よく、外国語を学ぶためには、趣味を持つのが良いといわれる。

別に英語を勉強するために音楽を聴いているわけではないけれど、高校時代からメタルを聞きまくり、その偏った趣味のせいで邪悪な単語ばかり覚えてしまった。


deicide:神殺し

genocide:大量虐殺

infanticide:乳児殺し

というわけで、-cideは「殺し」という意味。


他にも、carcass(動物などの死骸)、corpse(死体)、cadaver(解剖用の死体)、

entomb(埋葬する)、tomb(墓)、sepulture(埋葬)、burial(埋葬)、

dismember(手足を切断する)、lobotomy(前頭葉切開術)、dissection(切開、解体)、

suffocation(窒息死)、obituary(死亡記事)、six feet under(埋葬されて、死んで)

gore(血のり、残酷シーン)、doom(悲運、破滅)、ruin(廃墟、破滅)、sludge(ヘドロ)

mourning(悲しみ)、despair(絶望、憂鬱)、depressing(憂鬱な、重苦しい)、

disease(病気、腐敗、堕落)、decease(死去する)、obsessed(取り憑かれた)


もういいか。この辺の単語は間違いなく、単語帳からではなく趣味の世界から覚えた言葉だ。使えるかどうかは全く保証できないけれど。


ではモンゴル語ではどうだろうか。モンゴルのロックだけについて言えば、バンド名も含めて邪悪度が足りない。「Fire」(火)だとか、「KHURD(ホルド)」(スピード)だとか、「Nomads」(遊牧民)とかそんなのばっかり。中学生でも思いつきそうなバンド名である。別に邪悪な単語が覚えたいわけでもないのでいいんだけど、バンド名のカッコ悪さには、たまにズッこける。


よく分からないんだけど、モンゴルでは、良い言葉使いたい(悪い言葉は避けたい)みたいな気持ちが強いように思う。たとえば、授業の最後の方で「テロリズム」とかそういうネガティヴな言葉を先生が黒板に書いたときに、「こんな単語で終わりたくないので、良い言葉で終わりましょう」と言って、その単語を消し、「幸福」とか「長寿」みたいな「良い言葉」を書いて終わろうとする、ということが良くある。年配者だけなのか、その辺はよく分からないけれど、そんな感じの「言霊信仰」みたいなところがあるのかもしれない。なんかその辺は、綺麗なことばっかり言ってる感じが物足りない気分にもなるけれど、そういうモンゴル人のメンタリティは面白いなあと思う。まあ馬鹿みたいに「FU※K」だの「SH※T」だの人真似でいってるよりは良いかなあ。


全くもって話が逸れたけれど、趣味を持てばいいというのも、趣味を広げるツールがあればいいけれど、その趣味に関するモンゴル語の本とか情報が少ないから、結局どうするんだろう、というところもある。今のところは、新聞を読んで、なるほど、と思うのが一番楽しい、ってそれじゃあ普通の学習法だなあ。

夕方、ハンガリーからの留学生オリベルがうちに来た。

今度チベットに行くから、その間、 買った本を預かって欲しいとのことだった。

やって来たオリベル夫妻(奥さんはアニーみたいなかわいらしい子)は3つのかばんを持ってきた。

一つ持ったけど、かなり重い。後で聞いたら、全部で100キロぐらいあるらしい。

学生寮からどうやって運んだんできたんだ、しかも二人で。


とりあえず疲れたので(オレが)、3人で紅茶でも飲みながら談笑。

こういうとき、人をもてなすのが慣れていないんですが、

とりあえず、その辺にあったクッキーとおせんべいを出した。

おせんべいは実家から送ってきたもの。

なんか無難かなあと思って出してみたけど後で自分で食ってみたら

納豆おせんべいだった(涙)。

奥さんは「おいしいわ」とかいってたけど、我慢してたんかなあ。


ひとしきりどうでも良い話とかをして、じゃあ、ということで二人が帰ることに。

フッとオリベルが僕のDVDプレイヤーの方を見て、

「オマエはDEATHとか聴くんデスか?」

と聴いてきた。プレイヤーの上にはDEATHのライヴDVDのケースがあった。

こいつは野蛮なやつだ、と軽蔑されるのかとも一瞬思ったが、

こればっかりは仕方ないので、「ああ、聞くとも」と答えたら、

「おー、子供の頃、よく聴いてたよ」と言った。

なにーっ!!!!

他には?と聞くと、「EMPEROR知ってる?」ですって。

ブラックメタルじゃないですか!

