ジェレスタ49「慶 太 と 敏 也 の バ ラ バ ラ タ ッ グ デ ュ エ ル ! ?」




「参ったなぁ・・・・」

「そう、だな。ほぼ連続して、敵が遊矢たちの友達に襲い掛かってくるなんて、こっちとしても想定外だ」


今日はちょっと学校帰りにリンさんの家にやってきていた、今日は実家――アークライト本家にいたらしくてあの豪勢な家に来ることになってしまった。制服というのが地味に恥ずかしい。

リンさんの自室は・・・なんていうか、書斎みたいな・・・本だらけだった。

正確に言えば普通に女の子女の子してる部屋だ、ピンク色のカーテンとかまさにそんな感じ。だけど隠し部屋があるらしくて、その隠し部屋には異世界関係の本がいっぱいだった。・・・あとクリスさんの昔使っていたゲーム攻略本を隠しているらしい。

アミは現在、アーチャーとキャスターさんに連れられて異世界関係の本を読み漁ってる。案外面白そうだし、俺も1冊だけ読んでみようかな。


「やめておけ、あの本は素人が読んだら頭が爆発するぞ」

「でもアミ読んでるじゃないですか」

「なんでアーチャーとキャスターを護衛にしたか分かるだろ、1番古い書物はキャスターとギルしか読めない、アーチャーも魔術師だからそれなりには読める」

「お、おう・・・」


リンさんにリンさんはどう読むのかを聞いたら、「そりゃ10年以上前からあんなの読み通してるわ」とか断言された。相変わらずこの人何者だよ・・・。

とりあえず最近の状況の話し合いに移り変わった。リンさん自身も今回についてはなんにも対処できていなかったみたいで、準備すらできてなかったらしい。今後は、慶太たち1人ずつに英霊を侍らせておくとかなんとか。


「・・・ライダー、アサシン、アサシンZero、緑茶」

「緑茶っていうな」

「いつからいたんだよ・・・」

「俺のモンスターは大体いるけど霊体っつーいわゆる幽霊状態になってるからな」

「確かに、我々は元よりすでに死した身。ですが幽霊という表現はあまり相応しくはありません、マスター」

「はいはい、とりあえず、ライダーは雪那に、アサシンZeroは袢太に、ライダーは敏也に、緑茶は慶太に対して24時間の護衛を頼む」

「マジですか!?そんな24時間監視なんて・・・」

「俺は人物の監視をしろとは言ってない、安心しろ」


それが逆に仇になる気がするんだけどなぁ・・・・嫌な予感しかしないぜ。


「ねえねえ遊矢!見て、この本!」

「ぎゃ~~~!!俺に変なの見せんなぁぁぁ!!」

「変なのとは、失礼極まりないわね。そこの彼女はこの本をとても見入っていたわよ小僧」

「小僧!?」

「キャスター、そこまでにしとけ・・・。内容的に、呪い・・・か?人形呪術の呪いか。結構ホラーチックなものを選んだな」

「ええ、人形呪術と言えば、私ですわね」

「キャスターはそんなこともできるのね!」

「そうよ、私は基本的な魔術はなんでもこなすわ」


な、なんなんだこの扱いの差は・・・!!

アーチャー曰く「キャスターは好みの娘や自分に尽くしてくれる男とは仲良くできる」らしい。俺は尽くす男の方がわけわかんないけど、好みの娘ってなんだよ!!


