ジェレスタ67「究 極 の ア ー マ ー ド!

          エ ク ス ス パ イ ラ ル ア ー マ ー ド 降 臨 !」




『これで終わりだ!風雅遊矢にダイレクトアタック!!』


「遊矢!」


「―――くっ!」

「罠発動!《悠久の迷路-ミラーゲート》!このカードは、このターン全てのプレイヤーが受ける戦闘ダメージを半分にする!」

《遊矢のライフ:50》


ヒカルの罠カードのおかげでライフは残り50・・・・。でもこの次に攻撃を受けたら本当に・・・。


「本当に・・・・・ヤバかったかも・・・助かったぜ!」

「まぁな。これも団結・・・だっけか、だろ?」

「あぁ!」


『小賢しいマネを!・・・我はカードを1枚伏せ、ターンエンド』


次は俺のターン。フィールドにモンスターはいない、伏せカードもない・・・。手札に蘇生カードもなければこの場で召喚できるモンスターがない。

相手のフィールドには攻撃力100のモンスターと、伏せカードが1枚・・・・ということはあの伏せカードにヒントが・・・!


『どうした、さぁドローするがいい』


「言われなくても分かってる!」


でも、今は信じて引くしかないんだ。今は――。


「やるしか――――」


「遊矢!」


ダメだ――、気が遠くなる―――。


『所詮は子供の精神力、この程度で我と同等と思うのが間違いなのだ』


「遊矢・・・・頑張って!諦めないでよ!」

「だが、ヤツの言っている事は事実、遊矢は少なくとも俺たちより精神年齢は低いだろうな」

「でも!遊矢!遊矢―――!」



~~~



『諦めるの?』

「諦めたわけじゃないさ、でも・・・・・どうすればいいのか・・・」

『何度も言ってるじゃない。絆を信じてって』

「でも!それだけじゃできないことだってあるんだよ!」


それだから今、こういう状況になってるんじゃないか・・・・!


『奇跡は?』

「え」

『貴方が今まで集めた英雄たちの力、・・・まだ2つないけれど』


1つは友情。遊戯さんの時代で遊戯さんからもらったものだった。そういえば、あれから色々とリンさんの書庫で調べて遊戯さんについての本を読んだけれど、あの名もなきファラオのことで色々なことがあったんだな・・・。でも、なにがなんでも2人は強い結束で結ばれていた。最期まで。

2つ目は・・・・・・・・俺は直接行ってないけど、成長。十代さんが3年間の学園生活で手に入れた全て。辛い現実も、絶望も乗り越える強い心の成長。俺も色々なことあって、これに助けられたんだろうな。

3つ目は絆。遊星さんにもアキさんにも、とりあえずシグナーのみんなにはだいぶお世話になっちゃったっけ?でもアミや托都もいてくれたおかげで、アミは特に守ってくれるって聞いた時は驚いたな・・・・。それも絆の1つの形ってことか。


『思い出した?』

「あぁ、そして4つ目は―――信じる心だ」


手をあてた胸が光り輝くと3つの紫・オレンジ・青の色の光と、緑色の光が現れる。


『でも1つ足りないわ。それは貴方が決めることではない、でも見て』


突然光が映像みたいになった。そこにはここに来ていた俺たち以外のみんな。何も言わずに待っていてくれているみんなの姿。


『そして九十九遊馬の伝えたい最後の光、貴方には分かるかしら?』


遊馬さんの―――。挫けそうな時、いつでも「かっとビング!」って言ってくれた遊馬さんの1番伝えたいこと、それは―――!


「遥かな挑戦心、諦めない心!」


『今、5つの光は揃ったわ。貴方の友との友情、絆。諦めない心と成長、信じる心が奇跡を起す―――』


~~~



「・・・・これは――」

「遊矢に、俺たちの力を分けろっていうのか?」

「見て!遊矢が――!」


『な・・・なんだこの光は!』


「遊矢、受け取れ!これがお前の力なら」

「奇跡でもなんでも起して見せろ!!」


「・・・・・・」


力が溢れてくる、やるしかない!


