ジェレスタ46「襲 撃 者 現 る ! ヒ カ ル V S ミ ス タ ー ・ ハ ッ ト」




「でもよかったぜ、ドリーミストの悪い奴じゃなくてさ」

「どうして?」

「そりゃ普通はそう思うじゃん、アミ、意外と鈍感なのか?」

「慶太くん、明日覚えててよね」

「え・・・」

「まぁそうよね、普通はそうだけど遊矢がそんな事言い出すから」

「みんなが不安か心配だっただけだから、勘違いすんなよ」

「ふふっ照れ隠しよね、遊矢くん」

「なっ!?」


雪那はいきなりこんなこと言うからなんか俺が恥ずかしく思えるんじゃん!!

とにかく良かったよな、みんなが無事でさ。


これで安心して家帰って寝れるケド・・・なんだろう、この胸騒ぎ。



~~~



「先攻はもらいますよ!私のターン、ドロー!私は・・・カードを4枚伏せる。ターンエンドです」


「なっ!?」


カード4枚、完全になにか罠にしかみえねえ。だけど俺のデッキにそんな全体破壊なんて・・・・・・・・あるけど今は出せないか、少し様子を見よう。


「俺のターンドロー!俺は《カオス・パージロワナ》を召喚、コイツの召喚に成功した事でデッキからカオス・パージ1体を手札に加える。更にフィールド魔法《混沌幻想郷》を発動!」

《攻撃力:1000/レベル:3》


「フィールドが・・・」


ここなら思うようにデュエルできる、あんな伏せカードに惑わされる暇はない!


「このフィールド魔法は1ターンに1度、手札に加えられたモンスター1体を召喚できる!現れろ《カオス・パージマンドレイク》!」

《攻撃力:2600/レベル:7》


「更にレベル7のモンスターがいる場合のみ《カオス・パージラフレシア》は特殊召喚できる!そしてこのモンスターの召喚に成功した時、自分のフィールドのモンスター1体のレベルを7にする!俺はロワナのレベルを7に変更!」

《攻撃力:0/レベル:7》《レベル:7》


「レベル7のモンスターが3体・・・!?」


拾ったカードだし、どうかは分からないがやってみる価値はある、リンさんにも言われたしな。それじゃあ!


「俺はレベル7のラフレシア、ロワナ、マンドレイクの3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ!《黒輝石の呪龍アドルイン》!」

《攻撃力:2800/ランク:7/ORU:3》


「あれは・・・・・」


コイツには人の魂が宿ってるとかなんとか言ってたっけ・・・?しかもリンさん結構このカードのこと知ってたし、まさか例の「デュエルの精霊」なのか・・・?いや、ないだろ。それを知っているのはリンさんや遊馬さんだけでいい、俺が知る必要もないからな。


「アドルインの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手フィールドのカードを1枚デッキの一番下に戻す!その効果で俺は、1番右のカードをデッキに戻すぜ!」


「く・・・」


《次元幽閉》、案外危ないカード使ってるな。ということは残りはミラーフォースのような破壊カード・・・そう見た方が打倒だな。

だが、ここで立ち止まっているわけにもいかないんだ!


「いけっ!アドルインでダイレクトアタック!」


「罠カード!《シルクハットトリック》!このカードは相手モンスターエクシーズのダイレクトアタック宣言時、その攻撃を無効にしてそのモンスターのコントロールを得る」


「なにっ!?」


これで強力な効果を持つアドルインが相手のフィールドに・・・。厄介ってレベルじゃすまされねえぞこれは・・・。


「カードを2枚伏せてターンエンド」


避けられるか避けられないかは俺とあの帽子野郎の運によりだな、少しは賭けてみるか。


「私のターン、ドロー!私はアドルインの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手フィールドのカード1枚をデッキの1番下に戻す。私は左側のカードを選択!」


「残念だったな!左は通常魔法の《龍融合鏡(ドラゴンフュージョンミラー)》だぜ」


これで残ったのはかけた右のカード・・・!


