第2章 vol 6 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

2005-03-22
オーバーラップ 15
テーマ  オーバーラップ

 その日は恋人がいたので適当なところで切り上げ、翌月曜日にチャット風のコメントのやりとりは再開された。その場に書いてあった記事に次々にコメントを入れていきお互いの感想や突っ込みをどんどん入れていく。4つの記事に次から次へとコメントをしあった。 コメントの量はそれぞれ10以上になり内容はその映画のことを離れて雑談風になっていった。それは私にとってとても楽しかった。そうしながら私は彼のお気に入りブログにはなんのブログもないことが気になり始めた。

■Sさん他のブログは廻らないの?
映画のブログもたくさんあると思うよ
きっと色々交流したら楽しいよ
G (2004-11-15 20:51:27)

■知っている
でも僕は他のブログには興味がないんだ
君は恋愛映画はどんなの観た?
S(2004-11-15 20:53:57)

佐々木は私に恋人がいることを知っている。佐々木にも、恋人がいることを私は知っている。けれど、佐々木にもとても惹かれるものを感じてきていた。この感情を自分の中でどのように処理したらいいか次第に分からなくなってきた。これは恋心?いったい私、どうしちゃったんだろう。

■恋愛映画は
興味がないのよ。どんな映画にも必ず要素として入ってくるし。
Sさん私あなたのことを良いお友達だと思っているんだけれど。
G(2004-11-15 21:02:16)

■Gさん
僕、君ともっと話したいんだ。Gさんも僕に興味を持っていると思っているんだけどね。違う?
S(2004-11-15 21:07:48)

佐々木の言うとおりだった。

■Sさん
とにかく今日はこれで
G(2004-11-15 21:12:27)

 チャット状態でいるとき、私は佐々木の息使いを聞いたような気がした。モニターの向こうに佐々木の存在を実感していた。私と同じように、おそらくゾクゾクしながらキーを叩いているに違いない。1箇所にコメントをして、次にどこに佐々木がコメントをしているか各記事のコメント欄の数字を見る。そこへ行って佐々木のコメントに答える。
 いくつもの話題を二人で自在に操りながらお互いのコメントに込められたウイットに感心し切り返す。話題は多方面に及び、コメントに現れた相手の考え方に共鳴し、お互いのセンスに痺れた。それはちょうどジャズのセッションのようだった。相手の作り出したフレーズに反応し、それに対するハーモニーとともに新たな提案を込め送り出す。相手はそれに応えてまたこちらに戻してくる。まるで脳の中が痺れるようだった。私は佐々木とのやりとりにすっかり魅了されていた。


2005-03-22
赤い火
テーマ  あいしてる

この身をえぐる苦しみの元は
私の心に宿る赤い火
どれほどの涙を注いでも
決して消えることなく燃える

いっそすべて焼き尽くしてしまえ
貪欲なこの身を
尽きぬ苦しみを




2005-03-23
指輪~トラックバックステーション~
テーマ  恋愛についてあれこれ

 指輪。実はあまり好きではありません。頂いても、大事にしまってしまいます。アクセサリーならピアスをリクエストすることが多いですね。薬品を扱っていたときがあって、外して無くしてしまったらどうしようと思うと付けられませんでした。
ネックレスのペンダントトップのようにしていたときもあったのですが、これもまた無くしてしまいそう。
 何だか指輪には拘束感があるのです。贈って下さった男性に対するロイヤリティを誓わされているような。そういうものは私の心の中にあるべきもので、それを身につけるということはロイヤリティを強いられているような気がするのです。
何よりも自由を愛する身としてはお願いだから指輪を贈るのは止めて!と言いたいところです。
依って指輪のルールはありません。もちろん、ドレスアップしたときに右手、左手の薬指あるいは小指にダイヤモンドが光るときはありますが。
ネックレス、ピアスは随時募集中でございます(爆)

2005-03-24
自分を愛する
テーマ  恋愛についてあれこれ

 自分を好きになるということはかなり難しいことだ。自分の嫌なところは自分が一番知っている。時に自己嫌悪で一杯になってもがき苦しむ時もある。けれどどこまでも深く考えるなら、人が生きて自分のために何かをしている以上、自分のことを愛していると言えるのだ。好きじゃないという方法を使って愛していたりすることもある。結構こういう人は多いようだ。
 私自身はと言えばかなり好きになりつつあると言ったところだろうか。同様に自分を大切にすることもかなり出来つつある。では一番かと問われればうーんと唸ってしまう。