「行くぜ、みんな。俺は、俺の魂を全ての奇跡をオーバークロス!!」


『!?』


―――「どこか遠くで、彼が、きっと」―――

―――『あぁ、世界を救うだろう」―――


―――「いっけえ!!遊矢!」―――


―――「君の未来、俺たちが見届けよう!」―――


―――「かっとビングだ!遊矢!」―――


「語り継ぐべき、奇跡の未来。エクススパイラルアーマード!!」


『エクススパイラル・・・・アーマードだと!?』


「俺のターン!全ての希望の輝きよ、この切り札は汝の力に!そして我の力に!エクススパイラルドロー!」


このカードは・・・・・・・そうか、ZEXALの力!創造と再構築!


「俺は魔法カード《Re:contract universe》を発動!このカードは、自分の墓地の攻撃力の1番高いモンスターエクシーズを特殊召喚する!ただし、この効果で召喚したモンスターは攻撃力が0になり、効果も無効化される!蘇れ!《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》!」

《攻撃力:0/ランク:4/ORU:0》


『だが、攻撃力は0!召喚した所で、もう手遅れだ!!』


「違う!俺の目的は、復活じゃない!」


「遊矢!行け!」

「お前の1人舞台になりそうだな」


「俺は、ホープ・オブ・ソードを素材として、エクススパイラルエクシーズチェンジ!!希望に輝く未来と共に、重なる願いをその身に宿し、終焉を薙ぎ払う光となれ!今こそ現れろ!《旋風騎士神 エクススパイラルブレード》!!」

《攻撃力:3000/ランク:5/ORU:1》


『ば、バカな!!』


「あれが・・・遊矢の力・・・・」


エクススパイラルブレード・・・・・コイツが、俺に力を貸してくれるっていうのか。

なら、みんなの力合せてアイツをぶった斬ってやろうぜ!


「俺はエクススパイラルブレードで、バイスアルカディオスに攻撃!!エクススパイラルスラッシュ!!」


『ぐっ・・・だが、この程度で倒される我ではない!我は手札から速攻魔法《インフレミングオーバー》を発動!このカードは、相手モンスターの攻撃力分、攻撃力をアップさせる!』

《攻撃力:3100》


「これで攻撃力が100上回った!」


「俺はエクススパイラルブレードの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスターの攻撃力分、攻撃力をアップする!」

《攻撃力:6100/ORU:0》


「更に、この効果は無効化されず、この効果にチェーンすることはできない!」


『無意味だな!罠カード《禁断欲の懲罰》を発動!このカードは、チェーンではない、バトルに対しての効果だ。バトルを無効にし、全てのプレイヤーに1000ポイントのダメージを与える!』


「なにっ!?」

「これでバトルは無効になり、俺たちのライフが!」


『これで終わりだ!消え去れ!!!』


負け―――か。


「それはどうかな?」


『なんだと?!』


「俺は、《Re:contract universe》の効果発動!このカードは、このターン発動した全ての効果を無効にし、バトルフェイズを続行する!!」


『な・・・・ではバイスアルカディオスの効果も・・・全て・・・!』


《攻撃力:3000》《攻撃力:100》


「これでトドメだ!!希望の光が、絶望を薙ぎ払う!エクススパイラルブレードでバイスアルカディオスに攻撃!!オーバーユニバーススパイラルブレイク!!」


『ぬっ・・・・!?ぬああああああああああ!!!』


《グレンのライフ:0》


《WIN:風雅遊矢》


これで―――、これでやっと・・・・・全部・・・・。


「遊矢・・・・・勝った、勝ったのね!!」


「勝ったようだな」

「あぁ、」

「・・・・・・・・・・、これで全部終わったんだよな」


そう、終わった・・・・はずだった。


『ぐっ・・・貴様ら・・・・、だがここで貴様らだけは――!絶望の大穴の異世界へ繋がる全てのゲートを閉じ、このまま永久に貴様らはこの世界を彷徨うのだ!』


「なにっ!?」


それじゃあ戦いが終わってコイツがいなくなっても、俺たちはずっとこの空間にとどまり続けるってことなのかよ!!


