ジェレスタ40「恐 怖 の 風 封 印 立 ち 上 が れ 遊 矢!」


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「おはようございます、遊星さん」

「あぁ、意外と早かったけど、遊矢は?」

「・・・遊矢は寝てるわ。どうしたんですか、急に」

「いや、なんでもない」


遊矢の様子、昨日の夜からおかしいわね・・・。まさか負けかけたってだけでショック受けてたわけじゃないわよね・・・?

・・・いいや、あの抱え込み症なら間違いなくそうなってしまっているかもしれない・・・。そんなだったら最悪どころの話じゃない、世界を救うなんてできるわけなくなる。

むしろ逆なの?遊矢がそういうことを抱え込んでるから、今こうなってる?


「おはよー遊星!」

「アキ、今日は学校じゃないのか?」

「代休よ。それよりも昨日の彼は?」

「今は部屋で寝てます、よっぽど昨日疲れたんだと思いますよ」

「・・・・そう、アミちゃん、ちょっと来てくれる?」

「?・・・はい」



~~~



「・・・・・・・・・・・ったく」

「なにが"たく"だ、なにが」

「遊矢のドアホ・・・前から思ってたけどさ、アイツ自分1人で抱え込む性格してんだろ」

「俺に聞くな、一体何年ぶりに会ったと思ってるんだ」

「しらねえよ、つーか再会したの夏ごろだろ。いくら面識が薄かったからってそりゃねえよ」

「・・・・・・・そうだな、あのバカ親父から聞いた。小学校にいた頃も、中学に上がってからも自分に使命感があることは自分1人でやる癖があるってな。人に助けを求めるなんてほとんどしたことないらしい」

「そうかよ、にしてもお前もお前で似てるよな」

「どういうことだそれは!!」

「一人で抱え込む、自分1人でやる癖がある。人に助けを求めない。まるっきりお前と同じだな、兄弟は似るもんだなー」

「・・・負けました」


「んじゃあ、コンポタ奢りで。遊矢の分も買って帰って来い」


「おい貴様待ておい!!・・・ったく」



~~~



「んあ?なんだそれ」

「デートじゃないわよ!?」

「いや、いきなりその反応はねえよ・・・」


私とアキさんは3人を喫茶店にいた。クロウさんの空気が読めない発言はともかくとしてとりあえず緊急事態だ、隣にいるアキさんのオーラが尋常じゃない。


「題して「遊矢を元気にする一日お出かけ作戦」!・・・なんてどう?」

「どうと言われても、俺は知らん」

「つーか誰が金出すんだよ・・・俺らださねえぞ?」

「私が出すわよ、パパにもう伝えてあるんだから」

「あぁ・・・昨日メールが来ていたがそういうことだったのか・・・」


――「アキがなにかしそうだから面倒見えてあげてくれたまえ!」


・・・・とりあえず・・・はい。内容は簡単、トップス方面にある大きなショッピングモールでみんなと買い物したり色々な事をするっていう感じ。私達も楽しんじゃうけどあくまでも目的は遊矢を元気にする事。・・・私達が遊びたいわけじゃない、決して。

遊星さんとクロウさんは賛成派、ジャックさんはノリ気じゃないらしい。ブルーアイズマウンテン飲んでる方がよっぽど退屈な気が・・・。


そこでいきなり朽祈先輩がやってきた。というかなんで片手にコーンポタージュ?好きなのかな・・・。


「お前ら揃いも揃って・・・なにしてんの?」

「朽祈先輩も遊矢を元気にする作戦に参加しましょう!!」

「・・・は?」



~~~



―――翌日



「・・・・・・・・・・・」


部屋からほぼ出てきてない。こんなの初めてな気がした。

いや、ちゃんとやるべきことはしたけどさ、けどデッキもバラかしたままだし、案外初めてのことかも。


このデッキでアイツに勝つなんてムリだよな・・・。


―――「考え直してみろ、お前のデッキ、確かに風属性だけど勝ち目はある」―――


勝ち目なんてみあたんねえよ托都のバカ!つーかなんでコンポタ買ってきてんだよ!

っちくしょー、なんのカードでアイツ倒すんだ?いくら大嵐しても無効にされんのに・・・。やっぱりデッキの完全改造とか?・・・いやいやねえよ、俺はずっと風属性使ってたんだ、今更ほかのなんて使えるかってーの!


あー!考えれば考えるほどもう策なんて思いつかねえや・・・。


「はーぁ・・「遊矢!」――うわぁあっっと・・・なにいきなり入ってきてんだよ!アミ!」

「出かけるわよ!」

「・・・は?」

「だから、遊星さんたちとお出かけよ!」