 私には大切な人がたくさんいる。どうしてか大切な人のために何かすることを、自分のことより優先させてしまう傾向があるのだ。けれどそれも大切な人のために何かしている自分が好きだからにほかならない。結局は、やはり自分が一番可愛いのだ。誰かを愛することは自分を愛すること。それであるなら、もっともっと自分を好きになってみたいと思う。
参考記事
役員秘書の恋愛指南  自分を一番好きになる
origin of art   悲しみ方
いわゆる認識の相対性 自由って何だろう
いわゆる認識の相対性 勇気



2005-03-24
混沌 10
テーマ たかし第2章

 最愛の父があるときふと漏らしたことがある。
「doorがオトコだったらなぁ」
三人姉妹のしっかり者の長女に対してつい出てしまった父の本音なのだろう。子どもながらに男女平等の世の中でそんなのは理不尽だし、私はオトコになんか負けないわと思った。

 社会に出て体力の要求される仕事に就いた。さすがに身体の大きさは変えられなかったがスピードと気配りで十二分にカバーした。けれど、なにかの時に出てくる女の子だから無理だという言葉に職業人としての限界を感じ続け、表面上平静に対応しながらこぼれてくる悔しさをトイレにこもって拭った。たかしに出会うまで、私は何年ものあいだ悔し涙しか流したことがなかったような気がする。
 やっとの思いで独立し営業を始めると暗に身体を要求されることもあった。笑顔であしらいながら心の中で中指を突き立て自分自身の強さと弱さを呪う。心の傷口に貼られた絆創膏は長い年月のあいだ幾重にも層をなして私の心を覆い尽くしてしまう。負けたくない、負けたくない、負けたくない。
やがて子どもが出来れば仕事すらセーブせざるを得ない。切迫流産でやむを得ずキャンセルすると次からはその仕事は来なくなる。あふれ出る母乳を絞り出しながらする割に合わない仕事、詰まらない仕事に嫌気がさしてくる。もはや心の中でしか流されない涙は私の心をいよいよ硬く変えていった。
 次第に積み重なっていく鬱積した感情は一番身近な男性である存在、パートナーに向けられた。男性の友人に対してもそれは同じだった。私は常に彼らに対して挑戦的であり続けた。それはわたし自身が彼らに対して甘えていたからなのだが、相手にとってはひたすら生意気な女でしかなかったであろう。私は自分の本心をいつも彼らから隠した。心の中では思い切り泣いて甘えたくてもどうすればそれができるのか分からなかった。自分を傷付けている存在の象徴である男性に甘えると言うことが、何だか矛盾しているような気がしたからだ。
 ひたすらに強さを装い続け、それは次第に私の身体に皮膚のようにまとわりつき、もはや脱ぐことすら難しくなってしまった。今、ここで自分自身を変えなければたかしだって去ってしまうだろう。この鎧をどうにかして剥がなければならなかった。

* * *

もはや、恋愛ジャンルで書いていて良いものなのかどうか不安になってきました。(爆)
初めはこんなことを書くつもりは全然なかったのですが…どうも秘密の扉は私のドロドロの吐き出し場のようです。皆様大変申し訳ないです。多分、そろそろこれも終わりになると思うんで…?



2005-03-24
季節よ巡れ
テーマ  あいしてる
木蓮の香りに春を感じ
そよぐ風は頬に優しい
雲はすっかり払われて
つきが私を照らし出す
胸の鼓動を抑えながら
くねる道を歩き続ける
桜のつぼみが脹らんだ
私のために季節よ巡れ


2005-03-27
オーバーラップ 16
テーマ  オーバーラップ

 私は恋人のことをとても愛してると思う。ちょっとした喧嘩なんていくらでもあることだ。恋人に対する気持ちが冷めたとかそういうこととは全く関係なく、佐々木は独立して私の中で光を放ち始めていた。なんと表現したらよいのか、特別な友人。それは恋心とは違うはずだった。だから恋人に私をしっかり捕まえていて欲しかった。佐々木とのやりとりの楽しさに気持ちが乱される。違う、違う、これは恋ではない。恋ではないはずだ。恋人との仲が微妙になってきているときに佐々木が現れたというだけのことだ。けれど、私の心の中に赤いランプが灯っていた。これ以上は危険だ。これ以上関わりにならない方が良い。
特別な男の友人に対する気持ちと恋心がどう違うのか自分でもよく分からなくなってきた。

