ジェレスタ24「過 去 へ 飛 べ !」
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「ここは・・・」
1本道を越えた先に大きな扉、見たことあるような気がする・・・。
『初めてではないな、久しぶりと言っておこう』
「お前・・・誰だ!?」
『九十九遊馬の魂よ、問う。お前は自分の1番大事な物を失うことを恐怖するか?』
「1番・・・大事な物・・・、俺の・・・」
アイツ、見たことある。だけど覚えてない、でも遊馬さんの魂?どういうことだ?
「うっ!!」
~~~
「うっ・・・うぅ・・・」
「遊矢~」
「うー・・・」
「遊矢ったらしっかりしなさーーーい!!」
「おっおわぁあああ!?」
そうだ!授業が面倒で突っ伏してたんだった・・・。そのまま寝てて、えっと~~・・・。
「終わったわよ、授業」
「え・・・」
気づいたら授業が終わってた。さぁって!デュエルタイムだぜ!デュエルタイム!早くいかねえと!
「ねえ!知ってる?」
「ん?なにがだよ、俺はデュエルのことしか覚えてらんねえぜ、あと晩御飯とかな」
「今日ね!世界的サーカス団のドリーミストがハートランドにきたのよ!」
「どりーみすと?」
聞いたことねえなぁ・・・。ま、サーカスなんて興味ないけど。
アミがそういうこと言ってるのも結構珍しいような気がするんだけどなぁ・・・。アイツだけかな?
「ねえ!一緒に今日の初公演、行きましょうよ!」
「はーぁ?俺はデュエルするのが優先なの!大体サーカスなんて興味ねえしさ」
「とーにーかーくっ!ついてきなさいっ!」
「いだだ!!放せ~~~!!デュエルに行かせろぉぉぉ!!
腕をとにかく引っ張られて早10分ほど、腕がもげちゃうって・・・。と思っていたら目の前にあった光景はサーカス小屋。ドリーミストってこんなところで公演やるのかよ、移動だからかもしれないけど狭そうだなァ・・・。
「アミー!!」
「慶太君!みんなも来てたのね!」
「なんだ、慶太たちもかよー・・・」
慶太たちまで、こんなサーカス団のためにデュエル休んできたのかよ・・・みんな様子おかしいぜ・・・、あーぁ!デュエルしたいなぁー!
「遊矢さんもそう言いながら来てるじゃないですか!」
「早くいきましょ!席は早めに取らないとダメだから!」
「お、おう・・・」
なんか結局5人の押しに負けた気がする・・・。
~~~
確かに、サーカスっていうのは2回くらい行った事がある。1回目は3歳の時、2回目は10歳の時、どれも面白くなかった(というか行った場所がどっちも迷子でって話なんだけど)。
うん、うまいね。確かにココはうまいね。
「(でもやっぱりデュエルが良いっていうか・・・)」
曲芸とか普通にやりこなすんだなぁ・・・というかあのペイントのピエロ、凄い基地外臭がすんだけど、気のせい?
不思議だな、このサーカス団の技、なにか引き込まれるような気がする。
――ヒュゥウ・・・
「あれ・・・」
鍵が光ってる?どうして、光源なんてどこにもないのに。しかもさっきまで普通にしてたはずの観客の様子がおかしい。見違えてるのか?
いいや、間違いなく変だ!ここはなにかがおかしい・・・、ここにいたらいけない気がする・・・。
「アミ!おい、アミ!・・・・無反応かよ、くっそ・・・!」
とにかくここから脱出しないと!!
