いつものように朝起きてカーテンを自分の方に寄せる。
明らかに昨日よりも冷たい空気が顔を掠める。
朝にやらなければいけない家事を一通り終えてスマートフォンを開いた。
LINEを開いて連絡をまとめて返す
ありがとう、とただ書くのではなく最後に絵文字を入れる
この時の優しい自分を愛してるよ
ふと今日誕生日の人の欄が目に入った。
何気ない1日が誰かにとっては固有の意味を持った1日である
今日は先輩の誕生日だ
夕日を背にして優しい音を鳴らした先輩の楽器が
そのきらめきを反射して写した机を伝って私の鼓膜を揺らす
あの瞬間のきらめきは、今日私の瞼にのったラメがまつげにかかって
朝日で反射したソレと共鳴したように感じた。
寒くなったら地元に帰って、先輩に会いに行こう。
途絶えた連絡に、まだ20の私は浅はかで、変わってしまったのだと、私たちは捨てられたのだと感じていた。
人が人生で一回迎える、しかし一度しかない物事
あの日、鼓膜は突き破るほど揺らされ、自分のピースは取り寄せ不可能なものによって成り立っている
そう告げられた。
今私は、もうこの世の中で生産終了したピースから成り立った
唯一として今日を生きている。