in the rhythm of和楽器バンド~六兆年と一夜物語~
龍雲丸に出会う前、ゴクウとカジのたどってきた道は
恐らくこんな感じだったろうと想像してみました。
カジもゴクウも孤児で龍雲丸に拾われたと公式にあります。
ふたりとも幼い頃から船乗りの元で下働きをしていた
とありますが、ゴクウは人身供御(ヒトミゴクウ)として
(だからゴクウ)荒海に投げられ殺されかけたとあります。
この時代飢饉も多くあり、人身売買も横行しており、
孤児として生きることは想像を絶する
苦しみの連続だったはずです。
でも、そうは言っても現代でも現代ならではの苦しみはあります。
苦しみに時代は関係ありません。
自分を解放して、明るく自由に生きていった彼らが
何らかのメッセージになりますと幸いです。
(和楽器バンド~六兆年と一夜物語より)
名も無い時代の集落の、名も無い幼い少年の、
誰も知らないおとぎ話。
産まれついた時から、忌み子鬼の子として、
その身に余る罰を受けた。
悲しい事は何も無いけど。
夕焼け小焼け手を引かれてさ。
知らない知らない僕は何も知らない。
叱られた後の優しさも、雨上がりの手の温もりも。
でも本当は本当は本当は本当に寒いんだ。
死なない死なない僕は何で死なない
夢のひとつも見れないくせに。
誰も知らないおとぎ話は
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。
吐き出す様な暴力と蔑んだ目の毎日に
君はいつしか、そこに立ってた。
話しかけちゃ駄目なのに「君の名前が知りたいな」
ごめんね、名前も舌も無いんだ。
僕の居場所は何処にも無いのに。
「一緒に帰ろう」手を引かれてさ。
知らない知らない僕は何も知らない。
君はもう子供じゃないことも。
慣れない他人の手の温もりは
ただ本当に本当に本当に本当の事なんだ。
やめないやめない君は何でやめない
見つかれば殺されちゃうくせに。
雨上がりに忌み子がふたり
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。
日が暮れて夜が明けて遊び疲れて捕まって、
こんな世界、僕と君以外皆いなくなればいいのにな。
皆いなくなればいいのにな。
知らない知らない声が聞こえてさ。
僕と君以外の全人類、抗う間もなく手を引かれてさ。
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。
知らない知らない僕は何も知らない。
これからの事も、君の名も。
今は今はこれでいいんだと
ただ本当に本当に本当に本当に思うんだ。
知らない知らない、あの耳鳴りは
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。