 翌日は記事がアップされても無視した。その次の日は更新がなかった。けれど木曜日の更新で私は我慢が出来なくてまたコメントをしてしまう。

■ジェームス・ボンド役
長い間ショーン・コネリーが一番って思っていたけど、ピアース・ブロスナンも良い。ホントいい!
G(2004-11-18 20:30:48)

■どっちが好み?
僕は初めから似合うって思ってた。でも、ブロスナンこれでボンド止めちゃうんだよね。
S(2004-11-18 20:41:36)

■ブロスナン惜しいよ~!

でもショーン・コネリーがやっぱりセクシーさでナンバーワンかなw
あと、話変わるけどテイラー・オブ・パナマ、私途中までてっきり007だと思い込んでいたよ~wいったい今回のジェームス・ボンドどうしちゃったんだろうってw あの映画のオープニングは痺れる。プロの手つきって感じでw
G(2004-11-18 20:46:41)

■わかるわかる
アレは凄いよ、手の動きに全く迷いがない。ジェフリー・ラッシュの役者根性を感じる。
あとハリポタのダニエル・ラドクリフが出てたろ。

映画館の看板に007って書いてなかったとおもうけど(笑
S(2004-11-18 20:49:12)
■え、そうだった?

ごめん、子役まで覚えていないw 私はジェイミー・リー・カーチスも好きだから、目がいかなかったのかな?
彼女が着ていたスーツが、いかにも仕立屋の女房のスーツって感じのカッチリとした仕立てで、かっこよかったわー

テイラー・オブ・パナマはビデオで見たのよ
G(2004-11-18 20:53:03)

■え、そうだった?2
ごめん、スーツまで見ていないwそういう見方もあるのか面白いな。
一応言っておくと今日はダイ・アナザー・デイの記事を書いたつもりなんだけど。
S(2004-11-18 20:55:44)

もう一つ「アイ,ロボット」の記事のコメント欄では好きなSF作家は誰かという話になって、モニターの上でひたすら盛り上がりながら佐々木とはこれ以上気持ちが大きくなる前にやめなくてはと理性が働く。だけど、何で?
結婚しているわけじゃなし、仮に彼と付き合うとしたって、恋人との関係のように私は引け目を感じなくて済むし、通じない話にイライラさせられることもない。何で彼ではいけないの?恋人に対する燃えるような想いは無くても、充分楽しい。恋人とはずっと一緒にいたいのに、最近はここへ来ても疲れ切っている彼を見守ることしかできない。
 気が付くと、恋人と佐々木を両天秤に掛けていた。果たしてどちらを選んだらいいのか。私はそれに気が付いて自己嫌悪の泥沼に身を沈めた。自分はひたすら醜かった。



2004-03-27
優しい視点
テーマ 恋愛についてあれこれ

 先日仲の良いブロガーさんからメールを頂きました。
最近、お元気そうに感じる…
以前よりもコメントに対するレスが柔らかくなったような

(無断引用ごめんねw)
 拝読してびっくりしてしまいました。自分としては変えていないつもりでも、ずっと見守って下さる方にはちゃんと伝わってしまうんですね。とても嬉しく思いました。
 多分アメブロを始めてから今が一番良い精神状態かもしれません。「秘密の扉」は私の解放作業そのものですから色々なものからどんどん解放されていっています。ネットを離れた自分も周りもずいぶん変わりました。

 私は比較的決断が早いほうです。やりたいこともたくさんあるので、悩む時間がもったいないのです。レストランのメニューは見て一瞬で決めます。買い物も何点か見たあとで即決できます。
 なにーぃ?こんなに毎日グシグシ考えているdoorの発言とは思えないって?
 私が悩むのは恋愛に関することだから。人は変わる。成長する。だから見極めが難しい。
私は自分をより良くするために毎日努力していたいと思います。ましてや他の方も努力されます。現時点のある人を評価するのはとても簡単なのです。けれど時間が経つとその人も変化していきます。あの人はこう言ったからもうダメだなんて決めつけてしまうのはとても悲しいことだと思います。ま、時にはスパッと切り捨てるときもありますが、これはよっぽど(苦笑)えぇ、色んな人がいますから…