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
~~~
「ドリーミスト?」
「あぁ、ハートランドシティにやってきたサーカス団らしい」
「だけど、おかしくないか?」
「おかしい?」
翔が断言できるのにはきっと訳がある。俺の知ってる限りでは確か世界一と有名なサーカス団のはずだけど・・・。
「まず、その公演を見た観客達が禁断症状のようにまたサーカスを見に行きたがる、それもおかしいほどにな。更に言えば、あいつらからは普通の人間とは違う力を感じるんだ」
「なるほどなぁ・・・それで、なにか得体の知れないものかもってこと?」
「まぁな、あくまで後者は感じるだけだから別物かもしれないけどね」
感じるだけ、だけどそれだけでも十分すぎる異変。禁断症状、薬物をやめたりしたあとに生じる精神的で一時的なものらしいけど。それがなにか関係してるなら、俺たちの所で調べなきゃいけないかもしれない。
アストラル、お前の力を借りなきゃな・・・。
遊矢のことも心配だし・・・。
「うーん・・・・・・」
「とにかく、作戦は練っておくべきだな」
~~~
『どうやら、あの途中退場した奴が狙いみたいだね』
『なぁんだナァンダ!アイツ、いきなりボクラの公演見ないでデテイッタ!』
『それじゃあ準備はできているよな?』
『あぁ、存在を抹消する。そして過去へ飛べ、奴に関する記憶を過去に封じ込めるのだ!』
『ハッ!!』
~~~
「うぉおおおおおおおお!!!遅刻するーーーー!!」
朝8時30分!もうすぐチャイム!現在の場所は学園近くの公園!学園の教室までに掛かる時間は5分ちょっと!間に合えええええええ!!!
「とりゃあああああああ!!」
こうなったらSsのモンスターを呼べる能力がほしいくらいだぜ!あれ???確かそんな能力持った人がいたような・・・。
「あがぁっ!?」
いきなり背中から誰かにつかまれたァァァ!?どういうことだ!?上を見上げると赤い聖骸布の男と一緒の女性と俺の体をつかんでるのは・・・ボディコン?
「はぁあぁ!?どうなってんだよこれえええ!!」
「しっかり掴まっていろ!学校へ行くならこうした方が早く着く!」
どうしてモンスターを呼べる能力がほしいなんて言ったんだろうか、本当にそんな能力持ってる人に出会っちゃったじゃないか・・・。
「さぁってと、ライダー!!」
「イェス!マスターーー!!」
「ちょぉおおおおおおおお!!?」
そっち窓ガラス!ぶち当たるからやめろってばぁぁぁ!!
「かっとビングだ!遊矢~!」
「かっとビングの意味が違いますよぉおお!!くっ、しかたねえ!やるしかねえ俺ぇぇええ!!」
―――バリィイイイイイイイン
あーぁ、窓ガラス割れちゃった・・・シラネっ!やばっ!あと10秒でチャイム鳴るじゃん!
「いそげえええええええ!!」
よしっ!こうなったら!
「かっとビングだぜっ!俺ーーーーーー!!」
壁蹴りからの教室飛び込みだーーーー!!自動ドアだから問題なしっ!!
「うわぁっ!いってえ・・・」
「え?」
「誰々・・・?」
「ねえ、あの子転校生?いきなり変な登場ね」
ん?今日はエイプリルフールだっけ?ま、いいや。チャイム鳴っちゃってるし、早くすわんねえと。
「よっと!よう!アミ!」
「うわぁっ!ビックリしたぁ、この席って空席じゃなかったっけ・・・?」
「確かそのはずだぜ?なんで?」
「さぁ?」
「おいおい!ちょっと待てよー!敏也もアミもふざけるなってばさっ!」
・・・なんであいつら不思議そうにジト目で見つめてるんだ?わけが分からん・・・。
「ほらっ!喋るのをやめろー、HL始めるぞ」
???やっぱりどういうことなんだろうなぁ・・・。
~~~
やっと放課後!慶太とデュエルタイムだぜ!
「慶太ーデュエルしy「慶太君!」
アミに遮られる俺って一体・・・。
「今日もあそこに行きましょうよ!」
「いいなそれ!早く行こうぜ!」
「おい!アミも慶太もどうしたんだよ、朝から俺のこと完全無視じゃん。なっ?デュエルしようぜ!」
「えっと・・・そういえば名前聞いてないよね!教えてよ!」
「はぁ?何言ってんだよ、アミ。俺は遊矢だろ!忘れてるなんておかしいぜ!」
「忘れてるもなにも・・・」
「知らない物は知らないしなぁ・・・」
知らないってマジかよ・・・それってありかよ・・・。むちゃくちゃじゃねえか。
ヤバい、これはきっとヤバいことの前兆なんだ。・・・そうだ!