~~~



ど・・・どうしてこんな事になったんだ・・・?


「それじゃあっ今日1日楽しみましょ!」

「「オーッ!!」」

「「・・・・・・」」

「どうしてこんなことに・・・」

「右に同じ・・・」


遊星さんたちもビックリだけどまずなんでヒカルがいるんだ?

しかもなんで一日買い物騒ぎになってんの・・・。


「萎える・・・俺帰るから、みんな楽しめよー」

「待ちなさい・・・!!」

「んだよ、別に俺買うものとかないから」

「・・・・・・・・」


アミから異様な威圧感が・・・。これって一緒に居ないとダメなのか・・・。・・・・・・ダメっぽそう。

まぁ、撃退したとは言え、まだあいつらが来るかもしれねえんだし俺がいないとダメか。倒せるとは思ってないけど、足止めくらいできるだろ。


「わぁかったから!それで、なにしたいの?」

「ふふっ!そうこないとね!」

「それじゃあ、遊矢に教えたいことがあるんだ、ちょっと来てくれ」

「え、ああはい」


着いてきたらカードショップ。まさか・・・。


「すっごーい!シンクロモンスターいっぱい!」

「なるほど、シンクロなんて滅多に見えないからな・・・」

「・・・これを?」

「あぁ、シンクロ召喚。君のデッキならチューナーとシンクロが入ってもなんら問題はないから」

「でも・・・」

「風だろ?!だったら、いいもんやるよ!」

「・・・これって!」


これがあれば、確かに対抗策になるかもしれない。


「ありがとう、クロウさん!」

「それじゃあ、シンクロ召喚やってみるか?」

「はい!」


「なんか遊星さんよりも、クロウさんのほうが手なずけてるわね」

「クロウは子供に好かれるタイプなのよ」


子供に好かれる、か。お父さんになったら、きっと良い人なんだろうなぁ・・・。って父さん元気にしてるかな、また帰ってきて俺がいないだのなんだの言い始めないといいけどさ。まぁ今回は保護者(つーか兄さん)同伴だし、遊馬さんが丸く収めてくれるっしょ。


「えっと、お前は風属性好きなんだろ?」

「はい!」

「分かったぜ!だったら、風属性が効果を受けるなら、むしろ逆にすればいいんだ」

「・・・逆・・・?」



~~~



「バイオヒューマンデュエリスト・・・ですか?」

「ええ、どう思います?マスカローズ卿は」

「すばらしい考えでありますわ。確かに、人間や異世界人を使うよりも人工的に作り上げたデュエリストならば、その腕は遥かに上でしょうし」

「ネロが使い物にならなくなったその時は、ぜひともおつかいください」

「ええ、もちろんですわ」



~~~



「くっはー・・・結局アミの買い物になってんじゃん・・・」

「もー!そう言わないでよ~」

「シンクロ召喚、理解できたのか?」

「はい!クロウさんのおかげで頭に叩き込めました!」

「そうかそうか!あの作戦も、ちゃんと分かったか?」

「はいっ!もちろんです!」


ネロと次のデュエルするとき、シンクロ召喚ともう1つの対抗策。アイツが風を封じてくるならばその逆を狙うまでの事。そうクロウさんは教えてくれた、だからクロウさんから貰った2枚のカードが・・・。


「自信、」

「え?」

「ついて来たんじゃないの?」

「・・・そういえば」

「これで一安心ってところかしらね!」


みんなと一日こうして買い物とかしたり、食べ物食べたりすんのって結構久々かな・・・。そう考えると、なんか心が晴れるような清々しいようなってところかなっ!