 自分をあきらめてしまいそうになる一瞬は誰にでもあります。けれど私はいつも前に進みたいと考えていますし皆さんもそうだと思います。その無限の可能性を見守っていきたい、信じていきたいとこの頃思うのです。
人は成長する、自分も成長する

心の癒し「どんな人にも優しい視点を持てる方法」 トラックバックさせていただきました。



2005-03-28
視線 1
テーマ たかし第2章

9時半過ぎチャイムが鳴ってたかしが部屋にやってきた。
 あれ以来彼からは何の連絡もなかった。私は金曜日の夕方に彼の携帯にメールを入れた。「今日は来るの?連絡を頂戴」けれど返事はなかった。私は一人で簡単に食事を終えコーヒーを飲んでいた。今日何を書こうかとブログのことを考えて、G4の電源を入れたばかりだった。
 「あら、いらっしゃい」と言うとたかしは何も言わずにいきなりキスをした。抱き寄せられて彼の舌が私の唇の中に入り私は戸惑う。初っぱなから飛ばしているなと思った。そう思いながらもねっとりと動く舌を味わい彼に応えていく。私は唇の端を舐められるのが好きだ。激しいキスで口の周りはぐしゃぐしゃになってしまう。無理矢理顔を背けて私が一度唇を離すと、今度は耳をなぶり始めた。首筋にたかしの息がかかる。こうなるともう私は立っているのもやっとだ。
 思わずのけぞった胸をたかしの大きな手が伸びて柔らかく掴む。親指で乳首の位置を確認している。たかしのコートにしがみついて身体を支える。
「ねぇちょっと、こんなところで…」
ようやく自由になった唇は塞がれてしまい、再び激しいキスが始まる。胸元の手は私のワークシャツのボタンを一つ一つ外していた。何とか体勢を立て直してたかしのコートを引きずるように脱がせた。ワークシャツはすっかり脱がされ、キャミソールのひもも下げられブラジャーもどこかへすっ飛んでいってしまった。縺れるようによろよろとベッドに向かって歩きながら、たかしは蛍光灯のスイッチを切った。薄明かりの中たかしに、話しかける。
「シャワーは?」
たかしは黙ったまま背広を脱いでネクタイを外していた。



2005-03-30
視線 2
テーマ たかし第2章

 ベッドの上に座って立っているたかしの顔を見つめる。こんな風に上から見下ろされる時、いつもどういうわけか彼の目が冷たく感じる。端正な顔だけに余計冷酷な印象を受ける。目の底に金属のように冷たいものを感じるのだ。それが私の心をざわつかせる。
「この間はごめんね、言い過ぎたわ」
「いや、俺も悪かった」
「私今日まだお風呂に入っていないんだけど」
「んー」
ベッドの上に横たえられ、たかしに抱きすくめられて私も何だかどうでも良いように思った。外から来たばかりのたかしの手がまだ冷たくて素肌にヒンヤリとする。そのくせ、少し髭が伸びかけてざらつく頬が熱かった。胸元に移った彼の頭をそっと抱きしめながら私は頭の向こうで子供の件をどう話そうか考えていた。彼の髪を手で梳き、耳を摘み頬を撫で髪の生え際をなぞる。
「ンとー今日は大丈夫な日だったっけ」
私は黙って頷く。
たかしはにっこり笑って丁寧に作業を続け始めた。
先程と違い、私を見上げるたかしの視線は潤んで可愛らしい。このまま時が止まってしまえばいいのにといつも感じる。これから楽しいことが始まるという時が実は一番楽しいのだ。その最中はひたすら感覚に身をゆだねる。感覚に集中してひたすらもっと気持ちよくなりたいと願うだけだ。やがて私の脚の間に彼の指が届いて思わず声が出てしまう。



