『子供が欲しい』

彼女が自らの意思で欲しがった、ただ一つの願い事。

俺の胸の中が静かにざわついた。

不安にかられるような、浮足立つような落ち着かない気持ちだった。

ずっと二人で―

なんと幼く浅はかな誓いだったのだろう。

俺は自分の気持ちを深く沈め、深呼吸し、笑顔を浮かべた。
彼女とずっと二人で生きていたいと思った。

歳をとって死が二人を別つまで。

緑に囲まれた小さな教会の一室で、神様には裏切られた思い出しかない俺が、馬鹿みたいに本気でそう誓ったんだ。
彼女の願いは全て叶えてやりたいと思った。

彼女は何も望まなかったが、きっと彼女が望んでるであろうと、貧しい想像力をフル稼動し、彼女の幸せに自分の幸せを重ねて、自分の欲望のままに、願いを叶えたつもりになっていた。