「人形呪術は人形劇と同じだ、糸人形があるだろう」

「上からぶら下げて使う人形ですね」

「精神的にじわじわぶち壊していく魔術なんだけど・・・キャスターは使ったことの1回や2回はあるだろう?」

「失礼しますわね、私は1度も使った事などありませんわ」

「それならいいけど・・・。とりあえず、この魔術は危険だ。素人が使えば自分自身の精神を破壊しかねない」

「なんだそれこええ・・・」


つーかこの人の隠し部屋なんてもん置いてんだよ・・・。使いこなせんのかな、全部。ともかく心配ばっかり増えてくけど、問題ない・・・のか・・・?



~~~



「・・・・・アーチャー、」

「どうしたマスター」

「その本と、下巻を持ってきてほしい」

「呪術を使うのか?この呪いは君らしくもないだろう」

「違う・・・、カイトからの連絡を思い出した。ちょっとあれ関係の書物全部持ってきて」

「了解した」


数日前のカイトのあの反応、間違いなくなにかある。

そういえば、3年前に人形使いの魔女の話をギルから聞いたけど・・・まさか、そんなことがあるわけ・・・・。


いや、でも現代で魔術はタブーなのに対して、あの魔術を使うなんてそんなありえないことがあるわけがない・・・。

遊矢には説明しなかったけど、人形呪術はジワジワと人の精神から肉体まで苦しめる驚異的な呪い、下手をすれば一瞬で精神崩壊を起しかねないものなんだけど・・・。

あれに呪われてるんだとしたら、アイツは早急になんとかしないと・・・。


「あぁ・・・また持病が・・・」

「頭痛薬なら任せろ」

「今日は胃薬・・・」

「イエッサー」

「最近やる気失せてんだろ調子乗るなよ紅茶」



~~~



「そろそろ、私からもデュエリストの1人くらいを出したいですわ」

「そうですわね。バイオデュエリストがデュエルに出ずしてどうするのです」


「申し訳ありません、今度は、俺がでれば良いんだな」


「ええ、それで勝てば」


「任せろ。俺には秘策もある、これならアイツにも負けるわけがない・・・!」



~~~



「なぁ敏也、どうする?」

「どうするもこうするもないだろ。バカ」

「バカとはシツレーだなぁ、ちったぁ考え教えてくれよ!」

「・・・俺の考えとしては、もう刹那川さんも袢太も奴らに襲われてるんだ、次は俺かお前のどっちかしか考えられない」

「ひえー・・・俺もそう思うぜ・・・」

「だけど、なにかあっても遊矢さんには伝えるなよ」

「んだよ。お前なりに秘策でもあるのか?」

「それはそうとして、遊矢さんも連戦続きだ。ARヴィジョンとはいえ、体に被害を及ぼしてるかもしれないし・・・」

「なるほどな、遊矢のこと心配っつーことな!分かった分かった!」



「おっす!敏也、慶太おはよっす!」

「よぉ遊矢!」

「おはようございます!」


2人とも珍しいよなぁ・・・なんか話してたっぽいし、あんまりこの2人の絡みって見たことないような気がするぜ・・・。

今日も2人にデュエルの相手になってもらわないとなっ!



~~~



「ってー・・・なんで補習なんだよぉ・・・」

「3日間も無断欠席してたんだから、当然ですわ」

「璃緒さーん・・・」


せっかくデュエル行けるって思ったのに・・・現実って厳しい・・・。



~~~



「あれ?慶太!」

「おう、敏也。どうした?」

「遊矢さんを見なかったか?」

「遊矢なら・・・3日間も無断欠席したからって補習だぜ」

「そ、そうか・・・」


遊矢さんがいないんじゃ、この新作デッキが試せないな・・・・。せっかく今の流行に乗った強いデッキを作ってみたのに・・・。


「お前らか、風雅遊矢の関係者は」


「「!!」」

「コイツが・・・」

「まさか刹那川と袢太を襲った犯人か!?」


「そうとも言えるな、俺の名はリク。お前らのデュエルの相手になる男だ、さぁデュエルを受けるか!?」


デュエルを・・・1対1なら俺が先に相手の出方を見る戦法を取ればおそらくは勝てるかもしれない・・・。


「このデュエル、俺にやらせてくれよ」

「バカ言うな、俺がやる」


コイツとは絶対に気が合わない!!というか俺が合わせる気なんてしない!!冗談じゃない!


「おおっと、2人まとめて相手してやってもいいんだぜ」


「2人まとめて・・・!?」

「変則的タッグデュエルってわけだな」


「そうだ、お前らのライフは4000ずつ、俺のライフも4000でいいだろう。さぁ受けるか?」


「やるか・・・?」

「当然だろ・・・!」


それならやるしかないだろ・・・!遊矢さんのためにも、ここはタッグデュエルで!


「「デュエルディスクセット!!Dゲイザー、セット!」」


《ARヴィジョン、リンク完了》


「「「デュエル!!」」」