東欧とか北欧のブラックメタルファンってマジで物騒な感じがするなあ。

もしかしてオリベルは、アンチクライストで教会とか燃やしたりしてるのかなあ、

なんて考えたり考えなかったりしながら、CANNIBAL CORPSEや

MAYHEMのライヴDVDを見せると、やや喜ぶオリベル。

ついでに、ハンガリーでもっとも有名なTORMENTORというブラックメタルバンドのことと

友達のバンドGIREのHPのURLを教えてくれてた。


さらに、今度友達が夏に来るからハンガリーのブラックメタルバンドのCDを持ってこさせるよ、

と言い残し、彼は去って行った。


モンゴルに来てから、同じ趣味の音楽なんて聴く人には

あんまり会わないんだろうなあと思っていたが、

意外にもたまにそういう外国人に会う。

ポーランドから来たズビシェックはLED ZEPPELINやら

BLACK SABBATHがかなり好きらしく、

年末にクリスマスパーティをしたときもDVDを流していたら

帰る間際まで名残惜しそうにみていた。


嗚呼、ROCK FOREVERだな、

おっさん、あんたの言うことは正しいよ

と思った(嘘)。


rock show

留学中の学生、K上君とともにモンゴルのロックショーにいってきた。

以前、JAZZ LIVEと銘打たれたコンサートに行って、民族音楽あり、

最近のロックバンドの出演ありと、かなりミクスチャーなものを見せられて

ずっこけた思い出があるので、まったく期待はしていなかったけど、

結果的にはとっても面白かった。


20時からというわけで、夜だしちょっと怖いねえという感じだったけれど

モンゴル人の数少ない友達ヒャグワ(Lkhagva)が一緒に行きたいといってくれて、

願ったり叶ったり。

とりあえず彼は用事があるから後で合流ということでK上君とともに会場へ。


案の定、20時を過ぎても20時半を過ぎても会場すらしないので、

ロビーのようなところで待っていた。見た感じ、メタルTシャツを着てるやつや

(SEPULTURA、CANNIBAL CORPSE、IRON MAIDENなどなど)

レザー系の人なんかが来ていて、ああロックのライヴっぽいなあと思い、

僕ら二人のややテンション上がり気味に。

rock show2

そこで、年齢不詳の革ジャンのおっさんに話しかけられた。

「日本から来たのか」

話によると参加バンドのメンバーらしく(といってたはずだけど、結局出てなかった)、

そのライヴには日本から来たギタリストも参加するなんてことを話したりしていた。

でもそのおっさんはいかにも酔っ払い風で酒臭く、途中から

「日本はモンゴルに攻めてきた。とても悪い奴らだ」というようなことも言っていた。

モンゴル人の対日感情は概ね良好であるというのはよく言われているし、

実際多くの場面でそうだけれど、こういうことを言ってくる人もいるし、

少なくとも、本当にそう感じている人はいるんだよなあと改めて思った。


そうは言っても、初対面の人間にいきなりそんなこと言うのってどうなんだろう、

とあまり良い気持ちはしなかったが、その人と一緒にいた女の子が

日本にけっこう長くいたらしく日本語が上手な、綺麗な子で

(アリヴィルラヴィーンだかアヴィリルラヴィ-ンだかに似てる気がした)、

その子が「酔っ払ってるから気にしないでね」とフォローしていたので、

気にしないことにした。


その後もそのおっさんはチョロチョロと話しかけてきたんだけれど、

途中、何の前触れもなく、彼は僕らに向かって、

「Rock forever !だよな!」

と、(英語で)のたまった。

あんまり発音が良くなかったのでK上君はかなり「??」な感じだったみたいだが、

僕はすぐに理解して、思った。

お前が語るなっ!

でもよくよく考えると、日本でもなかなか聞けないその台詞は

僕の笑いのツボに相当はまってしまって、後から思い返しても、笑えて仕方なかった。

というわけで、ライヴ開始前に今日のクライマックスが早くも訪れ、

今日は楽しいに違いないという確信めいたものを持つことが出来た。

ちなみにその後、そのおっさんは僕達と話した女の子とは別の、知り合いらしき女の人にからんで

抱きついたりして、キレられて、思いっきり膝蹴りを入れられてました。

嗚呼、戦慄の膝小僧。


遅れてヒャグワが到着し、程なくして会場に入り、

そこからまた30分だか1時間だかして開演。

最初は、なんか文化祭みたいだなあという感じの雰囲気の中、

NIRVANAっぽいバンドやらなんやらが出てきた。

中盤で、今日のトリと(俺らに)思われていた、

女性歌手オトゴーと、NIRVANAっぽいバンドNISVANISという、

俺らの2大知ってるバンドが早くも登場。

今後どうなるんだろうと心配されたが、その後、

シンフォニックな(?)キーボートと女性シンガーをフィーチャーした

ゴシックやりたいんだろうなあバンド、GOTIKA(名前もそのまま)、

ヘヴィーなロックバンド、The NOMADS(with 日本人ギタリストFumii)

