『確かに神の枠には入りますが、英霊とはまた少し違う物でしょう。私の場合は反英霊です』

「反?」

『逆です、あくまでも妖怪の姿をしていますし?』


確かに、狐みたいな女の人の姿。これが狐に化かされるっていう言葉の所以なのかな?


「とりあえず、何でもいいけどなんて呼べばいいのさ、それに俺以外に見える?」

『貴方以外に特殊な力を持つ人物以外は見える事はないでしょう。それと、玉藻の前じゃ呼びにくいですね・・・そう、玉藻襷とこの世界では名乗りましょう!タスキでどうでしょうか?』

「タスキ・・・ね、よろしくな~」


タスキって呼べばいいのは分かったけど、要するにアストラル状態ってことなのか・・・なんか嫌な予感しかしないんだけど大丈夫だよな・・・?いや、大丈夫と言ってくれ誰か・・・。

こんなのにとり憑かれたなんてアミには口が裂けてもいえないかもしれない・・・。

と、途端に思い出す。


「なぁタスキ」

『なんでしょう?』

「お前の鏡があった祠のあのもう1つの鏡、あれってなに?」

『あれですか?』


タスキが思い出すかのような仕草をした後、教えてくれた。

あれはタスキが封印されていた祠らしくて500年前に退屈を持て余していたタスキ自身が壊そうとしていて、それでやっと今さっき壊れたらしく、とり憑く相手を探してたとか。

んでもってあの鏡は知らないって。一緒に置いてあったのは知ってるらしいけどなにがなんなのかは掴めていないらしい。


『ところで現代はどうなっているのでしょう?私のいた時代よりも遥かに先なのは分かるんですが・・・』

「俺も何年前か数えるのが面倒だぜ・・・」


大体平安時代っていつだっけ?今と比べると全然見当もつかない。


戻ってくるとそこにはリンさんの姿があった、一体いつの間にやってきたのか知らないけどミコさんの姿はまだない。

リンさんがこちらに気づいたらしく駆け寄ってきた、額に汗流してるっていうことは焦ってるのか?


「・・・遊矢、そいつは?」

「見えてるんですか!?」

『あら、驚きました』


リンさんに大方の説明をするとリンさんが「その祠まで行く」と言い出してまたあの道を戻る事になってしまった。

戻ってくるとさっきまであった破れたようにバラバラだった鏡が消えてなくなっていたのに気が付く。


「まさか・・・、おい、玉藻の前!」

『はい?』

「お前がここを壊したんだろう?」

『ええ、一応そうですが・・・?』

「マズいことになったぞ・・・おい・・・・・」

「マズいことって?」


急に説明しだした。

どうやらここにタスキと封印されていたのは「鏡」と書いて「きょう」と読む男らしい。

その男は心に闇や影を持つ者と同じ姿をしているものの、全てが鏡映しになっていて性格は闇そのものだとか・・・・。そいつが大昔に現れたとき、タスキがその身を封印してまで封印したとか・・・。


だけどタスキがそのことを忘れてこの祠を破壊してしまった事で鏡はこの世界に抜け出してしまい、今何処にいるか分からないとか。


「・・・・おい」

『い・・・いええ・・・あの~』

「とにかく、過ぎた事は仕方ないが・・・・、それはともかくとして、玉藻の前、お前デュエルできるのか?」

『デュエル・・・・・・?なんですかそれ、娯楽はそこまでできませんが、予言なら・・・』

「予言?」

『はい。北条神社の巫女は代々予言者でもありますから』

「なら!俺の未来を予言してみてくれよ!」


気になっていたことでもあって即答してしまった・・・。タスキは好奇心旺盛なのかそれともただなんにも分からないからなのかすぐに「分かりました!」と返事を返してきた。


『水天日光天の鏡よ、今この者の未来、映してくださいまし』


俺の持っていた鏡が宙に浮くと淡い光を帯びて俺のほうを向いた。

一瞬光った鏡が次に映し出したもの。――普通の鏡なら移している本人の姿を映し出す。だけど・・・・。


「つ・・・・翼?」

「黒き翼・・・・」


そこに写っていたのは2つの黒い翼だった。鳥の翼というよりも天使のような翼。これが一体なにを意味してるんだ・・・?


