「寺子屋」に通い始めて、もうすぐひと月になります。
この前先生から、こんな提案をいただきました。「お子さんの気持ちに本当の意味で寄り添うためには、お母様自身が、少しの間だけでも同じ景色を見てみる必要があります」。
「同行者プログラム」では、専用のタブレットが一台渡されました。中には、回復の進み具合を記録するためのアプリが入っていて、毎日決まった時間に「今日の心の状態」を記録したり、先生の短い講話動画を視聴したりすることになっています。視聴が終わると、画面に小さな花のマークが咲いて、「今日も一歩、前進しました」という表示が出ます。それを見るのが、地味にとても嬉しかったのを覚えています。
最初は一日一本の動画だけのつもりでした。でも、視聴を終えると、続けて「関連する体験談」がいくつも表示されるようになっていて、気づけば一本のつもりが三本、四本と見てしまう日が増えていきました。花のマークが並んでいく画面を眺めていると、なんとも言えない安心感があるのです。
一週間ほど経った頃には、アプリを開く回数そのものが増えていました。通知が来ると、内容を確認するまでどこか落ち着かなくなり、家事の合間にも、つい手が伸びてしまいます。「今、何日連続で記録が続いているか」という数字が表示される仕様になっていて、その数字を途切れさせたくない一心で、夜遅くにベッドの中でこっそり動画を再生することも増えました。
先生に「最近、視聴時間が増えている気がします」と正直に伝えたところ、「それは、心が回復に向かって前向きになっている証拠ですよ」と言われ、なんだかほっとしてしまいました。むしろ、視聴が少ない日の方が「今日は大丈夫だったかな」と不安になるようになっていたのです。
夫に「タブレット、ちょっと見すぎじゃない?」と言われたときは、少しむっとしてしまいました。「これは息子のための大事なプログラムだから」と言い返したものの、心のどこかで、以前の自分なら一日に何度もそんな画面を確認することはなかったな、と小さく引っかかるものもありました。
来月からは、より詳しい記録がつけられる「同行者ライセンス」コースに進むことになりました。画面に表示される花の数を、今よりもっと増やしていきたい。今はただ、それだけを楽しみに思っています。それが息子を支える私の唯一の楽しみです。
20XX/6/18