などが登場して、会場的にも大盛り上がり。


結局ロビーでみたSEPULTURAとCANNIBAL CORPSEのTシャツの人らは

GOTIKAのメンバーだった(GOTIKAのドラムは12歳らしい)。

メタルといってもファストな曲をやってるバンドはなかったし、

かといってもドゥームとかでもないし、

いたって普通にヘヴィなミドルテンポの曲をやる方々で、

実際どうなのといわれたらそんな好きな音楽でもなかったかもしれないけれど

アンダーグラウンドなシーンというか、こういう音楽を好きでやってる人も

こういう音楽を好きで聴いている人も確実にいたということが嬉しかった。


途中でK上君の友人(一緒にバンドをやっているらしい)デミも来て4人で見ていた。

それ以外にも、僕が通っている大学に留学に来ているドイツ人とフランス人の女の子らや、

うちの大学のパーティの時に知り合ったモンゴル人の男(こっちはまったく覚えていなかったけど

むこうが覚えていてくれた)らもいて、なんだかやっぱりウランバートルって狭いなあと思った。


この調子だとオールナイトなのかなあ、と思った1時過ぎに、急にライヴが終わった。

それからK上君とヒャグワとデミと4人でタクシーにて帰宅。

やっぱりモンゴル人が一緒にいてくれるととても安心だったので

彼ら二人には激しく感謝した。

しかも、出すって言ってるのに帰りのタクシー代を固持された。

なんか本当にいい人たちだ。


というわけで、そんなことも含め、非常に感動的な一日でした。

last action hero

実はこのCDは持っていない。持っていないのだけれど、僕にとっては重要な意味があると思っている。


この映画が公開されたのは、僕が高校1年かなんかのときだった。

当時一番仲のよかった友人は映画もロックも好きなやつだったのだが、

そいつにこの映画に誘われて、たしか先行オールナイトを観にいった気がする。

そいつがこの映画を見たかったのは、この映画のサントラがすごいから、ということだった気がする。

このサントラに収録されているバンドを簡単に列挙してみると、

AC/DC, Aerosmith, Def Leppard, Queensryche, Anthrax, Megadeth, Alice in chains, Teslaなどなど。

確かにすごい。今でこそ、メタル系のバンドがたくさん収録されているサントラはたくさんあるけれど、当時としては画期的だったんじゃないかなあ。


でも当時の僕はまだハードロックやらへヴィメタルやらを聞いていなかったのでまったく何のことやら、だった。ただ、その友人の影響もあって、かなり興味を惹かれ始めている時期でもあった。それで、家に帰って、サントラに収録されているバンドを眺めながら、なんかひとつCDでも買ってみようかなあ、と考えた。


たいして判断基準になるものはなかったが、あんまりメジャー感が強すぎるのはなんとなく避けたかった。

ちょっとマニアックにいきたかったのだ。今風に言うと、ちょいマニ高校生だ(今風かなあ)。というのは、当時の僕からすると、その友人はハードロックの世界にものすごく精通していて、羨ましくもあったが、俺もなんか聞いてみようと思った背景には、少なからず、こいつに負けたくないなあという部分もあったのだった。だから、そいつもあまり聞いたことないのを聞いて見ようとか思っていたのだ。今考えると、本当にくだらないけれど、その考えがあったから、今好きになった音楽と出会えたのかもしれない。

ちなみに、そんな考え方だったもんだから、当時人気があって、メジャーだった(今もメジャーだけど)、MetallicaとかPanteraとかはかなり後になって、ホントここ数年で遡って聴いた感じなのだった。


さて、何を聴くか。結局選んだのは、Alice in chainsだった。なぜだったかといえば、このサントラに唯一2曲提供してたから。それだけで、なんとなくこのバンドは良いバンドなのかも、と思ってしまったのだ。それで、別の日記で書いたようにAlice in chainsの1stを手にするのだった。もちろんその時には、グランジなんてのもよく知らなかったし、音すら聴かずに買ったのだった。ただ、良かったのは、そのすぐあとぐらいに、ミュージックライフという雑誌の巻頭でAlice in Chainsが特集されていたことだった。そのおかげで、概ねどんなバンドなのかも知ることが出来た。