2004-04-01
運命~赤い糸なんて信じない~
テーマ 恋愛についてあれこれ

 いつも好きな人には赤い糸を信じてしまいたい。けれど、そんなのおとぎ話。2本も3本も繋がったり途切れてしまったり絡んだりしてややこしいじゃない?
 私は大切な人との出会いはいつも運命だと思っています。どうしてこちらとあちらがほぼ同時に好き合うのか説明なんて付かないでしょう。
けれど運命の出会いをどう育てていくかって言うのは私たちの意志にかかっていると思います。最近は物理学者まで多元的宇宙論(SFで言うところのパラレルワールドね)に賛同する方が増えているらしくて、その選択肢の中で無限の可能性があるわけだけれども自分というこの続いていく意識は一つしか認識できないわけです。
 あの時こうしていたら、もしこうだったら、なんて私たちは考えがちだけれど、取り返しのないことを悔やんでも詮無いこと。今いるこの場を、そして未来をどう創っていくかというのはすべて私たちの意志にかかっていると思っています。
 以前サイババで有名な青山先生とお話しさせていただく機会があって、その時にもこの話題がでました。先生はアガスティアの葉(個人への予言書みたいなもの?)でご自分の運命を死ぬ日までご存じだそうです。
「運命が分かってしまうと努力するのが虚しくなってしまいませんか」
「例えば本が出版され売れるということが予め分かっていても、実際に書く努力はしなければ本は出ないし、書く以上はキチンとしたものを書かなければならない。そういう意味での努力はどちらにしてもしなくてはならないんですよ」
 私たちには運命がどう転ぶかなんて予測できません。けれど、日々の生活の中で目標に向かって生きていくことが運命を切り開いていくことだと思うのです。 運命の出会いをあなたの運命にするのは自分の意志にかかっているとは思いませんか?



2005-04-01
視線 3
テーマ たかし第2章

 ふと開けた目がたかしの視線とぶつかる。私の反応を確かめているのだ。どこをどうすれば私が感じるのか目をやや細めて冷静に見ている。その視線そのものに犯されているような気がして私はたじろぐ。たじろぎながら目と身体の両方で犯されながら、それを歓んで受け入れ求めてしまう自分がいる。
 私はセックスが終わった後いつも男性を気の毒に思っていた。どうあっても男性は女性ほど感じていないように見える。全身が痺れるような快感、ひたすら登りつめてはじけ飛び虚空を舞うような絶頂感を男性は想像もできないに違いない。感じ始めると身体中の触覚が別物になったように変化してひたすら切なく中心に向かって収束し、拡散する。その例えようもない陶酔を知らずにセックスをするなんて気の毒としか言いようがない。にもかかわらずあれほど熱心にセックスを求めるのはやはり本能のなせる技なのだろうか。
 けれど私はもはや気の毒に思ったりしない。セックスの快楽は出産の苦痛と引き合うべきものだからだ。二ヶ月も吐き気と戦い続けるつわりの期間。おなかが大きくなりバランスの悪くなった身体を支えるために引き起こされる腰痛。何をするにもだるくなり、重い体を引きずって動く不自由さ。出産に備えてミチミチと音を立てながら開いていく恥骨の痛み。やがて波状に襲ってくる腹部の収斂と鈍い苦しみ。逃れようもなく続く苦痛の果てに、やがて身体がどうなっても良いと思われるほどの痛みを経て、最後の力を振り絞って自らを引き裂き生命を生み出す。もちろん子供が産まれる喜びというのはあるが、これほどの苦痛と引き合うべき快楽があって当然ではないだろうか。
 だから私はひたすら快楽に対して貪欲だ。時に自らの命と引き替えにするのだもの。どんな快楽があったとしてもそれは正当に受けるべきものではないだろうか。
 もちろんそんなことは決して口にしない。たかしの指の感触と鎖骨を這い回る舌が、この瞬間の私の全てだ。私の身体がどんどん熱くなっていく。



2004-04-01
表現として自らを晒すこと
テーマ ブログ

人気ブログ今年ゼッタイ結婚します~ひろこ28歳の日記~ を時々拝見している。
 ダイエットのために砂肝を常食され、ヨガを愛しダイエットに成功(見ならおうっと)しょっちゅう食べ物を腐らせてしまう綺麗なお嬢さんだ。非常にリアルに等身大を表現されるのでつい面白く読んでしまう。 そのひろこさんが今夜11:00~10分間生まれたままの姿を晒すそうだ。エイプリルフールなので本当かどうか分からない。自分の殻をうち破るきっかけにするそうだ。コメント欄では止めるようにとの意見が多数を占めているが私は好きにすればいいと思うのだ。
 私はこの「秘密の扉」で自分の内面を晒してきた。書くことで自らを振り返り前向きに生きていくために始めた。ひろこさんと似たようなものだ。

