3階の売店にスナック菓子を買いに降りて行き、エレベーター
を出た時に女性の泣き声が響いていた。
見ると2台設置してある公衆電話の奥の一台にもてれるように、
みずきが受話器を両手で抱えていた。
車いすには看護師のNさんはついていなかった。
「みずきちゃんに声かけましょうか、範野さん。」と、Kちゃんが言う。
「それより戻ってNさんに、みずきの居場所を伝えよう、Kちゃん。」
本心は違っていた。 とにかく、立っているのがやっとの、みずきの
そばに駆け寄りたかった。彼女が望まなくても、涙の理由を彼女が疲れて
眠るまで聴いてあげたかった。
「範野君、ここのところ関谷さんがね、食べてくれないようなんだ。」
「このまま食べないと、彼女、きびしくなりそうでね。」
「そうですか。確かにまた痩せましたよね?」
「うん。」
重苦しい空気は、時間を止め、この先の未来さえ見ることを許さなかった。