「残念なのは君だよ、速攻魔法《サイクロン》発動!」


「マジかよ!」


右のカードは《混沌竜降臨の儀式》。相手フィールドにランク7以上のモンスターエクシーズがいる時に俺のエクストラデッキから闇属性もしくは光属性のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚するカード。マズい・・・。これで俺のフィールドはがら空きか。


「いけっ!アドルインでダイレクトアタック!」


「うわあっ!!」

《ヒカルのライフ:1200》


「私はカードを1枚伏せてターンエンド」


さすがにカイトの野郎が見てるところで負けるわけにはいかないよな、それに俺自身も負けたらヤバそうだし。


「俺のターン、ドロー!」


しょうがない、そろそろあのカードの種明かしも含めて出してやるか。多分6年ぶりになるのか?このカードの召喚は。


「俺は墓地にある《龍融合鏡》の効果発動!」


「墓地だと!?」


「墓地にあるこのカードをデッキに戻し、俺はエクストラデッキからドラゴン族モンスター5体を除外する。選択するのはギャラクティック・カオス、ギャラクティック・ヒグス、カオス・ダークネス、ガイアドラグーン、エネアード!」


もう分かってると思うけどさ、ドラゴン族5体を素材とする最強のドラゴン族融合モンスターが。

帽子野郎・・・唖然としてやがる。


「5つの力を経て降臨せよ!《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》!」

《攻撃力:5000/レベル:12》


「これが・・・・最強の融合ドラゴン・・・・」


俺のデッキはドラゴンも多いし、・・・まぁ出せなくもないけどその後ギャラクティックシリーズが使えないという点ではきついか。6年ぶりっていうのも無理はないぜ。それに、コイツ以外にも俺のデッキだからこそできることもあるんだけどさ。


「俺はファイブ・ゴッドで、アドルインに攻撃!」


「くっ!罠発動《ミラー・シェード》!このターン受けるダメージをライフを半分払う事で0にする!」

《ハットのライフ:2000》


「だけどこれでほぼライフは並んだぜ、カードを1枚伏せてターンエンド」


これで次のターンにライフを削れば・・・。

ファイブ・ゴッドの効果でファイブ・ゴッドは光属性以外には破壊されない、次のターンで決着をつけてやる・・・!


「私のターン・・・ドロー」


「どうした、手に気力が入ってないぜ」


「いいえ、むしろいいでしょう、本気を見せてやるよ」


・・・どうやらあれが本性みたいだな、トーマスさんみたいなことしやがって、面倒だな。


「私は魔法カード《トリプル・ハットクイズ》を発動」

「3つのシルクハット・・・?」

「さぁ選べ、この中に未来が待っている」


未来・・・なんにしてもなにかある、とにかく今は。


「それじゃあ真ん中で・・・」


「2つ目のシルクハットの効果は、相手フィールドの1番攻撃力の高いモンスターをデッキに戻す!」

「なにっ!?」

「これでファイブ・ゴッドはいない、お前のフィールドにモンスターがいなくなった!」

「くっ・・・!」


要するに「余裕ぶっこいてんじゃねえぞクソガキ」って意味だろ、なにが未来だ。バウンスが未来ってどんな未来だよ。

さすがの俺もこれはツッコミたくなるぜ、全く。


とりあえずフィールドがあいたってことか、面倒だけど仕方ないよな。


「私は《トリックブルーベル》を発動!このカードは、このターンフィールドから離れた相手モンスター1体を攻撃力の半分にして特殊召喚する」

「なにっ!?冗談は顔だけにしろ!」

「現れろ、《F・G・D》!」

《攻撃力:2500》



「やっと終わったね」

「だがあっちは終わってないようだな」


「攻撃力は半分か・・・」

「それはどうだか」

「?」

「永続罠《バトルバインド》を発動、このカードは魔法カードの効果で自分フィールドのモンスターの攻撃力が変化している時、バトルフェイズ中のみ攻撃力を元に戻す」

「なんだと!?」

《攻撃力:5000》


攻撃力2500の攻撃でも、俺は十分倒せるのにオーバーキルするつもりってわけかよ・・・冗談きついぜ。