付き合わされたとかなんだかんだ言ってるヒカルもとりあえずは・・・・。


「・・・・・・・・・」

「まぁまぁ、パフェでも食べて元気出しなさい」

「・・・全ての元凶に言われたくない・・・」


ダメだな。散々アキさんに童顔だの女らしいだの言われて弄られてたし、あの調子のまま戻りそうにないな、今日一日は少なくとも。

ヒカルもヒカルだよなぁ・・・女みたいな髪型してるのがいけないんだけど。


「しゃーねえだろ、面倒だし・・・癖毛だし」

「あー、分かる分かる・・・って女かっ!!」


面倒なのは置いておいて癖毛を気にするなよ!?って俺も肯定していたような~あわわわ~~~!!


「ふふっ、随分と楽しそうじゃない。どこが落ち込んでたのか、全く分からないくらいね」

「そう言うなよ・・・そういえば、托都ってどこに行ったんだ?」

「さぁ?留守番でもしてるのかしら・・・」

「まぁいいけどさ」

「ちょっと、私、お手洗いに行ってきます」

「ええ、行ってらっしゃい」


托都はああいうバカ兄だしデリカシーもないけど、しっかりしてるから大丈夫か。にしても、ヒカルの奴、弄られて元気がないのはまだしもなにか様子がおかしいような・・・。



~~~



遊矢も元気になったし、これで一件落着かな?あとはちょっとだけ私の買い物に付き合ってもらおうかな・・・小物とかカードとか見てみたいし・・・。


「・・・あれは・・!」


ネロ・・・。

遊矢に知らせた方が―――・・・?


「・・・・・・・・・」


「バカにしてんの・・・?」


手招きしてきた。どうやら、用があるのは私にっていうわけね。言われるがままにしか見えないけど、とにかく追いかけてみるしかない。


しばらく追いかけると、ショッピングモールの最上階だった。ここはまさか・・・。


「私になにか用?」


「遊矢を潰すよりも、先にお前を潰しておくのがよさそうだからね。さぁどうする?」


私も随分バカにされてるわね。確かに力不足かもしれない、だけど遊矢を守るのは幼馴染である私の役目!


「いいわ!受けて立つ!Dシューター展開!――デュエルディスクセット!Dゲイザー、セット!」


《ARヴィジョン、リンク完了》


相手のデッキは風属性のメタデッキ。私のデッキの大半は光属性、確かに少しメタカードはあるけど風属性よりもマシのはず!

負けない!絶対に!


「「デュエル!!」」



~~~



「アミの奴、おっせーなー・・・」

「確かに・・・・」

「ちょっと遅すぎるな」


なにか事件にあったのかも・・・もしかして、ネロの奴に!!