~~~



「ぜんっぜんわかんねえ・・・」

「・・・・・あ、」

「どうしたんですか璃緒さん」

「今、なにか教室でデュエルが始まったみたいね・・・」

「え?」


「遊矢ー!!大変よ!」


「どうしたんだよアミ」

「慶太くんと敏也くんが、デュエルを・・・!」

「な、なんだって!?」



~~~



「俺の先攻だ、ドロー!俺は《龍魔人レイジ》を召喚、このモンスターは手札のレベル8以下のモンスター1体を墓地に送る事で、そのモンスターのレベルをコピーする。俺はレベル7の《ゲンリュウノミコト》を墓地に送り、レベルを7に変更!」

《攻撃力:1000/レベル:7》


「更にレベル7の《エクシーズナイト》を特殊召喚、このモンスターはこのターンのエンドフェイズにライフを2000払う事で特殊召喚できる。まぁこのモンスターを使ってエクシーズ召喚すればダメージは無効だけどな」

《攻撃力:0/レベル:7》


これで、アイツのフィールドにレベル7のモンスターが2体揃ったってところか。なんかメンドーになってきたなぁ・・・。


「俺はレベル7の《エクシーズナイト》とレイジでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ《竜神王ガイアスパイラル》!」

《攻撃力:3000/ランク:7/ORU:2》


「攻撃力3000もあるのか・・・・!」

「なんつーかむちゃくちゃだぜ」


「そう言ってられるのも今のうちだ!ガイアスパイラル効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で、相手の手札1枚につき400ポイントのダメージを与える!お前ら2人の手札は5枚、よって1人ずつに2000のダメージだ!!」

《ORU:1》


「「うわぁあああっ!!」」

《慶太と敏也のライフ:2000》


なんつーか、いきなり半分も削られるとは正直ビビッたぜ・・・。


「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド!」


「そんじゃあ次は俺だなっ!」

「なに言ってんだ、次は俺だろ」

「んだよ俺でいいだろ!行くぜ、俺のターンドロー!」

「・・・全く」


俺の手札じゃまだアイツは召喚できない・・・か、んじゃあ最初は手始めだぜ!


「俺は《ランブルウィッパー》を召喚!」

《攻撃力:1700/レベル:4》


「攻撃力1700・・・そんな貧弱なモンスターで俺を倒せるとは思えないけどな」

「そんなんわかんねえぜ!《ランブルウィッパー》は召喚に成功した時、自分が前のターンに受けた全てのダメージの半分を相手に与える!俺は前のターンに、2000ダメージを受けたから1000のダメージだ!」

「なにっ!?ぐっ!」

《リクのライフ:3000》


「更に俺は《グランブルシューター》を特殊召喚!相手にダメージを与えた時にコイツは特殊召喚できる!レベル4の《ランブルウィッパー》と《グランブルシューター》でオーバーレイ!2体の植物族モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ《鎖鳥の霊獣ロゼッタ》!」

《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》


これでアイツのフィールドにも、俺のフィールドにもモンスターエクシーズが揃ったぜ!


「俺はロゼッタの効果を発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手フィールドのモンスター1体を破壊、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!俺が選択するのはガイアスパイラルだ!」

《ORU:1》


「いけっ!ローズストリーム!!」


「罠発動!《ゲンリュウノマボロシ》!このカードは、自分のフィールドのモンスターエクシーズ1体の破壊を無効にし、相手フィールドのモンスターエクシーズ1体の攻撃力を破壊無効にしたモンスターに加える!」

《攻撃力:5500》


あっちゃー・・・攻撃力増えちまった・・・。


「全く、やっぱり俺に任せておけばよかっただろうにな!」

「いいじゃねえか!気にすんなよ!」

「気にするわボケ!!」

「あははー・・・俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」