 昨日一昨日と36時間アメブロの休止中メンテ画面を見つめながら私はふと自分がどこかへ行ってしまったような、そんな不思議な気持ちになった。ネット上での私の人格はハッキリとここにあり皆この画面を私だと思っている。自分すらそう思ってしまうほどなのだ。
 その私がセックスを描くのは人前でそうするのと同じようなもので、しかも半年間の間に見知らぬ誰かは友人になっていた。だから第2章では詩でさえもあまりエロティックではない。けれどもここのところあまりにも自分の内面に入りすぎて、ここまで書いたらもう何を書いても一緒という気持ちになってきた。書いてみるとこれはこれで楽しくすらあって、そんな自分に変態さんの芽を発見したりもする。けれど生々しく自分だという感じもするのだ。
 ブログの面白さはリアル感とライブ感であると私は考えている。だから、その表現に必要なのであれば、おやりになればいいと思うのだ。自分を表現することはどのような形でも良いと思う。自らを見失わないために表現するのだし、その責任とリスクは十二分にご承知のはずなのだから。

何だかひろこさんに騙されたっぽいです。
それじゃぁ私一人馬鹿みたいじゃないですかっ!



2005-04-01
視線 3
テーマ たかし第2章
 オネガイダカラハヤク…私は元々気が短いせいかセックスの時につい焦れてしまう。けれどいつだって答えは口の端に浮かぶ笑みだけで彼の思うタイミングでしか与えてはもらえない。多分時間にしてみればそんなに長い間ではないのだろうが私は彼に弄ばれてでもいるかのような錯覚に陥る。たかしの濡れた指は乳房に戻り私は泣き出したいような気持ちになってしまう。
「ねぇ、お願い…」
 口に出した途端くるりと彼に体を廻され背中から抱きすくめられてお尻に当たる彼の感触は熱を放っていた。その熱さに私は夢中になる。もうすぐだ。きっともうすぐ。けれど、この程度では到底許してもらえないだろう。期待と悔しさが入り交じった私はひたすら焦れるより他はない。
「ねぇ、お願い」
言っても無駄だと分かっていて、どうして訴えてしまうのだろう。声はもう絞り出すような調子に変わっている。
「まだだよ」
 背後から耳元で囁かれて糸を引き千切るような焦燥感と両手で宙を掴むもどかしさが切なかった。息のかかる首筋や絡み合う脚までこんなに感じているのに、全身から感覚がさざ波のように沸き立って、中心をめがけて寄せていくのにその中心は今だ空っぽのままだ。
 オ願イハヤク、ハヤクコノ虚シサヲウメテ、ハヤクハヤク
 身体中を愛撫するたかしの手に抗うことも出来ずに弄ばれて私はもがきながら心の中で叫んでいる。
 オ願イダカラ、ハヤクキテ。オネガイ、オネガイ、欲シイノ、ハヤクオネガイ…心の中の叫びはきっと全部彼に聞こえているに違いない。私ははしたない気がしてなるべく口にしないようにしていても、全て彼には見透かされているようだ。
ナンデ?ワタシコンナニ濡レテイルジャナイ、コンナニアナタヲ欲ガッテイルジャナイ



2005-04-03
春の宵
テーマ  あいしてる

月
ヘッドライトの光を浴びて
芽吹き始めた木々に問う
なぜこんなにも胸が痛いの

夜風に髪をなぶられながら
雲間に覗く月に聞く
なぜこんなにも胸が痛いの

ぱらつき始めた雨に濡れ
揺れる川面に明日を見る
なぜこんなにも胸が熱いの

* * *

気持ちの良い夜です、お散歩に出かけませんか



2004-04-03
魅力的な人
テーマ 恋愛についてあれこれ

先日SAMマスターに「私が知るアメブロガーいい女ランキング1位」と褒められてしまったdoorです。そのわりには読者にもなっていただいておりませんwのでお上手ということで(爆)
 イイ人というと友人のニュアンスがあって、イイ男、イイ女だと魅力的な感じですね。じゃ魅力ある人ってどんな人だろう。何回かに分けて書いてみたいと思います。このことについては相対性の頃からずっと考えていたのですが思うようにまとまらない。ところが今日待ち時間にi-Podでソリティアをやっていて閃きました。もしかしたらトランプのスートみたいなものかもしれない。