「自分の龍で朽ち果てろ!ファイブ・ゴッドでダイレクトアタックだ!」


―――ドォオオオオオオン!!


「ヒカルさん!」

「マズいことになったな、これは・・・」


「終わったな、所詮はクz「誰が、クズだって?」――なにっ!?」


「兄さん!あれは!」

「なるほど、永続罠《リビングデッドの呼び声》、そしてフィールドにはギャラクシー・カオス!!」


「どうだ、負けるには早いからな」

《ヒカルのライフ:200》


アルテミスになるタイミングを見失っていたからギャラクシー・カオスで十分だな、ということだな。


「いつの間に・・・」

「さっき、《F・G・D》を召喚する時の素材にしたんだよ、あの時は言い方が少し違っていたけどな」


「くそっ!それでも状況は変わらない、ターンエンドだ!!」


確かに状況は変わらない、蘇生したギャラクシー・カオスも首の皮一枚繋げるための壁だったわけだし、次のドローで勝敗が・・・。


「俺のターン、ドロー!!」


・・・・・・・!来たか、逆転のカード!


「俺は墓地の光属性《カオス・パージロワナ》と闇属性《カオス・パージマンドレイク》を除外!」


「光と闇を除外・・・?!まさか!!」


「そのまさかだ、降臨せよ!《カオス・ソルジャー-開闢の使者-》!」

《攻撃力:3000》


「開闢・・・・!だが攻撃力は下だ、更に除外効果を使えば攻撃できない!」


「分かっているさ、だが発動する!このターンの攻撃を放棄する代わりに、ファイブ・ゴッドを除外!」


これで邪魔なカードはいなくなった、後は止めを刺すだけだ。・・・まぁ刺せるカードが開闢じゃないのが、残念だけどさ。


「だが、攻撃宣言はできない!次のターン、またコントロールを奪ってやるさ!」


「お前に次のターンは来ない」


「え・・・?」


「俺は開闢をリリースして《カオス・パージ トワイライトアポカリプス》を特殊召喚、このモンスターはカオスと名の付く戦士族のモンスター1体をリリースして特殊召喚できる」

《攻撃力:2500/レベル:8》


「まさか!!?」


「お前の戦法はどうやら人のカードをコントロールする戦法らしいな。実はそういうことが1番嫌いでな、正直虫酸が走る」


「攻撃するな!絶対に攻撃するな!」


「これで終わりだ、いけっ!トワイライトアポカリプスでダイレクトアタック!トワイライトブレス!!」


「ぬわぁあああああああ!!」

《ハットのライフ:0》


《WIN:朽祈ヒカル》


ま、最後のは俺も1度はやったことあるけどさ、蘇生とかで。あれはノーカンだ、仕方ない。


「やったねヒカルさん!」

「まぁな、んでアンタのほうは?」

「俺を誰だと思ってる」

「大体予想ついてっからいいよ、・・・・ん?」


あれ?ミスター・ハットだかがいない・・・。その代わりに、シルクハット?・・・・まさかコイツの正体って、シルクハット!?


「と・・・とんだ茶番だったぜ・・・」

「ぷっ・・・つけてあげたら?」

「ハルト、冗談抜きでやめろ」

「とにかくここを狙っていたと言う事は敵も本気ということか」

「そういうことだな」


―――パチ パチ パチ


・・・拍手?でも1人だな。暗闇だからよく見えないけど、あの服装は・・・。


「素晴らしいですわ、さすがは見込みどおりのお方」


「知り合いか・・・?」

「逆だよ、悪い意味でな」

「敵・・・ということか」


「覚えていらしたんですね、どうですか?私に力添えしていただけるかしら?」


「あの時断ったはずだぜ、何度も突っかかってくんなよ。興味ない」


「そう、ですか。良いのですよ、貴方はいずれその身をもって今の選択の愚かさに気づくのですから」


「愚かなのはどっちだろうな、いずれ決着つけようぜ」


「良いでしょう、その時が来ればの話ですが」


その時が来れば・・・というのは俺達が生き残っているか、そうじゃないかっていうことだな。当然生き残ってるだろうけどな。


「それでは、いつでもお待ちしてますわ、あの印がある限り、いつでも」

「・・・・・・・・」


「「・・・・・・・」」

「消えた・・・」