どちらにしても、アイツがしっかり俺の効果破壊植物バーンを恐れてくるのは目に見えてたし・・・これから気を引き締めていけばいいんだ・・・!!

・・・・そういえば敏也の新しいデッキってなんだ?流行に乗ってるらしいけど・・・。


「俺のターン、ドロー!俺はガイアスパイラルの効果を発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で―――」

「ちょっと待ったァ!!俺は手札の《エフェクト・ヴェーラー》でガイアスパイラルの効果をエンドフェイズまで無効にするぜ!」

「チッ・・・!だが攻撃は残っている、いけっ!ガイアスパイラル!!」


来ちまったか・・・!でも、策は当然残ってるんだぜ!


「俺は手札の《ベリーチューン》を墓地に送って効果発動!《ベリーチューン》は手札から墓地に送る事で、このターンの戦闘ダメージを無効にする!」


「くっ・・・ターンエンドだ」


なんつーか、あっさりとしたターンだったな。まぁ強いのには変わりないか、素材がなくなってるとはいえ、《インスタント・オーバーレイ》とかあるわけだし・・・さ。


「俺のターン、ドロー!」


さってと、お手並み拝見だぜ、どういうデッキなのか―――。


「俺は《聖奏士ターク》を召喚!」

《攻撃力:1000/レベル:3》


「せ・・・聖奏士!?」


あれ・・・?アイツのデッキってあんなにきれいなモンスターのデッキだったっけ?(※5,6話参照)


「タークの効果発動!このモンスターは、魔法使い族モンスターエクシーズの素材にする時、2体分の素材にできる!俺はレベル3のターク2体分でオーバーレイ!2体の魔法使い族モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ《神聖奏魔女エレン》!」

《攻撃力:2100/ランク:3/ORU:1》


「エレンの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、自分フィールドのモンスター1体を破壊する事で相手のフィールドと手札から1枚ずつゲームから除外する!俺はロゼッタを破壊し、残りの手札1枚とガイアスパイラルを除外する!」

《ORU:0》


なるほど!これで除外しちまえば、蘇生する暇もなく・・・・・・ってえ!!


「なんっで俺のモンスター使ってんだよ!《死者蘇生》くらいあんだろうが!!」

「手札にないから今はただのクズになってるロゼッタを使ってやってるんだ、感謝したらどうなんだ?」

「ってまるっきり反省してねえじゃねえか!!」

「してる」


こ・・・・コイツ反省の色が見えねえ・・・・。


「さぁ除外してやるぜ!」

「甘いな、俺の手札のカードも《エフェクト・ヴェーラー》だ!」

「なにっ!?」

「それに勝負はまだまだこれからだぜ」




50話へ続く


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【あとがき】


さぁて・・・次回で長い長い1年分の更新が終わりです。50話はこのデュエルの続きからになってしまった・・・。予定では1話完結で遊矢のデュエルに移りたかったんですけど、リンさんが思わぬ以上にでしゃばったので・・・。


人形呪術の伏線はかなり先の伏線になるでしょうが覚えていて損はありません。むしろ覚えてないとヤバい伏線です。ストーリー的な意味で。

サイドストーリー的な伏線も回収していきたいものですね・・・・・。

遊矢とアミは次回到着で次回は慶太と敏也も力をあわせてます。そして、新デッキとなる「聖奏士(せいそうし)」ですが、敏也のデッキの内容が微妙だったので新デッキとして組みなおしました。ちなみにテーマは某サッカーアニメ。


さぁみんなついに来るぞ!!次回は超☆展☆開です!

リクが登場して数話では じ け ま す。


【予告】

バイオデュエリストと呼ばれる「リク」に変則タッグデュエルを挑まれた慶太と敏也は互いに息が合わずライフはついに100に追い込まれてしまう!

到着した遊矢に「代われ」と言われても諦めない2人の熱い心にデッキは答えてくれるのか・・・!?そしてリクの持つ最強の闇の騎士が降臨する・・・!

第50話「響けソウルユニティ!!聖奏華神ネロファクス!!」


【おまけ】



遊矢「今日はアーチャーにリンさんのいろんなことを質問してみるぜ!」

紅茶「なんでも聞くが良い」

遊矢「まず生活はどんななんだ?」

紅茶「無論、ズボラだ」

遊矢「・・・・・・!?」