「くっそ!!」


「ちょっと遊矢くん!」

「マズい、俺たちも行こう!」

「アキ!支払い任せた!」



~~~



「私の先攻!ドロー!私は《閃光獣 フランディ》を召喚!このモンスターは自分のフィールドにこのモンスターしかいないときに召喚された場合、守備表示に変更される!更に、フランディが守備表示になった事で《閃光獣 マキリア》を特殊召喚!」

《守備力:1000/レベル:4》《攻撃力:1200/レベル:4》


「へえ、いきなりね」


この場面で、光属性を召喚しておけばおそらく相手が禁止する前に対応できる。だったら・・・。


「私はレベル4のフランディとマキリアでオーバーレイ!2体の光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れて!《閃光天使 ヴィーナス》!」

《攻撃力:1800/ランク:4/ORU:2》


「ヴィーナスのモンスター効果発動!このモンスターが召喚に成功したターン、このモンスターをエクシーズ素材とすることでエクストラデッキからランク5のモンスターエクシーズ1体を特殊召喚できる!」


「なるほど」


「私はレベル4のヴィーナスでオーバーレイネットワークを再構築!エクシーズ召喚!現れろ《始祖の守護者ティラス》!」

《攻撃力:2600/ランク:5/ORU:3》


ティラスはオーバーレイユニットがあるとき、効果での破壊を無効にして更にこのモンスターが攻撃に成功すれば相手のフィールドの魔法・罠カードを1枚破壊できる。これなら間違いなく破壊はされない!


「私はカードを2枚伏せて、ターンエンド!」


「僕のターン!僕は《千石の魔術師》を召喚!」

《攻撃力:1000/レベル:3》


「《千石の魔術師》は、召喚に成功した時、相手のセットカード1枚破壊できる!僕は右側のカードを破壊!」


「っ!《サイクロン》を・・・」


「うまいことするね、確かにそのカードなら僕のカードをエンドフェイズに破壊できる。だけど、そううまくはいかない!僕は《千石の闘士》を特殊召喚!このモンスターは自分のフィールドの千石と名のつくモンスターがカードを破壊した時、特殊召喚できる!」

《攻撃力:1500/レベル:3》


千石・・・前のデッキと違う。あれは、やっぱり遊矢を倒すためだけの風属性メタカードデッキ・・・!!

それじゃあ、今回は私とデュエルするためにデッキを変えてきたってこと・・・。


「レベル3の《千石の魔術師》と《千石の闘士》をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ!《千石の巨竜》!」

《攻撃力:2000/ランク:3/ORU:2》


「いけっ!《千石の巨竜》でティラスを攻撃!」


「うそっ!?ティラスの攻撃力は2600!自滅・・・?」


「そんなつもりないよ、《千石の巨竜》はオーバーレイユニットを1つ使う事で破壊を無効にし、戦闘した相手モンスターを墓地に送る

《ORU:1》


墓地に送る・・・破壊じゃないからティラスは倒せる、これが狙いってわけね・・・!


「僕はこれで、ターンエンド」


あのネロって言う人。考えてなさそうで実は考えてる、このままだと本当に・・・いや、倒さなきゃ!

私がピシッとしないで遊矢がピシッとするわけないでしょ!

負けない!絶対負けない!


「負けるモンですか!」

「その心意気だけは褒めてあげてもいいよ、でも、勝てる保証はない」

「保証も何もないわよ!私はやるべき事をして勝つまで!」


だから、負けるわけないじゃない!



41話へ続く


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【あとがき】


例のコンポタ事件をだんだん暴露されてきてる不思議。ヒカルはコンポタ好きすぎるんですね分かります。

シリアスなギャグを挟みつつ伏線も入れてきました。前回のヒカル関連の話と遊矢の元設定に基づく托都さんの解説。だがしかし兄さん歴が浅すぎる・・・。そういえば遊矢の新カードゲットは42話です。あらすじ詐欺したけど気にしたら負け。


>「お前ら揃いも揃ってなにしてんの・・・?」

お前が言うな。お前だけは言うな。

と言えてしまう不思議・・・。だってヒカルさんだし、仕方ない。


にしても、闇属性ばっかりのBFで何故クロウが風属性のカード持ってるのかとか疑問を持ったら負けだと思ったほうがいいです(展開的な意味で)。


次回は隠しに隠した蝶竜です!!エクシーズシンクロの伏線です。

アミちゃんの後に遊矢が続く形でエクシーズシンクロ使うので、アミちゃんが最初に伏線張ってきます。

にしても、もうすぐリンさんがデュエルすんだぜ・・・?対戦相手がまさかアイツの姉さんなんて誰が想像したか。少なくとも小鳥じゃないことだけは明言しておきましょう。そして、随分前に伏線張って半分放置していた気が・・・。


【予告】

前回と全く異なるデッキを使うネロと遊矢のために奮闘するアミのデュエル!

終始ネロのシンクロモンスターとモンスターエクシーズによるコンボで追い詰められていたアミだったが、アキに教えてもらった戦術で新たなカードを切る!

遊矢のために、その心が蝶竜を舞い上がらせる!!

第41話「遊矢は私が守る!舞い上がる蝶竜!」


【おまけ】



今日の最強カードは《千石の巨竜》!

エクシーズ素材を1つ使う事で戦闘破壊を無効にして、ダメージを無効にし相手モンスターを墓地に送る強力な効果だ!

ティラスなどの効果破壊無効系モンスターには超有効なカードだぞ!