『黒き翼が意味するもの――、いつか巨大な闇が心を支配し、全てを奪い去っていく―――』


不意に思い出した。ミコさんの予言にも、全てを失う時が来るってあった。そしてこの予言にも・・・ということは・・・。


「いつか遊矢が闇に支配され、全てを失う時が来る・・・ということか」

『その闇の正体は分かりません。ですが本当に近いうち、きっとそれは訪れる事でしょう』

「近い未来に・・・・・」


近い未来に訪れるその闇が理解できる事ではなかった。


「そうか・・・・、遊矢、ココから先、確かにお前の力が重要になるかもしれない。でも、心が不安定な時にデュエルはするな、分かったな?」

「はい!」


今日のリンさんはとてつもなく真面目そのものだ。普段のようなオーラは感じられない。


一体なにが起こるのか、それはこれからきっと、起こることなんだろう。



~~~



―――「時が近づいていますわ」


―――「世界の破滅も、貴方が私のモノになるのもすぐ近くです」


うるさい!世界の破滅も、お前の野望も、俺には知った事じゃない!


―――「それじゃあこのまま黙って滅びます?」


それはできない、俺はこの世界を守らなきゃいけないんだ。


―――「それだったら協力して、私の僕となって」


それもムリだ!俺は俺の意思で世界を守ってみせる、遊矢たちと共にな。


―――「仲間ですか・・・。でもいつか貴方も気づきます、その仲間でさえ、光を失ってしまうということを・・・・」


遊矢が・・・・?


「っ・・・!」


目が覚めた、一体いつまで眠っていたのか分からない。ココ最近頻繁にアイツが夢の中で語りかけてくる。

これが一体なんなのか、全てが解決するのがいつになるのか・・・全く先の読めないことだった。前が見えないからこそ挑むのが遊矢だ、だが俺は遊矢と違う。違うからこそ別の選択も選べるはず。今ココで逃げてもいい、いや、逃げたらいけない。

仲間を裏切る事になる、俺は一体いつからこんな仲間を信じるようになったんだろうか・・・。


「お人よしなのかもな、俺も――」


でもこのままじゃなんにも解決しないままだ。なんとかして、解決法を見出さないと・・・。



~~~



結局タスキがとり憑いたまま帰ることになった。リンさん曰く「しばらくはそのまんまだぞ」とのことだった。

コイツうるさいしなにかあったら責任とってくれるんだろうか・・・。


『ご主人!安心してください、こう見えても良妻なので~』

「自分で言うのか・・・?」


タスキはとにかく活発なのかそれとも俺に対して良心的なのかわからない。とりあえずこれからなんだか周りには1人に見えるにぎやかな生活が始まりそうな予感がしてならない。


『それと1つ確認しておきたいのですが・・・』

「なに?」

『やはりご家庭へのご挨拶は基本だと思いまして、ご両親のところでしょうか?』

「はい却下」

『ひどい・・・!』


・・・・多分にぎやかな生活に強制的になってしまうだろうと予感してならない、そんな俺もいる。

だけど心の底では楽しい生活を望んでいる。




『風雅遊矢・・・・・、お前が光を操る風なら、俺はお前の裏である闇を操る風となってやろう』



77話へ続く


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【あとがき】



今回の一言「こんなアストラル嫌だ」

「Q.内容が短くなりました、すみませんでした」「A.許してやるよォ!!」


なんというか短くなりました、まぁ別に最近長かったので良いんですけどね。でもタスキちゃんが予想以上にウザいキャラクターになりそうでビビッたwwwwでも一応普通に元ネタどおりだから許してやるよォ!!むしろリンがヒキニートって明言されてる事自体がおかしいんですけどねwwww

あとトルテさんが3期入って久々に登場しましたね、長かったわぁ・・・・。トルテさんがここから暴れまわると思うと俺得すぎてヤバいんですよねwwww


次回は親友同士の大喧嘩!!遊矢の最高の親友を巡って慶太と狩也がバチバチの真剣真っ向勝負デュエル!!

ということで親友同士のデュエルキタ━━━(゚∀゚)━━━!!! GXでもやりましたよね。翔VS剣山で。というノリで慶太くんと狩也くんのバッチバチなデュエルが始まりますよw

・・・・?敏也くんですか?あの子は親友というよりも・・・・なんですかね、傾倒してるんじゃないですか?最初は3人でバトルロイヤルにしようと思ったんですけど1人だけ狙われると思ったんですよね。言ったらなんだけど狩也くんが3人の中でダントツ強いので。


そしてしばらく続く日常に終止符が打たれる時、遊矢はこの世界にいるのだろうか?


【予告】

遊矢の小さい頃からの大親友であり、文武両道な女子人気の転入生・狩也。信頼する遊矢と雪那とよく一緒に居るのを見ている慶太は何故か狩也に対してとんでもないほどの対抗心を燃やしてなんと狩也に親友決定真っ向勝負と名乗ったデュエルを申し込む!!

ライバル心剥き出しの慶太に対する狩也との実力はまさに歴然なのだが・・・?

次回!第77話「ライバル同士!?慶太と狩也の親友バトル!」