~~~



「そろそろ、バイオデュエリストの力が必要ね」

「そうですわね、私も今のこのグループは決定力不足だと思いますわ。バイオデュエリストの出来栄え、是非見せてもらいたいものですわ」

「マスカローズ卿がそこまで言うのなら、1人、見せて差し上げましょう」


「・・・・・・・・お呼びですかー?」


「相変わらず口の聞き方がなっていないけれど、デュエルは強いわ」

「そうですか、楽しみですわ」


「用がねえなら呼ぶなよ・・・」


「用はあります、もうすでにインプットできていると思いますが・・・?」


「あぁ、あいつらのことかよ、任せな。あいつら全員ぶっ潰してやるよ」


「良いお心構えですわ、楽しみにしています」


「・・・アンタは?」


「トルテ・マスカローズ」


「・・・面白いな、いいぜ。やってきてやるよ」


「頼みますよ」



~~~



ヒカルのデュエルも終わった、それよりもさっきの遊矢のデュエルはなんなんだ?あっという間に始まってあっという間に終わったが・・・、ドリーミストではなさそうだな、なんの連絡もない。


とりあえずドロワとゴーシュを呼んで、メインコンピューターを復旧させる事から始めなきゃいけないかもな。


「・・・・・・?ハルト、ヒカルはどうした」

「?そういえば・・・どこにもいない・・・・・?」

「少し戻ってみるか」


アイツ、終わったから帰ったか?・・・まぁ後始末はつけるはずだし、資料を持って帰らないのもおかしいだろうし。



~~~



「はぁ・・・・」


息切れが・・・そんな距離走ってないはず、というかこの程度で疲れるほどやわな体してないはず。

なんだこれ、アイツに会ってから自分でもわけわかんねえほど体力削がれてる気がする・・・。妙に息切れするし、急に咳き込むし、呪いでもかけられてんのか!?


『あぁ、呪いだよ。それは人を呪う呪いだ』

「誰だ・・・・・?」

『君が新しい使い手なんだろう?俺も自己紹介する。俺はアドルイン、呪龍アドルインだ』

「ぎ・・・じん・・・・・・か?」

『まぁそうだな・・・。遊馬たち元気かな・・・』

「それよりも・・・今は居ない方が俺は、いいんだけど・・・」

『人にかけてはいけない呪いがかけられてる、人じゃない人に』

「さっぱり、分かりたくもないな・・・」

『いずれ分かるさ、その時が来る』


なんでもいずれ・・・か、しかもカイトたち、もう追いついてきたのかよ。はえーよ。


「何故こんなところに・・・」

「俺の勝手だろ・・・。別に、何処にいてもいいじゃないか」

「あれ?ヒカルさんって、発作症状なんて持ってた?」

「・・・持ってない」

「だよね?」

「・・・別に、いいだろ、ほっと、け・・・・・・・」

「ヒカルさん!?」

「ドロワ!」

《どうしたカイト、急に》

「救護班呼べ、早く」


~~~



「じきに来ますわ、こんな所にいる時ではないけれど、じきに来ます。その時が、絶対に」



47話へ続く


===================

【あとがき】


伏線張りまくって回収できるか心配になってきた((ォィ

さすがに嘘だよ、回収するよ。


というわけでデュエルしつつアドルイン出しました!!

覚えてる人いるかな?かなり前(去年)にカード募集をやって、その時アドルインが募集に入っていたのでアドルインをヒカルのカードとして追加しました。遥夏さんありがとうございます!

もうちょっとしたらもう1枚のほうも出すよ、多分出てこれる。ていうか出す。

ヒカルが色んな意味で死にそう、これが過労死か・・・!過労死はないけど色んな意味で死ぬんじゃないかな?この人。だが殺しません、ファンの恨みは買わない・・・!それが俺の主義だ!

というか本当にヒカルヤバいんですけどね、カイザーほどじゃないけど。

トルヒカが熱くなるな((ォィマテ


次回は久しぶりに雪国女王のデュエルだよー!!タイトルは変わってます、ちょっとね・・・。

にしても5年後璃緒強い、笑えない。


【予告】

日本に戻ってきて楽しむ暇がなかった雪那を連れて璃緒はとあるカードショップに連れて行く。璃緒御用達のそのカードショップで雪那は1枚のカードを貰い受けた。

そして、現れたドリーミストの刺客を倒すべく、雪那がデュエルを受ける!

次回!第47話「吹き荒れよ吹雪!氷結の舞姫!」


【おまけ】


今回の最強カードは《カオス・ソルジャー-開闢の使者-》。

終焉の使者と対を成す制限カードで、ついこないだまで禁止カードの仲間だった強力なカードだ!

2つの効果を使い分けてデュエルに勝利しよう!