「じゃあな!!」
「あっちょっと待って!」
あの先生ならきっと分かってる!あの先生のところに向かおう!
~~~
「遊矢、自分から来るとは珍しい事もあるな」
「ドロワ先生・・・冗談抜きなんですけど・・・っつーか覚えててくれました?!」
「覚えてるも何も、そりゃあ毎日学校に来てるからな・・・それで用件はなんだ?」
どうやらドロワ先生たちは覚えてるみたいだ。ということは遊馬さんの関係者なら覚えてたりするのか?
「・・・・なるほどな、私にもよく分からんが、どうやらまた事件かもしれない」
「事件・・・まさか!」
昨日、サーカスに行った時にみんなの様子がおかしかった・・・それが原因なのか?
「とりあえず、カイトに連絡を入れておく、今日はお前も帰った方が良い、観月ならばお前の事も覚えていただろう?」
「はい、遊馬さんの親友ですし!わっかりましたーー!!」
「事件・・・か、よからぬことが起きる気がする・・・」
~~~
「ただいまーっす」
「おかえりってあれ?あれれ?今日はもう帰ってきちゃったの?」
「みんなサーカス行ったみたいだぜ、全くあきねえよなぁ・・・」
俺の記憶がみんなからなくなってるのは秘密にしておこう。小鳥姉さんを心配させるわけにはいかないし。
これからどうするべきか・・・ドロワ先生なら事情も分かってるし、多分無断欠席も許してくれると思うし。でも、行動を起さないのにも問題があるっていうか、だからなにか行動を・・・。でもどうすりゃいいんだろう。
―――コンコン
「?窓に・・・・・・・・・・人ォォォ!?」
鍵を開けるとマジで入ってきた。
「翔さん・・・いや、真面目に普通に扉から入ってくださいよ・・・」
「いやぁ・・・悪い悪い。これからお前を遊馬の元に連れて行かないとなんだよな」
「はぁぁ!?なんで!?」
「とにかく、アーチャーとライダー・・・えっと、今度は男だぞ?安心しろ・・・」
「なんか勘違いされること言うなぁぁぁ!!」
男って、男好きってわけじゃないんだけど。朝からダッシュでやる気満々だったのにボディコン姉さんに抱きかかえられたらそりゃ驚くだろ、誰だって。
「とにかく行くぞー!」
「うわぁっ!えええええええええ!?」
とりあえず朝の二の舞のように空中散歩に入ってしまった。どういうことなの・・・。
着いたのは九十九家、・・・結構近いし歩いていった方が良かった気が・・・。例によって翔さん曰く「これの方が楽しい」らしい。全くこの人は・・・。
「やっと来たか、遊矢!久しぶりっ!」
「お久しぶりです!それで、話は・・・・」
「えっと・・・そのな・・・。サーカス団が町に来たのは知ってるだろ?」
「はい、あいつら、なんかおかしな力、持ってませんか?」
「名答だな、その通りだ。あくまで推測だけど、奴らの能力で危険分子になる遊矢に関する記憶を人々から消した。だけど遊馬の関係者からは消す事が出来ず、それは断念。その後、記憶をどこか別次元に幽閉したんだろうな」
・・・翔さん、真面目にやれば普通に凄い人のはずなんだけどどうして真面目にやらんのか。
「で、どうするんですか!俺たちには何のしようも・・・」
「ま、そこで」
「俺の出番ってわけよ!」
「翔さんの・・・出番?・・・」
果てしなく嫌な予感しかしない・・・。
「んで、どうするんですか・・・期待はしませんよ。どうせ物理行s「なにを言うか、俺はいつだって特殊能力行使術だ」
「翔、それは嘘だよな?」
「あぁ!嘘だ!」
「清清しい笑顔で嘘って言わないで下さいよ!余計心配になるわ!!」
とりあえず1時的にカイトさんに殴られました、いやいや、マジで。
「貴様ら・・・この非常時になにをしている!とっとと話を進めんか!」
「うぅ・・・分かってるよ、カイトー」
「とりあえず、コイツの力さっ」
「《時の魔術師》?」
確か、コイントスして当たれば相手フィールドのモンスターを全破壊、外したら自分フィールドのモンスターを全破壊するカードのはず。でも時って言うぐらいだからなにかあるのか?