「そんな・・・そんなことは――『私がさせないわ』


突然、このデュエル中にも聞こえた女の人の声が空間中に響き渡る。その正体が誰なのか、俺も、みんなも知っていた。


『貴様は――・・・・我の復活を阻止せんと躍起にはなっていた者のその末路!死してなおなにをしようと――』


『思い出したのよ。私がなにで、どうしてこうなのか』


確か殺されて幽霊になった。じゃなかったっけ?


『善の力を失った貴方は善の力をどのように使っていたかも覚えていないでしょう?』


『当然ではないか』


『じゃあ何故、私が知っているのかしら』


『・・・・!まさか貴様は』


『そうよ、私は貴方の心であり、貴方とは違う存在。貴方の善の心』


まさか――コイツが・・・・・アルトが、グレンの心の存在だったなんて・・・・!


『やっと見つけたわ、幽霊となり、生前の私に未練がなくとも、運命だったのかもしれない』

『貴様!こっちに来るな!近寄るな!裏切り者が!』

『私は・・・・そうね、裏切り者かもしれないわね。でも信じてほしいの。そこにいる、デュエリストたちのように、貴方にも心があったことを、友や人を信じていた事を――』


そうだ、アルトの言うとおり。人を信じてほしい。俺たちだけを信じろとは言わないけど、でも本当に・・・・それは。


『・・・・・・・どうやら、我は見失っていたようだ。本当の心とやらを』


「グレン・・・・」


『風雅遊矢、貴方に出会えたことを誇りに思います』


「アルト・・・・」


『さぁ、扉が閉まってしまう。グレン、』

『良い。風雅遊矢、これからの未来、貴様に託そう』


「アルト!!」


『――――、遊矢』


「きゃっ!」

「うわぁっ!」



~~~



目が覚めたらそこは、遊馬さんの家の前だった、空は晴れ渡り、清清しい。

そして隣にはアミやヒカルたちが座り込んでいた。


「みんな・・・・・あれ・・・・英雄の輝きが・・・・・・」


役目を終えた光たちが4つの軌道に別れて消えていく。1つは俺の心の中に消えていった。

でも忘れない、この英雄の光を――絶対に。


「遊馬さん!遊矢くんが!」

「遊矢!!」


「遊馬さん!みんな!」

「カイトさん!皆さんも!」


雪那がみんなを連れて来てくれた。体力も限界ギリギリで立てない俺を遊馬さんとカイトさんが抱えてくれた。

トルテは――いつの間にか、いなくなっていた。


全てが終わり、ここに完結した。


―――でも、俺は・・・・。


――――まだ拭い切れない思いがあった。



68話へ続く


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【あとがき】


今回の一言、「それはどうかなと言えるデュエル哲学」と「さよならは――」。

終盤からはちょっとフラグ立ちましたね、主にグレン改心フラグが。


というわけで今回は決着戦でした。とりあえずまとめると、

「友情」「成長」「絆」「諦めない心」「信じる心」

ですね。どれもコンセプトなんですよね・・・それぞれの作品の。信じる心に関しては3期の重要なキーにもなってきます。

2つ目がどうして「尊厳」じゃないかというとアレは後のフラグです。ヒカルくん関係の。


次回は完結します!!遂に2期が終わる!!長かった!

さよならの次に来る物は?遊矢の願いに答えてくれるのはなんなのだろうか・・・。そして最高のラストスパートへ!!

3期開始まで後1話!!


【予告】

戦いは終わり、決着が着いた遊矢たちに日常が戻ってくる。しかし遊矢の心は晴れないまま上の空な状態が続く。

そんな遊矢を連れてアミは流星の丘へと連れて行く。

「別れが辛い」と言う遊矢が願いの叶うと言われる流星に願うものとはなんなのか・・・。

そして最高の出会いが待っているのだった。

次回!第68話「別れの時に」