しかしもしそこで、何かひとつ、というときに別のバンドを聞いていたら、もしかしたらまったく別の趣味の方向性になっていたかもしれないし、結局ロックを好きになれなかったかも知れない、と思うと、なかなか人生分からないものだなあという気がする。


ちなみにこのサントラに収録されたAlice in chainsの2曲をちゃんと聴いたのは、たしかもう社会人になってから、ボックスセットを買ったときだった気がする。

alice in chains facelift

モンゴルでも音楽のジャンルを表わす言葉には外来語(特に英語)が使われる。

ポップ、ロック(その中にフンド・ロック(へヴィロック)とかもある)、ヒップホップ・・・・。

それら僕らが聴きなれた言葉以外で、よく使われるジャンルを表わす用語に

アルテルナティーフがある。

最初聞いたときは、なんじゃそりゃ、と思っていたけど、

それがAlternative(オルタナティヴ)を表わしていたことは

何度も何度も聞いてみてやっと分かった。


オルタナティヴってなんだ、といわれると自分でもよく分からんけど、

80年代に派手な感じの音楽が主流になっていて、そのメインストリームに対する

別の流れというか、ちょっと違ったものとして、出てきたバンドを指していたというのが僕の理解

(alternativeは二者択一とか代替とかいう意味)。

音楽的には70年代風のバンドとか、飾りっ気の無いバンドとかがそう呼ばれてた感じがする。

僕が高校生の頃、よく使われていた言葉で、モンゴルに来て、なんだか久しぶりに聞いたわ、

という気分になった。


あるとき、モンゴル人に「その”アルテルナティーフ”はどんな音楽をさしてるの」と訊いてみた。

そうしたら、その人からは「ロックとポップの中間みたいなやつ」という答えが返ってきた。

なるほど、確かにそう呼ばれているバンドはアコースティックな感じだったり、比較的ソフトなものが多い。

でもなんとなく、本来の(少なくとも僕がそうであると思ってきた)ジャンルの音楽を指す言葉とは若干違うようだった。


よく、ジャンル分けなんてくだらないぜ、という意見を聞く。きっとそれは主にアーティストが言っていることだと思う。確かに、自分たちはそんなつもり無くても、勝手にある枠に押し込められてしまうのは創作活動をする人には窮屈なんだろう。


じゃあ、ジャンル分けはいらんのか、というとそうでもない気がする。ジャンル分けはあくまで、仲間内での記号である。友達同士、ある音楽雑誌を読む人同士、ある国の人々がその言葉をきいて、その音楽を想起できるのであればジャンル分けは、きっと意味を成している。


逆に無かったらとんでもなく面倒だ。例えば、My dying brideというバンドを説明するときに「ゴシックメタルだよ」といえば、分かる人同士では分かり合えるが、それを「遅くて暗くて、物悲しい感じで、バイオリンが鳴ってて、ヴォーカルが低い声でささやいてる感じの音楽だよ」という説明を要するとしたら大変だ。もちろん、まったくそのフィールドについて知らない人には、そのぐらいの説明をしなければならないが、知ってる人同士であれば、例えば「ゴア」とか「ドローン」とかいっただけで、一定の共通認識を持つことが出来るのだ。


そう考えると、たとえ「オルタナティヴ」が「あるてるなてぃーふ」になろうが、指している音楽がやや違うなあと感じようが、この社会で、その言葉がある一定の意味で使われてるんなら良いのかな、と思った。


ところで、ウランバートルにはカートコバーンのTシャツを着ている人が妙に多い。

オルタナティヴという言葉がよく使われていた頃に、同じく流行った言葉にグランジというのがある。

グランジといったらNirvanaという人が多いのかなあと思うけれど、僕自身はAlice in chainsやSoundgardenの方が好きだった。特にAlice in chainsは僕が今好きな感じの音楽(暗かったり重かったり遅かったりする音楽)を好きになったきっかけのバンドだ。


最初に買ったのがこの"Facelift"で高田馬場の戸山口からすぐの中古CD屋で、確か1000円で買った。

最初聞いたときは、ウゲ~、なんじゃこりゃ、と思った。好きになれなかったのだ。でも、当時は今ほどCDをたくさん買ってなかったし、買えなかったので、もったいなかったのか、他に聴くものが無かったのか分からないけれど、とにかく何回も聴いて、なんだかその内に好きになってきたのだった。