「このカードでお前を過去へ向かわせる!」
「え・・・ええええええ!?そんなことができるんですか?!」
「できる、一応コイツの力は本物だからな」
「やってみればわかる!とりあえず、まずはお前の仲間の記憶をなんとかしなきゃいけねえ、だから・・・・えっと・・・」
「一応推測として置いておいた場所はそれぞれの伝説のデュエリストたちの時代、そして歴史的な部分、まずはココに向かわせるか」
「そうだなっ!それじゃあ遊矢にはこれから武藤遊戯さんの時代に行ってもらうぜ!」
む・・・武藤遊戯ってあの伝説のデュエリスト!?あの人の生きていた時代なんてもう100年以上前の話じゃないか!
「お前なら、きっとできる!俺たちが帰りを待ってる!かっとビングだ!」
「はいっ!やるしかないんです!」
「行くぜ!《時の魔術師》よ!今こそ時人に力を与え、過去・未来への扉を開け!発動しろ!タイムワープ!」
これから始まるのは俺自身、そしてみんなのためのデュエル!負けるわけにはいかない!遊戯さん、今から行きますよ!
そして遊馬さん・・・俺が絶対にこの世界の希望を守って見せます!やるしかないじゃん!俺!!
~~~
『まさか、風雅遊矢まで過去に渡るなんて・・・』
『ランルー、確かあの時代の記憶管理は君のはずだ』
『エー!?ぼくなのかよー!ショウガナイしょうがない、イイヨー!イッテキマース!』
『ランルー。絶対に死守しなさい、この世界を守る使者の魂から』
25話へ続く
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【あとがき】
伏線回収なんてなかった(迫真)。というわけで初のデュエル無し回、23話続けて初めてデュエル無しなんてやったわ・・・。正直会話だけで大丈夫かと思ったけど思いのほか頭の中にネタが詰め込まれてたのでラスト以外にカッコいいシーンなんてなかった。
遊矢が不遇すぎるwwwこれから優遇化されるけど同時にコイツの兄(例の銀河美少年)が不遇化してくるのだった・・・というネタ付属、いらねーよホセ。
そういえばいらねーよホセのホセで思い出したけど、合体するよ?敵が。遊矢はあくまでも変身、合体はZEXALウラです。あとプラシド。
次回は武藤遊戯の時代に突入!!長編はパラレルワールドなので無関係、つまり遊矢の事は知りません。遊矢の不遇ギャグ要素が再び発揮される(?)。あと城之内くん愉快すぎワロえないwww
【予告】
みんなの記憶を戻す為に遊矢は武藤遊戯の時代である童実野町へやってきた!遊戯を探すために慣れない町でひたすら走る遊矢の目の前に伝説のデュエリストの1人である城之内克也が現れる。
遊矢の実力を買った城之内が遊矢にデュエルを申し込む。遊矢は伝説のデュエリストとのデュエルに意気込むが・・・。
次回!「ワンショットチャンス!?決まれ!幸運のルーレット」
【今回の最強カード】
翔「今回の最強カードは《時の魔術師》だ。1ターンに1度、コイントスを行い、表が出た場合は相手フィールドのモンスターをすべて破壊し、裏が出た場合は自分フィールドのモンスターをすべて破壊するカードだけどどちらにしても破壊したモンスターの合計攻撃力の半分のダメージを受けるから気をつけろよ」
遊矢「それじゃあ!小鳥姉さんのふけてない頃にもどアダァ!?」
小鳥「レディの前でなんて失礼な事言ってるのよ!!」
遊矢「スイマセン・・・」