スペード 意志、勇気、行動力、
ハート  受容力、優しさ、感情
ダイヤ  経済力、実際的
クラブ  理想 教養 知性

こんな所でしょうか。またあとで書き足すかもしれません。
男性と女性で多少変わってくるのかもしれませんが、これら全てをある程度持った人がいたとしたらその人は魅力的な人物だと言えそうです。そして、もう一つ重要なポイントがあるのですがそれについては最後に書くことにしたいと思います。
今回は大好きな柳沢先生のブログ にトラックバックさせていただいてます。

スペードの力
これはどちらかというと男性的な側面と言えそうですが、もちろん女性にも必要です。
あるべき理想と、現実の間を繋ぐのはひとえに意志にかかっています。
>大人と子供を分ける基準は年齢ではなく、『意志の強さ』、『心の強さ』、『欲望をどれだけコントロールできるか』
女性は強い意志を持った男性には魅力を感じますよね。はい、かなり弱いです。今の時代ですと、女性もかなり意志的な方が好まれるのではないでしょうか。男性に選ばれるだけの人生なんて詰まらないと思いませんか。私は意志的な女性に魅力を感じるのですが、皆さんはいかがでしょう。

困難な現実に立ち向かうには勇気が必要です。
高い山を目の前にしたときにやっぱり止めようって思ってしまいますね。人間やっぱり楽して生きたい。そりゃそうですね、つい怯んでしまう。でもダメで元々じゃないですか。虎穴に入らずんば虎児を得ず。
さて、あなたはどうしていますか?
チャンスや、時間を無駄にしないだけの行動力も必要だと思います。
決断力、集中力も関わってくるかもしれません。実際にやってみなければどうにもならないのですから全力投球で実行しましょう。バリバリと行動できる男性って素敵ですよね。もちろん現代の女性も。チャンスの神様は前髪しかないそうです。一生って、長いようで短い。過ぎ去ってから追いかけても無駄ですから。

次回はハートの力



2004-04-04
魅力的な人--ハートの力
テーマ 恋愛についてあれこれ

魅力的な人のコメント欄でアメブロガーいい女ランキング2位wのbowさん が書いて居られましたがさすが2位!<生意気失礼!w
おっしゃるとおりトランプは元々タロットカードの小アルカナカードが前身です。
じゃ、タロットカードってどこが起源なの?どういう思想から出来たの?
古代エジプト、古代インド諸説あるようですが真偽のほどはわかりません。陰陽思想とか、五行思想とかそういったものに準ずるものとして私も捉えています。

スペードは剣、
向かっていく力とでも表現しましょうか。元々は武士や規則階級を表したもののようです。
ハートは杯、 
受け入れる力。元々は聖職者を表しています。
ダイヤはコイン 
物質的な力。元々は商人。冒険や、財力を表しています。
クラブは棒  
教養や知性は実は聖職者のものですがダイヤに対応させるために、ここでは意味を勝手に(爆)変えました。元々は農民階級のことで継続性や努力を意味します。

私もbowさんと同じように両性具有的なひとって魅力的だと思います。
現代は封建時代ではありません。一人一人が自立して支え合っていく。色々な側面を備える人は魅力的で飽きないと思います。そこには男性女性の別はないと思っています。
男性的な女性も、女性的な女性もそのバランスは人それぞれ、それは個性というものだと思います。ただ、この各要素を表面に出すか、いざというときだけに出すのかということもありますし、どちらにしても自分に欠けている面を自覚してイイ男、イイ女を目指していきたいなと思うのです。
さて今日は

ハートの力

これは女性的な側面と言えそうですがもちろん男性にも求められる力です。

物事や、誰かをありのまま認め受け入れることの出来る受容力は愛です。
存在そのものを愛おしむことはとても難しいことです。なんにでも誰にでも欠点はあります。自分にとって都合のいいことばかりを備えているわけではありません。それを受け入れてなお存在を愛することの出来る受容力。広く、柔らかい心が必要です。そしてそれは愛そのものだと私は思うのです。

優しく思いやりのある人には癒されます。現代では皆病んでいます。
ネット上では匿名のやり取りが多く、出入りも頻繁です。アメブロ以前からそうでしたが、特にここに来て、現実世界で会うこともない人たちとの交流がこんなに思いやりに満ちたものとは思いませんでした。辛いときのホンの一言にどれくらい励まされたかしれません。相手のバックグラウンドもよく判らない中、年齢も性別も様々な人たちの中でこれほど暖かな気持ちになれるというのは素晴らしいことだと思います。もちろん、自分には直接関係ないからそういえるのかもしれません。しかしそれでも、伝わるものはあるのです。それを信じて、私は半年間ここでやってきたような気がします。ただ残念なことにそういう人ばかりではなく私もずいぶん怖い想いをさせられました。そんな人もいつか色々なやり取りの中で癒されていくと良いなと思います。
話がそれましたが、もちろん現実世界でもそれは同じことです。人を思いやる気持ちを素直に示せる。恥ずかしがらないで自然に出来る人って魅力的だと思います。



2005-04-05
オーバーラップ 14
テーマ  オーバーラップ
 翌日も同じように楽しみ私はいよいよ深みにはまっていくようだった。翌土日は更新が無く、月曜日も火曜日もなぜか更新はなかった。彼に何かあったのだろうか。一本電話をかければ済む話だったがそんなに楽しみにしていると思われるのもしゃくな感じがしていたし、佐々木が飽きて止めるのならそれで良いとも考えた。だって私には恋人がいるんだもの。彼を愛しているんだもの。
 けれど冷静になろうとしても、佐々木が更新する時間になるとそわそわとしてしまう自分がいた。いったい彼はどうしたのだろう。コメント欄の最後に書き込む。

■お風邪ですか?
お大事になさって下さいね。
G(2004-11-23 22:29:54)

 水曜の昼過ぎに佐々木から電話があった。
「後藤さん?佐々木です」
「あぁ、佐々木さん、こんにちは、更新がないので、風邪かと思って心配していたんです」
「んー、ちょっといろいろあってさ」
「どうしたんですか」
「うん、電話じゃ話難いな、夕方ちょっと出てこない?」
「それは構いませんけれど」
「ホントは僕がそっちの方にいければ良いんだけど、会社を出るのが7時くらいになっちゃうと思うんだ」
「それ、もう夕方じゃないですよね」
「あはは、そうだね、場所はうーん…」
会社の近くでは都合が悪いのかもしれないと私は思った。
「じゃ、佐々木さんのうちの方まで行きますよ、うちからだと、神田も駒込も変わりませんから」
「じゃぁ悪いけれど駒込駅の上の口、六義園の方の改札口で待ち合わせは?時間は…7時40分くらいかな」
「分かりました、六義園の方の出口ですね」
「悪いね、わざわざ」
「いえ、このところずっと出かけていなかったし」
「それじゃ」
電話を切った後、電話では話せないいろいろあったことってなんだろうと想像した。けれど心当たりは何もなかったし、私は買ったばかりのコートに合わせる服を考え始めた。
 
 さすがに11月も下旬になると風は冷たかった。大きな通りに面した駒込駅で佐々木を待ちながら道行く人を眺める。襟を立てて足早に通り過ぎる人。塾帰りらしい小学生。大きな荷物を抱えた学生。それぞれの人たちの生活がその足取りに伺える。
「よう、悪いね、こんな所まで来て貰って」
「いえ、お元気そうで良かったです」
「んじゃ、飯でも喰いに行きましょう」
佐々木は先に立って歩き始めた。半歩遅れて私も続く。佐々木の家の方の出口とは違ったので方向感覚がつかめなかった。駅の表示板によるとの六義園方向に向かっているようだ。
「ブログっていうのも結構楽しいね」
「佐々木さん、もっと他の人の所へ行って、交流すればもっともっと楽しいですよ」
実際、更新のない間に検索から来たらしいトラックバックが2個ほど付いていた。
「うん、もうちょっと記事が増えたらね」
「トラックバックが2個付いていましたよ。コメント欄にはさすがに書きこめなかったみたい」
コメント欄はGとSが交互に大量に書き込んでいるのだ。誰だって、躊躇するだろう。

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